Wat00001 巨木はどうして水を吸い上げられるのか

#0000 dando    8807270120


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* 巨木はどうして水を吸い上げられるのか *
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 新システムのスタートに合わせて、科学記事ウォッチのコーナーにふさわしい話
題を提供しましょう。

 10メートルを超すような巨木は、どうして水を吸い上げて生きているのか−−
考えられたことがありますか?

 地上では、真空ポンプを使ってもせいぜい10メートルですよ。毛細管現象では、
もちろん無理です。

 阪大の佐々木さんという助手が、液体が壁をはい上がる現象を見つけて、その謎
を追いかけています。以下の2つの関連発言は、去年、今年と、わたしが科学面に
紹介した記事です。

 身近な所にある不思議の世界です。




#0001 dando    8807270122

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* 垂直な壁をはい上る第2の液体発見 名はパーフルオロケロセン *
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          87.03.04  夕刊 5頁 水曜科学 写図有 (全940字)

 垂直な壁を液体がはい上る不思議な現象は極低温のヘリウムだけに起きると考えら
れてきたが、大阪大教養部の佐々木祥介助手(物性物理)がはい上りの力学を解き明
かし、室温でガラスの壁を上る物質を見つけた。壁をつくる物質の分子と液体の分子
間に働く弱い引力が重力や液の粘性に打ち勝つからで「壁面などの条件が整えば、あ
りふれた水でも壁を上るのでは」と佐々木さんは夢をふくらませている。

 ヘリウムはマイナス271度の極低温になると全く粘り気の無い超流動状態となっ
て、奇妙な振る舞いをする。説明のついている現象もあるが、壁を上る理由ははっき
りしていなかった。佐々木さんは古典物理の方法で解けると考え、流体の運動方程式
を立てて解析、極低温のヘリウムでなくても起き得る現象であると突き止めた。

 壁と液体の分子間に働く引力はファン・デル・ワールス力と呼ばれている。分子中
にある電子の分布は対称なため、電気的に中性と見えるが、実際には動いていて、あ
る瞬間には、対称性が崩れ、電気的な正負が生まれる。この正負で引き合う力は液体
内の分子間にも働くから、これに負けないよう壁と液体間の引力が大きくならないと、
壁からはがされてしまう。

 佐々木さんは引力が大きそうな物質を試してみたが、都合が悪いことに液体内の引
力が壁と液体間よりずっと大きくなってしまった。そこで逆に引力が小さな物質を探
し、鎖状に連なる炭素にフッ素が結合したパーフルオロケロセンに着目した。三角フ
ラスコ内にこの物質を入れた小ビーカーをつるし、ビーカー壁面を上って乗り越した
液体が2カ月間で20滴、フラスコに落ちるのを観察できた。

 極低温のヘリウムが壁を上る速さはこれより10万倍も速い。超流動状態で粘り気
が無く、邪魔をしないからと考えられる。もうひとつ邪魔をしているのが重力で、無
重量の宇宙空間に送り出して実験すれば、パーフルオロケロセンが壁を上るのが見え
るかもしれない。

 地上であっても壁の物質を変えれば液体との引力がさらに大きくなる可能性がある。
樹木が何十メートルもの高さまで水を吸い上げる現象は、毛細管現象や浸透圧などで
は説明し切れないので、佐々木さんは「発見したはい上り現象と関係があるのではな
いか。検討してみたい」と研究者たちに協力を呼びかけている。




#0002 dando    8807270123

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* 水も壁をはい上がった! X線フィルムを伝う 阪大物理学教室 *
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          88.07.13  夕刊 5頁 水曜科学 写図有 (全886字)

 極低温のヘリウムのように垂直な壁をはい上がる現象が、特殊な液体なら室温でも
起きることを発見した阪大教養部物理学教室の佐々木祥介助手が、今度は、普通の水
でもX線フィルムを壁に使えば、壁をはい上がるのを見つけた。
 
 同化学教室の吉村彰雄助手と協力、実験に使った装置(図=略)は、水を張ったガ
ラス容器に幅5センチ、長さ15センチのフィルムの一端を浸し、フィルムの残りは
容器の外に垂らし、先端部は水滴が集まるよう、山形に切っておいた。
 
 容器内の温度が一定に保てるよう、この装置が入った密閉容器全体を水槽に漬けた。
こうすれば、密閉容器内の水蒸気は均一になって、底から蒸気が立ち上ってフィルム
の表面に付着し、水滴に変わるのを防げる。なお実験の前にはフィルム表面の汚れを
取るために、水酸化ナトリウム液に30秒漬けた後、十分洗って乾燥させた。

 乗り越える器の壁の高さを5.8ミリにした場合、平均0.07グラムの水滴が約
48分ごとに1滴ずつ落下するのを観察できた。フィルムの途中に油性インクで線を
引くと、そこから先のフィルムは乾いて水滴の落下が止まってしまうことから、水が
フィルムの中を通ったり、表面に水蒸気が付着したのではないことが確認できた。

 アルコールやアセトンでも量に差はあるものの、同じような、はい上がりが確認で
きた。またX線フィルムの代わりに人工透析膜や、セロハンなどでも実験したら、ア
ルコールなどでははい上がる例が見られたが、水ははい上がらなかった。
 
 佐々木さんは、液体のはい上がり現象は、壁をつくる物質の分子と液体の分子の間
に働く引力が、重力や液の粘性に打ち勝つために起きることを、運動方程式を立てて
説明している。

 X線フィルムの表面はゼラチンで、動物コラーゲンからとったたんぱく質でできて
いる。水の分子は、電気的に弱い分極状態にある。たんぱく質のペプチド結合にも、
同じような性質があり、佐々木さんは「このために壁と引き合う力が大きくなる。細
胞の原形質流動のような微小部分での水の動きにもかかわるはずで、水の中で生命が
はぐくまれてきた秘密は、このあたりにもあるのかもしれない」とみている。




#0003 reader   8807290230


えーと,この「壁のぼり」現象を理解する以前の問題なのですが,毛細管
現象というのは,どんな要因で起こるのでしたっけ.物理実験のレポート
かなんかで計算させられた覚えもあるのですが,10年も前の話でもはや
記憶はオボロです.現役の学生さん,おじさんに思い出させてください.
あれも確かファンデルワールス力が関係していたような気がしますが,なぜ
毛細管現象では液体がどこまでも昇らないのでしょう.水銀などは逆に管を
下へ押し込まれるのですよね.たしか. 世田谷 ADA=RUKAS




#0004 dando    8808031246

==毛管現象との関係==                 by 団藤

 佐々木さんが追究している問題と、毛管現象との関係をつけておいた方が
いいようです。
 何かの液に細い管を立てると、管の中と外の液面の高さに差が出ます。
これは、液体分子間の凝集力と液と管壁とのあいだの付着力との大小関係で
決まります。液面と壁面のなす角度を「接触角」と呼び、下のようです。
       ****
       ****
       ****
   壁  ****~
       **** ~
       ****  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
       ****   >       液体
       ****    >
       ****     >
       ****      >
       ****接触角 >

  接触角は、水とガラスなら、8,9度、水銀とガラスなら140度。つまり
水銀は壁面への濡れが悪く、下がってしまいます。

 毛管現象の話に戻って、管の内外の高さの差hは、管の半径をr、液の密度
をρ、液体の表面張力をγ、接触角をθ、重力加速度をgとすると、

    h=2γ cosθ/rρg

になります。この式は、表面張力の測定に利用されます。

 佐々木さんが追いかけているのは、この接触角が「0」になってしまうケー
スです。先端がないわけですから、液はどこまでも上がり続けるのです。

 さきほど、読者から電話があってお答えしたのですが、そういう意味では、
だれでも気づいている事柄で、なおかつ、気づいていないことだったのです。




#0005 匿名     8808191657

木管楽器の材質と音色の関係
                          東京大学 農学部  林産学科 木材物理学
                          4年  武部 浩太郎

1)概要
  木管楽器(リコーダー)の材質を変えて、楽器を実際に作り、材質と音色の関係
について調べる。

2)方法
 バルサ、シナ、シオジ、ニセアカシア、ケヤキ、アラカシ、カツラ、カバ、レッ
ドメランチ、ダモ、バクチカン、ブナ、チーク、ホワイトオーク、メープル、ホン
ジュラスマホガニー、リオグランデ、パープルウッド、ウオールナット、シマコク
タン、カリン、シャム柿、ホワイトア

3)管材の物性
    気乾比重、ヤング率、損失正接(tanD),繊維長、3断面の切片等を調べる。

4)楽器音の音色と種々の物理量
  諸種の楽器のうち、バイオリンやフルートなど、定常的な音を出すことができる
楽器の音では、その定常状態の音色は倍音構造によって決まり、そしてこのことが、
各楽器をそれと識別する場合の、最も重要な因子になっている。また、同じ楽器に
おける音質の良否、音色の変化など
 しかし、楽器音をそれと識別させる物理的要素は、定常状態の倍音構造だけでな
く、一部の楽器では振幅の時間的変化の様子(時間的エンベロープ)は欠かせない
要素であるし、また雑音的成分の存在、定常的状態における微細な変動などが、楽
器音のそれらしさを構成する重要な因

5)木管楽器の管材について
  管の材質が音色に関係するとすれば、物理的には次のような二つの原因が考えられる。
1。管壁の振動によって生じる音が、管内気柱によって生じる音にマスクされない
  ほど大きく、かつその音の物理量が材質によって異なる。
2。管壁の性質が、管内気柱の振動に影響して、気柱振動による音の物理量が変化する。

6)結論
 結論らしきものはまだ出ていないが、リコーダーの場合、管材の影響が大きく出
るものと思われる。
  また、予備実験の結果によると、演奏者の違いによっても微妙な差異が出ること
がわかり、同じコンディションで実験を行うことは困難である。そのため、スピー
カーから同一の音をだし、測定するのがよいと思われる。(fig.1参照)




  (fig.1)

 木材の組織学的性質を、物理学的性質に結び付けるのは難しいため、電子顕微鏡
による断面の撮影等が必要になると考えらたとえば




#0006 sci1012  8809250024


 木が水を吸上げるメカニズムについては、植物生理学の分野では”凝集力−張力説”
によって説明が為されています。
 これは、一口に言えば、水は道管の中を押上げられているのではなくて、引張り上
げられているから、100mも吸上げられるのだというものです。この吸上げる力は、
水の蒸散による浸透圧の勾配です。
 細長い水の柱を引きちぎるのに必要な力(凝集力)は、これまでの実験結果からは
100気圧以上と言いますから、高さ1q程度までなら吸上げられるという計算にな
ります。
 以下は実験事実です。
 Dixon & Joly(1914)は、水で満たした細長いガラス管の先端に、松の小枝をつなぎ、
他端をビーカーにいれた水銀の中に入れて、蒸散が起りやすい条件においた所、水銀
柱が100センチ以上も引上げられたと報告している。
 Crowdy et al.(1956)は、蒸散量と水の吸収量との間に正比例関係が成立つことを報
告している。
 Macdougal(1936)は、松の幹の太さが日周変化していることを報告している。これは、
昼間の日照時には蒸散が最大になり、張力も最大になる為に幹の直径が最小になり、
夕方になり蒸散速度が落ちてくるとともに、張力が小さくなっていって、幹の太さも
大きくなってくると説明される。
 Huber & Schmidt(1936)は、木部を流れる水の速さを測定し、夜間が最低で、昼間に
最大になるという日周変化を観察するとともに、その流速は、末梢部の小枝が、幹に
2時間程度先立って変化するという事を報告している。これは、水を引上げる原動力
が、末梢部に存在することを示唆している。
 
 この説の面白い結論は、もし途中でなんらかの原因で水の柱がとぎれてしまうと、
もう水を吸上げられないということです。とぎれてしまえば、凝集力によって、張力
を伝達できなくなる訳ですからね。
 なんとなく意外な結論ですが、実際、切り花をするときに、「水の中で茎を切ると
水揚げがよい」というのは、道管に空気がはいって水柱がとぎれないようにすると、
水がどんどん吸上げられるということだと解釈できますから、昔から経験的にしられ
ていることなんですね。
                                                                    OMEGA




#0007 dando    8809261130


 これは、水が棒状になって引き上げられる、との教科書に出てくる
説明だと思います。わたしも知っていますが、「100気圧」という
部分は、知りませんでした。実験的事実だそうですから、是非、その
実験の概要を教えてください。
                          (団藤)




#0008 sci2620  8902032028

界面活性剤の働きがこのような現象に関係するように思われるがどうでしょうか?.




#0027 sci7446  9112191938


 どうもおかしいみたいですね。

 ちゃんと書けてるかな

                                        By Sim



#0028 dando    9112201847


 こんな古い基調にようこそですね。だけどこのボードは元気が
ウありません。サイエンスネットで科学技術関連のニュースを見たいのなら
現在のところ、#6の公開版テクノロジー社会塾くらいしかありませんよ。
dandoの勝手な企画でニュースを書き続けていますから、のぞいて見て
下さい。しばらく続けます。・・・・・・・・・・・・・・dando



#0029 sci7593  9112271844

..
,



#0030 sci7732  9202232230





#0031 sci4787  9208171206

ヘルプ
。



#0032 sci4736  9211080126


//
E



#0033 sci8488  9304302344

こんばんわ
こんど入会のIDを貰ったHIRO1といいます。
宜しくお願い致します。

HIRO1




#0034 sci1223  9305140827

 HIRO1さん、はじめまして。

 私はSYSOPでも何でもない一会員ですが、こちらこそよろしくお願い
いたします。

 ところで、このネットはいわゆるノート型のシステムなので各コーナーご
とにそれぞれの話題が進行しています。(もう、燃え尽きてしまったところ
もありますがね (^^;)ちなみに、このコーナーはもう5年以上も前に(この
ネットの開設時)開かれたものなので既にブラックホール化しています。
 この次書き込むときにはどこかのコーナーに書き込んで下さいね。このネッ
トでは、コーナーを開いた人(基調発言者)がSIGOPを勤めるという非
常にオープンな仕組みになっています。気に入ったコーナーがあったら書き
込んで下さいね。あるいは、基調発言をしてしまうのもいいかもしれません。

 最近どうも低調になっているようで私は悲しい!

                      いいかげん・ひらひら・拝

PS.
 このRES、遅れてしまっておまぬけになってしまいました。