Wat00122 地軸傾斜の変化に関する「科学朝日」の記事 #0000 sci2596 8901302337 生物の進化と地軸傾斜の推移との関連 科学朝日 '89 1-2 月号,寺石良弘氏の紹介記事に寄せて Kennywell #0001 sci2596 8901302339 科学朝日 '89 1-2 月号:伊藤 洋氏による, 「惑星の逆立ち,氷河時代,そして生物の進化 寺石良弘とその思想(上)(下)」 ・・・ 太陽系の進化の中で,地球は,誕生から現在まで,地軸をほぼ 180 度変え てきており,そのことと地球上の環境変化,生物進化とは関係が深いという見解, また生物進化に関する見解にも,数々の合点の行く感想を抱きました. 地軸の傾斜変化については,太陽系の他の惑星で,回転軸が横倒しになっている ものがあることは知っていましたが,これを進化的にとらえ直したことに,寺石先 生の並々ならぬ洞察力を感じます.ふと感じたことは,この証拠を得るため,例え ばモデルによる計算機シミュレーションなどで,地軸角度の変遷というような示唆 は,比較的簡単に出て来そうな気がしましたが,どうなのでしょうか? また7000 万年前までの傾斜変化 0°→ 15°に比べ,最近 150 万年は 90°→ 156.5°(補 角 23.5°)と,一万年当り 0.443°,10 年当り 0.000443°増加している(早くな っている).これは測定不能であろうか? 次に,生物進化に関して,生物は元来保守的であり,地軸傾斜の変化から来る環 境のドラスティックな変化について行くため,仕方なく変化(進化)したという見 解に,具体的な環境変化の原因に言及したという点で新鮮さを覚えます. 氷河時代も,単に現在の気象条件を敷衍すると,一度あったなら何度かあってよ さそうですが,寺石説では,地球の歴史上,一度だけ,地軸が横倒しになった 150 万年前後の洪積世のみであると説明でき,明快です.氷河時代は洪積世のものが大 規模で,他に中世代(これは2番目に大きい:地軸傾斜 8°),古生代(小規模: 地軸傾斜 4°)の記録もあるそうです.これらは地軸の傾斜とは直接関係のない原 因によるのでしょうか? 氷河時代の習性が残っているという,鳥の渡りの説明には説得力があります.( 続く) Kennywell #0002 sci2596 8901302341 問題点は,寺石説が,例えば,「高知新制高校雑誌六稜文学」というような手に 入りにくい雑誌に掲載されているということ,学界誌に掲載されていないというこ と,掘り起こすに当たり,証拠となるようなものがどれだけ確かなものとして提示 できるのだろうか,ということではないでしょうか? 示すべき証拠のごく一部は, 上述した通りですが,なお深く検討することにより,学界誌に掲載できるものが 現われることを,強く希望したいと思います. Kennywell #0003 kimot 8902032339 Kennywel 様 本日、書き込まれたアーティクルをプリントアウトして編集長へ届けてお きました。担当者よりレスポンスがあれば、こちらにてご返事申し上げたく 存じますので、よろしくお願いいたします。 科学朝日 木元・拝 #0004 sci2596 8902052151 木元様 恐縮いたします.このところ地軸傾斜にとりつかれておりまして,暇を見て は参考書や辞典等をあさっておりますが,疑問点・矛盾点・わからないところ 色々出てきました.近々整理してアップさせて頂きます. Kennywell #0005 sci1731 8902070110 南の島の珊瑚礁。この珊瑚には1日1日の成長が刻まれた「日輪」が あると聞いています。それによると今も昔も、やはりお天道さまは、 朝に昇って夜沈むようです。まぁ、大昔は今より若干1日は短かった ようですけど。つまり、横倒しになったことは無いと言えるのではないでしょうか。 それから、10年で0.000443度、つまり1年で0.15秒の「自転軸」の 移動は、十分に測定可能です。(現に測定されている) 、、、と、参考までに。 Shadow #0006 kimot 8902110248 このほど、「惑星の逆立ち」の記事の担当編集者が取材旅行から 帰国いたしました。彼からのお答えの概略を述べますと、 「Kennywel氏のご指摘は、一番のポイントをそれぞれ突いたもので、 専門的知識をお持ちの方だと思います。寺石説は、実証しようとい う研究者がいない限り裏付けは難しいでしょうし、また、寺石氏に よる論文も現状では一般に読める態勢にはなく、執筆者の伊藤先生 からコピーをもらうなどしてどこかで整備すべきでしょう。サンゴ による検証は、サンプルが数万年前までのものしか得られないと思 いますが、当方の勉強不足でしたらごめんなさい」 さらにこのテーマを極めたい方がおられたら、やはり執筆者の伊 藤先生とコンタクトをとられるのが一番かと存じます。あまりお役 にたてず申し訳有りません。 科学朝日 木元・拝 #0007 sci1731 8902111847 サンゴによる検証について、、。 サンゴによる検証は、1万年どころか、5億年前まで検証することが 出来るようです。 1日の長さは、1日につき1億分の5.5秒だけ長くなっていきますが、 この数字はカンブリア期初期(5億7千万年前)までさかのぼっても 一定であたことが、サンゴにより確認されているそうです。(つまり、 このころは、1年が428日あった) Shadow #0008 kimot 8902112332 Shadowさま どうもRES有難うございました。 早速、担当編集者に申し伝えておきます。 今後とも、よろしくお願い申し上げます。 科学朝日 木元・拝 #0009 sci1731 8902121613 どういたしまして。こちらこそ宜しくお願いします。 横倒しの地球も悪くないと思っている、Shadow #0010 sci2596 8902142238 このところ寺石説の検証のために,相当の精力を費やし,アップする余裕も ありませんでした.最寄りの図書館があまり満足な蔵書がなく,都立中央 図書館から国会図書館まで足を運びました.そしてようやく一区切りつき, 小規模にまとめてみました.氷河期の研究や太陽系の起源といったとても 短期間に回答の得られない問題がありますので,まだまだ満足できるもの ではありませんが,別の基調発言としてアップさせて頂きます. そして,珊瑚礁の古代記録についてのshadow様のご指摘でやりとりがされ ているのを今知りました.また担当記者様のアドヴァイもありがたく読ませ て頂きました. Kennywell #0011 sci2596 8902162202 -------------------------------------------------------------------------- ■ 地球自転速度の変化 地質時代を通じた1日の長さの変化について,Shadow様よりのご指摘,ど うもありがとうございました.基調 #137(「科学朝日」寺石説を批判する) とも関 連しますが,これについて述べてみたいと思います. 珊瑚礁の化石に成長の内分泌の昼夜の差が見られ,夜間は昼間の 1/50〜1/100 の 成長を示すという.こうして1日の輪が刻まれ,その季節ごとの繰り返しから1年 間の日数が調べられているらしい.これから次表のように,1日の長さの変化が得 られた(Melchoir(1978)のデータを引用した,角田忠一(1979)より). 地史時代 年( 100 万単位) 1年間の日数 1日の長さ ============================ 現 在 0 365.25 24 h 白亜紀 72 370.33 23.67 二畳紀 270 384.10 22.82 石炭紀 298 387.50 22.62 デボン紀 380 398.75 21.98 シルリア紀 440 407.10 21.53 ============================ ただし,地球の公転周期が現在と同じだったら,という仮定がある(表で1年間 の日数×1日の長さが一定であることからそれがわかるが). 現在の観測では,自転速度の永年減速(大気,海洋,地殻,マントルに対する太 陽,月の作用による)で,100 年で1日約 0.001 秒(表で白亜紀からのデータを見 ると,100 年で1日約 0.00165 秒)長くなっている(岩波理化学辞典). さて,問題はこれと地軸傾斜変化との関連であるが,寺石説による 150 万年前の 地軸横倒しおよびその前後の時代で,1年のうち,場所により,昼夜の別がなくな る時期がある.世界各地の珊瑚礁で,そのような記録を示したものがあるのかどう かという問題になるであろう.従って,上の表でいえば,白亜紀から現在までの間 をもっと詳しく見ないとそれはわからないのではないだろうか? Kennywell -------------------------------------------------------------------------- #0012 sci1731 8902180052 Kennywell氏の綿密な調査に大変感動致しました。 実際に苦労して調べられた御様子で、内容は大変に説得力を持っていると思います。 珊瑚礁の問題は、思い付きで書いてしまったのですが、良く考えると次のような 点が言えると思います。 ● 珊瑚は暖海性の生物であり、横倒し時の長い暗黒の中では 成長できない。また、どこぞの空港建設問題に取り上げられて いるように、一度死んでしまった珊瑚は、なかなか元には戻らない。 太平洋の真ん中の珊瑚礁は、数千万年前の火山帯を元にして、 その上に珊瑚礁が積み重なって出来ている。(数百m位) したがって、こういう場所の石灰岩のボーリング・コアの 資料が得られれば、その年代の不連続を見いだすことで 検証できるのではないか。 (訂正:火山帯−>火山体) ● 前にも書いたように、一日の長さが長くなる割合は、数億年前 より一定である。自転軸の逆転、のような一大事の前後では 当然これに変化があっても良さそうである。 それから、もし、自転軸の位置が現在と変わらずに横だおしになっていたのなら、 夏を経験したことの無い極地方に夏が訪れる訳ですから、手がかりは南極あるいは 北極にあるのではないでしょうか。 、、、と、以上出来もしないことをつらつらと書いてしまいました。 でも、このような地球に果して生命は生きて行けるのだろうか。 Shadow #0013 sci2596 8902180554 うーむ... 鋭いご指摘ありがとうございます.南極大陸については確か 300 0 万年前に氷床ができたというのを見ましたが,南極大陸は確かに重要なポイント だと思います.珊瑚礁については角田氏の文献にも原典文献名が記されておらず, この辺の資料の収集は骨が折れそうな気がします. Kennywell