Wat00391 Modern medicine(朝日新聞社の雑誌)の感想(8月号

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Modern medicine8月号の感想です。
                                        つちねこ


#0001 sci1902  9208061843

感想文
  Modern medicine8月号−脳死は「脳の死か」
                                              一年一組 つちねこ
                                            (お、小学生の宿題みたいだぞ)

りんちょも解散してしまったし、以前ほど大々的にマスコミ報道されることもなく
なって来てしまいましたが、やはり脳死問題に付いては未だ決着は付いていないと
いうのが現状でしょう。このような記事が(できたら連載で)続けられることを望
みます。
さて、解剖学的な脳幹と竹内基準の脳幹とが異なっている(竹内基準には視床下部
などが含まれていない)ことは、実は初めて知りました。こうした(竹内基準にと
って)negativeなことはあまりわれわれの耳には入ってこないようになっているの
でしょうか。
鼻腔誘導脳波ですが、なんか恐いですね。痛みもなく誰にでも(もちろん医療関係
者なら、ということですが)はかれるということですが、technicalには如何なので
しょうか。数回のtraningでねらいどおりの咽頭後上壁にうまくあたるのでしょう
か。違う場所に当たったときの合併症は皆無なのでしょうか。bed sideでX線透視
無しに可能なのでしょうか。例えば心電図のように何回かのtraningでもって施行
可能で、さほどtechniqueに左右されない検査結果が得られるものであれば大きな
武器になり得る検査であると思いました。
        つづく


#0002 sci1902  9208061844

インタビューについて。なにか数年前に立花氏の「脳死」「脳死再論」を読んだ
ときとほとんど変わってないような・・・お答えのように見受けられました。
かなり曖昧な部分(あるいは事例)を含んでいるにも拘らず、曖昧故に切り捨て
てしまう、これは竹内基準を満たしてない、と。よく考えてみると、これらの症
例は当初竹内基準を満たしているにも拘らず云々として報告されています。後か
ら調べなおしてみて実はここが当てはまらないじゃないか、と判断されています。
調べ直さなければ、これらの事例は竹内基準を満たすものとしてそのままどこか
へ(まさか「闇」へじゃないでしょうが)行ってしまったのでしょうか。竹内基
準そのものがもっている曖昧さを再検討すること無しに、いったんは竹内基準を
満たした事例の方を切り捨ててしまう。(仮に竹内基準が臨床の現場でどんどん
用いられるようになったとして)今後頻発するであろう問題にはなんら解決にな
らない態度ですね。
いったんは脳死と判断された。移植用の臓器を取り出してしまった(その段階で
きっと患者さんは心臓死をも迎えるでしょう)。ところが後でカルテを調べ直し
てみたら予想外の反応の記載(呼吸様の運動だとか)があった。そこで竹内基準
からは外れているとした。つまり脳死状態じゃない患者さんから臓器摘出をし死
にいたらしめた。今の対応ではそんな事態が起こらないという保証はない、とい
うより頻発するでしょう。
私自身は神経内科を離れて1年と3ヶ月ほどたち、その後は脳死患者さんを一人
も診ていません。ただ、1年数カ月前までの乏しい経験からしますと一線の臨床
現場では(「先端の」という意味ではありません。いわゆる「fieldの病院」とい
うことです)、竹内基準ですら全てを施行することはないのが現状です。カルテ
に「これこれ、こういう検査をし少なくともこれこれの機能は失われており、[脳
死状態]と思われる」と記載されればまだ良い方のような気がします(診断書は勿
論心臓死の方を記載しますが)。おそらく多くは心臓死を待つか、呼吸器を外し
て心臓死にいたらしめるか、で脳死の「の」の字も書かれないのでは。
現在は脳死者からの臓器移植が少なくとも一般的ではなく、その必要がないから
判定されないだけなのかも知れないのですけど。これが急に竹内基準でOKという
ことになったらどんな状況になるのでしょうか。前述のように学会発表されるよ
うな非常に吟味された事例ですら、後からの調査で竹内基準を満たしてなかった
と切り捨てられるのですよ。一般の病院で安直に脳死判断をしたら事故が頻発す
るでしょうね、きっと。最大の被害者となる患者さんはいうにおよばず、医者も
おちおち脳死判定などしてられなくなりますね。
     またつづく?


#0003 sci1902  9208061845

マスコミについて。
息の長い、地に足の付いた報道を続けて下さるようお願いいたします。
以前、某有名大学神経内科医師(とても偉いポストの方)と、数回お話をした
ことがあります(というよりは「お声をかけていただいたことのある」の方が
現状に近いか)。そのときに何かのおりに脳死報道そして立花氏について意見
を伺うことがありました。そのときの彼の意見は「何故専門家である医者の言
うことにあんなにたてつくのかな。どうしてあんなことをいうのかな。」とい
うものでした。まあ、医者は権威に弱いですから。これからは脳死反対あるい
は脳死基準見直し派の医者(それも偉ければ偉いほど良い?)を表に出して報
道されると、世間や医学界の反応も変わってくるのではないでしょうかねえ。
と、最後は蛇足でした。久保田記者の今後の益々のご活躍をお祈りし、感想の
終わりとさせていただきます。
                  おしまい        つちねこ拝


#0004 ultra7   9208131705

 いやあ、約4カ月ぶりに、書き込みをさせていただきます。サイエンスネッ
トをほとんど、リタイアしてしまった艮神でございます。

 自分の記事で呼ばれたので、やっとこ出て参りました。

 ほとんどの方は、『モダンメディシン』なんて言われても、全然見たことも
聞いたこともないでしょうが、実は、そういう医者向け雑誌を朝日新聞が細々
と出しておるのでございます(細々と言っても、内容は問わず、部数だけなら
、一説によると、今は亡きアサジャよりも多いとか・・・・)

 名古屋からそこへ、トンデ来た艮神は、相変わらず、お医者様への「悪口記
事」を書き続けている、という訳です。

 脳死問題追及なんですが、個人的にはしつこくやりたいんですが、あんまり
連打が続かなそうですね。ハアハアハア・・息切れしまして・・・。
 というのは、脳死に「ちゃんと」反対している医師ってのが、ほとんどいな
い訳です。まあ、何人か、反対の人もいることにはいるのですが、非常に平た
く言うと、「感情的に嫌い」というタイプの人が多く、医学的、科学的な説得
力がもうひとつなんですね。脳死の何がおかしいのか、データを持って語れる
人がほとんどいないのです。(これは、ギョエイに日本の学者が非常に弱いの
とどこか似ている・・・)

 また、逆に脳死賛成という医師と話をしまして、「脳死は『脳の死』か」と
いう今回の記事に書いたように、脳死は医学的に見て「疑惑」が色々あるんで
すが、ってなことを、脳死賛成派のお医者さまに尋ねると、誰も「疑惑」自体
を知らないわけです。
 脳死問題で使われている「脳幹」と解剖学的定義の「脳幹」が違うなどとい
うことは、つちねこどん、ばかりでなく、臨床系では知ってる医師は、まった
くといっていいくらいいないと思います。

 どうも、そういうお医者さまの話を聞いていると、医学の進歩と発展のため
には、脳死に賛成するのが、兎に角、医師としてアプリオリに正しい態度なの
だと決め込んでいる、というお医者さまが多いなという、のが私の印象です。

 お医者さまって、極一部の「仲間のギルドから跳ね上がちまったわい」とい
う、万年助手コースの方を除くと、なんか長いものに巻かれてしまい易い性格
の方が多い気がします。(多分、医師のギルド世界が、そういう態度を要求し
ておるのでありましょう)

 それと、専門家以外は基本的に人の分野には口を出さない、という医学界の
不文律と、専門が細分化されすぎグローバルに医学を見れ、語れる医師が誰も
いなくなってしまった、という、医学が抱えるこのふたつの問題の狭間に落ち
込んでしまっている脳死問題のような問題については、本当に無力なんですね
、日本の医師は。

 それから、鼻腔誘導脳波の検出の問題ですが、鼻の奥にゾンデをガイドにし
て電極をそろそろと入れるだけでありまして、脳幹内にグサリと刺し込む訳で
はないので、基本的には問題ないと「信じてます」。何回も自らの体で人体実
験を繰り返した石田教授の鼻も、別に奥に穴が開いて、脳幹が漏れ出てる感じ
でもありませんでしたし・・・・。

 先日、磯子の看護短大付属病院まで取材にいったのですが、つちねこどんの
病院まで遊びに行けなくて残念でした。
 今度は、是非「『モダンメディシン』のこれからの傾向と対策」、という名
目で、つちねこどんの病院まで「取材」に行きたいと、思っておりますが、い
かがでありましょうか。その取材に引き続きまして、「横浜中華街における医
食同源の臨床応用」などという「取材」に、つちねこどんと繰り出せたら、こ
りゃいいですねえですねええ。

 艮神


#0005 sci1902  9208150812

お? 磯子の看護短大附属びょいんとな?
えっと、県立看護衛生なんたら附属病院(略称県看專)ですね。
わたしのおうちはそこから徒歩十分位のところにあります。
そこの病院にも近親者が入院した事があり何度か足を向けた事が
あります。
今度取材においでの際にはぜひぜひ拙宅へお寄り下さいまし。
つちねこ病院(んなもんないない。ほんとは横浜市の病院だぁ)
へもぜひぜひおいで下さいまし。万年助手コースはおろか、
未だ助手でもないいわゆる平医局員ですが、すでに(やはり)
主流からは外れておりますが・・・わはは。

大学病院には失望し、早くもやめる事を考えている つちねこ拝
  オンラインのちょいレスですみません。


#0006 ultra7   9208171340

 はあ、ぜひ今度つちねこ病院に寄らせていただきます。
 またたび茶でも、ふるまって下さい。

 大学病院って、やっぱよくないですかねえ。
 そういう、お客様(つまり患者ってこと)で行っても、よくわかんない
 病院インサイドのお話しが聞きたいですねえ。

 結局は、単なるミーハー裏話が大好きなだけの艮神であった。


#0007 sci1902  9208212321

はあ、どうも恐れ入ります。大学病院って「良くありません」。
これだけは胸張って自信をもって言えます。(ナンテトコロデ ムネハッテモ
ショウガナイノデスガ)
大学病院を利用するかも知れない全ての方に一つだけ覚えて
おいて頂きたいのは、「大学病院だからって医療レベルは全然
高くない」ということ。むしろひどかったりする事もあります。
今の仕事になってから、患者さんが死亡する場合の「真の死因」
について考えさせられる事が多くなりましたです。ハイ。

ではでは。艮神さまお待ち申し上げております。
            つちねこ


#0008 sci6352  9302110022

ヒトへのヒヒ肝移植について
 1993年2月10日のジャパンタイムズは米国から日本へ帰国中のピッツバー
グ大学の外科医 Satoru Todo 医師のインタビュ−記事を掲載している。彼
は2例のヒヒ肝移植を行った同大チ−ムの中心的役割を果たした医師の一人
である。脳死の問題が当面の議論となっている我が国では、この問題を扱う
こと自体一見現実離れの感があるが、実際には脳死を迂回して先に進める可
能性を示すという意味で、もっと議論が深められても良いような気がする。
また同記事の中で触れられている遺伝子工学的な手法による細胞レベルでの
豚の人間化(pig humanization)は本題の異種臓器移植に優るとも劣らぬ重要
性を秘めている問題と思われる。多くの方の建設的な論評を期待します。 
                          東馬