Wat00082 米ウイルス事件  AERA 1988.11.22 号より

#0000 magam    8812102047

遅ればせながら『AERA』11月22日号掲載の米コンピューター
ウイルス事件の記事を転載します。
#66の関連です。
                      管理人
 

#0001 magam    8812102052

米コンピューター網をマヒさせた”究極”のウイルス
 米マサチューセッツ工科大(MIT)のメディア研究所でコンピューター端末
を叩いていたパスカル・シュネさん(28)は、ホスト(親)コンピューターの
反応が急に遅くなったのに気づいた。時計は11月2日夜10時を回っていた。
「何か異常が起きている」。同研究所の親コンピューターの中にはすでに無数の
ウイルスがうごめき、増殖していた。
 ちょうどそのころ、わずか数百メートル離れた同じキャンパス内の人工知能
(AI)研究所のコンピューターが、小さな”いたずらプログラム”を培養し、
通信回線に載せて全米にその病原体をばらまいていた。
 このAI研究所の高性能コンピューターを操っていたのは、ニューヨーク州イサ
カのコーネル大学の大学院生、ロバート・モリスだった。米国の大学、研究所は
コンピューター・ネットワークでがっちりと結ばれている。お互いがプログラム
やデータを共有したり、電子メールで連絡をとり合ったりするのが目的である。
ネットワークがなければ、仕事にならないといって過言でないほど、コンピュー
ター通信網は重要な位置を占めている。
 合言葉か、特別の入口を知っていれば、ネットをたどって遠隔地のコンピューター
をあたかも自分の個人用マシンのように使うことも可能だ。モリスはこの遠隔機
能を利用して身元が割れないように、わざわざ遠く離れたMITのコンピューター
をウイルス培養、散布機として使ったのである。
 モリスのウイルスがこれほどの影響を及ぼしたのは、このウイルスを運んだの
が米国きってのネットARPANETおよびARPAインターネットであったため
だ。このARPANETは米国防総省が軍関係の研究所、大学などを結ぶ大規模
ネットワークとして作ったものである。核研究で知られたローレンス・リバモア
国立研究所、NASA(米航空宇宙局)の研究所などを含め、同ネットに属する
約6万のコンピューターの約1割にあたる約6千台の親コンピューターが被害を
受けたことになる。また同ネットと関連ネットが1日半に及んで途絶したことに
よる損害もはかりしれない。
 日本にも中間ネットを介してARPANETと接続しているコンピューターが
ある。東大、電総研,新世代コンピューター技術開発機構(ICOT)、NTT、
KDDなどだが、いまのところ被害は及んでいないとされている。
 こんどのウイルスは”究極のウイルス”とも呼ばれている。それはウイルス・プ
ログラムが最高に精致に作られていたというよりも、増殖、伝染性が強力で、加
えて最有力のネットが対象だったために未曽有の被害を生んだがためといえよう。
 モリスがいたずらプログラムを思い付いたのは、研究所などで使われている汎
用の小型コンピューターに組み込まれている電子メールシステムにバグ(プログ
ラムのミス)があることを知ったのちだった。このバグは実は開発者が自分の便宜
のために意図的に設けたもので、消し忘れであったことが事件後に判明する。モ
リスのウイルスは、この電子メールプログラムの通信手順部分にひそんで接続先
のコンピューターに侵入、そこから源(たとえばAI研のコンピューター)の
複製・増殖プログラムを呼び込んでみずからのコピーを作り、利用者のパスワー
ドを解読したのち、またメールシステムなどに乗ってつぎのコンピューターを狙
うといった方法で、ネズミ算的に犠牲を拡大していった。
 ニューヨークタイムス紙の報道によると、モリスはウイルスを送り出したあと、
夕食に出かけ、帰ってきてみると、ウイルスはすでに彼がコントロールできない
ほどに繁殖し、それを止めるためにAI研のコンピュータに接続しようとしても
経路が塞がれているという絶望的な事態になっていた。増殖の規模と速度の誤算
で、モリスはまさに現代版の「魔法使いの弟子」になってしまったのである。彼
の父親が国防総省のコンピューター不正侵入防止研究の元締めであったというの
も皮肉であった。
                     AERA編集部    馬上康成 
 

#0002 sci1004  8812102151

 馬上様,わざわざ#66のネタ記事をアップして下さいましてありがとうございます.
AERAを読めなかった人には,これで#66のフォローができると思います.(新規
鞍の会会員が増えますよ.スリスリ) #66の関連 とあったから,また馬上様が記事を
書かれたのかと思って冷汗がタラーとしましたが.
 えーと,まだだれも書き込まれてないようなので僕がかきますが,
いま発売されている,アサヒパソコン12/15号のP.8に,MITの方が現地
レポートとして,このウイルス事件の報告をしています.馬上さんの記事にならな
かった情報もありますので,御興味のある方はどうぞ. この服部さんって,管理
人さんのお知り合いですか?
ps.女神様,馬上様,次の記事の情報をよろしくお願いしますよ.ついでに新年会
のご希望も承っておりますから.
院生浪人

#0003 匿名     8812210022

 

#0004 sci1863  8812230006

 この事件についてですが、アスキー発行の「UNIX MAGAZINE」1月号
に、「internetのworm騒動」という記事で、その詳細な動作原理が書か
れています。専門家じゃないと解らないのですが、なかなかスルドイです。
 感染の条件としては、UNIXによりネットワーク接続されるVAX(DEC社の
ミニコンピュータ)、またはSUN(サン社のワークステーション)に限られるよう
です。とはいえ、電話線をコンピュータに繋げておくだけで自動的にどんどん増殖す
るから、繁殖力は強力でしょう。
 このworm(ワーム:蛆虫)にはファイルを破壊したりするような悪さをする機
能がなかったのが救い(だから罪は軽い?)ですが、感染してあまりに増えすぎて、
システムのパフォーマンスが落ちたり、ダウンしたりするようです。
 何がウィルスで、何がワームかなんて言われても困るのですが、ワームというのは
好きですね。何故かって、こちらの方が用語としては由緒正しいというか、SF、例
えば「衝撃波を乗り切れ」とか「2010年」とかで出てくる、怪しげなプログラム
のことを指すのですから。ウィルスとなるとエイズっぽくって嫌です。
                                Adjama

#0005 sci1350  8812261721

え−と、ウィルスというのはなにかにくっついてうつっていくもの、
ワ−ムは、それ自体で感染していくものです。
ききかじりですけどね。
コンピュ−タ−トゥディもウィルスの特集をやっています。

P.S. いつのまにか復活してしまった。
              かずくん
                          sci1350
                  ham  :  JS1OUM/1
                 junet :  g740015@tecc.ecc.u-tokyo.junet


#0006 reader   8812300009