Wat00103 地球の温暖化はほんとう?

#0000 tomar    8901181730

 サイエンスネットも早いもので1周年を迎えます。このところ、ネットが
寂しくなっているので、1年ぶりに書き込んでみました。よろしく。

 最近、大気中の二酸化炭素やフロンガス、炭化水素などの増加による地球
の温暖化がよく話題になりますが、「ほんとかな」と頭をかしげるのです。

 温暖化と聞くと思い出すのは、十数年前にあった「寒冷化」騒ぎです。当
時は『寒冷化に向かう地球』『氷河期がやってくる』(正確な題名は忘れま
したが)などといった本がよく売れ、新聞や雑誌でもよく取り上げられたも
のでした。当時の「寒冷化」の根拠は、確か地球上の代表的な地点での年
平均気温の下降傾向が続いている過去の気候変動のサイクルから見ても寒
い時期に当たっている、というような話だったと思いますが、いつしかこの
騒ぎも下火になってしまいました。                                     

 でも、二酸化炭素などの増加は当時からいわれてきたことなんですね。し
かし、当時の議論では二酸化炭素などによる温室効果は、寒冷化を防ぐほど
大きくはない、あるいは自然変動の幅の方が大きい、として退けられたので
は(間違っていたらごめんなさい)。

 もちろん当時に比べると、大気大循環のシミュレーションモデルは格段に
進歩したこととは思いますが、どれほど信頼できるものになったんでしょう
ね。(1週間先の天気の数値予報も、まだ確か実用化していないんじゃなか
ったかな)。まだまだモデル化できない部分や、大胆な仮定を前提にものを
いっている部分が相当あるはずですが。

 「このままでは、50年後には地球の平均気温は2度上昇する」などと断
定的に語る人がいると、「寒冷化」のときのことを思い出して、つい疑いの
目で見てしまうのですね。もっとも、シミュレーションモデルを詳しく説明
されても、困ってしまうかもしれません。あるいは、「未来予測」が常に持
つ、ある種のいかがわしさなのかもしれませんが。

「自分が疑問に思うんだったら、取材しろ」って。はい、その通りです。
      大阪科学部の 泊 次郎でした。

#0001 sci1011  8901182055

            【  まったく科学的根拠のないことですが....】

そうですよ、だいぶ前に「氷河期が来る」、話しがはやったのですよ。
なのに、年々暖かくなってるみたいだし、毎年のようにスキー場に雪がないみたい
ですし...

そこで、この矛盾を解決する理論はこれしかありません!

  現在地球は、小氷河期に向かいつつあるが、それ以上に人間の出す熱や、
  大気汚染による「温室効果」によって、地球の気温が上昇している。

    SF大好き人間の     Shinsan でした

#0002 sci2100  8901191120

 私も、学*の「ひみつシリーズ」というマンガで、「寒冷化へ向かう
地球・・・・」というのを読んだ覚えがあります。
 今思い出しました。 そうですね。そう言われてみますと、
寒冷化が騒がれていましたよね(ミョーに納得)
 まったく初歩的な疑問なのですが、寒冷化の仮説と温暖化の仮説は、
それぞれどういう根拠に基づいているのでしょうか?
 ご存じの方がいましたら、それも教えてほしいと思います。

#0003 sci2333  8901191332

 ちょと話がそれますが、地球の磁場の逆転てありますよね。
つまり年々地球の磁力が弱くなりしまいにS極とN極が反対になって
そのS極とN極が逆転する間に磁場のない時代があって、それは20
00年後位だと聞いたんだすが。
実際、徐々に磁力が弱くなっているんだって。
磁力が弱くなると太陽からの放射線とかも地表にやってくるらしいの
ですが、そういうことも地球の気象を変化させないのかな?

#0004 sci1082  8901201024

 どうも、すみません。いつか、ばれると思っていたのですが、寒冷化を騒いでいた
のも、温暖化を騒いでいるのも、私たち気象学者です。

 このあたりの事情については、京都大学の山元龍三郎教授が詳しいと思いますが、
(以前朝日新聞に載っていたことがありますよ)大体の経過を説明します。

 まず、1960年代から70年頃にかけて、寒い時期がありました。当時から、二
酸化炭素による温室効果は知られていましたし、また人間活動によって二酸化炭素が
増加していることも観測されていました。ところが、この時期の寒冷化傾向が著しか
ったために(といっても日本で0.5℃、全地球で0.15℃位なのですが)このま
ま寒冷な気候に移行してしまうのではないか、という議論が行なわれたわけです。

 寒冷気候への移行の根拠にはいろいろありますが、1700年ころには、アルプス
の氷河が前進するなどの「小氷期」があったことから、1900年頃からの温暖化の
傾向が終わって、そのような時期に移ると考えたこと。様々の「理論」の中には、カ
オス研究の発端となったローレンツの研究で、「気候というのは外部条件が同じでも、
ガタッと変わる可能性がある」というのもありました。

 ところが、その後の研究で、様々の外部の要因との関係を調べてみると、どうも、
当時の火山活動に原因があるのだろうということになってきました。その研究の進捗
に歩調を合わせるように、再び気温は上向きの傾向を見せ始めました。このあたりの
研究の副産物として、「恐竜はネメシスを見た」とか「核の冬」などが現われます。

 また、1970年代後半頃から、海洋の温度が注目され始めます。エル・ニーニョ
という現象が海洋と大気の相互作用の結果で周期的に起こること、エル・ニーニョが
アジアやヨーロッパの異常気象に関係があることなどが分かってきました。

 さて、最近の温暖化問題ですが、カリフォルニア大学ロサンジェルス校の真鍋淑郎
博士などは、大気大循環のモデル計算を行なって、早くから二酸化炭素による温暖化
について警告を発していました。そこへ、1988年夏のアメリカ大干ばつです。米
国議会は異常気象と気候変動についての公聴会をひらきました。なんとなく、アメリ
カでは「とうとう二酸化炭素による温暖化がやってきた」という雰囲気になってしま
いました。実際には、エル・ニーニョの反対のラ・ニーニャの影響で干ばつが起こっ
たのではないか、というのが大方の気象学者の見方だと思いますが。

 実際に、最近(1970年の寒冷を補うように)急速に温暖化しているのは事実の
ようです。しかし、これが本当にCO2 の増加だけで説明できるのかとか、モデル計
算は正しいのかなど、未知の部分も多いことも事実です。CO2 の増加よりも、メタ
ンとか、CFCの方が重要だという研究もあるようです。

 歴史的に見れば、今よりもずっと暖かった時代もあれば、寒かった時代もあります。
CO2 などの増加が人間の対応できる速度であれば、なんとか対応できるのではない
かとも考えられます。もし、対応できない速度で増やしているなら、対策を考えなけ
ればならないでしょう。温暖化で被害が出てからでは遅いと考える人もいるでしょう
し、なるようになればよいと考える人もいるでしょう。

 気象学者にできるのは警告だけです。当たるかどうかわからないけど。

「今年の冬は寒くなるかも」という予報が、はずれてしまった--Tokio

#0005 tomar    8901202116

 Tokio様、ありがとうございます。少し疑問が解消しました。それで
も分からない点の1つは、「寒冷化」が騒がれる以前に、「温暖化」の警告
が出されているのに、なぜ「温暖化」の警告の方は、結果的には無視されて
しまったのでしょうか? 教えていただければ幸いです。

 手元の本を見ますと、米国海洋大気庁の真鍋淑郎博士らが「大気中の2酸
化炭素濃度が現在の2倍の600PPMになると、地表の温度は2.3度上
がる」との計算結果を発表したのは1967年です(NHKブックス、駒林
誠著「気象の科学」、73年刊)。これは現在の予測結果とほとんど同じよ
うに思うのですが。

 ところが、気象庁と農林省が74年に出した報告書「近年の世界における
異常気象の実態調査とその長期見通し」では、「近年の異常低温傾向は十数
年続くことが考えられる」としています。翌75年、米中央情報局(CIA、
スパイ映画で有名なあの秘密組織)が出したレポート「世界の人口、食料、
気象の潜在的意味」では、「今世紀いっぱいは寒冷化する」として、その
要因として、人間活動によるチリが増え、日射を散乱させていることなどを
あげています(以上は岩波現代選書、朝倉正著「気候変動と人間社会」、8
5年刊)。

 当時は平均気温(何をもって、地球の平均気温とするかについても議論が
あるようですが)が下がっていたために、「温暖化」説は実態に合わないと、
切り捨てられたということなのでしょうか。気候変動を左右する要素は、
二酸化炭素以外にもたくさんあるようですから、再び気温が低下傾向を示せ
ば(例えば火山活動が活発になるとか)、再び「温暖化」説は捨てられて、
今度は「寒冷化」説がもてはやされるのでしょうか。

 なお、「関連発言3」で、地磁気のことを書いておられますが、「地球の
磁場が逆転する際には磁場がなくなり、これに伴ってオゾン層や電離層、バ
ンアレン帯などが消失、地球は氷河期を迎える」との説を唱えられていたの
は、故・川井直人・大阪大教授で、講談社のブルーバックス、同先生著「地
磁気の謎」(76年刊)に詳しく出ていますよ。
               大阪のおじさんより

#0006 sci2377  8901212200

一言、環境破壊と異常気象が、同じ物として扱われては問題です。
異常気象には、自然界特有の流れからくるものと、環境破壊から
副作用的に派生するものとがあると思うのですが、それぞれのフ
ェーズが違うのですから、気象予報も2派あって当然でしょう。
問題なのは、それが環境破壊による副作用である場合です。そう
思うのですが、例えば、フロンガスが大気中のオゾン層を破壊す
るということは、気象の変化以外に人体への直接的影響が出てき
ます。二酸化炭素、COx、e.t.c.それらが、異常気象を
誘発するだけなら、きっと自然界の方向との差引で平均されて、
めでたしめでたしともいえるのですけど・・・。
暖かい寒いですまされなくなったら、ね!
                                                sci2377

#0007 sci1082  8901241340

 「狼が来た」と叫ぶ少年のようですね、気象学者というものは。

などと、考えていたら、またしても泊おじさんの追及を受けてしまいました。実は、
私はその、寒冷化騒ぎのころは、駆出しの学生でして、私の手元にある資料というも
のも、「気象の科学」(駒林著)とか、「地球からの発想」(樋口著)などという、
いわゆる啓蒙書の類なんです。

 で、あの頃の議論なんかを思いだしてみると、「寒冷化」騒ぎになった理論的根拠
の一番は、「雪氷面積の増大が、太陽エネルギーの反射を増大させて、さらに寒冷化
する」という、「正のフィードバック説」ではないかと思います。きっかけは何でも
いいのですが、一度寒冷化が始まると、行き着くところまで寒くなってしまうという
「理論」です。当時の急な温度変化を見ると、この「正のフィードバック」をトリガ
ーしてしまったのではないか、と思いこませるに十分だったようです。

 さらには、学者の中の集団心理というものも考えられます。なんとなく、その時の
雰囲気に結論をもっていけると、安心できるというような。もっと下世話的には、騒
げば研究費が増えるのではないか、という期待もあるかも知れません。(こんなこと、
大先生に聞いても無駄かもしれませんが)

 現在のCO2 の増加にしたって、あちこちに出ているグラフの目盛りを、よく見て
貰えれば、誇張した表現になっていることに気がつくでしょう。最近の真鍋博士の研
究では、CO2 の増加によって、南半球の高緯度地方では、逆に気温が下がるという
結果が出ています。ですから、この温暖化だって騒ぎすぎの側面がないとは言えない
のです。

 ただ、人間が出しているものですから、人間の力で減らせるものなら、減らした方
がいいと思いませんか?(だから原子力、とは言えないでしょうが)

 東海地震も警告されてから10年以上になるなア。でも、備えあれば憂い無しと言
うでしょう。

この議論では、すっかり自己嫌悪に陥ってしまった--Tokio

#0008 tomar    8901262222

 Tokio様、ありがとうございました。そして、すみません。気象学者
を悪者呼ばわりするつもりは、全くありませんので、ご理解下さい。
 真鍋さんの論文には、南半球の寒冷化の話もちゃんと出ているのですね。
都合の良いデータだけを大きく扱うのは、マスコミ関係者の方がはるかに上
手ですよね。こちらこそ自己嫌悪に陥りそうです。もっと正確なデータを新
聞に書いておかねば、と改めて責任を感じる次第です。これにこりずに、今
後も教えて下さい。
         連載用の原稿ががはかどらず、苦悶中の大阪のおじさん

#0009 sci1082  8902180917

古い話ですが、間違いの訂正です。

  真鍋淑郎博士の所属をUCLAとしていましたが、GFDLの間違いです。地球流
体力学研究所(Geophysical Fluid Dynamics Laboratry)のことで、米国大気海洋庁
(日本の気象庁にあたる)に所属していますが、プリンストン大学の中にあります。
真鍋博士は、向こうのファーストネームで呼び合う習慣に従って、Shukurouと呼ばれ
ているのかというと、そうではなくて、さらにファーストネームの短縮形で呼び合う
習慣に従って、Suki「好き?すき焼き?」と呼ばれているのです。
 UCLAには別の日本人の気象学界の大物がいまして、混同していました。
スミマセン。

--Tokio