Sky00122 ガリバー旅行記と火星の衛星

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 ガリバーの訪れた「ラピュータ」国では天文学が進んでいました。


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 ガリバー旅行記に、火星の衛星の話が出てきます。ところが、ガリバー旅行記
が発表されたのは1726年でして、火星の衛星2個が発見されたのは1877
年です。

 ガリバーの訪れた「ラピュータ」国の天文学によると、火星には2個の衛星が
あり、軌道半径が火星の直径の3倍と5倍で公転周期が10時間と21時間であ
るといいます。「ラピュータ」国というのはもちろん実在しません。

 実際には、軌道の長半径が、火星の赤道半径の2.76倍と6.92倍で、周
期が、7.6時間と30.3時間です。しかし、作者のスウィフトが生きた時代
にはまだ発見されていなかったはずです。

 不思議だと思いませんか。

 これを考えると夜も眠れない?・・・・・・・・・・・・・・αマトン


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 お久しぶりでございます・・・。

 面白い話ですね。この書き込みを見て、「ドゴン族」(だったかな?カール・
セーガンの著書に出てくる話です。)を思い出してしまいました。ドゴン族の場
合ははっきりとした年代の記録が残っていないのですが、ガリバー旅行記は発表
した日がちゃんと残っているのですからねえ。

 火星の衛星はフォボスとダイモスですが、明るさは接近時で11等星と12等
星で、しかもすぐ横に火星があるためとても見にくいものです。アマチュアの持
っている望遠鏡ではとても太刀打ちできず、50cm級のものが必要でしょう。勿
論私も見た事はありません。

 とすると、不思議な事ですね。某「UF*研究家」に言うと、地球外の知的生
命との接触なんて言い出すかもしれませんね。衛星が発見される150年も前に
こんなに近い数字を出せるのは不可能ですからね。

(1)衛星の個数について
 当時知られていた衛星の個数は、地球1・木星4・土星5であり、火星にだけ
衛星がないのはいかにも不自然と考えたのでしょう。また、ケプラーはガリレオ
への手紙で、「衛星の個数の間には比例関係があると思うので、木星に4個の衛
星があるのなら火星には2個、土星には6個または8個、そしてたぶん水星と金
星のまわりには1個ずつ存在していると考えられる。」と書いています。スイフ
トもこのことを知っていたのではないでしょうか。

(2)衛星の軌道半径について
 木星と土星の衛星の軌道半径から類推したのではないでしょうか。当時知られ
ていた衛星の軌道半径をまとめてみましょう。

   惑星   衛星   軌道半径(対直径)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   木星   イオ     3.0
        エウロパ   4.8
        ガニメデ   7.5
        カリスト  13.2
   土星   テチス    2.5
        ディオーネ  3.2
        レア     4.4
        タイタン  10.2
        イアペトス 29.7

(3)公転周期について
 惑星と衛星との距離を決め、ケプラーの法則を適用して計算して周期を出した
のでしょう。

 ・・・などといかにも知ったかぶりをしてしまいましたが、実はタネ本があり
ます。斉田博さんの書かれた「おはなし天文学・1」の中の「火星の衛星フォボ
スの謎」に詳しく書かれています。αマトンさん、これでぐっすりと眠れます?

                          ひらひら・拝