Tec00012 企画記事シリーズ「インタビュー・・・サル社会とヒト社会」

#0000 dando    9112261158

 日本サル学の一断面を見ていただくインタビューです・・・dando


#0001 dando    9112261201

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* セックス・縄張り争いなど、ヒト社会と類似                *
*            インタビュー/サルの世界 高畑由起夫さん(38) *
***********************************************************

 日本は野生のサルが広く分布する唯一の先進国で、京大を中心に地の利
を生かした霊長類の研究が世界のサル学をリードしてきた。京大理学部助
手の高畑さんは京都・嵐山のニホンザルで、交尾しない時期に親密になっ
た雌雄は交尾を避ける現象を見つけて国際的な反響を呼び、チンパンジー
研究を経て、再びニホンザルに取り組んでいる。サル社会の研究は人間社
会の深層を明かせるのだろうか。一方で農作物の被害を理由に年に六千匹
もサルが捕獲される。申(さる)年を前に、サルとヒトのかかわりを聞い
た。                    (科学部・団藤保晴)

 《経歴》
 たかはた・ゆきお 福島県塩川町生まれ、二歳から会津若松市。京大理
学部博士課程修了。一九八六年、同助手。七五−七八年に嵐山でえ付けの
ニホンザル、七九−八四年にタンザニアでチンパンジー、八五年から鹿児
島県屋久島で野生ニホンザルを研究。

 《インタビュー本文》
 ◆人間に近いサル社会の研究は、人間の社会を映す鏡になるのでしょう
か。
 「そう考える研究者もいますが、ぼくはむしろサル自身について分かり
たいと思っています。しかし、サルを見ていると、あまりにも人間に似過
ぎていて、人間に引き付けて考えたくなりますね」

 ◆サルの行動からいろいろ推測する研究手法ですから、直接、インタビュ
ーしてみたくなりませんか。
 「インタビューしたいのはやまやまだけど、それが可能になっても完全
ではありません。サルがしていることは、それぞれのサルが思った以上の
意味があるかもしれません。遺伝子のレベルで決まっていて、無意識のう
ちに進んで行くものまで解明したいのです」

 ◆嵐山で発見された、日頃から親しい雌雄が交尾をしなくなる現象は、
霊長類に共通な傾向ですか。
 「ニホンザルのように一つの群に何匹もオス、メスが交じる社会ばかり
ではありません。オス中心のハーレム型だったり、一夫一妻型だったりす
ると、親しい同士が交尾します。ニホンザルのような群では、ぼくのよう
に三年間、細かく行動を追った研究はありません。ニホンザルの野生群で
はメスは生まれてからずっと縄張りに居着きますが、オスは二、三年で群
を移り、長期に追えません」

 ◆嵐山は、え付けされた結果、群のメンバーが長期間変わらなくなった、
特別な状態なんですね。
 「嵐山の現象と人間の世界で対応するかもしれない例があります。イス
ラエルの農業共同体キブツで六歳までいっしょに育った男女は、成長して
結婚することがほとんどないと、社会学者が報告しています。男性が浮気っ
ぽいように、新しく出現した異性の方にひかれるだけの現象ならば、サル
の世界でオス、メスともに観察されています」

 ◆野生のニホンザルを研究したいと屋久島に通われて、またも報告例が
無い現象に出会いましたね。
 「研究していた三十匹くらいの群が、子供が生まれなくなって、消滅し
てしまいました。何が出生率に響いたのか不明ですが、縄張りが接近して
いる他の群とのけんかに負け続け、ストレスが高まった可能性はあります。
最後に残った母娘サルは三十匹ほどの隣群に身を寄せました。その群はも
との十匹から逆に膨れ上がって、消滅した群の縄張りを手に入れました」

 ◆人口問題に悩む人間世界と同じ、サル世界の資源争いではありません
か。
 「野生のニホンザルは、自然が提供できる食料で生きられる限度いっぱ
いに増えている感じがします。最近、サルが山から下りて畑の作物を食べ
たりして困るという訴えが増えています。これも山里の老齢化が進んでヒ
トがサルを押し返す力が弱まったからです。サルの捕獲を増やすだけで、
サルの進出をくい止められるものではありません」

 ◆自然保護のあり方について考え直さないと。
 「自然が破壊されたあげくに自然保護思想が根付いた欧州のように、日
本でもとことん破壊が進んで、回復するには途方もなくお金がかかるよう
になるまで、気付いてもらえないのかも。屋久島の場合、二、三十年する
とサルは捕獲でいなくなり、高齢化した住民も消えて、廃棄自動車の捨て
場と化すのではないか、と真剣に心配しています」

     ◎        ◎         ◎

 欧米のサル研究者は過去の研究論文をしっかり調べ、成果が上がりそう
な研究計画を立ててサルの生息現場に入るという。それに比べて、日本の
研究者にはいきなり現場に飛び込んで、全く新しい事実をつかんで来る伝
統があり、高畑さんもその一人だ。
 しかし、無手勝流ではない。嵐山では予備観察で仲がよいペアの交尾が
少ないと見当をつけ、十秒ごとにオスのまわり三メートル以内に入るメス
の名を記録し続ける綿密な手法を開発して、後進に大きな影響を与えた。
現在は膨大な観察データの整理に追われている。


#0008 sci5111  9201090129

Alopexさんの、僕は了解しませんが、というところがいたく気に入りました。

別にdandoさんを責めてるわけじゃないけれど、埋蔵文化財も、新聞記事で
掻き回されることがありますので。プライオリティは当然の事、まずは
取材された人が言ったことを、そのまま正確に書くところからはじめて
いただきたい、と思っています。

サル学が人間を理解するに役立つか、という論議は、歴史を、あるいは
現代でも他の民族を研究することで現代人に何か役に立つことがあるのか、
という歴史学、考古学、文化人類学などに投げかけられる質問と似てます。
これは、じつは、近代科学全体の問題でしょう?

知は力なり、が必ずしも真実ではないと皆が気付き出したから、学問が有益、
少なくとも無害であると言う暗黙の前提は崩れ、学問の目的を、説明して
レーゾンデートルを主張しなくちゃならなくなっちゃった。

わたくし自身は近代科学の枠組みの中で教育された人間なので、今の所、
サル学も考古学も、直截に人間の日常生活に役立たなくても、どこかで
まわりまわって、人間の理解を深め、人間に共有される財産となり、
何等かの意味で役立つことがあると信じるしかないです。
研究医が、臨床医と異なって、直接患者を治療しないけれど、研究医が研究するから
治らなかった患者が治るようになる、というのと同じ様に。

報道の人も、考えているのでしょう?事故で亡くなった人の写真をアルバムから
はぎ取って紙面に載せるのはなぜか、とか、火事や事故のニュースを載せるのは
それがオモシロイとかタノシイからではないんだ、とか。
だから、サル学が新聞に載るのが、人間の理解に直接役立つから、だけじゃないの
だろうし、遺跡の発掘が記事になるのが、たんにそういうのが珍しかったりおもしろ
かったりするから、だけじゃないと、信じたいと思います。

                        ゴマフアザラシ


#0009 sci6407  9201091156

dando さん・・・

ぜひ、「現在のサル学も他の諸科学と同じような隘路にはまりかか
っている気が」する理由を、もう少し詳しく教えてください。

ぼくも、日本の霊長類学の将来を悲観しています。高畑さんは、科
学哲学を問題にしておられるようですが、ぼくの方法論に対する見
解は、  『霊長類学の活性化のために』(霊長類研究  5:191-197,
1989)に書いておきました。もし読んでいただけるのなら、お送り
します。

ぼくは、生物科学のバックグラウンドともいうべき博物学と進化学
の素養に欠けていることも、また、問題だと思っています。欧米と
の伝統の差を感じますね。
 今のサル学の大学院生の研究発表を聞いていると、抽象的な理論
があり、それがもたらす仮説を検証するために、まるで針の先のよ
うな現象を丹念に拾い集めたものが多いのです。こうして何百時間
観察しても、サルを見ない。だから、結果を位置づけするときに解
釈がおかしくなる。一般的に、サル学でとりわけ問題になるのは、
データという「事実」ではなく、理論の要請する前提と、結果の解
釈なのです。

これは、もちろん研究体制の問題でもあります。全体的に保守化が
すすみ、学界内部でも、また学界の外とでも、フィードバックがう
まくかからない構造が問題でしょう。これは、科学の問題ではなく、
社会学の問題でしょうか。

------------

もし差し支えなければ、もうすこしサル学が人間の理解につながら
ないと考える理由を教えてください。

個人的には、ぼくはサル学が人間の理解につながると考えています。
(でなければ、サル学をしていない)。その妥当性については、言
葉を費やすのではなく、実際の仕事を評価していただくほかないの
ですが・・・。

                                Alopex


#0010 dando    9201091458

 わたしがそう考える理由は、Alopexさんが既に書かれています。
簡単に言えば、限りなく切り刻んで分析しても、元の本体を再構成
できないということですね。

 日本が世界と渡り合える部分があるのは生命科学の分野ですが、
そこで日本の研究者が得意とする手法は、生命現象に関連する
物質を見つけて、遺伝子配列を確定して・・・というものです。
これだと、物が見つかるので「確定的」な印象をもたれがちです
が、実は生命現象のある時刻での現象を「固定」したに過ぎない
のです。「物が見つかった」といって喜んでいる限りでは、連続して
休むところのない生命体を再現できないと思います。

 特に、既に知られたフィールドで物さがしをしているだけの場合が
多い日本の生命科学研究者には、新しい地平を開く可能性がないと
さえ考えています。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・dando


#0011 sci5111  9201100332

あのお、Alopexさん、その論文、私も読みたい、って言ったら怒る?

いまプロフィを見て、びっくりしてるところです。

考古学は、なまじ埋蔵文化財の記録保存(行政発掘)という「業務」が
あるため、学問としてはモタモタしているのにあまり反省されない
傾向がありまして、しかも、ファンの方がいらしたりするので、
考古学が何に貢献できるのかを振り返ることが少ないのです。

お猿の学者さんは、水原先生としか面識はありませんが、あの先生の
人間についての、あるいは多くの人間の理解についてのおはなしは
とてもおもしろかった。このごろ水原さんは、肩書をもとめられると
元動物学者、とお答えになるんですって。なんか、不思議に感動して
しまった。

                 ゴマフアザラシ(NIFTY NCC02430)


#0012 sci6407  9201100914

ゴマフアザラシ さん、もちろんいいですよ。どなたでも、欲しい
方にはさしあげます。あとは、Niftyのメイルで。

                                    Alopex


#0013 sci6407  9201101344

dando さん・・・・・

「既に知られたフィールドで物さがしをしているだけの場合が多い
日本の生命科学研究者には、新しい地平を開く可能性がない」

まことにきついお言葉。ま、その通りですネ。

あまり名前を出すとヤバイから一般論ですが、「xxの発見者」と
して威張っていても、そのxxの学問的な位置づけが借り物の理論
だという人はいますね。

若い人は新しい理論を模索すべきだというようなことをある教授に
言ったら、「大学院のあいだに論文を何編か書かなければ就職でき
ないのだから、そう言ったらかわいそうだ」と答えましたっけ。半
分納得しました。戦略論ですね。日本の大学は、就職はたいへんだ
が、就職さえしたらあとは遊んでいてもいいのだから、それまでの
辛抱?(大学受験と同じで、学問ではなく技術を・・・)。

この前の国際霊長類学会で、外人のひとりと話したとき、おまえは
xx大学で京都大学でない、珍しい、といっていました。京都大学
だけしかサル学がないという現状は、外人には不思議なのでしょう。
そりゃそうですよね。

まあ、サル学にもいろんな問題点があります。

ちょっとこの会議室の主旨とは違う方に話がいってしまった・・・

                                    Alopex


#0014 dando    9201132015

 大学のありようはこれでいいのか・・・なんてのも、BBSの
特性としては自然だと思いますよ。

 そう、わたしの言い方はかなりきついでしょうが、あの「生命
科学研究者」は「土木工学研究者」でもいっこうにかまわないの
です。これは、それを専門にしている大学の同窓生と意見が一致
している話です。

 現在の科学技術のありよう全体に、わたしの点はかなり辛いと
考えてください・・・・・・・・・・・・・・・・・・dando


#0015 sci5111  9201160221

dandoさん、

大学の在りようウンヌンは、いっそ別に基調を開かれたら?
環境科学の基調(フリートークだっけ?)でも、そっちにタトったし。

ただし、

大学だけなのか、
大学と学生だけなのか、
大学と教師だけなのか
大学と学生と教師だけなのか、
大学と学生と教師と卒業生だけなのか、
大学と学生と教師と卒業生と大学進学予定者だけなのか、
それとも大学と、それに関係する人もしない人も全て含めるのか、

そのあたりは明確に規定してから始めなくてはなりません。

規定しない場合、書込む人が、どの立場に立つのか明示する必要があると思います。

それから、科学と科学技術は違う概念だと思うので、dandoさんの考える定義を
教えて下さい。でないと、科学の話だと思っていて、単なる科学技術の話だった時、
社会科学や人文科学の立場に立つ人はがっくりくるし自然科学の人も困るだろうし、
単に、好奇心でなんとなく読んでいる人もつまらないと思うかもしれないからです。

現に、Alopexさんが立っておられるサル学の立場は自然科学であっても、
応用化学分野ではないから、dandoさんが、科学技術、という受けかたをなさると、
話がかみ合わなくなると思うのです。
どうせなら、かみ合った方がおもしろいじゃないですか。

                        ゴマフアザラシ


#0016 sci6407  9201161352

アメリカのシャーリー・ストラムという人が "Almost Human" とい
う本を書いています。これをぼくが訳したのですが(『人とヒヒは
どこまで同じか』どうぶつ社)、長すぎるという出版者の意向で一
部割愛しました。

割愛した中に、こんなエピソードがあります。彼女は、ヒヒの友情
(friendship、雄と雌の仲のいい関係)について発見したのだが、
あとからフィールドに来た大学院生とディスカッションしたところ、
その人に先に発表されてしまった、というのです。この本にその名
はありませんが、サル学の研究者ならだれかすぐにわかる書き方で
した。

ストラムは、また、アメリカのサル研究者が、自前の理論をもたな
い技術者でしかないと批判しています。(技術者の方、怒らないで
ね。役にたつ科学の技術とは話が違います)。要するに、学界はパ
ラダイム(理論の枠組み)を共有するもののクラブであって、自分
のように新しいパラダイムを提出するものは受け入れられないのだ、
というのです。

つまり、サル学者も「真実」の求道者ではなく、権力をめざして徒
党を組み、一方で汚い手まで使って競走する人間なのだ、と彼女は
言いたいのです。

まったく同感です。アメリカも日本も、たいして違いありません。
ただ、日本の場合は、パラダイムのクラブだけではなく家族的でも
あるから、ちょっと目には競争が目立ちません。

日本のサル学者を批判しているようですが、ぼくもそのはしくれで
す。サル学の名誉のために言っておくと、いまのところ日本人の書
く論文は、質量ともに世界の最高水準にあります。また、こうした
科学に対する批判は、サル学の世界だけに向けられるものではあり
ません。

問題は、今西錦司、伊谷純一郎という理論家の系譜を、だれが引き
継ぐのかなのですが・・・・・。(理論の系譜ではない!)

                                 Alopex


#0017 sci5111  9201200108

ディスカッションしたら、パクられた、という話は
よく聞きますね。
日本の場合、一番やだな、とおもうのは、目上の人が下の人のを
よくパクることです。それが、結構新しい方法に基づくものだったり
すると、パクる側が充分理解しないで書いてしまうので、
パクられた側は、ちゃんと発表すれば引き写しと言われそうだし
それに対するコメントとして発表すると揚足とりと言われそうだし、
というわけで苦労するんだよね。

Alopexさん、理論の系譜ではなくて理論家の系譜、というのが
なんともおもしろいですね。
素人の、個人的感想としては、サルの先生方のジェネラルなお話は
サルのはなしであっても、結局進化と人間のお話だから、今後
どなたの本を探せばそういう楽しいお話が読めるか、というのは
結構重大です。
もう少し先になって、老眼鏡が手放せなくなった頃に、あなたの
本を探せばそういうお話が読める、というふうになっていると
うれしいんですけど。

                 ゴマフアザラシ


#0018 sci6407  9201200945

dando さん・・・・

記事の表題で

「セックス・縄張り争いなど、ヒト社会と類似」

と書いておられますが、一方、

「もうひとつ、個人的な印象だと、やはりサル学を追っても人間の
ことは分からないのでは、と」(#7)

とも書いておられますね。

もし、類似点が「親しいものがセックスをしない」ことなら、これ
はそれこそ多くの動物で見られることです。また、「縄張り争い」
は、人間の方にニホンザルのそれに相当するものは、(文学的な表
現を除けば)ないと考えるべきでしょう。

学者ならこのあたりの「比喩」にはひどく気を使います。記事をつ
くる技術として「すっきり理解されるように」誇張や比喩を使うの
はわかるのですが、人間に関わる問題では、それが誤解をまねくこ
とにつながりかねません(*)。

dando さんは、ニホンザルが人間と似ているという表現から、何を
暗示したかったのでしょう?  また、#7 の発言との整合性はどう
なのでしょう。

(*)誤解の例としては、  エソロジーでいう「攻撃性」が、 人間の
「暴力」とか「戦争」と混同されたり、社会生物学の「利己的な遺
伝子」が、個体の「利己性」と混同されたりしたことがあげられま
す。そして、マスコミで通俗化されたとき、人間には攻撃本能があ
るとか、人間には強姦をする本能がある、などということが、ひと
り歩きしていきます。(これは、欧米の例です。日本の学界やマス
コミは、研究も啓蒙活動も評論活動も、えてして反応が鈍いもので
す。社会生物学に関しては、10年遅れています)。

                                    Alopex


#0019 sci6407  9201201033

ゴマフアザラシ さん・・・・

理論家は、すでに述べた理由で、日本では育ちにくいでしょうね。
今西、伊谷といった人たちは、学問自体の創設者ですから、別格で
す。日本では、「仲間外れ」は、アメリカ以上にたいへんな問題な
んです。

(もっとも、ぼくは「仲間外れ」にされるほどのパラダイムの転換
を促す業績はありませんし、また、家族主義の利益を受ける立場に
あります)

ぼくは、フィールドワーカーだったのですが、就職してから、一時、
サル学をやめました。いまは、ひとりで細々とやっているわけです。
自由にフィールドワークに行ける人と同じ土俵で競争しても勝負に
なりませんから「理論」を口に出しています。まだ、理論化のすす
んでいない領域はいくらもあります。ただ、サル学の理論といって
も、いまのところ「お話」でしかありません。結局、自分のもつ世
界観で勝負することになります。

ゴマフアザラシさんが老眼鏡をかけるのはいつだか教えていたいた
だければ(無理だろナ)、それまでをめざしてがんばってみます。

                                    Alopex


#0020 dando    9201201358

 大学の話はしたいと思いますが、ちょっと今すぐは・・・。
しかし、例えば、大学生の皆さんがたくさん参加してもらえ、
それで大学のありようをいろいろ話し合える場ならば、いま
寄宿している企画報道室が投書欄の隣でやっている「F21
若者たちの解放区」あたりに拾ってもらえる「仕事」になる
かなとは思います。

 国立大民営化論がかなり真剣なトーンで語られ始めている
ことが示すように、相当深刻な事態に至っていると思えます。
それは自然科学に限りません。本当は人文科学の方が深刻な
ものをもっているとも考えています。えーーと、F21は大阪
だけですから、東京の方は紙面をくっても出て来ません。念の
ため。

 ちょっと、真剣に・・・現役大学生の諸兄、乗ってみる方、
いらっしゃいますか?

 記事での表現と、関連発言のコメントの差ですが、これは
関連の方が本音ということです。しかし、サル学というのは
わたしの本音とは別に成立しているのですから、インタビュー
記事としては世間に流通している見方で書くことになります。
動物実験は人間にもって来ようとすると、本来、相当な吟味
を要するものです。しかし、新聞記事でそれだけの担保をつけ
ていると、読者の方はうんざりしてしまいます。で、歩み寄
る点を記者の判断で作る訳です。と書きつつ、近日中に、今度は
ネズミによる記事を提供するつもりになっています。次の基調の
次になるはずです。・・・・・・・・・・・・・・・・dando


#0021 sci5111  9201210610

ああなるほど、Aplexさんは、我々の言い方で言えば、現場から身を引いて
学理に走るパターンを行っているんだな。

学理は、我が国の土壌では、セッサタクマをまともにしないから、
(なんたって、話をマトメルのが前提のネマワシが世界に通用する
用語になってるもんな)論争をして学理が進歩や展開を見せることが
たいへんまれで、つまんないな、と思う。

学理って、結局ものの見方と説明の仕方、なんだよね(と、こう書くと
すでに私の立場がワレてしまうのだが)、とくに学史を説明するとき
それが如実にでてくる。

フィールドに出ないのは、不利なこともあるけれど、優れた理論家は
数少ない、しかし質の高い少数の調査例で、きれいに説明をなさる。

わがままゴマフは、自分が納得してしまうとそれで気がすんでしまって、
論文は中途でディスケットのなかで昼寝する、というタイプなので、
あまり学者向きでないけれど、他の人が書いたものを正しく、というより
正当に評価できるような勉強は続けたいと思っています。

早くて後5年、遅くて10年くらいで老眼鏡になる予定(近視でないので)。

dandoさん、お願いですけど、科学と科学技術の定義、早目にお聞かせ
ください。Aplexさんがだんだん沸騰してきちゃってるから。
(ゴマフも半分沸騰しかけた。)

                     ゴマフアザラシ


#0022 sci6407  9201210944

ゴマフアザラシ さん・・・・Alopex です。

あのー。ぼくは、現場を離れたわけではありませんので、ひとこと。

いちおうは、フィールドワークも続けています。ザイールでのピグ
ミーチンパンジー研究のメンバーです。いま、ザイールでは治安が
悪化し、大使館が引き上げる情勢となっているので、調査に行けず
泣き暮らしてはいますが。(ほんらいなら、いまごろは、ザイール
にいるはずなのに・・・)

フィールドに入ると、いくつも新しい疑問がわいてくるから、とて
も楽しいですね。物理学と違って、人が違えば、おなじところで観
察しても違うことを感じます。いわば、量ではなく質を感じること
になります。それを文字に置き換えることが、サル学では重要だと
思っています。(サル学は、文学ですね)

ただ、研究所の人のように、毎年とか隔年に行くことはできないの
は、残念です。とはいえ、これは、私大に就職したものは、だれで
もそうなので、自分の処遇に不満をもって研究体制を批判している
わけではありませんよ。

さて、ゴマフアザラシさんの老眼鏡が、最短5年では、ちょっと急
がなくては。

                                    Alopex


#0023 sci5111  9201220508

フィールドに出たくて出られないのはつらいね、Alopexさん。

きっと、おサルさんも待ってるよ。

人間、飢えている方が燃えるものだから、フィールドに飢えているなら
きっと、行かれたとき、それなりにいいことがあると思います。私も
現場をはなれていて、また現場に入ったとき、おもわずしゃがんで
地面を触ってしまいました。

                   ゴマフアザラシ


#0024 sci6407  9201221615

===== 上流階級のサルは娘を生むか ===== Alopex

サルの話題と、記事の作製の技術の問題についてです。

科学朝日の1月号の特集が「性」の生物学です。そのトップバッタ
ーが小原嘉明さんの『「女」は過激でしたたかな戦略家だ』です。

その記事のなかに、『上流階級のサルは娘を産む』というコラムが
あります。なんでも、アカゲザルの上位の家系のメスはメスを産む
傾向があり、下位家系のメスはオスを産む傾向がある、というので
す。小原さんは、たしか、これに似た題の著作も出版されています。

これは、理論的にその可能性が予言されていたのですが、サルで現
象と「美しく」一致したようです。まずは、めでたいことです。

問題は、小原さんが(たぶん故意に)これに反するデータを無視し
ていることです。アカゲザルの別のグループでは、上位家系がオス
を産み、劣位家系がメスを産んでいます。また、カヨ・サンチャゴ
の十数年のデータでは、中位家系がメスを産むという結果がでてい
ます。そして、小原さんが引用した Joan B. Silk も、まだデータ
が少なく、結論を出すには早すぎるといっています。

読者は、たしかに、あれもこれも論文なみに説明されたら、混乱し
て何も理解できないでしょう。そして、理論と現象の一致した美し
い例では、すっきり納得してくれるかもしれません。

理論を説明するためには、これがひとつの手法なのかもしれません。
でも、ぼくには、なんとなくそれに抵抗感があるのですが、みなさ
んはどう思われますか?

                                    Alopex


#0025 dando    9201231643

 ゴマフアザラシさんから求められている科学と科学技術の定義
の件ですが、そんなに分けて議論することはないと思っています。
というのも、わたしが問題にしている日本の大学のありようでは
理学も工学も、人文系もあまり差がないのです。応用を考えなくてよい
分野でも、独創性の欠如は広く見られます。

 Alopexさんの持ち出された科学朝日の記事、わたしも読みました。
なんか出来過ぎだなという印象で通り過ぎましたが、そうなんですね。
記事の書き方と専門家の論文とは違います。科学朝日の記事は一般記事
ではなくて論文の形態に近いと思えますから、そうでない場合があるのなら
きちんと留保をつけるべきでした。新聞記事というのは、読者に一回だけ
しか読み通してもらえないだろう−−との前提で書かれます。だから
一読して話の筋が頭に入るよう工夫する必要があるのです。科学朝日は
そういう前提では書かれていないと、少なくともわたしは考えます。
新聞記事というのは、その前半か前書きしか読んでもらえないかも
しれない−−とまで考えて、話を逆三角形型で構成します。

 矛盾しているデータをどう扱うか、もの書きにとってこれは本当に
重大な問題です。反対のデータがネグれねかどうか、吟味する能力が
書き手の力だと思います。新聞記事の場合、もともとの制約の上で
「怠惰な読者」(失礼!)を前提にしているだけに、見えないエネルギー
を使っています。最近の行き方として、全体を一つのストーリーとして
構成しないで、いくつかのエピソードのかたまりとし、そこに矛盾した
要素も盛り込んでしまう手法が採られるようにもなりました。しかし、それは
特集のような長い記事で可能なだけで、普通の記事は相変わらず「
単線」型です。わたしの知る某氏は「都合の悪いデータを取り去るのが腕
だよ」とおっしゃって、あぜんとしてことがあります。もちろん彼は
非常に優秀な記者でありました・・・・・・・・・・・・dando


#0026 sci5111  9201240151

うーん、dandoさん、技術には独創性がなくたって、使えりゃいいじゃん、
といえる(とおもう)けど、科学には独創性がないと、コマル、大変コマル。

だから、科学に独創性が、、、、とか科学教育に独創性を養う視点が、、、
なんていうことを話すなら、科学と科学技術がいっしょだと、へんだと
感じる、やっぱり。

技術は複数の人が同じことをできなくちゃならない、対して科学は
本当はどのひとも違うことをしなきゃならない、同じことをしちゃいけない、
だから独創性の有無は、いい悪いの問題じゃなくて、科学と技術の定義の
問題だと思うの。

Alopexさんのおっしゃる、都合の悪いデータの扱いの件ですが、正攻法だと
それをちゃんととりあげておいて、何故採用しないか説明するわけだよね。
でも、論文でないものの場合、いちいちそれをできないこともある。
その意味で、dandoさんの、新聞記事の逆三角形の話はおもしろかったです。
科学朝日の、読みましたけど、あれを論文と思うかエッセイと思うか、
それとも第三の、「普及啓蒙文献」と考えるかで、違ってくる。
論文ならあれは、手抜き?かな。エッセイだとしたら、それこそ独創性を
うたがわれる。
あれが普及啓蒙のためのものだとすると、少しむつかしくなりますが、
普及活動であれば、読み手にひとつの考え方だけをあたえて、ほかの考え方を
知る筋道を教えてない、という点で、不足だと思いました。
科学の普及啓蒙雑誌が増えて、専門家のアルバイトのほかに、そのての
文章を書くことを専門とするライターが育ってきているけれど、たとえば
ライフ誌のような、ポピュラーライターがまだ完全には育ち切っていないので
いろいろ問題もあるのかと思います(実は私は長期的にはそういう文章を書ける
ひとになりたいと思ってます)。

ただ、ひとこと言っておけば、科学朝日は大きくて絵が多くなっても、載って
いるのは論文だ、と考える読者が相当数いるだろうということです。
*ュートンとは違う、と思っている人がたくさんいるだろうということです。
これを忘れて貰っては困る。、、、と科学朝日の人に言いたいな。

                    ゴマフアザラシ


#0027 dando    9201241546

 技術は独創性がなくたって使えれば・・・それをやっていると
米国の自動車産業のようになってしまうのですよ。

 一時期、アジアNIESの成長で日本の製造業は窮地にたたされるだろう
という憶測がありました。現実にそうならなかったのは、日本のメーカー
が日本でしか生まれないものを造り続けたからでしょう。

 韓国との貿易黒字が拡大し続けているとのニュースが流れましたが、
上の証明だと思います。

 だれでも同じことが出来るのが「技術」だけれど、現実にはやろうと
考えても、競争相手の技術は簡単にまねられないのです。米国の自動車
メーカーが国産車をばらばらにして日本の造り方を勉強するの
は容易だけど、日本車のように造るのは難しいという事実と同じです。

 対して、日本の「科学」は人と違うことをしているか。わたしは
以前、引用論文件数のランクで論文を評価する話を新聞記事の世界に
持ち込みました。そして何年か、続けて記事を書いてみて、日本の論文
の独創性の無さにほとほとあきれました。あれでは、海外から引用して
もらえないのは当たり前です。その研究者が現に華々しい扱いを
受けているかどうかは別のことで、生命科学ならばどれだけ独自の
実験系をもっているのか、とかいうことです。

 大学にこれだけ多数の研究者がいて、どれだけ独創的な仕事を生んで
いるのか、おそらく科学部員の中で一番多くの学会を回っている
わたしが見る限りで、ほんとに暗いーーーのです。・・・dando


#0028 sci5111  9201250224

うーん、dandoさんが、あせってるのはわかるような気もするんだけど、
おっしゃりたいことも、うすうすわかるような感じもするんだけど、
でも、技術と科学といっしょくただと、なんだか変、というか、
だから創造性すら減退するような、、、、

あーん、うまく説明できない。

                    ゴマフアザラシ


#0029 sci1157  9201261139

  (自然)科学は自然を極力一般的に
抽象化してとらえることによってその中
にある普遍的な法則を発見することを目
的とする。技術は知識や経験を経験を組
み合わせて具体的な「物」を作り出す。

このような説明を採用すると科学と技術
は一方が抽象化他方が具体化の方向を向
いたまったく対局的なしろものと言うこ
とになります。

  従って科学をする人はいまだかって
発見されていなかった新しい法則を見つ
けることが本来の任務なのでしょう。し
かし、過去も現在もそれをできる才能の
ある人はきわめて限られているでしょう
し、その底辺に科学の成果(自然法則や
方法論など)を後生に伝える教育を主に
する科学教育者の膨大な層が存在して必
ずしも独創的な成果を生み出さなくても、
それはそれで有意義な社会的機能を果た
しているはずで、それほど嘆く必要はな
いのではないでしょうか?問題は、平等
主義の強い日本では学問的な成果につい
ての評価が甘くて、誰もがそれなりの科
学的成果をあげていると錯覚し、同じレ
ベルの研究費や待遇を要求するところに
ありはしませんか?

  一方、技術の目的は物を作り出すこ
とですが、より優れた機能・性能の物を
生み出すための技術改良・技術革新には
優れた独創性・創造性を必要とします。
さらに、現在のような技術の高度化され
た状況では技術開発のためにも科学が必
要です。単に科学的な知識を利用するだ
けでなく、科学者がまだ意識していなかっ
た新しい課題を技術者が自ら克服して新
しい科学的な発見をしないと技術が前に
進まない状況が技術の様々な領域で出現
しています。科学と技術のある種の融合
が進んで、技術開発の中からも優れた科
学的成果が多々出ているように思います。
トランジスターの発明もはっきりとした
技術開発の発想のもとに生み出されたよ
うですが、これに伴う固体物理の科学的
な成果を疑う人は居ないでしょう。

  朝日科学部にいまだに科学は技術よ
り高尚なものだとする固定観念を感じる
のは、技術者のひがみでしょうか?

             単


#0030 sci6407  9201261838

===== dando さんのスタンスが少しわかった ===== Alopex

関連#xxを読んで、dando さんのスタンスが、少しわかりました。

ぼくの世界は狭いのですが、「科学」を扱うマスコミでは、出版社、
テレビなどの世界を断片的に見てきました。それぞれに、学問の世
界とは違った立場があり、いろいろ考えさせられました。dando さ
んの立場は、これまた、ちょっとちがいますね。

腹立たしい現実もあります。科学の理想とは違い、いまの科学者の
世界には権威主義がはびこり(医科系と文学部系でよく指摘されま
す)、それをマスコミが利用するという構図です。

サル学で例をあげれば、某有名大学名誉教授は、ほとんどサルの研
究をしてこなかった。しかし、サル学の権威というふれこみで通俗
的な著作を多数書いています。そして、「動物は繁殖のためだけに
交尾をする」「繁殖期のないのは人間だけだ」などと、不正確なこ
と書いているようなのです。

困るのは、こうした誤った記載を通俗啓蒙書の著者が引用すること
です(じつは、原本を読む気はさらさらありません。だから、引用
者の誤りという可能性もなきにしもあらずです)。

これは、人間の動物に対する偏見に裏打ちされているだけに、打ち
消すのがむずかしい。そもそも、ぼくのように肩書きの低いものが
反論しても、一般の人は、権威者の言葉の方を信用するものなので
す。そういう意味で、この某氏の著作はひどい悪書といえます。

もともと人間は、自分の耳にやさしく響く言葉を信じるものです。
(それは、いまの学生の気質にとくに感じます)。また、通俗的な
啓蒙書の出版社やテレビは、むずかしい理屈を敬遠する。そこで、
耳にやさしい偏見を述べてくれる権威者が必要となる。かくして、
権威者もマスコミも大衆も、みな、幸せになる・・・。

西欧にもその傾向がないこともない。とはいえ、「科学的な思考」
自体が欧米文化の産物です。日本の情緒的無批判性とは、やはりち
がいます。この日本の通俗科学の悪循環を、dando さんが打破して
くださらないかな・・・・。期待してまーす!!!!

                                 Alopex


#0031 sci6407  9201261839

===== ゴマフアザラシさんのスタンスも少しわかった ==== Alopex

ゴマフさんは、研究のかたわらで、科学ジャーナリストをめざして
おられるのですか。人類学に関係した方では、xxxとかリンデン
をぼくは知っています。でも、それに匹敵する科学ジャーナリスト
は、少なくともこの領域では、日本にいないようですね。

アメリカでは、学位をとってからジャーナリストになる人が多いよ
うですし、また逆にジャーナリストが大学に入ることもあるようで
す。でも、日本では、学界が閉鎖的ですから、そうした交流がほと
んどありません。

しかし、日本の科学ジャーナリストも、少なくともその一部は、研
究を経験した人であるべきだと、ぼくは考えています。たとえば、
研究は肉体労働だ、ということだって、外から見てもわからないこ
とでしょう。ゴマフさんの指摘された考古学に見られるバイアスも、
ある程度その研究をした人でなければ、見つからないでしょう。

昔話ですが、ぼくが大学院の頃、サル学者から記者になった徳田喜
三郎さんから朝日新聞が科学記者を募集しているとの話があり、何
人かとともに応じたことがあります。でも、話自体がポシャってし
まって、dando さんの同僚になりそこねました。(もっとも、ぼく
は記者にはむいてないな)。その徳田さんは、いま、大学教授です。
ま、これは希有な例ではないでしょうか(dando さん、違いますか)

ジャーナリストは、学者とは違った切り口で現象を追求します。こ
れも、意義深いことだと思います。前の関連に書いたような悪弊を
変えていく上でも、ゴマフさんの将来に期待しています。

                                 Alopex


#0032 sci2919  9201262249

>Alopexさん RE:#30

一般大衆って学者が思うほどアホちゃいますよ。
だって一般大衆は誰が権威者か知らんもんね。一般大衆の私がいうんだから
間違いない。
それと、総てとはいわないけど一般大衆って結構正しいとこを見抜きますよ。

                  katou


#0033 sci6407  9201271006

うっかり、未完成のものをアップしてしまった。

#30 の伏せ字は、#26 で、また、#31 は、ロジャー・レウィンです。

単 さん・・・・・

単 さんの科学と技術の定義は、実用的にはそれでいいのでしょう
ね。でも、科学と技術の関係は、解決すべき課題が最初から見えて
いるか見えていないかにあるのだと、ぼくは考えています。独創性
のある科学研究は、課題自体を作り上げます。とすれば、ほとんど
の科学研究はこの範疇に入らないことになります。

ところで、課題が設定されていて、それを解決する手法を探るのと
きにも、それなりに独創性がいるものです。だから、技術にも独創
性が必要だしはいるし、多くの科学研究も、また、それなりの独創
性が必要です。だから、とらえるレベルによって、科学と技術は違
うものにもなり、同じものにもなるのではないでしょうか。

単 さんが指摘された大学の問題ですが、大学といっても、ピンか
らキリまでありますよ。

ぼくの属している私大の某学部は、技術専門学校のようなもので、
教員は、科学を知る必要が実際にはありません。研究のまねごとを
して、だれも読まない大学紀要に論文を発表していればお茶を濁せ
ます。

ま、これは論外として目を旧帝大に移すと、教育よりは研究という
雰囲気になります。ここには、真の教育者は少ない。たぶん、研究
をし過ぎて視野が狭くなったためでしょう。教授にも、いろんなタ
イプがあります。ある人は弟子の批判しかしないが、また、ある人
は、弟子本人が気づかない問題の本質を指摘しておだてる。その後
の弟子の成長は、まるで違ってきます。後者のタイプは、ぼくの経
験からいえば、自分に独創性があるからこそ後輩を思いやる余裕が
できるのだと思います。                  ^^^^

独創的なアイデアは、思弁だけからは生まれません。それなりの経
験に裏打ちされた知識がなければなりません。大学は、ひとつの言
葉で一括できるほど均質的なものじゃありませんが、まずほとんど
のところで、独創性を生み出す教育の場でないことだけはたしかの
ようです。

                                    Alopex


#0034 sci5111  9201271015

なんだなんだ、いきなりのこの未読の山は。

いいことだけど。

ここは科学論には向いてると思うよ。

科学は職業科学者だけで話合ってもだめなんじゃないかと
思うから。

                   ゴマフアザラシ


#0035 sci6407  9201271029

RE #32 katou さん

そうですね。ぼくも、専門の分野をはずれると一般大衆ですから、
それほどアホだと思いたくはありません。

あるテレビ番組の打ち合わせで、アシスタント・ディレクターとデ
ィスカッションをしたのです。彼は、もちろん素人です。ただ、多
少は読みやすい本による知識があって、ぼくとは見解のちがう「権
威ある人」がどう言っているのかとたずねられ、困惑したことがあ
りました。科学方法論を知らない人には短時間で説明できませんか
らね。

また、#30 で書いた不正確な情報しかもたない某氏が、けっこう専
門家として目につく活動をしているのを見ても、これはどんなわけ
かと考える・・・・。

いくつかの相反する情報を与えられたとき、人は、判断するに足る
背景の知識がない限り、肩書きとか著名度とかで判断するものでは
ないでしょうか(これは偏見かな)。そういうものを、ぼくは権威
と称したのですが。

大衆が情報の真偽を見抜くためには、すくなくとも、バックグラウ
ンドの正確な情報を知る必要があるでしょうね。その情報の真偽は
・・・・。

                                    Alopex


#0036 dando    9201271714

 科学論ないしは、科学ジャーナリズム論になってきた・・・いい
のではないでしょうか。

 アトランダムに。朝日新聞科学部は科学を技術よりも上と思っているか、
という件。多分、多くの科学部員はそうなんでしょう。わたしは違います。
製品という物に転化した技術は、商品経済の仕組みを通して冷徹な評価を
受けられます。それだけでも、日本の科学よりは幸福な面があるとさえ
考えています。

 科学と技術とを分けるのが難しいのは、現実の研究者がそう単純に行動
しないからでもあります。わたしが朝日賞でお付き合いしたのは二人で、
その一人に世界最強のネオジム磁石を開発した佐川さんがいます。彼に
ついては、このネットでもどこかで書いたと思いますが、あの発明は科学でも
よいし、技術でもよいのです。富士通の研究所で彼が思いついた時には
少なくとも純粋科学ではなかったし、開発を続けさせてくれない富士通
を退社して住友特殊金属に転じて得た物質の新規性は科学そのものだし、
シウMRIの下位機種から超伝導を駆逐して、永久磁石型のMRIにしてしま
っている現状のインパクトは色分けを越えて大きいのです。朝日賞への推薦
を金森先生(大阪大学長)にお願いしたのも実はわたしでした。もちろん、
その時には、もう朝日賞の審査に携わることはないだろうと考えてなので、
アンフェアということではないのですよ・・・。

 ニューヨーク・タイムズの科学部員にはドクターが何人もいるとか聞いた
ことがあります。科学ジャーナリストに科学現場の経験者がいるべきだという
のは、どうでしょうね。いても悪くないし、絶対に必要とも言えないし
どうも決めかねます。というのも、ひとつだけ、わたし個人が判断しての経験則
があって、それは「原発問題の取材には原子力工学科の出身者は
不向きである」というものです。少なくとも、わたしの知る限りの人には
この法則は当てはまります。彼らときたら、世間が問題にしていることからは
遠いことばかりが目に入る不思議な属性をもっています。朝日の科学部で一番の
医学ジャーナリストは造船工学の出身者で、少なくとも臨床医学については
お任せです。わたしの出身を明かしておきましょうか。精密機械工学で、
故障物理をやっていました。

 日本の科学ジャーナリズムの現状にはとても不満です。という訳で、わたしは
科学部から出て仕事をしようとしていて、現在もこの出稼ぎ仕事で新たな
模索をしているのです。そうだ、科学技術の記事は科学部員が書いている方が少ない
点もご注意です。文部省も厚生省も通産省も、科学部員は記者クラブ員には
なれません。社会部員か経済部員が書いているので、科学部員よりも基礎知識が
少ないから、ほとんど「受け売り」で記事は書かれます。というよりも、肉体労働
のように処理しないと追いつかない場合が多いようです。

 かなりきついことを書いてしまった・・・こんな具合だから異端児になって
しまうのですよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・dando


#0037 sci2919  9201282340

>Alopexさん RE:#35

 今、ニュートン力学は高校生でもわかるけど、発表当時に理解できた人は3人
しかいなかったというエピソードをなんかの本で読みました。理解できる人がほと
んどいなかったにも関わらずニュートン力学は当時の人々にとってもセンセーシ
ョナルなできごとだったようです。
今風にいえば、アインシュタインの相対性理論かな。理解していなくとも何故か魅
了される。
ということが頭にあって一般大衆はバックグランドがなく、理解できなくとも魅
了される理論を直感的に正しいと感じるセンスがあるのではないかと・・・

Apolexさんのいわれたアシスタント・ディレクターの話は一般大衆のレベルとは
ちょっと違うかなという気がします。彼等はマスコミ人ですから、一般的に論理
的に正しいかどうかよりも権威者という基準がないと困るんじゃないかな。
例えば、管理職に説明する時でも論理的な正しさではなく根拠を示す必要がある
んじゃない。

>また、#30 で書いた不正確な情報しかもたない某氏が、けっこう専
>門家として目につく活動をしているのを見ても、これはどんなわけ
>かと考える・・・・。

生半可な知識ほど一般受けのする結論が出やすいということじゃありません。

>いくつかの相反する情報を与えられたとき、人は、判断するに足る
>背景の知識がない限り、肩書きとか著名度とかで判断するものでは
>ないでしょうか(これは偏見かな)。そういうものを、ぼくは権威
>と称したのですが。
>大衆が情報の真偽を見抜くためには、すくなくとも、バックグラウ
>ンドの正確な情報を知る必要があるでしょうね。その情報の真偽は
>・・・・。

肩書きとか著名度では判断しない層がいると思いますね。
一般大衆といってもピンからキリまでいるから、キリは除いてピンは
学者とキリとの接点となる程度の判断ができる層だと思っているのだが。

情報の真偽は、フィールドワークのように観察した結果から導き出した
場合は難しいかな・・・

              katou


#0038 sci6407  9201290951

===== 大衆の情報判断について RE #37 > katou さん =====

おっしゃるとおり、一般大衆という言葉でくくるものに実態はない
のかも知れません。もちろん、いろんな人がいるわけで。その比率
の問題ですね。

何を人が信じるのか。宇宙論のように実生活から離れた問題なら、
だれでも偏見なしに楽しめるかもしれません。ポアンカレとかアイ
ンシュタインは、科学は「美」を追求するものだ、といっています。
科学が示す自然の美は、理屈抜きに大衆に訴える力があるものかも
しれませんね。(というより、人間の脳の構造なのかも)。

===== 科学ジャーナリストと学位について =====

カトリックの神父の話です。聖職者になるには、ふつうの大学で4
年間、哲学や人類学、宇宙論などを学び、それから神学大学で学ぶ。
そのあと(人によっては)研究生活をする。日本でサル学を修めた
ベルギーの人は、これで学位をとりました。彼は、研究者としても
優秀だったのですが、いまはサル学とは直接関わりがなく、ある修
道院で教官をしているそうです。

聖職者は、ヨーロッパではいまなおエリートだそうですが、それだ
けに広い領域をカバーする教養が要請されているようです。

日本の学者は、専門領域の情報を握っていればなんとかなる。しか
しほんらい、科学とは認識の仕方にある。情報をまとめあげるノウ
ハウが大事なのです。そのノウハウは、特定の科学領域に固有のも
のではありません。

学者は専門領域というピンポイントの情報を構造化するし、科学ジ
ャーナリストならより広範囲の情報を構造化する。その切り口は違
っても、その手法自体は同じだと思います。

                                    Alopex


#0039 sci2919  9201292350

>Alopexさん RE:#38

実際、間違ったことを信じ込む一般大衆も多くいるでしょうけど、一般大衆は
厳密に物事の正否を判断するわけではなく、相矛盾した説を受け入れることだ
ってあり得る。でも大多数はいずれ正しい説に考えを収斂させてゆくと思いま
す。

>・・人間の脳の構造なのかも

唯脳論ですね。
唯脳論的にいえば、サルのなかでもチンパンジーは人に近いの脳構造をもって
ることになるのでしょうね。
で、チンパンジーが概念をもっていたら、チンパンジーの行動は社会的な影響
を受けて時とともに変化していくと考えられますが、もし、時とともに変化し
てゆくと現時点の観察結果が必ずしも正しいとはいえなくなる。
例えば、子殺しをするサルは今まで観察されなかっただけではなく、昔には実
際子殺しなどありはしなかったという仮定も成り立つのでは・・・・

欧米の学者は一般的に自分の研究のもつ社会的な意味をよく考えているみたい
ですね。スタンスがしっかりしてるというか・・・
その点日本の学者は専門知識を振り回してるって感じで本を読んでもあまり面
白くない。

>・・・ほんらい、科学とは認識の仕方にある。・・・

そうですね、唯脳論の作者養老孟司氏が科学とはわかってることを未知の言葉
で説明することだといってましたね。
既にあるものの認識の仕方を変えれば新しいパラダイムが誕生する・・・
ソシュールじゃないけど、あるけど見えないものを言語化(概念化)するのが
科学かな。

    katou


#0040 sci5111  9201310604

12世紀ごろのヨーロッパの大学成立事情、
その後のイギリスでの大学成立事情とその在り方、
そして日本の大学成立事情、それを考えるだけでも
科学が(近代科学は19世紀の所産ですが)何故
日本でこういう扱いを受けるか、ないしは、学問が
と言換えてもいいですが、それが見えてくると
思います。

日本では学問全体が、明治以降、一種の技術に
なっているのだと思います。しかもその技術は
外部から取入れ、消化し、有効に使用するもので
あり続けました。しかも日本文化のなかには、
皆が同じでなければならない、という妙な
平等原理?があります。
だから、何かを産み出す人は、国外にでなければ
生きて行かれなかったのです、多分。
創造性が欠けるのは、多くの人が創造性を
嫌うから、ではありませんか?

大学成立論と、オルテガの大衆論に、むかし
ハマっていましたが、今でもかなり有効だと
思っています。学問のありかたを考えるのに。

              ゴマフアザラシ


#0041 dando    9201311712

 「平等」ではなくて、他人と同じことをしていないと不安だという
ことではないでしょうか。ところが欧米のサイエンスのソサエティでは
他人と同じことをしているのは、軽蔑の対象になるのですね。だから
役にたつかどうかは別にしても、他人と違うことを研究者は追います。

 で、科学の発展には、他人と違うことの発見が必須ですから、日本の
ヘ科学はなかなか「科学」となりえないという次第です。手前にミソですが
そういう仕事を発掘して紙面に出し、それがきっかけで国際学会から招待された
というケースもあります。だから、日本にもそんなまっとうな仕事の仕方が
ないわけではないのです。しかし、彼らはあまり日の当たらない存在です。
奇人あつかいなのかな。

 いま科学研究費の不足が言われますが、その少ない中をどっと分捕って
いるのが核融合研究です。これなど、この分野の研究者が大連合を組んで
口をそろえているので、けちがつかなくて予算がついているという
例です。なんとも日本的だと、前から思っています。・・・dando


#0042 sci5111  9202010330

dandoさん、
「妙な」平等原理、と書いたのは、まさにあなたがおっしゃりたかったことを
言いたかったのです。
皆と同じでないと不安だ、というのとともに、皆と同じでないのがいると
不安になる、というのが、日本人によく見られる現象でしょう?
いま住んでいるところは、いわゆる外国人労働者が大変多いのですが、
日本人(と見受けられる人)は、迂回して通りますからね。
なんと教会からも彼等は「なんとなく」占め出されてしまい、
カソリックのはずなのに、うちの近所の独立系教会が彼等の集合場所に
なっています。

アメリカが、あそこまで経済的に危なくなっていながら研究費を増額するという
ニュースを聞いて、複雑な気分になりました。もろ技術の部分はおおかた企業が
支えている国のことだから、増額分は基礎研究にかなり回るのでしょう。
、、と、発掘の90%以上を、受益者(原因者)だといって、個人や企業に
払わせている考古学に、属しているわたくしが言うべきとも思えないけれど。

                       ゴマフアザラシ


#0043 sci6407  9202011109

日本の学者の世界は、dando さんの指摘された核融合の研究ばかり
でなく、仲間意識が強いですね。いかにして相手(納税者など)を
言いくるめて金を引き出すかの「戦略」のような気がします。情報
を独占する特権階級といってもいいのかもしれません。

サル学では、ひとつのフィールドはそのまま縄張りであり、参加者
はテーマを分けてすみ分けます。フィールドは、一種のサルではま
ず一カ所で、競争は外国勢力とのみになります。だから、サルの系
統によって分けられた分野で、それぞれリーダーが仲間を率いて割
拠する形になります。

それぞれのグループは、年功序列といった日本特有の社会システム
を持ち込んだ、いわば「家族」であり、それが(リーダーのほとん
どが同窓だという事情もあって)大家族(=野外研究集団)をつく
ります。

ぼくなどは、固有の種を研究することに、あまり意味を認めません。
自分のテーマを追求するのに都合のよいものをつまみ食い的に選ん
で研究をしたいと考えます。ま、ぼくは「仕事」の関係で自由には
なりませんが、一般論としても、こうするのは難しいシステムにな
っています。

たとえば、ぼくはいま「遊び」に着目しています。その観察のため、
あるフィールドに行けるかどうかを打診しました。すると、子供を
扱っているメンバーがちょうど病気で行けなくなったからかまわな
い、 しかし、 大人とか青年はダメだ、というような返答でした。
(つまり、研究対象の限定であり、テーマによる制約ではない)

 これは、リーダーから見れば、トラブルを避ける手続きなのです。
ぼくとしては、人間の大人の行動に遊びの要素が組み込まれたいき
さつを考えたいと思っているため、発達段階それぞれで観察したい
わけですが、最初からタガがはめられます。(もっとも、この話は、
ぼくの方の資金難で没になりました)。

ほんとうにやりたければ、自分でフィールドを設定しなければなら
ない。でも、「遊び」のような行動の研究は、じっくり観察できる
環境になければなりません。サルが人に馴れるまでの数年間、成果
があがらないとすると、まず資金が続かないでしょう。

これはどんな組織をとっても同じでしょうが、「平等」はありえま
せん。「真実」の前にはどの科学者も平等だ、というような理念は
飾りです。dando さんは、他人と同じことをしていないと不安なの
だ、と言っておられます。でも、同じことをする仲間にならなけれ
ば、科学者の家族集団の方言は格別ですから、話の通ずる相手がい
なくなります。これは、けっこうつらいことですよ。
 日本の科学者が横並びなのは、そういう「気持ち」だけではなく、
それを強制するシステムも伴っていると、ぼくは思います。

                                    Alopex


#0044 sci6407  9202011110

さて、ぼくも学者のはしくれです。katou さんが、日本の学者の書
く本はおもしろくないといわれると、そうだと思いながら、ムム、
という部分もあります。まあ、なぜ科学研究をするのか、その成果
で自分の世界観がどうなったのか、の部分が抜けているということ
ですね。(ぼくの本では、そんなことは言わせない、と言いたいと
ころですが、そうもいかなくて、トホホホ・・)

katou さんの主旨からははずれますが、これは、啓蒙活動に対する
イメージが学者につかめていないこともあるかもしれません。また、
科学ジャーナリズムの未成熟なこともあげられるでしょう。

いま、ある人と共同で一般書の翻訳をしています。ま、肩書き面で
も実力面でも相棒の方がうえですが、いちおう対等のパートナーで
す。でも、本の表現(文章のスタイル)に対する考えが違っていて、
(けんかはしませんが)、意気があがりません。

言葉は、概念を運ぶのにたしかに大事なものです。でも、通じなか
ったら意味がない。だからぼくは、難しげな言葉をだれにもわかる
簡潔な文で表現するのがいいと考える。(これが難しい!)。彼は、
英語を日本語に置き換えればいいという主義で、しかも自分の学問
的な用語法でやろうとする。 (例えば、conflict の訳語はいつも
葛藤です)。いわば、論文です。しかも、原著に注がないからと、
注なしに使う。でも、もとの英語が一般語ですから、注がないのは
あたりまえです。ぼくなら、(意味を明確にするためなら)解説の
パラグラフを書き加えたりします。

彼の意見もわかります。科学は、厳密な定義をした言葉で表現しな
ければ、あいまいさが残りすぎて誤解のもとになりかねません。で
も、学術書と啓蒙書とではちがいますよね?

で、二度と共訳はするまい、と思っています。

                                    Alopex


#0045 sci2919  9202012309

  創造性を嫌う・・・
しかし、平等原理、均質性、他人と同じことをしてないとなぜ不安になるの
だろうか。
農耕民族のせいだからとか言われてますね。田植えの時期を他がするのをみ
てから行えば不作でも豊作でも他と同じだからとか・・・赤信号みんなで渡
れば恐くないとか・・

でも、農耕民族は日本だけじゃないし、日本にだって狩猟する人がいるわけ
だから農耕、狩猟の問題ではなく、日本人特有のパーソナリティ?が関係し
てるんじゃないだろうか。
逆にいえば、日本人のパーソナリティ?が農耕に向かわせたとか・・・
すると母型社会?が原因かな・・・
母型社会は基本的に社会的な広がりを欠く傾向があるし、母型社会では均質」
性は大きな比重を占めるだろうと思ったりする。
金権体質なんかも母型社会の表れのような気がする。

              katou


#0046 sci2919  9202020100

Aalopexさん RE:#43

分野は違うのだけれども確か、栗本慎一郎が若い優秀な学者が重鎮に潰されていくと、
なにかの本に書いていましたね。新しい説など発表しようとすると圧力が・・・・

RE:#44

いつものことだけれども、表現がまずかったですね。お詫して次のように
訂正します。

一般的に欧米の学者の・・一般的に日本の学者の・・・と改めます。

Alopexさんの考え方はdandoとの議論で大旨わかってますので、本が完成するの
を期待をもって待っています。
因みに、私は既に老眼鏡を使っていますので、棺桶に足を突っ込まない前にとで
も、お願いしてこうか・・・

>・・・・・・・・啓蒙活動に対する
>イメージが学者につかめていないこともあるかもしれません。また、
>科学ジャーナリズムの未成熟なこともあげられるでしょう。

誰にでもわかるように書けるほど理解してない場合もあるけど・・
誰にでもわかるように理論を説明できないのは自分自身が理論をよくわかってな
いからだと、アインシュタインがいわなかったっけ?

              katou


#0047 sci2919  9202022249

 母型社会が創造性を奪うという思い付きを書いたことに対して補足説明を
します。誰も補足説明を求めていないけど・・・・

この考えは、創造とはどのようなことかと考えて、個々の人間が所有する概
念化された世界像がと現実の世界像とのズレが新しい視点あるいは認識を創
成するのではないかと思ったからです。
ようするに無意識下にある概念下された世界像を意識下に浮かび上がらせる
には自意識を探求する必要があるのだけれども、母型社会(過保護な)にお
いては肝心要の自我形成が阻害される可能性もあり、希薄な自我意識は自己
探求能力を奪うのではないだろうか。

      katou


#0048 dando    9202031533

 ふーむ、どうも「母型社会」という言葉の内容が分かりません。
katouさん、もう少しかみ砕いて下さらないと、議論がしにくいと
思いますよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・dando


#0049 sci2919  9202032347

 dandoさんにもう少しかみ砕いてもらわないと議論になりにくいと指摘されま
したが、私がいう母型社会とは、いろいろ議論はあろうけど、まず性差はある
と仮定し、この性差による考え方の違いが子供の教育に大きな影響を与えてい
るとのではないかということです。

ちょっと過激な発言になりますが、確か、朝日の科学欄に雌鳥(種類は忘れまし
た)が雄を選択する条件として体が大きく(健康)てプレゼントを多く持ってく
るか大きなプレゼント?をもってくるものを選ぶという記事がありましたが、こ
の論理システムが人の場合にも働いるのではないかと思う分けです。
要するに一般的に母親は安定性の高いものを選択する傾向が強く、いわゆる現実
主義者であろうと、で、日本では社会も母親型の安定志向になっていると考えた
わけです。安定性を求めるような子供を育ててゆけば、当然社会も安定志向に傾
斜してゆくということなんです・・・・
創造は非安定、いってみれば既存の秩序の破壊ですから安定性とは相反するでし
ょうし・・・
点数主義も権威主義も目に見えるものしか評価できないという現実主義者の特質
じゃないかと思うわけです。

                         katou