Sky00038 地球上の最大クレーター


#0000 sci2596  8910190446

  Sky & Telescope Vol.77 No.4 (1989)に載った,世界最大クレーターの発見
記事について.
                                                         Kennywell


#0001 sci2596  8910190448

  チェコスロバキアのプラハ付近を中心とする(プラハ盆地と呼ぶ),世界最
大,直径200マイル(520km)の隕石クレーターが発見された.

  地球上の隕石クレーターは100個程度知られているが,いずれもここ半世紀の
間の衛星写真技術によって確認されているものである.今回も,ボストン大M.
D.PapagiannisとF.El-Bazが,メティオサット2(欧州宇宙事業団)の衛星写真
を調べることにより確認した.言うまでもないが,その特徴は,円状の隆起地
形である.

  このことを支持する他の証拠としては,チェコスロバキアの地質学者Stanis
lav Vranaが,最近の論文で,プラハの南部で被衝撃構造(Sevetinと命名)を
見いだし,形成年代を約100万年前としたこと.さらにプラハ盆地南部辺縁で隕
石の衝撃に関連すると信じられているmoldauites(緑テクタイト)が見いださ
れていることである.

  以上が要旨である.
                                                         Kennywell


#0002 ultra7   8910191010

         へえ、初めて知りました。

 しかし、いままで、直径500キロのもの見つからないなんて、
 チェコって、よっぽど人が住んでないのとちゃうでしょうか。

 素朴な疑問のコンジン


#0003 kimot    8910191029

Kennywelさま どうも。
さっそくSKY&TELESCOPEみてみます。ところで、以前、
カナダのハドソン湾(あるいはその一角?)がばかで
っかい隕石クレーターだという説を聞いたおぼえがあ
るのですが、そんな話はごぞんじありませんか?

        穴の話は好きな 木元・拝


#0004 sci3136  8910192120

 大きすぎてかえって判らなかったのでは。
これまで知られていたのはどれくらいの大
きさだったのでしょうか。
<i>


#0005 sci2596  8910192323

  【訂正】
  地球上最大クレーター(プラハ盆地)内のSevetinの形成年代は,百万年前
ではなく,「少なくとも1億年前(at least 100 million years old)」でし
た.
  100 とmillionが頭の中で衝突して百万年になってしまった.お許しを.
                                                         Kennywell


#0006 sci2596  8910192325

  【クレーターの意味】
  松井孝典氏は「地球・宇宙・そして人間」(1987,徳間書店)の第9章「恐
竜はなぜ絶滅したか」で,巨大隕石衝突による恐竜絶滅を説き,そのクレータ
ー探しをしている.

  1980年に,アルバレスらは「サイエンス」の論文で,中世代白亜紀とそれに
続く新生代第紀とを区分する地層の境界層(C・T境界層,約6500万年前)に
多量のイリジウムを発見し,これが同位体比で隕石に一致することと,世界中
のC・T境界層のイリジウム推定量から,直径10km程度の炭素質コンドライト
隕石が衝突したと結論した.

  直径10km程度の隕石が秒速20kmで衝突すると,そのエネルギーは,TNT火薬で
約1億メガトンの爆発エネルギーに相当し,衝突直後には直径80km,深さ30km
を越える大クレーターが形成され,その底はマントルまで達し,最終的には直
径100kmを越える大クレーターが出現する,ということである.

 海に落ちた場合は地球は酷暑に向かい,陸に落ちた場合は寒冷化に向かうと
いうことであるので,いずれにしても,この気候の激変により,恐竜が絶滅し
たという説である.

  さて,上述したプラハ盆地が隕石クレーターであるとすると,この巨大さと
形成年代から,C・T境界層との関連を考えたくなる.

  松井氏は前述書で,地球上に現存する直径100kmに近いクレーターは3カ所で
発見されているが(発刊年1987年以前のデータ),形成年代が6500万年前より
古いか新しいかでC・T境界層とは関係がないと結論している.

  Sevetinの形成年代の1億年前というのをプラハ盆地の形成年代と考えてよい
なら,1億年前ということと,クレーターが100kmより遥かに大きいことから,
これらが条件に合うかどうか,興味をそそられる.
                                                         Kennywell


#0007 sci2596  8910200030

  SKY&TELESCOPE Vol.77, No.4 (April, 1989) p.351です.

  この記事を読んだとき,おそらく「科学朝日」に載るのではと思っていまし
たが,他のニュートンとかではどうなのでしょう?

  >コンジンさま
  地球上のクレーター発見の困難さについては,前述した松井氏の著書でも指
摘されています.SKY&TELESCOPEでは,Papagiannisは1983年に,絵はがきに使
われたメティオサット2の衛星写真を見て,それらしき陰影に気づいた,と書
かれていますが.

  >穴好きkimotさま,<i>さま
  やはり,松井氏の書にあったような気がします.しかし100kmはなかったと思
いますが.

  松井氏のこの書と続編「地球・46億年の孤独」(1989,徳間書店)は,惑星
科学のバイブルとなるのではないかと感じました.今手元にありませんのでま
たのち程...
                                                         Kennywell


#0008 sci2596  8911030154

  【訂正2】
  (誤)直径200マイル(520km) ...  (正)直径200マイル(320km)
                 ~~~                  ~~~
  お詫び申し上げます.
                                               Kennywell


#0009 sci2596  8911030155

  やはりニュートンにありました.1989-7月号,p.8です.
  実は,これに320kmとあり,あっと思って,
      1 mile = 1.609 km
を
            1 inch = 2.54  cm
の率で換算していたことに気づきました.

  【教訓】
  外国雑誌記事ダイジェストはニュートンを読もう.
                                               Kennywell


#0010 sci2596  8911210235

 アップが遅れました.

  松井(1987)によれば,カナダには数多くのクレーターが発見されている
そうである.モントリオールの北約2500kmに,クリアウォーター・レーク・
クレーターという,2つのクレーターが接した,現在は湖になっているもの
がある.小さい方は直径22km,大きい方は32km.またモントリオール北東約
1000kmのマニコーガン・クレーターは直径65kmで,地球上最大級のクレータ
ーとしている.
  ちなみに松井(1987)のグラフでみると,月や火星には直径500km前後のク
レーターがみられる.
                                               Kennywell