Sky00122 ガリバー旅行記と火星の衛星 #0000 sci5139 9110080324 ガリバーの訪れた「ラピュータ」国では天文学が進んでいました。 #0001 sci5139 9110080325 ガリバー旅行記に、火星の衛星の話が出てきます。ところが、ガリバー旅行記 が発表されたのは1726年でして、火星の衛星2個が発見されたのは1877 年です。 ガリバーの訪れた「ラピュータ」国の天文学によると、火星には2個の衛星が あり、軌道半径が火星の直径の3倍と5倍で公転周期が10時間と21時間であ るといいます。「ラピュータ」国というのはもちろん実在しません。 実際には、軌道の長半径が、火星の赤道半径の2.76倍と6.92倍で、周 期が、7.6時間と30.3時間です。しかし、作者のスウィフトが生きた時代 にはまだ発見されていなかったはずです。 不思議だと思いませんか。 これを考えると夜も眠れない?・・・・・・・・・・・・・・αマトン #0002 sci1223 9111301451 お久しぶりでございます・・・。 面白い話ですね。この書き込みを見て、「ドゴン族」(だったかな?カール・ セーガンの著書に出てくる話です。)を思い出してしまいました。ドゴン族の場 合ははっきりとした年代の記録が残っていないのですが、ガリバー旅行記は発表 した日がちゃんと残っているのですからねえ。 火星の衛星はフォボスとダイモスですが、明るさは接近時で11等星と12等 星で、しかもすぐ横に火星があるためとても見にくいものです。アマチュアの持 っている望遠鏡ではとても太刀打ちできず、50cm級のものが必要でしょう。勿 論私も見た事はありません。 とすると、不思議な事ですね。某「UF*研究家」に言うと、地球外の知的生 命との接触なんて言い出すかもしれませんね。衛星が発見される150年も前に こんなに近い数字を出せるのは不可能ですからね。 (1)衛星の個数について 当時知られていた衛星の個数は、地球1・木星4・土星5であり、火星にだけ 衛星がないのはいかにも不自然と考えたのでしょう。また、ケプラーはガリレオ への手紙で、「衛星の個数の間には比例関係があると思うので、木星に4個の衛 星があるのなら火星には2個、土星には6個または8個、そしてたぶん水星と金 星のまわりには1個ずつ存在していると考えられる。」と書いています。スイフ トもこのことを知っていたのではないでしょうか。 (2)衛星の軌道半径について 木星と土星の衛星の軌道半径から類推したのではないでしょうか。当時知られ ていた衛星の軌道半径をまとめてみましょう。 惑星 衛星 軌道半径(対直径) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 木星 イオ 3.0 エウロパ 4.8 ガニメデ 7.5 カリスト 13.2 土星 テチス 2.5 ディオーネ 3.2 レア 4.4 タイタン 10.2 イアペトス 29.7 (3)公転周期について 惑星と衛星との距離を決め、ケプラーの法則を適用して計算して周期を出した のでしょう。 ・・・などといかにも知ったかぶりをしてしまいましたが、実はタネ本があり ます。斉田博さんの書かれた「おはなし天文学・1」の中の「火星の衛星フォボ スの謎」に詳しく書かれています。αマトンさん、これでぐっすりと眠れます? ひらひら・拝