Wat00367 科学雑誌について

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科学雑誌についてみんなで考えてみませんか.


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 科学朝日に限らず科学雑誌について思ってることを書いてみよう.
科学朝日11月号に関する書き込みを見てみるとあまり評判がよくないよう
だ.これは50周年記念ということもあり(例えばA4版になって内容が薄く
なったなど)11月号に限らぬ感想が出たためかも知れぬ.

 視野を転じて他の科学雑誌をというと,1岩波の「科学」これはイギリ
スのネーチャー誌を範にとったものと思うが,自然科学の広い領域の,そ
れもかなり専門性の高い論文を載せている.このような科学雑誌は一つは
あるべきである.しかし,一般大衆にはアピールしないだろう.(商売に
なりにくいだろうという事)

2今はないが中央公論社の「自然」という雑誌があった.私は学生時代こ
の雑誌の「右と左」などの特集を夢中で読んだ思い出がある.内容が深く
かつ特徴を持った雑誌だった.このような雑誌は再び出ないのだろうか.

3ニュートン.私は出版界の事情は知らないが,おそらくこの雑誌が一番
売れているにではないか?その大きな理由は内容がたいへんグラフィカル
な点にあると思う.事実(大きな声では言えないが)私自身,この雑誌を
スライドに撮って授業で使っている.
 科学を絵で説明することは一長一短だが,長所はなんといってもわかり
やすい事だ.物事を理解するのに言語や論理だけでは不十分でイメージで
理解することも必要だ.(その点,伝送内容が文字や論理だけのパソコン
通信は不十分なメディアだ)

 一方,短所はといえばなんと言っても科学を絵で理解させるのは原理的
に不可能であることだ.アインシュタイン物によくあることだが「なんと
なくわかったつもり」になってしまうのだ.(しかし,本質的な理解は得
られていない)それどころか,大変な誤解を与えかねない.例えば「炭素
原子は黄色いのか」とね.この辺が科学雑誌としてのニュートンの限界だ.

 えらいニュートンが長くなってしまったが,お次は4サイエンス.最近
「日経」が付くようになり編集方針が変わったようだが,科学,技術上の
幅広いそしてかなり高度な記事を載せている.
 サイエンス誌で私がたいへん残念に思うのは「アマチュアサイエンス」
としてアマチュアがやった大変独創的な実験を載せる所があったのだが無
くなってしまった事だ.この記事は自然科学の文化さえも感じさせる内容
だったのだが.このことは次の科学朝日に対する考察の所でも考えたい.

 さて,科学朝日だが,性格はというとニュートンとサイエンス誌の中間
というところだろう.A4版になって少しニュートン寄りになったというと
ころだろう.
 問題の科学朝日11月号で私が面白く思ったのは,科学朝日の第1号の特
集は「戦車」であったということだ.これは(少なくとも当時の)大部分
の人の科学観と科学朝日の性格を表していると思うのだ.つまり大部分の
人の科学観は「近代戦は科学戦です」という言葉に象徴されるように,科
学=応用や技術であったわけだ.言い替えれば科学は自然認識の手段であ
る.という観点がほとんどないという事.

 もう一つは科学朝日の性格だが,新聞社がやっている雑誌だけに世の中
の流れに敏感というか,今風に言えばトレンディとでも言おうか.ともか
く,ニュース性,時事性を大事にするという事だ.これは決して悪いこと
ではなく,新聞では決して知ることができない科学上の問題を深く分かり
やすく説明する媒体が必要だと思うのだ.

 科学朝日がロングヒット商品であり,かつ今後ともロングヒット商品で
あるためにはこのような性格が必要だと思うよ.
 さらに,分かりやすく,かつ社会性のある記事ということだが,私が感
心するのは,時々News week誌などに科学に関する短いが,的確な記事が
載ることがあることだ.問題の捉え方,表現の仕方など記者の力量が感じ
られる.分量も少ない.この点もページ数かせぎの水ぶくれ記事を書いて
いる誰かはもっと見習うべきだ.

 次に科学の位置づけについて考えたい.よく日本人は科学と技術を混同
すると言われる(科学技術庁という役所があるのが証拠かも知れぬ)
 ここでは,科学と技術の関係について論ずるのるはさけるが,やはり科
学は自然を認識する手段であると同時に少なくとも一部の人にとっては楽
しみだということを強調したい.
 つまりたんなるお勉強やおけいこ事とは違うということなのだ.例をあ
げるとニュートンの運動法則は高校の物理の中間テストに出すためにある
のではないということ.

 なぜこんな事を言い出したのかというと,科学雑誌の記事の多くは説明,
解説的であり,科学の本当の意義,原理,問題意識などはとらえられず,
学校のお勉強式の科学とたいしてかわらんのではないかと思うのだ.(点
が付かないだけましか?)もっともこの辺の論考は不十分なのでまたいつ
か・・・

 最後にこの件と関係するが読者の参加について.サイエンス誌のアマチ
ュアサイエンスという欄の事は前に書いた.記事を見て刺激され「自分も
何かやってみよう」という刺激を与えるのも読者の参加だ.ところがお勉
強式,解説式の記事ではそのような刺激を得ることは不可能じゃないか.
私もやってみよう.やってみました.式の記事が増えることを希望する.
もう一度くり返すが科学は自然認識の手段であり,楽しみでもあるのだ.

 直接的な読者の参加だが,科学朝日ではこうしてパソコン通信を通して
読者と結ばれているのだが,これは出目色だと思うが一般的ではないだろ
う.
 どの雑誌も読者のコーナーみたいなのがあり,ニュートン誌なんかでは
科学の「堅気の衆」からの「ニュートンってすてきね」なんていう,ちょ
うちん持ちの文ばかり載せているのはお笑いだ.

要約:科学朝日はニュートン誌と違って50年のロングヒット商品であり,
かつこれからもそうあり続けたいとねがっておられるのだろうから,
1時事性.2自然科学のとらえ方.3読者の参加.を考えられてはどうだ
ろうか?
 幸いスタッフ(ブレーン)には南極観測やスプートニク報道を経験した
ようなすごい人たちがたくさんいるのだから,他の雑誌社と比べて人材の
層は極めて厚いのではないか.

 ここまで打って気づいたことはえらいお説教的になってしまったと言う
ことだ.これは教師の職業病だ.ゆるされたい. 
 皆さんは科学雑誌をどのようにお考えになっているでしょうか?

                            今津修一


#0002 sci5498  9112111447

うわすごいや なかなか的確な分析恐れ入ります。

科学と技術(science & technology といった方がいいかな)ってのは
結構むずかしい問題ですね。ひらたくいうと
技術ってのは世界中どこにでもあるけど科学は西洋文明の中でしか
生まれなかったってところに鍵があるんでしょうか。
how to が技術なら why がやはり科学になるんだろうか。
そこら辺の感覚突き詰めて考えると 数学とかのかねあいとか
哲学も論じなくてはいけないしちと今は荷が重いや。
しかも、日本てのを考えるとね。(江戸時代の日本の数学のレベルは
その当時の世界の最先端であったにもかかわらず、やはり技術だった
とかもあるし)

  つぅことで 散漫かつまとまりのないれすになっちまいました :-)

                                                     Shige-A

ps. しかも雑誌とは直接関係のない (^^;;;;;


#0003 sci3021  9112150019

 「科学雑誌の記事の多くは説明・解説的で、科学の本当の意義・原理を捉えられ
ず、学校のお勉強式の科学とたいして変わらない」

 同感です。

 もっと読者に刺激を与える記事が多くてもいいと思います。


 さて、私も一応NEWTON誌は購読しています。

 時々、「よく分からないけど読んでます/好きです」といった読者の声が載って
いますが、これなどはNEWTONの性格・読者層をズバリ表わしているといえる
でしょう。

 グラフィカルで綺麗なのは悪いことではないし、視覚の重要性・パッと見たもの
の理解し易さもあるでしょうが、絵で科学の色々な側面を学ぶのは不可能でしょう
ねぇ、やっぱり。

 このネットでも、「絵のイメージ」としてしか頭の中で想像できないがために、
誤った認識しかできなかった例って、結構あるんですよね(自戒も少し)。

 ・・・まぁ、グラフィカルな科学雑誌にも、それなりに存在意義はあると思って
いますが。


 あと余談。

 全く、「科学」と「技術」を混同している奴の多いこと! でもって、こういう
輩って科学に的外れな批判をしてきたりするの・・・イヤになっちゃう。

 そんだけ。

                                                        D.D.C.