Wat00137 「科学朝日」寺石説を批判する

#0000 sci2596  8902142243

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 ■ 寺石氏の地軸傾斜変化説を批判する

 <概要>
 「科学朝日」'89-1,2 号,伊藤 洋氏による紹介記事,寺石良弘氏の「惑星の逆
立ち,氷河時代,そして生物の進化」の妥当性を検討した.まず惑星自転軸の傾斜
系列の誤りを指摘し,次に系列上の矛盾点を挙げる.次に衛星公転軌道から見たこ
の系列の矛盾点を挙げる.さらに,地球の地軸の移動に関して現在の地球科学の考
えを述べ,氷河期が地軸の横倒しによってもたらされたとは考えられないことを述
べる.しかし,惑星の自転傾斜系列そのものの妥当性については,それで説明でき
る事柄が少なからずあることを指摘する.

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   ・以下の小論は 210行にわたりますので,ご注意下さい.・
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                                                                 Kennywell
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#0001 sci2596  8902142248

 ■ 寺石氏の地軸傾斜変化説を批判する.

 【惑星自転軸の傾斜系列】
 理科年表最新版(昭和64年版)によれば,自転軸の傾きは(注<1>),
          水  金   地   火   木  土   天  海   冥
自転軸傾角(°): 0, 177.3, 23.44, 25.19,  3.1, 26.7,  97.9, 29.6, 118(?)
                    ~~~~~                                   ~~~~
となっており,寺石氏の紹介記事中,金星と海王星について誤りが見られる.つま
り,金星は逆行自転しており,海王星は順行自転している(注<2>).これを寺石説の
ごとく,地軸が公転面に対し垂直下向きから上向きに方向を変えて行ったとして移
動量を見ると,
          水  金   地   火   木   土   天  海   冥
 角移動量(°):180,  2.7, 156.6, 154.8, 176.9, 153.3,  82.1, 150.4,  62
となり,横軸に公転長半径,縦軸に角移動量をとって図示すると,次のようになる.

      惑星自転軸の傾斜系列の公転半径に対する関係

        ・
     180・o-----------o-------------------------------
  角    ・  o     o                        o
  移    ・   o
  動    ・
  量  90・----------------------o---------------------
        ・                                          o
  度    ・
        ・ o
       0・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
             1     5  10    20     30    40

               公転軌道長半径(天文単位)

テキストスクリーンのため,正確さは欠くが,おおよその傾向は示せていると思う.
180°および 150°付近の横ばい点は,数値を見ればわかるように,実際はそれぞ
れ漸減している.また 10 までの半径のスケールも他と異なっている.それらのこ
とを考慮しても,金星が大きくはずれていることがわかり,実際,全体での相関係
数 -0.272 は有意でない.金星を除くと -0.767 となり,5% レベルで有意となる.
なお海王星も前後の傾向からずれており,これも除くと,相関係数は -0.919,1% 
レベルで有意となる.しかし,金星,海王星の大きなずれが,最大の矛盾点といえる.

 【衛星の公転軌道から見た惑星系列】
 寺石説では,衛星の公転軌道傾斜に関し,主惑星の自転軸傾斜の変化に従って,
例えば木星について,近くのものは赤道面に沿って順行しているが,遠くのものは
取り残されて逆行していると述べられている.衛星を持たない水星,金星を除き,
他の惑星について検討して見よう.

 地球と月の関係は,地球の赤道面に対し,月の公転軌道面は 23.44 + 5.15 = +2
8.59°(注<3>)傾いている(McGraw-Hill Encyclopidia S.T. 1982).これを,当初の
月の公転軌道が地球の赤道面にあり,地軸の回転に従って取り残されたとすると,
地軸の立ち上がりは,上のように 156.6°ではなく,逆向きに 180 + 23.4 = 203.
4°ということになるのではないだろうか? この考えで,他の惑星の大きな軌道面
傾斜を持つ衛星を見ることにする.

  すると木星については上に例示された通りで,16 個の衛星のうち内側の 8 個は
ほぼ木星の赤道面で順行公転し,次いで遠い 4 個は木星の赤道面と約 30°をなし
て順行公転し,最外側の 4 個は木星の赤道面と約 150°をなし,逆行公転している.
この順序は,木星の自転軸が垂直下向きから立ち上がって,まず外側の衛星が取
り残され,次に中程の衛星が取り残され,内側の衛星は最後まで赤道面をついて来
たと考えてうまく説明がつく.

 土星の 17 個の衛星のうち, 15 個ははぼ土星の赤道面を公転しているが,外側
から 2 番目のイアペスタが赤道面に対し,-14.7°(順行),最外側のフェーベが 1
50°で逆行.この場合も立ち上がりの角移動量は,上のように 153.3°でよさそう
である.

 天王星の 5 個の衛星,冥王星の 1 個の衛星は全て主惑星の赤道面上にある.と
ころが海王星は内側のトリトンが海王星の赤道面に 160°をなして逆行しており,
外側のネレイドは +27.5°(注<3>)で順行している.地球の場合の角移動量の変更は
前項の負の相関に寄与するが,海王星の場合は,ここでの最大の矛盾点である.前
項での海王星のずれも大きかったが,ここでさらに別の矛盾に当たったことになる.

 ここで,トリトンはネレイドの外側を回っていた衛星であったが,次第に近づい
て現在の軌道にきたと考えて見よう(注<4>).すると木星,土星に同じく外側に逆行
衛星があったことになり,つじつまが合う.すると海王星の自転軸の立ち上がりは
地球の場合と同様 180 + 29.6 = 209.6°と考えられる.これは前項での海王星のず
れをさらに増幅させる結果となる.

 【地球の自転軸の移動】
 竹内 均訳 1980 「地球の最期を予測する」(ジョン・ホワイト原著 三笠書房)
において,竹内 均氏が明快な解説を行なっている.まず地球の自転軸の移動とい
うとき,<1>空間に対する自転軸の移動,<2>地球に対する自転軸の移動に分けて考
えなければならない.第1の場合には地球そのものが動くことになるが,その代表
的なものに歳差がある(注<5>).これは自転軸が黄道面の垂線と 23.44°をなした円
錐面上を約 26,000 年周期で東から西へ(つまり逆行)移動する.このとき自転軸
の傾きはあくまでも 23.44°である.実はこれにはさらに約 4 万年周期の変動があ
り,21.5 から 24.5°の間を移動する.第1の意味での自転軸の移動は容易ではな
く,歳差の主原因は太陽と月であるが,地球は23.44°を守ろうとするため,結局コ
マのみそすり運動のように,上述した周期で変動することになる.太陽なみの他の
天体がやって来て自転軸を傾けようとしても地球は抵抗するため,同様の歳差が起
こるに過ぎないであろう.

 第2の意味での自転軸の移動は大陸移動あるいはプレート運動のことであり,こ
の場合の極移動は年 0.003"(秒)= 地上約 9cm 程度である(この数値は大江昌嗣
(1979)より).

 さて,寺石説は第1の意味の自転軸の移動を考えている.その移動速度は図示(「
科学朝日」'89, 2 号)によると約 7,000 万年前から 150 万年前までが年当り (90
-15)°/(7,000万-150万) = 0.004" = 地上約 12cm,約 150 万年前から現在までが
年当り (90-23.4)°/150万 = 0.16" = 地上約 5m に相当する.現在の地軸傾斜が立
ち上がる方向に 0.16" というのは観測されているであろうか? 全々段では触れら
れていないが,第1の意味の自転軸の移動には,さらに複雑な章動と呼ばれる変動
が,いくつもの成分を持って伴っており,主なものに,18.6 年周章動,半年周章動,
半月周章動,年周章動等がある.このうち一番小さな年周章動は振幅約 0.031" 
角の逆行円運動と,0.026" 角の順行円運動とに分解できる(笹尾 1979).自転軸の
移動は例えば北極星の高度が歳差や章動,プレート運動による極移動分等を除いて,
年 0.16" 増加することを意味するが,そのような観測事実は,資料では見いだせ
なかった.

 【氷河期についての考察】
 約 100 万年前からの氷河期では,現在のプレートテクトニクスの考えで,大陸
の位置は現在とそれほど大きく変わってはいない.この場合,上の第2の意味での
極移動で表現すると,極は現在より約 0.4 〜 0.8°= 地上約 45 〜 90km ずれてい
るに過ぎない.つまり相対的にこれだけ各大陸が現在よりずれていたことになる.
従って,ほぼ現在の大陸配置(さらに上の第1の意味での自転軸の移動による地軸
傾斜)で北半球の寒冷化という点からこの氷河期を考えなければならない.

 伊藤氏の紹介記事でも言及されているミランコビッチ説は現在有力な説のようで
あり,さらに,川井直人(1976)は,過去 200 万年の地磁気大消滅と気候寒冷化,氷
河期到来の関連性を詳しく論じており,示唆に富むと思われる.

 鳥の渡りが,寺石説による氷河期の考え方で,赤道を中心に両極間で移動する「
必然的な」現象として説明されている.今のところ渡りの起源について詳しい検討
は行なっていないが,氷河期には地球全体が寒冷化したため適地が赤道を中心にし
た低緯度地方に限られ,それでも季節変化による温暖化あるいは寒冷化を避けて,
短距離を赤道をまたいで渡っていたと考えれば,寺石説の地軸が立ち上がる過程で
の飛距離の増大が,単に,氷河期が終わって温暖化したために適地が両半球の高緯
度地方に移り,飛距離が延びて行ったということで説明がつくような気がするがど
うであろうか?

 【再び惑星の自転軸傾斜系列についての考察】
 はじめに触れたように,金星の大きなずれを除くと,自転軸の傾斜系列には負の
相関が見られる.中沢(1983)によれば,惑星の角運動量のうち自転角運動量は公転
角運動量に比べ格段に小さい.例として,木星は前者が後者の 5 万分の 1,地球は
 600 万分の 1,水星では 10 億分の 1 という具合である.従って,微少な天体が,
その公転角運動量のわずかでも持ち込むと,自転角運動量,従って,自転周期や
自転軸が大きく変わってしまうと述べている.

 太陽系の起源については,寺石説による星雲説のほか諸説があり定説はない.こ
れについても詳しい検討は行なっていないが,惑星誕生初期には,激しい天体の衝
突が起こったという説も有力である(例えば,地球以外の惑星にみられるクレータ
ーをその痕跡とする考えである).すると,最初右回りであったとして(この理由
として,寺石説の説明は的を得ているような気がする),上述した自転角運動量の
変化の1つとして,惑星誕生初期自転軸が容易に変えられたことは想像に難くない.

 その傾向の1つが,より衝突の激しかったであろう太陽系内惑星から比較的衝突
が少なかったであろう外惑星にわたって,現在見られるような負の相関として現わ
れているのかも知れない.金星については衝突が少なかったために自転軸の起きあ
がりが進まなかったと考えるよりは,衝突がやはり激しく行なわれ,一度自転軸が
逆転したあと,さらに突発的な衝突によって,自転方向が逆転したとは考えられな
いであろうか? このことは他の惑星の自転周期が水星の 58.6 日,冥王星の 6.4
 日のほか,10 時間(木星)から 24.6 時間(火星)であるのに対し,金星は 243
 日と飛び抜けて遅くなっていることが関係があるのかも知れない.

 いずれにしても.惑星誕生の初期の段階では自転軸の傾斜が変化した可能性はあ
るが,寺石説のごとく,誕生以来現在までの長年月の間に,漸進的,あるいは地球
についての説明に見られるような,ごく最近,100 万年とか 200 万年の間に急速に
変化したということは,現在の地球科学,天文科学の考えとは相容れないのではな
いかという結論で,この小論を締めくくりたい.

 【注】
 <1> 赤道傾斜角として記載してある.
  <2> 地球の北極側から見て,左回りが順行,その逆が逆行である.
 <3> 惑星の赤道面に対する衛星の公転軌道面の傾きが,理科年表をはじめとした
   資料で極座標的に考えた正の角か負の角か判断のできない場合が多かったが,
   桜井(1983)の図示によれば,土星のイアペタスは負の角になると判断される.
 <4> この仮定そのものの妥当性については明かでない.
 <5> 歳差は古代ギリシャで既に知られていた(B.C.2世紀 ヒッパルコス).

 【引用文献】
伊藤 洋 1989 「惑星の逆立ち,氷河時代,そして生物の進化」寺石良弘とその思
想(上)科学朝日 (1):54-58.
伊藤 洋 1989 「惑星の逆立ち,氷河時代,そして生物の進化」寺石良弘とその思
想(下)科学朝日 (2):50-54.
岩崎恭輔 1988 アストラシリーズ6.惑星U-惑星探査機が見た世界- 恒星社厚生閣.
川井直人 1976 「地磁気で変わる気候と歴史」 サイエンス 6(12):50-64.
McGraw-Hill Encyclopidia of Science and Technology 1982 McGraw-Hill, Inc.
中沢 清 1983 現代天文学小事典(高倉達雄監修)ブルーバックス B-529.
大江昌嗣 1979 「地球の揺動」現代天文学講座1「地球回転」(若生康二郎編 )恒
星社.
理科年表 昭和64年版 1989.
桜井邦朋(監修)1983 「図説われらの太陽系」Vol. 1-7 朝倉書店(Moore, Hunt,
 Nicolson & Cattermole: The Atlas of Solar System, Mitchell Beazley Publisher
 の訳書).
笹尾哲夫 1979 「流体核をもつ地球の運動」現代天文学講座1「地球回転」(若生
康二郎編 )恒星社.
竹内 均(訳)1980 「地球の最期を予測する」(ジョン・ホワイト原著)三笠書房.

 【参考文献】
岩波理化学辞典第3版 1971.
コーベイ 1984 「氷河期はなぜ起こるか」サイエンス 14(4):144-154.
古在由秀 1984 「太陽系の安定性」現代の太陽系科学 上 太陽系の起源と進化(
長谷川博一・大村辰蔵編)東大出版会.
世界大百科事典 1972 平凡社.
世界科学大辞典 1977 講談社.
鈴木敬信 天文学辞典 地人書館.
竹内 均 1970 続 地球の科学 NHKブックス 112.
竹内 均 1975 続 地球の歴史 NHKブックス 232.
竹内 均・都城秋穂 1965 地球の歴史 NHKブックス 19.
竹内 均・上田誠也 1964 地球の科学 大陸は移動する NHKブックス 6.
ツルタニとコリンズ 1986 ボイジャーの惑星探査「天王星の素顔」 サイエンス 別
冊76.
ヴァリコフスキー,I. 1984 「激変の地球」超科学シリーズ3(山田 忠訳)
図書刊行会.
ワーロー,P. 1982 「地球がひっくりかえる」(竹内 均訳)三笠書房.

                                                                 Kennywell

#0002 ultra7   8902151238

 すごい、とにかくすごい!!

 ネットの参加者や書き込み内容にに優劣をつけるのか、と怒られ
てしまうことを十分考慮にいれてもこれは、すごい。こういう、パ
ワフルな「実証データ」に基づいた書き込みは、私はやっぱり好きです。

 彗星のごとく現れ、ハードな書き込みを続々と続けられるkennyw
ellさんの努力、根性は我がネットの誇り、「平成の星」といって
過言では、ないのであります。

 特に参考文献に危ない天文学者・ベリコフスキーが入っていると
ころなども、心憎く泣かせるところであります。
 
 つちねこドンの脳死の基礎資料のアップ、誤り人の「原発資料集」、
tokioさんのクラウドウオチングなど、サイエンスネット
史上に輝く「伝説」的作品集と肩を並べて語られる日も近いと思わ
れます。
 
 今日のところは一応エールだけで、失礼します。できれば、脳死
コーナーにも舞い降りられて、その脳天唐竹割的ハード書き込みの
嵐で翻弄していただきたいものと、期待してます。
                                                   ultra7 

#0003 sci2596  8902160913

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 ■ 批判小論訂正

 1.角移動量―公転半径散布図に誤りがありました.グラフィックではないため,
もともと無理がありますが,火星,木星,土星の点をそれぞれ一コマずつずらす
必要があります.また,縦罫線のつもりで,外字を使ってしまったため,消えてし
まいました.以下を差し替え図とします.

       惑星自転軸の傾斜系列の公転半径に対する関係

        ・水星   木星
     180・o-------o-----------------------------------・
  角    ・  oo火星    o                   o           ・
  移    ・地球    土星       海王星        ・
  動    ・                                            ・
  量  90・----------------------o---------------------・
        ・          天王星                o ・
  度    ・金星                 冥王星・
        ・ o                                          ・
       0・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
             1     5  10    20     30    40

               公転軌道長半径(天文単位)

 2.【地球の自転軸の移動】の項第3段,「全々段」は「前々段」の誤りです.


 ■ 批判小論補遺

  1.公転軌道長半径は,理科年表から,
    水星    0.3871
    金星    0.7233
        地球    1.0000
        火星    1.5237
        木星    5.2026
        土星    9.5549
        天王星 19.2184
        海王星 30.1104
        冥王星 39.5399
となっています.また,相関係数は,Lotus-123 を用いて計算しました.

 2.参考文献に挙げた,P. ワーロー「地球がひっくりかえる」は,地球の自転軸
の逆転が,1日で行なわれるとして,それを,過去何十回となく起こった,地磁気
逆転,天変地異(伝説などを含む)と結びつけて論じていました.

 地磁気逆転の方は,確固とした証拠が集積しており,今や常識的のようですが,
天変地異説に関しては,例えば,地層に関しての根本的な認識の違いがあるようで
す.地層は過去の天変地異の記録である,とする天変地異説に対し,現在われわれ
がみているような現象が,途方もない時間集積した結果であるとするのが,現代の
正統的な,斉一説でしょう.

 本書を翻訳したのは,竹内 均氏ですが,解説では,ただ,斉一説の立場である
自分には,信じることはできない,とだけ述べているに過ぎませんでした.それで,
最初この本を知ったときは,また新たな問題が出てきたと,途方に暮れてしまい
ました.自転軸がもしひょいひょい変わってもよいような性質のものであるならば,
何かのきっかけで,自転軸そのものが,ほかの軸に対して回転し,ワーローが,
不思議な1日としているような,逆転の1日があってもよいような気がします.

 そのうち,引用文献に挙げた,「地球の最期を予測する」を得,これの(翻訳者
:竹内 均氏)解説が,小論の極めて重要な骨になりました.もしこの本を得なけ
れば,まだ,さまよっていたかも知りません.この解説は,直接に重要であったば
かりでなく,非常に感銘的でした.原著者のホワイトを評し,「異端的な様々な説
を平等に取り上げ,頭ごなしに否定することをしない,その態度がまことに快い」
(現在手元にないので,正確な引用ではありませんが,こういう意味のことだった
と思います)と書いている点です.まさに現在 Newton の編集長としての活躍や,
類書の翻訳者としてばかりか学術的な啓蒙書の執筆者としての態度等,うなずける
気がします.

 厳密には,例えば,天体力学的に,自転をする太陽,地球,月が二重に公転する
系を考え,自転軸の傾斜変化がどのような条件でどのような形で起こるかというこ
とを,計算しなければならないと思いますが,竹内氏の定性的な解説によれば,た
だ他の天体が近づくというだけでは,自転軸の直接の傾斜変化は起こらないという
ことだと思います.ワーローは,地軸逆転を他の天体の接近としているようですか
ら,このことからは,それは起こらないといえるのでしょう.

 2.小論の最後の段で触れた,角運動量からの考察ですが,竹内氏が言うように,
自転軸の傾きを変えるのは容易ではない.しかし,公転角運動量と比較すれば,
それは言及したような割合になるようです.

 ■ サイエンス・ネット雑感
 ウルトラ様より,お褒めの言葉を頂き,ありがとうございました.時間がありま
せんので,のちほどまた来ます.
                                                                 Kennywell
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#0004 sci2423  8902161022

  あのーこんなすごい書き込みのあとでこんなおちゃらけたことを
いうのもなんですけど、98の外字の使うのはできればやめてくださいね。
こっちの機械ではしっちゃかめっちゃかになっちゃって全然よめないんです。
                                                さいとお

#0005 sci2596  8902162158

 え? まだだめなのでしょうか? ■や「,【はいいですよね.FM16ベータ
でちゃんとでていますけど...・はベータでは■になってしまいますけど
図はめちゃめちゃになっても点の数は少ないですから,いいでしょう?
 グラフィックでプログラムにし,ishファイル(ようやく昨日手にいれました)
でアップしようかとも思ったのですが,図の助けをかりなければまずいときは
そうしようかと思っています.
                                                       Kennywell

#0006 sci2596  8902162204

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 ■ サイエンス・ネット雑感
 もともと The B〜 のネットにアクセスするのを目標に,準備を進めていたところ,
登録に1カ月余りかかり(まだ登録されていません),たまたま朝日夕刊のコラ
ムにネット案内があり,試しにアクセスしたらうまく行き,いろいろ読んで行くう
ち,団藤様の書き込み等があり,それは自分が感じるサイエンス・ネットの方向に
あっているように感じました.そこで,書き込みの題材を徐々に集めて行き,資料
集めとその検討というパターンに固執し,最近は,サイエンス・ネットは自分にと
って重要な位置を占めるようになりました.もしこの行き方で朝日の方々に認めて
頂けるなら,努力の甲斐ありとうれしく思います.また,今回の寺石説にしても,
考えをまとめてアップするというネットがなければ,おそらくこんなに一生懸命検
討することはなかったのではないかと思います.改めてサイエンス・ネットの存在
にありがたみを感じます.
                                                                 Kennywell
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#0007 kimot    8902162349

 Kennywel さま

 どうもありがとうございました。編集部一同、ただただこのようなレスポンス
をしてくださる読者の方がいらっしゃることに、感激しております。
 昨日、プリントアウトを担当者に渡しました。「伊藤さんにお見せしないと」
と申しておりました。なにか反応があれば、アップいたします。
 必要であれば、寺石論文の原典のコピーを入手できるように担当者に働きかけ
てみますが、いかがなものでしょうか?
 なお、担当者が言いますに、「せっかくこのような批判論文をいただいても、
肝心の批判を受けてたつ人、つまり寺石説に立脚して論をたてていただける研究
者が見当たらないので、ご指摘に十分にお答えできないことをお詫びしなくては
なりません」とのことでした。この点、大変申し訳ないのですが、ご理解くださ
い。
 今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
 RESが遅くなりました点、深くおわび申し上げます。
                          科学朝日 木元・拝

#0008 sci2596  8902180550

 「科学朝日」'89-2号に寺石氏の論文リストがあり,どれも興味あふれる標題で,
もし簡単に集められるものであれば,おそらくすべて揃えたのではないかと思いま
す.数学の先生ということですので,傾斜系列についての煩雑な計算は,ぼくの手
には負えないかも知れませんが,実は,天体力学的な問題については,物理科(卒
の)友人に聞いてみようかと思っていました.そのうち竹内氏の定性的解説を知り,
ひとまずそれを根拠にしましたが,寺石氏の解析も目を通したいと思います(「
私の説の力学的基礎」がそうでしょうか?).

  原典のコピーをもし取って頂けるのでしたら,たいへんありがたく思います.自
きる範囲で,検討したいと思います(相当な分量になると思いますので,コ
ピー代は,ご請求下さい).自宅は,昼間は不在ですので,勤務先の方にお願いし
ます(住所を科学部・木元様宛郵便でご連絡申し上げます).

 当時の観測データ等の不足から,間違い等が明らかになるとは思いますが,小論
でも触れたように,自転軸傾斜系列そのものは,当たっているような気がします.
伊藤先生も肯定的に評価される点では,いやな気はされないのではないかと思いま
すが,いかがでしょうか? またもし発表の機会が出てきましたら,あくまでも寺
石氏のオリジナリティーと伊藤先生のお立場は尊重したいと思います.
                                                                 Kennywell

#0009 kimot    8902222036

Kennywel さま

本日、担当者と連絡をとりました。遅くなり申し訳ありませんが、
しばしお時間を下さいませ。よろしくお願いします。
                科学朝日 木元・拝

#0010 sci2596  8910190457

 小論における,【再び惑星の自転軸傾斜系列についての考察】で,「(地球
以外の惑星に見られるクレーター・・・)」と,うっかり書いてしまったが,
クレーターは地球にもあった.しかし,主として地表の風化・侵食作用により
発見が困難であった,というのが正しい.つまり,ここの「地球以外の」とい
う部分を削除していただきたい.これに関連して,Sky.Sci基調No.38 を参照し
てもらいたい.
                                                         Kennywell