Wat00361 NASAの環境モニタープロジェクト

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TIME誌 No.37:9/16/’91 宇宙欄によれば、地球環境をモ
ニターするためのNASAの観測計画があるそうです。 以下に概略紹介しま
す。
                 朴の木


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 地球の大気、陸、海が過密人口と工業化による汚染で打撃を受けつつあり、
これを正確に計測することが科学の緊急の課題になってきている。
 
 今週スペースシャトル、ディスカバリーが惑星地球に人工衛星を送り、地球
の健康を監視する壮大な長期計画を開始させる。今回の衛星はオゾン層を観測
するための4つの計器を積んでいる。この第一の任務は、太陽光中の紫外線か
ら地球上の生物を守っているオゾン層が、CFCによってどの程度の被害を受
けているかを調べることである。
 
 計画にはもっと多くのことが予定されている。NASAは今後15年間で3
00〜400億ドルを費やし、”地球への使者”の中核となる地球観測システ
ム(EOS)のための多くの計器を人工衛星に載せて打ち上げたいとしている。
地球温暖化、森林破壊や砂漠化などの影響を調べるという。他国の衛星や地上
観測所も利用し地球観測の情報基地を構築する。
 
 しかし批判もある。米国経営予算局のリチャード=ダーマン氏は報道による
と”300億ドルの温度計が必要になるとは知らなかった。”と冗談めかして
いった。
 
 NASAの計画では、いくつかの衛星だけでなく、2つの大宇宙ステーショ
ンも打ち上げて観測機器の準備することにしている。これらは今世紀中には無
理だろう。多くの計器をたったの2つのステーションに載せると計画にフレキ
シビリティがなくなるとして、科学者らは反対している。もし、新しい発見が
あったとしてもそのための新しい観測等を行う余裕がないというわけである。
また、事故などによって計画の主要部分がだめになることもある。
 
 別の問題は、このプロジェクトで得る生のデータをどうやって収集、集積、
解析して提供するかということだ。批判者はNASAのこれまでの宇宙探査に
よる膨大なデータをだれも解析していないし、今度のEOSでは予算の60%
をデータ集録施設に費やすとしている。
 
 これらの批判によって、議会とホワイトハウスはNASAに圧力をかけ、お
そらくは2つの大ステーションでなく6つの小規模のものを建設するよう計画
の修正を求めた。NASAでは技術評価委員会をつくり、探査計画への提案に
ついて検討しているという。数週間でその結論を公表し、それにしたがって計
画を変更する見込みである。委員長のエドワード=フリーマンは”より迅速か
つフレキシブルにする。とはできそうだが、安くはなりそうもない。”という
 
 しかしプロジェクトの予算が地域への利益誘導型の’ポークバレル’主義で
決まるのでなかったら、より安く上がる方法も見つかるだろう。例えば、メリ
ーランドにあるゴダード宇宙航空センターはプロジェクトのかなりの部分を受
け持つことになっている。メリーランドの上院議員バーバラ=ミクルスキ氏は
NASAの予算を受け持つ上院特別予算小委員会の議長である。主な契約はカ
リフォルニア、ペンシルバニア、ニューヨークという政治的に有力な州の宇宙
産業企業と行われている。NASAはペンタゴンから、大義をもち、議員の選
挙区での予算の消化を約束し、ワシントンに強力なロビィストを持つ会社に契
約を保証すれば、プロジェクトは政治的に飛び立つということを学んだ。
 
 今回の件では、NASAの策は成功したようだ。計画を練り直さなければな
らないとはいえ、議会は最終的には必要となれば300億ドルかそれ以上を認
めるだろう。”地球を救うことを考えれば安いものです”とジョージ=ワシン
トン大学の宇宙政策の専門家ジョオ=ログスドンは言う。シャトル計画、ハブ
ル望遠鏡、木星への探査機ガリレオの失敗の後だけに、”地球への使者”はN
ASAへの威信回復のチャンスとなる。
 
といいですね。
                  朴の木