Wat00033 善玉も悪玉も好きでんねん

#0000 sci1076  8809072215


 走査電顕で撮ったバクテリアの写真はとってもきれいでしたね。あれほどの写真
ですからきっと苦心があったことと思います。そのへん言わないところが奥ゆかし
い。
 善玉でも悪玉でもどうしてあんな幾何学的な形になるんでしょう。そして、何を
どうするから善玉や悪玉なんて名前を頂戴してしまうんでしょう。
  身体の1箇所から1本だけ長いしっぽが生えているのと、体中が毛だらけのと、
なんにもないツルツルのがありましたね。あの毛は泳ぐために使うんですよね。
どういうふうに動かすんでしょう。「ツルツル」は泳ぐ必要がないのでしょうか。
  Yの形になったのがいましたけど、あれもバクテリアだから分裂で殖えるんで
しょうね。それならどこから分裂が始まるんでしょう。弁当箱の身とふたみたい
に分かれるのでしょうか、それともYの分岐点から分かれるのでしょうか。
 善玉の方はたしかヤクルトの入れ物にその名前が書いてあったような気がする
のですが、乳酸菌飲料の中にはああいうバクテリアがいきたままではいっている
のでしょうか。それとも加熱してあるのでしょうか。
 思いつくままどうなのかなあと思うことを書いてみましたがきりがないようで
す。この方面について今までアップされたことないですよね。期待してます。
                                            小さいもん好きでんねん




#0001 sci1455  8809111815


ヤクルトの場合ヤクルト菌(ラクトバチルス カゼイ)は 生きたまま
はいってます。
そして 腸内 で 良い働きをします。
腸内細菌 に 興味が おありでしたら 岩波
新書 に 腸内細菌の話 という本 (光岡知
足 著) を読んでみてはいかがでしょうか。
p.s: ミルミルには ビフィズス菌 が 生きたまま
はいってます。




#0002 sci1169  8809121240


細菌の運動について書きます。
細菌の?運動は基本的に2種類に分かれます。べん毛を使って泳ぐtypeと、
何だかよくわからない機構で固体表面を、はいずりまわるtypeです。
べん毛運動の方は、分子生物学で長年使われてきた大腸菌が、このtypeに
属するので、かなり研究が進んでいます。テ#
細菌のべん毛は、たんぱく質が螺旋状に重合した管で、かなり固く、screw
の役割を果たします。べん毛の根元には、小さなmotorがついていて、その
回転が、まず、hookと呼ばれる比較的柔らかなjoint部を介して、べん毛を
回転させます。べん毛の螺旋の回転は、水を動かして、推力をあたえます。
(すみません。時間がないので、いったん出ます。すぐ続きをupします。
               水虫野)




#0003 sci1169  8809121605


細菌の運動について (続き)
 
このバクテリアのべん毛モーターは、生物界で知られている唯一の真の「回転
運動」器官で、細胞膜内外の水素イオンの電気化学ポテンシャル差をエネルギ
ー源として駆動します。
 
べん毛が1本だけのバクテリアの運動は理解しやすいですが、大腸菌のように
菌体表面のいろんなところから数ないし10本くらい生えている、周毛性のバ
クテリアも、実にうまく泳ぎます。大腸菌のべん毛モーターが左回転すると、
べん毛が皆同じピッチの左巻螺旋であるために、菌体表面のべん毛は全部ひと
りでに束ねられて、1本の太いスクリューとなって回転し、菌体を押し出すの
で、大腸菌は力強くまっすぐに泳ぐことができます。また、モーターが右回転
すると、やはり螺旋の性質から、束ねられていたべん毛はほどけてしまい、1
本1本が勝手に菌体を引っ張ろうとするので、大腸菌は泳ぐことができずに、
1カ所に留まってころげるような運動をします。これは方向転換になります。
再びモーターを左回転させれば、またべん毛を束ねて新たな方向へと泳いでい
くことができます。ふつう大腸菌は、1秒間に1回くらいの割で方向転換して
ランダムに泳ぎ回っていますが、温度とか特定の化学物質の刺激を感じると、
方向転換をする頻度を調節して、自分の好む環境へ移動します。
 
このようにバクテリアは単に泳ぐだけではなくて、ちゃんと情報を集めて行動
することができ、このバクテリアの「頭脳」の研究も分子レベルで随分進んで
いるのですが、今回は運動についてだけにします。
 
ところで、バクテリアの中には菌体自体が螺旋型をしていて、見たところべん
毛がなく、体をくねらせて動くものもいます。実は、この連中は細胞膜と外膜
との間にべん毛を隠し持っていて、このべん毛を2つの膜の間で回転させるこ
とで体全体をくねらせているのです。
 
ここで注意しなければならないのですが、運動器官であるべん毛だけが
バクテリアの毛じゃないことです。他の物体に付着するための線毛(これらは
短く細く、びっしりはえます)を持つものもいるし、プラスミドを他の細胞へ
伝達することに関わっている性線毛をはやしているものもいます。だから、毛
がはえているからといって、どれも泳ぐわけではありません。また、泳げる菌
でも、環境によっては、べん毛を作らない場合もあります。
 
バクテリアの運動や行動の研究は、けっこうおもしろいところまで進んでいる
のですが、すぐにお金になるような仕事じゃないし、すぐに世の中の役に立つ
わけではないので、ほとんど知られていません。特に日本では。しかし、感覚
応答の分子機構とか、エネルギー変換の機構とか、いろいろなおもしろい問題
を含んでいるし、もっと複雑な生物を研究するためのモデル系として、もっと
知られてもいいんじゃないかといつも思っていました。
このScienceNetで、sci1076さんみたいな、こういうことにも興味を持っていた
だける人に出会えて、うれしく思っております。
 
   実は、去年、バクテリアの走性に関する研究で学位をもらった
   ばかりの               
                        水虫野 でした。




#0004 reader   8809141930





#0005 sci1076  8809171453


 SCI1455 さん  水虫野さん おもしろいお話をどうもありがとうございました。
少し伺ったらもっとその先を教えていただきたくなってしまいました。
 乳酸菌飲料に生きた菌がはいっているならば、瓶の中は一つの閉鎖培養系ですね。
製品の出荷の段階ではまだ増殖の途中なのでしょうか。胃酸の中で生き残ってもら
うためには菌体を多く飲み込んだ方がいいでしょうから、ステーショナリーフェー
ズに達するまで家にしまっておいてから飲んだ方が体のためになるでしょうか。
  ラクトバチルス・カゼイは自分で作った乳酸にうずもれて(きっとpHが低くなっ
て)いくらも殖えられないと思うのですが、最終的にどこまでいくのでしょう。
  ところで運動性の話ですが、ビブリオの極毛も大腸菌の周毛も長いですよね。
ゾウリムシという原生動物がいますが、あれの繊毛はそんなに長くありません。
菌体の大きさからいって細菌にはあれほど長くする必要があったのでしょうか。
  無責任な答も楽しみにしています。
  動物の精子も単極毛の細菌と同じ運動機構を持っているのでしょうか。
精子の走性と細菌の走性は共通点を持っているのでしょうか。
 大腸菌が鞭毛運動の代表になっているそうですが、タンパク質の構造のような
生化学的側面だけでなく、UPしていただいたような運動のしかたや機能の面に
ついてもわかるとおもしろいですね。
                  まだまだ知りたい 小さいもの好きでんねん




#0006 sci1169  8809241234


 べん毛や繊毛の長さの話ですが、菌体や細胞本体の大きさと運動器官で
ある繊維状の構造との大きさとの比率の問題でしょうか。原生動物はバク
テリアに比べるとはるかに大きいから、短めの繊毛といってもバクテリア
のべん毛よりずっと大きい構造物で、直接比較することはできませんが、
運ばれる方の菌体や細胞の本体の大きさとべん毛や繊毛の水をかく力の関
係で決ってくるんじゃないかな。ここのところは、物理や工学の専門の方
が何かコメントしていただけるといいのですが。
 
 原生動物やもっと高等な生物の細胞の場合、繊毛やべん毛は細胞膜の内
側にあって(つまり細胞の中)、微小管と呼ばれる、タンパク質が重合し
てできたチューブが、何本も束になり、9+2構造という複雑な構造をと
っています。2本の微小管を中心にして、その周囲を2本ずつくっついた
ような形の微小管のペア(ダブレット)が9個とりまいています。この微
小管のダブレットが隣のダブレットとの間でずれると、繊毛やべん毛が曲
がります。この曲がりが繊維の軸の方向に根元から先へと伝わっていくと
水をかく運動になるわけです。真核細胞の繊毛やべん毛の運動はかなり複
雑で、精子のべん毛は根元から先へ屈曲波が平面的に伝わっていくし、ゾ
ウリムシの繊毛は水をかくときは平面的に打ち、水をかきおわってもどす
ときは立体的に動くそうです。根元のモーターを回転させて、べん毛繊維
のスクリューを回すというバクテリアとは全然システムの規模が違います。
 
 ところで、真核細胞の繊維状の運動器官の場合、精子やミドリムシにあ
るような長いものをべん毛といい、ゾウリムシみたいに短いのがびっしり
あるのを繊毛と、ふつう呼びわけているみたいですが、高等動物の組織に
あるのは細胞当り1本しかなくても繊毛というし、けっこういいかげんだ
なあ。まあ、上皮全体としてみれば、絨毯みたいにびっしり毛がはえてい
るようにみえるから繊毛なのかもしれませんね。
 
 べん毛というのは、鞭打ち運動をするからべん(鞭)毛というのであっ
て、その意味からすれば、バクテリアの運動器官をべん毛というのはおか
しいわけです。昔の人が顕微鏡で見たときは、立体的な螺旋構造とはわか
らないし、平面的な精子のべん毛と同じ様なものと思ってそう名付けたの
でしょう。
 
 そういうわけで、バクテリアのべん毛と、真核細胞のべん毛や繊毛とは
全く別のものです。
 
 真核細胞の場合、1本の長いべん毛を使うか、短くて多数の繊毛を使う
か、どっちにしても細胞本体を運ぶのに十分な推力が得られて、どちらの
方式を選ぶかは生物次第というところでしょうか。
 
 バクテリアの場合はどうなんでしょうか。周毛でも長いですけど。周毛
といっても、せいぜい多くて10本くらいだし。繊維の太さは、真核細胞
べん毛繊毛より1桁小さいし、水の粘性とかの関係で、ある程度長さがな
いと十分な推力が得られなかったんじゃないかな。よくわかりません。
 
                        水虫野




#0007 sci1169  8809241433


 精子の走性について。

 むむむ、精子の走性については、何にも知りません。ごめんなさい。
無責任な推測をするなら、たぶん、卵子が誘引物質を出していて、
それに対する走化性で、卵子に群がるんだと思うのですが、どなたか
精子に詳しい方、教えてください。
 
 バクテリアの走化性の場合は、こうです。細胞膜に誘引物質や忌避
物質に対するレセプタータンパク質があって、それに誘引物質や忌避
物質が結合するとレセプターは細胞内にシグナルを出力します。その
シグナルは細胞質のいくつかのタンパク質によって処理されて、最終
的にはべん毛モーターまで伝えられます。
 
 前にupしたように、大腸菌などの泳ぎは、べん毛の左回転で起こる
まっすぐな泳ぎと、べん毛の右回転で起こる方向転換の2つのモード
からなっています。均質な環境中では、ときどき方向転換しながら、
ジグザグにランダムに泳ぎ回っていますが、誘引物質の濃度が増加す
ると方向転換の頻度が抑えられて、菌は直進をつづけます。逆に、誘
引物質の濃度が減少すると、方向転換ばかりするようになります。つ
まり、誘引物質を感じたら方向転換の頻度を調節する(べん毛モータ
ーの回転方向を調節する)ことで、試行錯誤的に誘引物質の濃度の高
い場所へ移動していくことができます。
 
 バクテリアは非常に小さいので、環境中の誘引物質の濃度勾配を感
じるのが難しいはずです。大腸菌だと菌体のいちばん離れたところで
も2ミクロンくらいしかないので、端と端でそれぞれの場所の誘引物
質の濃度を測定して比べ、どちらがより濃度が高いか調べようとして
も、濃度のゆらぎの範囲にはいってしまって決められません。そこで
彼らは、絶対濃度(C)を測定するのではなく、濃度の時間変化(dC/dt)
を測定しています。現在の濃度と過去(ちょっと前の)の濃度を比べ
て、誘引物質濃度が高くなりつつあれば、そのまま直進をつづけ、も
し低くなりつつあれば方向転換するというふうに。これは、2ミクロ
ンという体の小ささをカバーするために、泳ぎ回って距離を稼ぐこと
に相当します。まあ、われわれが眼隠しをされ、首も回せないように
固定されているという状況で、ご馳走の臭いのする方へ行こうとする
場合を仮定すれば、われわれは2つの鼻の穴の距離が近すぎて、それ
だけではご馳走のある方向がわからないのと同じことです。やみくも
に歩き回って、ふむふむ近づいているぞ、いやいやこっちじゃないぞ、
とやらなければご馳走にありつけません。
 
 真核細胞になると、随分大きいので事情は違ってきます。例えば、
白血球は、少なくとも近距離では、大腸菌などの獲物の方向を正しく
認識して、まるで獲物が見えているように、まっすぐ近づきます。獲
物の体の成分に対する走化性なのですが。
 
 しかし、ゾウリムシなんかは、空間定位はしないで、バクテリアみた
いに試行錯誤的に移動します。精子もたぶん試行錯誤方式だと思います
が。卵子に十分近づいたら定位するのかもしれませんが。精子の場合、
方向はべん毛の打ち方を微妙に変えて舵取をしてるのでしょうか。
どなたか知っておられる方いらっしゃいましたら教えてください。

      わたしも小さいもの好きでんねん   水虫野




#0008 sci1455  8809242302


 乳酸菌飲料にもいろいろありますので 一例としてヤクルト80をとりますと
1本80mlあたり200億の生菌がいて,すナにステーショナリーフエーズに
達しpH4 ぐらいになっているそうです。胃のなかを通って小腸まで達するの
ですから かなり酸には強いのでしょう。 またビフィズス菌は大腸で嫌気的に
増殖するといいますから,大腸のなかは酸素がすくないんでしょうね(知らなか
った!)。 おなかの中には 約100種,100兆個もの微生物が住んでおり
重さにすると 1ー1.5kg にもなるそうです。だからこれらの菌と仲良く
しなければいけませんね。おなかをきれいにするには食物繊維がよいといわれて
います。食物繊維は乳酸桿菌やビフィズス菌を助ける働きもあるようです。私は
おなかがあまり丈夫ではないので ヨーグルトや食物繊維のおおい食品をとるよ
うに こころがけています。お互い健康で楽しく生活していきたいですね。
本当はあまり乳酸菌のことは詳しくないので人に教えてもらった私でした。




#0009 sci1076  8809300502


 昨今のネット内の嵐に関係なく書きこんでいます。
 ヤクルト80には1mLあたり10の8乗もの細菌が含まれているのですか。
透明な培養液で培養しても10の6乗もあれば濁りとして確認できますから
10の8乗ならば  あれは菌体の濁りを色として見ていることになりますね。
尤も、初めから培地が濁っているので判別不能ですか。
  菌体数で負けていないのが納豆です。なっとう菌は昔バチルス ナットウ
(Bacillus natto)といってましたが、今はバチルス サチリス(ズブチリス)
(Bacillus subtilis )に統一されているはずです。朝ごはんに食べる生菌数
はいくつになるでしょう。ある部分は豆の味ではなくて菌体の味ですね。
                                                    sci1076




#0010 sci1076  8809300557


 バクテリアの運動がほかの微生物の運動とまったく違っているとは知りませんで
した。どこかで物理的なアプローチがなされているとおもしろいですね。
 さまざまな場の細菌群集をみると、運動性のある菌が優占したり、運動性のない
菌が優占したりします。あるところではビブリオが、またあるところではスタフィ
ロコッカスが  といった具合です。しかし、ミクロに見るとその種がある群集の中
で優占種となるためには、いくつかの要素が必要でしょう。
  基質(エサ)に対する「取り込み活性」
   「増殖速度(エサの菌体への転換効率)」・・・自信がないので「」にしました
  それに運動性の大小も効いていると思います。
 ではそれぞれどの程度「重要度」があるのでしょう。運動性があれば水中に浮遊
しているエサに遭遇するチャンスが多いかもしれないので、それほど増殖速度が速
くなくても結構やっていけるのかもしれないですよね。じっとうずくまっている菌
でもたまたま巡り会ったエサにとびついたらグイグイ数を殖やせる個性を持ってい
ればそれもひとつの方法ですか。
  ところで鞭毛のモーターの軸受けの構造はどうなっているのでしょう。鞭毛だけ
抜けてしまわない構造があるのでしょうか。
  周毛にするか極毛にするかは進化の面でとらえられないでしょうか。
  細菌の密度が濃くなって鞭毛がお互いにからみあって切れたら、トカゲのしっぽ
のように再び伸びてくるのでしょうか。
                                    まだまだ好きでんねん




#0011 sci1169  8810101530


私もネットの中の嵐にめげず、書き込みを続けます。

【べん毛モーターの軸受けについて】

大腸菌やサルモネラ菌のべん毛モーターの電顕像からは、モーターの軸に4枚の
リングがはまっているのがわかります。菌体のいちばん外側(べん毛繊維の付い
てる方)のリングは外膜と、2番目のリングはペプチドグリカン層と、それぞれ
結合しているように見えるので、これらが軸受けを構成していると思われていま
す。3番目のリングはペリプラズム空間に露出して、特に何も付いてないように
見えます。4番目(べん毛モーターのいちばん根元)のリングは、細胞膜(内膜)
に半ば埋もれており、モーターのエネルギー源が細胞膜内外の水素イオンの電気
化学ポテンシャル差であることから、ここで力が発生していなくてはならず、モ
ターの回転子であると考えられています。固定子の方は、はっきりとした構造は
見えないけれども、べん毛関係の遺伝子産物がいくつか細胞膜中にあることがわ
かっているので、それらが固定子を形成しているのだろうと思います。モーター
の構造図が去年の朝日新聞科学欄にでていましたけど、はっきりした日付は憶え
ていません。新技術開発事業団の相沢さんたちの仕事の記事です。Science Net 
に絵が出ると便利なのにね。




#0012 sci1169  8810101648


ある種のバクテリアがヘテロな集団の中で優占種となるための要素として、腸内
の細菌集団を研究している人たちは、バクテリアが腸管の壁に接着する能力を重
要視しているようですよ。大腸菌の場合は、接着するための細くて短い線毛が外
膜からびっしり生えていますが(いつも生えているわけではありませんけど)、
その先端に腸の細胞表面の糖鎖と接着するタンパク質があります。他の菌ではど
うやって腸にくっつくのか知りませんけど、腸の中では壁にくっつけないとウン
コといっしょにどんどん外へ放り出されてしまうんでしょうね。ところで、ウン
コというのは食べた物の消化されなかった部分だとばかり思っていましたが、か
なりの部分が腸内細菌の菌体だそうですね。コロニーの塊という感じですか。

sci1076 さんが提案された3要素とか、上の「接着能」とかをパラメータにして、
細菌集団のシミュレーションができたら面白そうですね。私は数式に弱いからダ
メだけど、sci1076 さんどうですか? 実験の方はちょいとむつかしそうですね。

                           水虫野




#0013 sci1169  8810111742


【べん毛は切れたらトカゲのしっぽのようにはえてくるか】

 結論からいうと、そのとおり、また生えてきます。

 固くてスクリューの役割をするべん毛繊維も、柔らかいジョイント部のフック
繊維も、球状タンパク質のモノマーが、螺旋型をした管状に重合したものです。
ゴムホースみたいに中空で、細胞質で合成されたモノマーのタンパク質(べん毛
の場合は”フラジェリン”、フックの場合は”フックタンパク質”)は、モータ
ーの中心を通って膜を通り抜け、繊維の中空部分を拡散して行き、先端で繊維に
重合するらしいです。
 べん毛は細くて長いので切れやすく、運動や行動の実験をするときは、わりと
低速で振とう培養しています。逆に、生化学的な実験で、べん毛繊維だけ集めた
いときは、培養液をガシャガシャ振ってやってべん毛を切り、低速遠心で菌体を
除いたあと、超遠心でべん毛を集めればいいのです。
 で、タンパク合成ができる条件なら、放っておけば、また伸びてきます。

                           水虫野




#0014 sci1076  8810231746


水虫野さん  構造の説明をどうもありがとうございました。
イメージとしてだいたい見当がつきました。
でも、軸受けやモーターの構造図の載っている本か雑誌を紹介して下さい。
お話だけでは、どうももうひとつすっきりと頭に入ってこない細胞構造に
なっていることに問題を感じています。
                        理解に時間がかかる歳になった好きでんねん




#0015 sci1076  8810231749


 また善玉と悪玉が紙面に登場しましたな。善玉悪玉の「善悪」は人間の健
康にとっての善悪で考えるんですねえ。

 悪玉の代表にウェルシュ菌が出てきていましたが、このウェルシュ君
クロストリディウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens )とい
うのが本名です。
  腹痛と下痢をおこす食中毒菌としてのウェルシュの方が有名ですね。
  彼はいま、大腸菌群の代わりに糞便汚染の指標に使われるべく研究が進め
られています。すると将来 彼は間接的にですが、人類の健康に役立つ働き
をすることになるかもしれませんから、善玉のはじっこに加えられることに
なるでしょうか。
 彼は水中を泳ぎながら 何と言っているでしょうか。
                                        大腸菌専用聞き耳頭巾




#0016 sci1076  8810231751


  人間の腸にいる腸内細菌は、さかなにだっています。
そして、さかなの種類によってそのフローラつまり借家人たちの組成が
ちがっています。
  いろいろな魚の腸内細菌相を調べている人を知っていますが、彼は   
うまい魚ばかり調べているような気がします。いい研究ですよね。
研究に必要な部分は腸だけなんですから。
人間の食べ物の摂り方で細菌フローラが変わるならば、魚やイカ、タコ
のたぐいで  フローラが変わっているのは納得できますね。
でも、さかなの健康と腸内細菌相との間にもやはり関係があるのでしょ
うか。それともフローラは魚の生態そのものにも影響を与えているので
しょうか。
            ウニとアワビのフローラを専門に研究したい不純な動機人




#0017 sci1169  8811031056


しばらくアクセスしていなかったので、遅くなってすみません。細菌の
べん毛モーターの絵や写真が出ている文献で、手に入り易いと思われる
ものは、
 
 1 相沢、山口. 「生物物理」1986.4月号 p19-27. (26:73-81)
 
  2 Macnab & Aizawa 1984, Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 13:51-53.
 
ぐらいでしょうか。あと、ちょっと古いけど、
 
 3 飯野徹雄「回転する生命」中央公論社自然選書
 
それから、図書館で生体運動とか細胞運動とかの本を捜されると、たい
てい、出てると思います。1986年前後の「現代化学」の表紙にも出てた
はずです。
 
真核生物のべん毛や繊毛は、微小管の関係の本でも載ってるはずです。
 
しかし、サイエンス・ネットでグラフィックスがなんとか扱えないもん
でしょうかねえ。
                     水虫野

P.S. ウニとアワビですか。それなら私もぜひお手伝いしたい。材料の
   後始末専門で。ところで、私の知合いにカニの筋肉を研究してい
   る人がいるのですが、実に不幸なひとです。




#0018 sci1076  8811051106


文献の紹介をどうもありがとうございました。
さっそくさがしてみます。
水虫野さんの不幸なお知り合いには     
ミソのうまい松葉ガニをお使いになるよう
おすすめ下さい。  人助けです。
            うまいもんも小さいもんの
                    ついでに好きでんね




#0019 sci2993  9103181709


この基調、埋もれてしまうのはもったいないとずーーーと思ってました。
私は発酵屋です。商売柄、バクテリアとは親しくつき合っていたりします。
で、かわった細菌の例もいくばくか知っておりますので、ちょこちょこ
書き込みに参ります。

18番までの基調では、どちらかと言うと微細構造のお話ですが、
そちらはあまり詳しくありませんので、「こーいう奴もいる」
「こんな変わったものもいる」と言うような事になろうかと思います。

MAT


#0020 sci2993  9103181719


でもってまずは「磁石細菌」

細菌のなかには細胞中にまるで「背骨」のようにマグネタイト単結晶
の磁石を形成するものがいます。
写真をお見せできないのが残念ですが..(む?待てよQLDとか
使ってコチャコチャとやればどうにかなるかな)

これ、とても正確な形をなしていまして、「何かの部品にできないだろうか」
と始めてみたときからずーーと思ってました。(はやりのマイクロメカニクス
ですね)
最近では利用例もポツポツと出ているのですが、「この細菌を白血球に食べさせ
その血球を磁石を使って分離する」とか言う事もなされているようです。

そもそも、なんでこんな磁石を持っているのか?さだかでは、ないのですが
「方位磁石で方向をしり、移動の指針としている(^^;)」説もあります。
なかなかどうして細菌の世界は奥が深いと感じ入りました。

MAT


#0021 sci5367  9103182001


磁石とまではいかなくても、細胞というものに、N局とS極はあると
聞きましたが いかがでしょう?

   ビールの関係で発酵学に興味のある のは デシタ


#0022 sci5367  9103182010


ついでに、ヤクルトについてかかれてありましたが、
わたしの聞いたところによると、おなかんなかに
はいると、すぐに菌がしんでしまうので
効き目はないよ、とのうわさだったのですが、この関連では
「酸につよいのでしょうね、小腸までたっするのは云々」と
あるのでしょうが、どちらを信じましょう(^^;)

  とりあえずダウンロードして詠み治そう いや 読み直そう。

                   のは


#0023 sci2993  9103190951


電気のあるところ磁気もある。細胞にも磁場はあるはずです。
(ここいらへん、あまり詳しくないのでフォローありましたらよろしく)

乳酸菌飲料の乳酸菌は、たしか一応腸まで達することは確認されている
と思いましたが。ただ、整腸作用には「栄養分の補給」により腸内菌叢
そのものが変動する要素が大きいので、外部から取り入れた菌がどの程度
影響するか定かではありません。
(この中りは岩波新書で光岡先生が書いてますね。)

MAT


#0024 sci5367  9103192327

外部の菌にたよるよりも、身体を丈夫(運動とか)にして
内部の菌の働きを大切にすることが 重要なのですね。
近ごろの栄養ドリンク騒ぎに浮かれてる人(私 (^^;))に
聞かせてやりたい。
                のは


#0025 sci2993  9103201334


ドリンクに関してはFree Sciの次の基調が面白いです。
#468「健康ドリンクについて」
#550「健康ドリンクについて ふたたび」
#589「健康ドリンクについて みたび」

繊維飲料から、お茶、牛乳、薬局のドリンク剤まで色々書かれています。

MAT(私はドリンクの話で初書き込みだった)(^^)


#0026 sci5367  9103202343


さっそく みにいってきます

ありがとうございました情報を(^^)  MATさん(^^)

             のは