Wat00043 「コンピュータウイルス」について

#0000 dando    8809241222


  この項目は、科学フリートークの#123、科学記事
ウオッチの#39及びパソコン通信の#44に分散して
いる「コンピュータウイルス」の話題を集約して、まと
まった議論を展開していただくために設けました。
                   (団藤)




#0001 匿名     8809241709


                先日のPC−VANであったウィルス事件は、実際はウィルスでは
                ないと思います。あれは、トロイの木馬というものだとおもいます。
                多分、現在アメリカでウィルス(本当の)が流行っていたので、そ
                れに便乗したものだと、私はおもいます。




#0002 sci1113  8809242033


ところでウイルスってどうやって作るのですか?
異機種間でも感染するのでしょうか
初歩的ですみません
                     sci1113




#0003 sci1012  8809250018


いつのまにか、議論が終結してしまっているようですが、せっかくですので、昔
の話を蒸返すようにアップします。
 今週の TIME(Sept 26,1988,No39)の cover storyは、Computer Virusについてです。
TIMEはアメリカでは朝日新聞ぐらいメジャーなもので、そのカバーストーリーは、一
面トップ+社説といった程度の重みを持つものですから、ちょうど機を一にして日米
でコンピュータ・ウィルスが話題になったということになりますね。
 ただ、朝日の場合とは違って、5ページも使って、漫画もまじえながらわかりやす
く話を展開しているのは、さすがアメリカンジャーナリズムという感じで、典型的な
日本の新聞である朝日とは比較にならないぐらい面白い記事でした。
 こんなことを書くと朝日の記者さんに怒られそうですが、朝日新聞とTIMEとを購読
しているものとしては、角間隆氏が The English Journal で書いている通り、TIMEの
ほうが、読む気をそそるような書き方だし、背景の説明は親切だし、予備知識を要求
しないし…と、格段に親切です。
 例えば、政治欄なんかは、連載小説と同じで、途中から読むものにはちんぷんかん
ぷんという感じがします。科学面はその点は比較的親切で、なんとか読者にわかるよ
うに書こうと努力している様が伝わってきますが、紙面の都合のせいか、結局中途半
端になってしまっていますね。

 なんか論旨がぐしゃぐしゃになってしまいましたが、要するに言いたいことは、ウィ
ルスの記事が一面トップだったのは、とくに大げさというほどのことではないし、素
人にわかるわからないという議論も、日本の新聞記事の何割が”素人”にわかるかと
考えれば、とくにほかの記事と違いがあるというほどではない、ということです。
 なお、私は、「こっちだって狭い紙面に出来るだけわかりやすく、しかも出来るだ
け多くの情報を詰込もうとしているんだ。毎日読んでるんだから、多少のことは説明
しなくてもわかるだろう。毎日読んでればそのうちわかるさ」という、突放したよう
な態度が好きで、TIMEの様にこってりくってりと毎日やられると、「しつこい」と癇
癪を起こしてしまうでしょう。
                               OMEGA




#0004 komor    8809261832


 東京本社管内の紙面には、9月16日の解説面で岡記者のPC−VANのウ
イルス解剖記事が掲載されましたが、ほかの地域はページ数が少ないので掲載
されていません。−−−− 同じ値段なのに、と怒らないでネ。
そこで、読めなかった人のためにアップします。

○ コンピュータウイルスの脅威 侵入後、基本ソフト書き換え

  ディスクに感染して増殖も
 今年初めから主に米国で騒がれ始めた「コンピューターウイルス」というやっかい
者が、日本の大手パソコン通信網にも侵入し、その脅威がわが国でも現実味を帯びて
きた。このウイルス、本体は0と1の符号列にすぎないが、潜り込んだコンピュータ
ーの中でとんでもない悪さをする。目にみえず、他のコンピューターに「感染」し、
症状が出るまでに「潜伏期」があったり、特定の相手を傷める「種特異性」をもって
いたりする点は、生物に感染するウイルスとそっくり。その正体と対策は――。(岡
明人記者)
 コンピューターウイルスは、電算機網に侵入し、機能妨害あるいは不正使用をねら
うハッカーの巧妙な産物だ。日本電気のパソコン通信ネットPC−VANで見つかっ
たウイルスは、ハッカーが大勢のネット会員に、電子メールで送りつけたプログラム
の中に仕掛けられていた。
 普通の電子メールは日常語で書かれた通信文だが、これはゲームソフトのように、
パソコンそのものを動かす命令の塊だ。それには、このソフトはある人が作ったもの
であなたにもあげます、との文が添えてあった。もらった人は、一体何だろうと興味
津々で、そのプログラムを使ってみた。期待に反し、ゲームも何も始まらなかった。
 ところが、その瞬間、「ウイルス」がパソコンに潜り込んでいた。実は、そのプロ
グラムは、パソコン内部の半導体メモリーに記憶された基本ソフト(OS)を書き換
える仕組みになっていたのだ。
 どう書き換えたかというと、その後で通信ソフトを起動し、PC―VANにつなが
ると、その人の本人確認の暗証符号を、ネットの中のある掲示板に暗号化して書き込
むようになっていた。仕掛けたハッカーは後で、その書き込みから暗証符号を復元し、
その人になりすましてネット侵入を繰り返していた。
 「コンピューターウイルス」は本来、そのプログラム自体を自ら複製し増殖して広
がることから名づけられた。こんどの例では、日本電気の専門家によると、まずパソ
コン本体のメモリーに入り、そこからフロッピーディスクという外部媒体に乗り移る
「感染力」をもつ。本体のメモリーを“治療”しないまま別の通信ソフトのフロッピ
ーに差し替えて使うと、やはりそのディスクの内容の一部が書き換えられるという。
 ウイルスプログラムは、本体の半導体メモリーの情報を、フロッピーディスクなど
の外部記憶装置にコピーするなどの自動実行命令を組み込む必要がある。ベーシック
などの一般的なプログラム言語で初心者がそれを作るのは不可能なので、犯人は間違
いなく相当高度の知識をもっている。
 日本電気でも、このプログラムの本格的な構造分析はまだのようだ。しかし、核心
の暗証符号を変えて試みると、それに応じ、ネットに書き込まれる暗号文が変化した。
さらに、暗証符号は秘密なので、どんな符号が使われているか分からないはずなのに、
今回の仕掛け人は手さぐりをした跡を残さず、すんなりネットに入っていることなど
から、暗証符号盗用ウイルスと断定した。
 ウイルスがその機能を発揮するまでの潜伏期は、パソコンの内部時計や乱数を使っ
て仕掛けられる。今度のは通信ソフトを起動し、PC―VANに接続するという、あ
る操作を「引き金」として「発病」する型だ。
 感染する相手を選ぶというのは、パソコン機種の違いで、プログラムに互換性がな
いことによる。判明した被害者は、ワープロなどで通信していた人でなく、すべて日
本電気のパソコンPC−9800を、その機種用の基本ソフトMS−DOSで利用し
ていた人だった。
 では、ウイルスの感染防止、発見、追い出し対策はどうか。
 まず、ウイルスは第1段階でパソコンの半導体メモリー、それも書き換え可能なR
AMというメモリーに忍び込む。だから、ソフトを取りかえたり、別の機能を使う時
などにこまめにパソコンの電源を切ってやれば、そこで電気という栄養源を絶たれ、
ウイルスはメモリーから消えて死ぬ。電源を切らずそのまま、フロッピーなどを使う
とそこに感染する。その場合、フロッピーを書き込み禁止状態にして使えば、ウイル
スの侵入は食い止められる。
 侵入された場合、ウイルスの大きさ、つまり、プログラムの情報量は、正しいプロ
グラムの中に巧妙に潜り込むので、ウイルス部分を特定しにくい。今度のウイルスは、
侵入先のプログラムの長さを、約6000バイト(英数字で6000字に相当)増や
した。それだけ、発見しやすかったわけだが、米国などではプログラムの大きさを変
えないウイルスも登場しているようだ。その場合でも、書き換わったことを、プログ
ラムの全文字を数値としたある合計値の変化で発見できることもある。
 そうした手掛かりを使って、ウイルスを見つけソフトを守る「ワクチン」と称する
プログラムも出回っている。だが、ワクチンも本物と同様、特定ウイルスにしか効果
がない。
 なによりの自衛策は、あやしげなプログラムとの接触を絶つことのようだ。

                           大阪科学部 小森     




#0005 reader   8810040647


ウイルスの記事が出たときに、ついに来たかと事の重大さに
みぶるいする思いでしたが、サイエンス・ネットのこれまでの書き込み
を見るとあまり深刻にはとらえられていないようです。
ウイルスはパソコンの問題ではなく、コンピュータ・ネットワークの
問題であるとおもうのですが。
開放系としてのコンピュータ・ネットワークは、パソコン・ネットには
限りません。遊びの世界の、したがってIDを不正に使われてもせいぜ
いアクセス料を盗まれる(とはいえこれだって立派な盗みです)レベル
とは違い、最近ととのってきた大学間のネットや、複数企業間を結ぶ
商業ネットワーク、さらに近い将来サービスが始まるであろう(INS
64などというかたちですでに一部はじまっていますが)公衆データ
通信網などにウイルスを流す人間がいて、システムの防護レベルが今
のレベルに甘んじていたとすれば、大変な社会的問題になるに違いあ
りません。
だからといってチェックやガードを固くしすぎては、せっかくのシス
テムがうまく働かなくなるし、管理社会化が進み、息苦しい世の中に
なってしまうでしょう。
あれはウイルスだ,いや、トロイの木馬だなどという用語論議よりも
もう少し議論するテーマがあるような気がします(用語論議が不要だ
と言っているわけではありません。コンピューター・セキュリテイの
専門家どうしの議論なら、このレベルの用語も厳密につかわれるべき
かとも思います。しかし、新聞の記事レベル、すなわち、コンピュー
タあるいはコンピュータ・ネットワークとそれに対する行為が社会に
与える影響を考えるレベルでは、他人のあるいは公共のシステムにこ
っそりと不法に侵入するプログラムをウイルスと総称するというくら
いでいいのではないでしょうか。
     朝日新聞制作局開発部 矢崎 朋夫




#0006 komor    8810041506


 ホイ、小森です。

PC−VANのウイルスは「ウイルス」と呼ぶべきか「トロイの木馬」
と呼ぶべきかについてチョット発言します。

PC−VANの奴も一応、増殖するのです。
メールで送られてきたプログラムを動かしてもウイルスは、ストレージ上の
”COMMAND.COM”ファイルに潜り込むだけ。その後、デイスクの
”COMMAND.COM”にその結果が反映されるのは、別のタイミング
になる。その間、ウイルスは、いくつかの”COMMAND.COM”に感
染することができるわけです。もちろん、犯人がそれを意図したかどうかは
別ですけど。

確かに、メールで送られてきたプログラムは「トロイの木馬」だと思うので
すが、じゃ、木馬から出てきたやつは何と呼べばいいのでしょうか。
”COMMAND.COM”の中に潜んでいて、悪さをするのですからウイ
ルスでいいのではありませんか。

                  大阪科学部  小森 真幸

P.S.
「トロイの木馬」のルーツは1960年代のMITのドクター論文とか、
どなたかコピーを持っている方、送っていただけませんか。

sci1113さんへウイルスの作り方は『ラジオライフ』に聞いてくださ
い。うちでは、ちょっと・・・・




#0007 ultra    8810041640


 寝た子を起こすようですが、はたまた、「こんぴゅーたーういるす」(ウ
フ、ひらがなだと、とってもキッチュ!)論争に一言。
 私が、おかしいと思うのは「あれを、ウイルスと呼ぶのはおかしい」とい
う意見が「まにあ」の皆様の中で沸騰しとるのに、「あのワクチンを、ワク
チンと呼ぶのは、もっとおかしい」という意見がなんで出ないんでしょ。(
それとも、この話はすでに解決ずみで、私が知らないだけならゴメン!)
 だって、ワクチンっていわば、予防接種でしょ。病気にかかる前に、重病
にかからないよう、免疫を付けるために打つもんです。それを、ウイルスに
感染してから打っても、ワクチンにならない気がするのですが。どちらかと
いうと、病気にかかったかどうかを見る、いわば「診断薬」といったもんじ
ゃないでしょうか。
 なんでこんなこと言うかというと、別にこれ以上言葉の定義で遊ぶつもり
はないのです。もともと、コンピューターウイルス関連の言葉なんて、メタ
ファーの部類の言葉でしょうから、自分の良く分かっている分野だけに閉じ
こもって、他にあまりきつい態度をとっても仕方ないではないか、というこ
とです。
 ウイルス論争をやってる皆様は、きっとパソコンのエキスパートの方々だ
と思います。だから、私の想像では、思考のベクトルが鋭くパソコン方向に
向いてしまい、こんな医学方面からの言葉の定義問題には、関心がなく問題
視されないのだと思います。(勝手な想像です)
 ただ、自分達の思考がきつく向いているところに、どうも外来者、それも
素人と見なしたくなるような者(まあ、記者のことです)が、迷い混んで来
ると、自分達の思考ベクトルに沿って「こら素人、来るのは10年早いわ、
はっはっは」というようなマイナーな反応、対応しかとれないとしたら、
やっぱりまだ、こりゃ、成熟してない分野だな、と思い残念でした。
 みんなで仲良くパソコン通信文化を育てましょうね、懐柔策にでるウルト
ラ久保田であった。




#0008 sci1003  8810071948


コンピュータウイルス報道ウォッチング

10/7(金) 6:00pm TBSテレビのニュース番組「テレポート」
で,コンピュータウイルスが紹介されました.その中で,月刊アスキー誌の
編集者の方が,「ウイルスは,メモリー中のデータやプログラムを書き換え
たり,このようなディスケット(3.5インチディスクを手にとってカメラ
に向けながら)や,ハードディスク(パソコンの全面をトントンたたきなが
ら)のデータやプログラムを書き換えてしまうことがある」というようなこ
とを説明していました.
そのとき,画面に「ウイルスはハードを破壊する」というようなテロップが
表示されました.私はその文字をみて,少々うなってしまいました.うーむ.
ひとに物事を説明するのは,めちゃくちゃ難しいという一例でした RUKAS




#0009 reader   8810100511


えーと関連発言7のウルトラさんのワクチンの語議についてですが
僕が雑誌,net等で読んだところによると,確かに今日本でPDS(パブリック ドメイ
ドメイン ソフトウェアー)として広がっている comchk.com(作者 魔女)は
ms-dos の command.com の改変の有無を調べるものですが,アメリカで同じく
PDSとして配布されているワクチンプログラムの中には VirALARM,TCELLなど
は,(直接見たことがないので正しくは分かりませんが)MS-dosに常駐してファイル
の改変を監視したり,防いだりするそうです.また別のプログラムはある特定の
ビールスプログラムにの情報を持っておりそのビールスをディスクの中からさがしだす
そうです.こういったプログラムは発病前(ビールスプログラムが最初に動く前)
の免疫と厳密にいえると思います.
また,アスキーネットのpcsではcomchk.comについて「あのワクチンを、ワクチンと
呼ぶのは、もっとおかしい」という意味の記事が複数ありました.
というわけで,(私はエキスパート等では全然ありませんが)エキスパートの方
はきつい語議定義をするようです.
ちなみに月刊アスキーの10月号(次号にも)にウイルス,ワクチンプログラムについ
て比較的詳しい記事が載っていました(上はほとんどその受け売りです)
(7の発言の’仲良く’に賛成する)   出淵卓




#0010 sci1080  8810310756


 この問題、ほとんどアガリになってしまったようですが、個人的にいろいろと
興味のある問題ですし、今後ともパソコンユーザーにとって大きな問題を含んで
いるのでこのままアガリにしちゃうのはもったいない。気を取り直して書いてみ
ます。ここでの議論が今後の紙面に生かされればいいですね。
 まず用語定義の話ですが、記者の方は例のPCVANのやつを何が何でも「コ
ンピュータウィルス」でいいんだ、ということらしいので、何を書いても無駄み
たいですからやめときます。そもそもこの単語の厳密な定義がない状態ですから
先に言った方が勝ちです。その結果、ある種の極めて安全な、ごく一般的なプロ
グラムでも、OSの状態を書き換えてある条件のもとで結果的にユーザーに不利
益をもたらしたために新聞記事のレベルで「これはコンピュータウィルスだ」と
書かれて、そのプログラムを作った人がカンカラカンに怒ったとしてもしかたの
ないことです。
 ぼく自身は、問題のプログラムを「いわゆるコンピュータウィルス」または、
「問題のプログラム」と表記することにします。

 本題です。
 発言4に掲載されている記事に書かれている「いわゆるコンピュータウィルス」
の動作は要点をきちんとおさえてあると思います。「ハッカー」という用語の使
い方は疑問ですが、新聞記事のレベルではいいとしましょう。「フロッピーを書
き込み禁止状態にして使えば」というのは、具体的に「プロテクトシールで」と
書くとわかりやすいと思います。あと、問題のプログラムを実行した直後には、
COMMAND.COMの大きさは変化しないので、ファイルサイズに頼るのはちょっと危な
いと思います。「いわゆるワクチン」とやらは持っていないので、よくわかりま
せんが、今回のような場合、あれもあまり意味がない。本当は、「TSRユーテ
ィリティ」のようなものを使うべきところでしょうが、これはあまりにも専門的
すぎますね。あと、不幸にして「感染」が判明した場合の復旧方法などが書いて
あればよかったのに、と思います(復旧方法ったって、システムをコピーしなお
すだけですから)。
 結局のところ、最後に「なによりの自衛策は、あやしげなプログラムとの接触
を絶つことのようだ」が正解となるんですが、これがまた「こんぴゅーたまにあ」
としては考え込んでしまうところなんですね。特に、今回の場合、問題のプログ
ラムは「あやしげ」でもなんでもない、正当なプログラムとして送りつけられて
きたはずです。少々強引ではありましたが、パソコン通信の慣行上、善意の行為
とみなされたであろう行為でした。
 ぼくとしては、「あやしげなプログラムとの接触を絶つ」だけではあまりにも
安易ではないかということです。できれば、コンピュータユーザーのセキュリテ
ィ意識にまで踏み込んでもらいたかった。
 今回の事件の教訓とは、パソコンを使うひとりひとりのユーザーがそれぞれシ
ステムのセキュリティ意識を向上させなければならない、ということだとぼくは
考えています。
 コンピュータという強力な情報処理マシンは、その情報処理能力が強力で柔軟
であるが故の弱点を持っています。特にネットワークによって情報の共有化が進
めば、さらにセキュリティ意識が重要性を増してきます。
 今回の事件は、実害がなく、また問題のプログラムがほとんど「伝染性」を持
たず、世間に広がらなかったのですから、具体的な発見方法よりも、コンピュー
タネットワーク時代に生活する者としての心構えが問われるのではないでしょう
か。
 発言5に「だからといってチェックやガードを固くしすぎては、せっかくのシ
ステムがうまく働かなくなるし」と書かれているのには同感です。ここでのポイ
ントは、セキュリティ意識の向上は、チェックやガードを固くすることではない
ということでしょう。昨今、個人情報の保護ということが問題になりつつありま
す(例の法律はどうなったんだろう?)。これは単にパソコンユーザーだけの問
題ではないはずです。
 もうひとつ、「あやしげ」に関連してPDS(フリーウェアなどを含む)の問
題があります。
 実を言うと、発言4に掲載されている文章の中で、個人的に一番ひっかかった
のが「あやしげなプログラム」という下りでした。・・・といっても、ここにひ
っかかる人はほとんどいないでしょうが・・・。
 上述のように、今回の「いわゆるコンピュータウィルス」は正当なプログラム
を正当な方法で送り付けています。つまり、優秀なPDSとして定評のある(!)
プログラムを、おそらく「素晴らしいPDSだけどPCVANにはアップロード
されていないものを持っているので送ってあげましょう」とか何とか言ってメー
ルで送りつけたんでしょう(ボードにアップロードされなかったのは、せめても
の救いです。そこまでやるにはさすがに気が引けたのか、露見を恐れたか?)。
 PDSは無料で、しかも極めて品質の高い有用なソフトとして、今後とも「み
んなで仲良く育てる」「パソコン通信文化」のひとつの目玉となるはずのもので
す。PDSによって、コンピュータはさらに利用価値があがり、それらがソフト
ウェアや利用技術全体に及ぼす影響は非常に大きなものがあります。
 発言4の問題のくだりは、ぼくとしてはPDS全体を「あやしげ」よばわりさ
れているような抵抗を覚えたわけです。
 もののついでですが、今回の事件では実害はなかった、というようなことがマ
スコミで言われていますが、間接的にPDSの作者が被った不利益なり迷惑は大
変なものです。犯罪が成立するかどうか、などということも書かれているようで
すが、PDSを作者の意図とは全く異なるものに意図的に改変して第三者に渡し
ているわけですから、明らかな著作権侵害行為ではないのでしょうか。一般的に
まだ「知的所有権」や「著作権」の意識は低いようですが、このような無形の権
利を不当に侵害する行為にも、もっと敏感であるべきだと思います。

 話がそれました。続きです。
 プログラムには「バグ」という、プログラム上のミスによって、思いがけず利
用者がなんらかの損害を被ることがあります。この被害の責任はプログラムであ
るとすることも出来るでしょう。では、プログラムのバグに損害の原因を求めれ
ば解決する問題でしょうか。原因がどこにあろうとも、プログラム作成者は被害
の賠償をしてくれるわけではありません。
 プログラムにはバグがあるもの、コンピュータは壊れるもの、ディスクは読み
出せなくなるもの、等々といったことはコンピュータの専門家にとっては常識で
す。そして、この常識に従ってバックアップなりスペアなりを用意しているから
こそ、複雑なシステムもなんとか安定して動いているわけです。
 ここでもやはり重要なことは、ソフトウェアの問題以上に、利用者側のセキュ
リティ意識です。パソコンは小さいとはいえ、立派なコンピュータですから、上
に書いた「常識」はそのままあてはまります。
 確かにPDSは自由にコピーされて流通するソフトとしての性格から、意図的
な改変などの危険が入り込む余地はあります。しかしそのような危険はプログラ
ムのバグやコンピュータの故障同様、利用者側の注意で最小限に食いとどめるこ
とができるようなものですし、またいやしくもコンピュータの利用者であれば、
そうであるべきです。
 今回の記事でも、そうした利用者側のセキュリティ意識にまで持って行けば、
単なる「ウィルス騒ぎ」から、さらに一歩踏み込んだ内容のものになったのでは
ないでしょうか。
 また一読者としては、なかなか普通のパソコンユーザーには徹底しない、この
ようなセキュリティ意識こそ、新聞に書いて欲しいところですし、そのような記
事を通じてパソコン利用者以外の読者にもコンピュータとセキュリティの問題に
興味を持ってもらいたかったと思います。オンライン犯罪など、現代の日本で生
活する限り、コンピュータとは無縁ではいられないのですから。
                                  安田




#0011 sci1901  8811250042

結構前のresですけどウイルスはハ−ドも壊すのは事実ですよ。
トロイタイプのでそういう奴があったと思います。
              Sakaikun sci1901
 

#0012 sci1501  8811280237

 ども、こんにちは。
 用語についてですが、「ウイルス」「ワクチン」だけでなく、
「木馬」についても私などは抵抗を感じます。
 確かにpc-vanで問題となったID&PASW窃盗プログラム
は一見、無害な羊の皮をかぶっているわけで、その意味ではそ
れを「トロイの木馬」と呼んでも意味ははおかしくないのでしょ
うが・・・。そうすると、偽装プログラムはすべて「木馬」と
いうことになってしまう。
 やはり、システム侵入を計る物に限定して「木馬」と呼びた
いような気がするのですが。
               TW