Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 121       Text Title  : うぃるすですだ                          
Author   : reader    Text Length : 375 Byte    Date : Thu Jun  9 16:48:26 1988

先日、アメリカのBBSをアクセスしていたら、アミガ用のウイルス一覧が載って
いました。
ネットワーカー辺りで、発表するようですよ
ウィルスはMACだけでは有りません。
本家本元はやはりUNIXでしょうか
それもバークレー版(4.3BSD?)の先日書いたATというのはUNIXのコ
マンドのつもりです。at実行時はスーパーユーザという。

by Suis-je de France



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 122       Text Title  : フロンの答え、ありがとうございました    
Author   : reader    Text Length : 169 Byte    Date : Thu Jun  9 20:37:17 1988

 フロンの答え、ありがとうございました。
そうですか、塩素がないフロンであれば、オゾンを破壊しないのですか。
納得しました。
              無知な読者より



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 123       Text Title  : 不凍たんぱく質                          
Author   : reader    Text Length : 2269 Byte    Date : Thu Jun  9 22:37:38 1988

初めまして。 私はいわゆるバイオの分野の研究者です。
最近通信ソフトを購入し、パソコン通信できるようになりました。先日初めて
朝日サイエンスネットに get in し、今日が初めての書込です。時々ウオッチ
しています。よろしく。

6月6日付け「魚体不凍のカレイたんぱく構造解明」記事にコメント。

この記事を一読しても理解できませんでした。第1番目の理由は日本語として
の体系が乱れていること。第2番目の理由は専門用語を誤って使用していること。
(1) 「アルファらせん構造と名付けられたたんぱく質だけ」:アルファらせん
はたんぱく質を構成するアミノ酸の高次構造のひとつである。
(2) この論文で構造決定したのはアミノ酸が37個から成るポリペプチドであ
って、これをたんぱく質としたところに混乱がある。
(3) 「この規模のたんぱく質としては初の構造解明である」:よく記事を読めば、
この文章の前に「・・・だけで構成される、」と限定されているから一応文意
は判明できる。たんぱく質をポリペプチドと言換えればよい。アミノ酸が数百
から成るようなたんぱく質がX線解析によって高次構造が解明されている現状
を知っていると、しかしこの文章から印象付けられるのは、数千個のアミノ酸
から成る蛋白質の構造解析ができたかの様な印象を与える。
(4) ペイン氏はネイチャー誌の同じ号にヤン氏の報告に対する紹介と解説文を
寄せているが、独自の研究結果を報告しているのではない。
(5) 「有機体の多くは、この両方の不凍作用が働いているという。」ここでい
う有機体とは何か? この両方とは何を受けるのか?

以上の事を受けてほぼ同じ長さで記事を書き直してみました。

 体液が凍結するような氷点下の温度でも生息できる魚が北極海にいる。この
体内には体液の凍結を妨げる作用のある不凍たんぱく質やポリペプチドが存在
することが知られていた。カレイの不凍ポリペプチドの立体構造を、米ピッツ
バーグ大のダニエル・S・C・ヤン氏らが明らかにし、英科学誌「ネイチャー」
(5月19日号)に報告している。一般のたんぱく質は、アルファらせん構造
とベータ構造とよばれる薄片状や非晶質が連結して複雑な構造であるが、37
個のアミノ酸からなるこの不凍ペプチドは、全体がアルファらせん構造だけで
構成されていた。そのために円筒形構造となり、双極子モーメントによって配
列しやすくなり、円筒形の片面が親水性で他面が疎水性となり、またアミノ酸
側鎖が円筒形の表面に露出して相互作用しやすいなどの特徴をもつ。その結果、
氷の結晶のプリズム面に結合しやすくなり、微小な氷結晶の成長を妨げる作用
があるという。
                           BY  年魚市



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 124       Text Title  : ワクチンあった!                        
Author   : host      Text Length : 831 Byte    Date : Fri Jun 10 10:41:03 1988

ワクチンを手に入れた
日経MIXからコンピュータウイルス用のワクチンと、ウイルスが感染してハード
ディスクに被害があるかどうか調べるというPDSプログラムをダウンロードしま
した。
しかし、「ワクチンだよ」とうたったウイルスもあるとかいううわさも耳にしてお
り、テストは自分のでなく別の人のコンピュータでやろうと思っています。こうい
う風にPDSが信じられなくなるのがコンピュータウイルスの一番の影響ではない
でしょうか。これをコンピュータウイルスアレルギー症候群と名付けたいと思いま
す。
こんな病気にかかった方お手紙下さい。
(PDSというのは、英語でパブリックドメインソフトウェア、またはパブリック
ドメインシェアウェアといって、多くは個人レベルで作成して、サイエンスネット
のようなBBSを通じたりして流通しているソフトのことです。ただもしくはたい
へん安価なため、欧米ではたいへん盛んです)

      大阪科学部   ケペル内村



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 125       Text Title  : オゾンと塩素                            
Author   : reader    Text Length : 1174 Byte    Date : Fri Jun 10 21:43:05 1988

 どうして 塩素が分離されないのが いけないか補足します
フロンは 不活性な分子ですが 高エネルギーの紫外線により
分解します  地上では オゾン層のおかげで、それほど紫外
線は届きません  けれど フロンがオゾン層まで拡散してゆ
きますと 太陽から来る紫外線が大量にあり フロン分子が分
解し 塩素原子を生じます
 塩素原子は オゾン層のオゾン分子と化学反応を起こします
つまり 塩素原子はオゾン分子の3個の酸素原子の1つと結合
して酸化塩素(ClO))を生成し、あとに 普通の酸素分子
を残します
 生成された酸化塩素は オゾンの自然分解により生じた遊離
酸素原子と結合し 酸化塩素は その酸素原子に自分の酸素を
渡し 普通の酸素分子が生成する  
 後には 遊離塩素原子が残され、従って 別のオゾン分子を
攻撃出来るようになる
 それぞれの塩素原子は、酸素原子と結合しては再びそれを放出
しながら、オゾンと何度となく反応することが出来る 1個の
塩素原子が1個のオゾン分子を分解するだけではなく、この連鎖
が何かに依って断ち切られるまでに、おそらく数百個を分解す
るだろう

 以上 アシモフの ”存在しなかった惑星”より引用しました
これは 1976年に出版されています(邦訳は昭和61年)
一体 我々は なにをやってきたのでしょうかネ

 今年の夏はよく陽に焼けそうな 侍ニッポンでした



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 126       Text Title  : フリートークと脳死                      
Author   : host      Text Length : 779 Byte    Date : Sat Jun 11 16:23:08 1988

私、医学担当をこの春からやらされてまして、最近脳死を調べて
いるのですが、色々みていくと、脳死しておいて呼吸し始めちゃう
方がいたり、瞳孔を開いたり、閉じたりしたりする方もでるなど、
本当にこの人死んでんのかなあ、という脳死のケースが、パラパラ
と目だち始めました。

脳死した際には自分の体を移植に提供されるという方の善意は、本
当にすごいと頭の下がる思いですが、それも、確かに脳死している、
という医者の判定を信ずるがゆえの話だと思います。

今、フリートークのコーナーでbナありますが、
本当に霊魂というものがあって、それが幽体離脱でもする瞬間を測
れたら、死の判定なんてもっと簡単なのになあ、などとくだらない
ことをついつい思ってしまいます。

フリートークから、出張してきた大阪科学部のウルトラ久保田でありました
(上のbナと化けているのは、「霊魂の話が花盛りで」ありました)



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 127       Text Title  : 困った記事                              
Author   : reader    Text Length : 848 Byte    Date : Wed Jun 15 04:10:54 1988

始めまして。ここのネットには初めて書き込みます。
さて、今日どうしても書込をしようと思ったかと申しますと、朝日新聞の記事に
とんでもない誤りが続いているからです。それは、日曜日に連載されている、確
か、メカオンチのための何とかと言う囲み記事ですちょっと前にあったPCM録
音の仕方のことを″音の辞書″などと書いていましたが、これはとんでもない誤
りです。これではますます″メカオンチ″を泥沼化させてしまうでしょう。正直
言って、書いている人は完全な素人ではないかという印象を受けました。できる
ことでしたら、今からでもこの記事を訂正し、これから益々一般化するであろう
ハイテクノロジーの記事のチェック体制を整えるべきです。
これがプライベートメールでしたら、私の連絡先をお知らせしてもよいのですが、
パブリックスペースですので、遠慮させてください。
Ritto Music A/V Net ID:AV01267
ほかのNiftyやMIXなどには加入していません。



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 128       Text Title  : 一般相対論から光速度の重力波を導く。 S  
Author   : reader    Text Length : 10968 Byte    Date : Wed Jun 15 12:11:33 1988

以前に少し話題になった重力の話の続きです。

3箇月近く前のことなので、もう久保田さん御本人も覚えていらっしゃらな
いのではないかと思いますが、書こう書こうと思いつつ多忙にかまけてその
ままになっていたのが気掛かりだったのもので‥‥‥。最近になって私自身
が重力について少し勉強し直してみて、何となく少し理解できたのではない
かと思いますので、久保田先生に期限遅れのレポートを提出したいと思いま
す。(学部のときの教科書を引っ張り出してきて勉強しなおしただけです。
近年の重力理論の進展についてはよく知りません。)
  主に久保田さんの書かれた

>Board    : 科学フリートーク              
>Text No. : 124       Text Title  : まだまだ重力波                          
>Author   : host      Text Length : 1867 Byte    Date : Thu Mar 24 21:42:26 1988

へのコメントを中心に書いてみます。本来なら同じボードにコメントするべ
きでしょうが、少々堅い話なので科学記事ウォッチに載せることにしました。

                    ・          ・          ・

以下の最初の部分は一部の興味ある人だけの為の「式の定義」なので、一般
読者は流し読みしてその次の「・・・」印へ進んで下さって結構です。
  一般相対論における重力場のアインシュタイン方程式は

      ab          2  ab
    G    =  −κ T                                        (1)
                                        「d
と書かれます。ただしここで(以下において  =」印は『定義』の意味だと
思って下さい)、

      ab  d    ab     1    ab
    G    =  R   − ---- g  R                            (2)
                       2

        d    a
    R  =  R                                               (3)
               a

          d    c
    R    =  R                                             (4)
      ab         a,cb

      a      d         a          a        e    a        e    a
    R       =  − @ Γ    + @ Γ    − Γ   Γ    + Γ   Γ
       b,cd          c   bd     d   bc       bd   ec       bc   ed

                                                             (5)
      a    d   1    ad
    Γ     =  ---- g  (@ g   + @ g   − @ g  )       (6)



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 129       Text Title  : 気象学会夏期大学開講のお知らせ          
Author   : reader    Text Length : 3112 Byte    Date : Thu Jun 16 16:26:49 1988

気象学会夏期大学開講のお知らせ

日本気象学会では毎年夏に夏期大学を開講しています.この講座は新しい気象学の
普及をめざして,主として小,中,高校の地学/理科担当教師を対象としておこな
うものですが,一般/学生の参加も受け付けています.今年は「新しい気象学」と
題して以下の要領で行ないます.

             記

対象   教師,気象愛好者,学生,および一般の希望者
受講料  一般 6,000円,教員 5,000円,気象学会員/日本地学教育学会員/学生
      4,500円
日時   昭和63年7月26日(火)12時(受付開始)
     7月29日(金)14時頃(終了予定)(4日間)
場所   東京都千代田区大手町1の3の4 気象庁講堂
     ただし,台風来襲時には講堂の使用が不能になりますので,会場を他に
     変更することもあります.
申込先  〒100 東京都千代田区大手町1-3-4
         気象庁内
     日本気象学会事務局 03-212-8341(内線469)
申込締切 昭和63年7月15日(金)まで

講義内容概略

○大気の起源と進化 松井孝典(東京大学)
  地球型惑星大気がどのようにしてでき,それが46億年かかって現在の大気に
  なるまで,どのように進化したかを探る.
○気候とその変動のシミュレーション 鬼頭昭雄(気象研究所)
  気候のメカニズムを探るための,数値シミュレーションの結果から,C02増
  加の影響,エルニーニョ現象の影響実験等について紹介する.
○大気中のオゾンの生成と消滅 牧野行雄(気象研究所)
  フロン,メタン,一酸化二酸化窒素等の大気中の微量成分の増加が,オゾン層
  の生成消滅に及ぼす効果やオゾンホール等最近の観測について紹介する.
○天気図を読む,天気図実習 永沢義嗣(気象研究所)
  天気図は何を表わしているか,天気図から何が読み取れるか,天気図とは何か,
  天気図から大気の立体的な運動,雲や雨(雪)の生成/消滅を読む.講義をも
  とに,実際の天気図を通して気象の実態に迫る.
○汚染物質の中/長距離輸送 木村富士男(気象研究所)
  都市周辺の広域大気汚染,酸性雨などの国際的な汚染,およびチェルノブイリ
  事故のときの放射性物質の拡散を題材に,気象と大気汚染の関係を考える.

テキストだけの申込も受け付けています.申込用紙などの問い合わせは上記申込先
へお願いします.

北海道にお住まいの方には,北海道支部の夏期大学「新しい気象」があります.

日時   昭和63年7月27〜28日 10:30〜15:30
場所   札幌市白石区厚別中央1条5丁目
          札幌市青少年科学館
申込先  同上( 011-892-5001)
申込締切 昭和63年7月10日
募集定員 40名
内容   約100分の講義が4講あります.その他に映画と科学館内の気象レー
     ダ,気象衛星受画装置および人工降雪実験装置の展示等の見学を予定し
     ています.

関西地区にお住まいの方へ,関西支部夏期大学「気象予報と防災(災害)」

日時   昭和63年8月1日〜3日
場所   大阪府立労働センター(大阪市東区京橋3丁目15)
受講料  3,000円
内容   災害論(気象予報と防災の限界),大阪における水災害の歴史的変遷,
     予報実習(天気図から何を読み取るか),折々の注意報(注意報からみ
     る暦),気象台見学.
問い合わせ等は日本気象学会関西支部事務局(〒540,大阪市東区法円坂町6ー
25,大阪合同庁舎第2号館,大阪管区気象台内)へお願いします.申込期限は7
月22日です.

以上は学会からの正式のアナウンスメントではありません.単なる情報ですので問
い合わせ等は上記の住所へお願いします.



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 130       Text Title  : リニアモーターカー 日本VS西ドイツ    
Author   : reader    Text Length : 2157 Byte    Date : Thu Jun 16 21:14:16 1988

日本 VS. 西ドイツ
リニアで一騎打ち  強力超伝導と精密常伝導  (6・16)

 科学記事ではないかも知れませんが、面白かったのでUPします。
 リニアモーターカー・西ドイツのトランスラピッドと日本のJR型乗り比べ
の記事でした。トランスラピッドはテストコースの全長31.5Kmを13分
で走り(最高316Km/h)、一般の試乗も行っているとか。実用化まで、
もう一歩と言う感じですね。

 一方、日本のJRは、宮崎で実験をやっていますが、まだまだ実用化までは
遠いようです。この記事の最後の一文は象徴的ですね。

   JR型が次の段階に進むためには50キロ程度の実験線が欠かせない。
  その立地調査費が今年度予算で1億8千万円ついた。だが、候補地の誘致
  合戦は政治問題化しそうで先行きの視界ははっきりしない。

 私も埼玉博でリニアモーターカーに試乗しましたが、距離が数十メートル程
度なので、遊園地の汽車と変わりありませんでした。(まだ遊園地の方が面白
い?) 人が多くてHSSTには乗れず、乗ったのは「リムトレイン」だけで
すが・・・。

 記事にもありましたが、西ドイツでは空のダイヤの過密化による国内便の欠
航が問題となっているために「国内空路に代わってトランスラピッドを」と言
う世論が出来つつあるとか。

 私も同感ですね。コスト的にはよく分かりませんが、ジェット機を飛ばすよ
りもリニアモーターカーを走らせる方がいいと思います。国内の飛行機の幹線
は、リニアモーターカーで置き換えるべきだと思います。ただ、地震対策など
がしっかりしてからの話ですが。日本で余り実用化が進まない(ように見える)
のは、こう言うことでしょうか。

  @JRは新幹線の上にあぐらをかいている。
   取り立てて、今時速400〜500キロの路線を作らなくてもいいと考
   えているのではないか。
  A日航(及び航空会社)は、今でも十分利益を上げているので、経営基盤
   を揺るがすようなリニアモーターカーの実用化を目指すような研究に本
   気で取り組むはずはない。

 この様な理由から、リニアモーターカー路線網が出来るとしたら、どこかの
民間会社が協力してやるしかないかも知れません。(失礼!JRも日航も民営
でしたね)それにしても莫大な費用がかかるでしょうから、まだまだ先の話で
しょうね。一体どれ位の費用がかかるのか、詳しい方、教えて下さい。

           江戸川区 松尾俊信    PGJ61570 (PC-VAN)
                        JUP10931 (JUPITER)



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 131       Text Title  : 沖の鳥島の自然破壊????              
Author   : reader    Text Length : 622 Byte    Date : Thu Jun 16 22:40:07 1988

さっきテレビのニュースを見ていたら、沖の鳥島の保全作業が映ってました。
人が居ないところに人が来るようにするのは自然破壊だけど、
人が居ないまーんまにしておくんなら、そうじゃないことになるみたいですね。
せっかく埋めたてたんだからと、通信基地なんか作ろうとしたら、
またモンダイになるんだろうけど・・・・。
・・・・・・・・。
いったい、何がいいたかったんだろ。
ウン、そうだ。自然保護運動の恣意性を揶揄・・・・。
・・・・・・・・。
あんまり建設的じゃないですね。
せっかく書いたんだから、アップしときますけど、
SISOPさん、消しといてくださいネ。
                   (C)1988,巻かれ人:JAPAN



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 132       Text Title  : 一般相対論と等価原理【1】           S  
Author   : reader    Text Length : 4890 Byte    Date : Sat Jun 18 19:17:28 1988

かなり以前に久保田さんが書かれた

>Board    : 科学記事ウォッチ              
>Text No. : 63        Text Title  : 一般相対論に等価原理はいるか            
>Author   : host      Text Length : 1372 Byte    Date : Fri Mar 25 00:21:54 1988

に対するコメントです。誰かが解答を載せてくれるといいなと思っていまし
たが、黙殺されてしまっていたので、仕方なく物理科の意地で書くことにし
ました。
 以下で使用する式や記号の意味は前回のテキスト(参考文献1)の説明と

ほぼ同じですので、そちらも参照して下さい。

          ・     ・     ・

§1.一般相対論の定式化

一般相対性理論(以下、一般相対論と略す)は次の2つの原理から導かれます。

  (I)一般相対性原理:物理学の基本方程式はテンソル式で書き表され
    る。これによって、任意の座標変換に対して、その形式が不変に保
    たれる(これを「一般座標変換に対して方程式が『共変』である」
    と言います)。

  (II)等価原理:適当な座標変換によって、任意の「1つの世界点」の
    近傍を局所ローレンツ系に移すことができる。この座標系では無重
    力であり、特殊相対論が成り立つ。

ただし、文献4では(II)の中の「特殊相対論が成り立つ」という部分を第
3の原理としてありました。また、『テンソル』とは、座標変換 x→x’
に対して
                   a
       a       @x’   b
  A’ = ------ A                                      (1)
                  b
               @x

                   a      b
       ab      @x’  @x’   ef
  A’ = ------ ------ A                               (2)
                  e      f
               @x    @x

                  b
               @x
  A’ = ------ A                                      (3)
       a           a   b
               @x’

                  e      f
               @x    @x
  A’ = ------ ------ A                               (4)
       ab          a      b   ef
               @x’  @x’

という規則で A→A’の変換が行われるとき、これらの A や A’をテン

                                   b       a
ソルと言います。(1)式における A  や A’ を1階の反変テンソル

                                               ef       ab
(反変ベクトル)と言います。(2)式における A   や A’  を2階の

反変テンソルと言います。(3)式における A  や A’ を1階の共変テ
                                           b       a

ンソル(共変ベクトル)と言います。(4)式における A   や A’  を
                                                     ef       ab

2階の共変テンソルと言います。1階のテンソルはベクトルとも呼ばれます。

§2.ニュートン力学の方程式

上述の2つの原理が一般相対論であるとすれば、一般の物理の法則は総てこ
の枠組みの中に収まってしまうので、特定の方程式を引き合いに出して「こ
れが一般相対論の基本方程式である」とは言えないのかもしれません。ただ
し、一般には一般相対論は重力の理論として解釈されているので、物理法則
の中でも最も基本的な「ニュートンの運動方程式(慣性の法則、及び第2法
則)」と「重力場の方程式(りんごが落ちるのを見て発見したというあれ)」:

       →
     dp       →
  ------ = F                                           (5)
     dt

      2   →         →
  ▽ Φ(x) = 4πGρ(x)                          (6)

  →
{ p : 運動量

  t : 時間

  →
  F : 力

   2
  ▽ : ラプラシアン

    →
  Φ(x) : 重力ポテンシャル

  →
  x : 座標

  G : 重力定数

    →
  ρ(x) : 質量密度 }

の2つの式を一般相対論に拡張した方程式を論じることが多いと思います
(拡張した方程式は後で述べます)。(5)式の運動方程式において運動量

           →          →    →
は質量 m と速度 v を用いて p=mv のように表すことができます。ま
た(6)式の重力場の方程式は見慣れない読者も居ると思いますが、1個の
質点の場合には積分して変形すると、
                             
                         m
  Φ(r) = − G ----                                 (7)
                         r

となって、見慣れた重力ポテンシャル(球対称)の式になります。rは質点
からの距離です。これを微分すると重力場が導かれ、重力場に質量を掛ける
と重力になります。
 (5)式と(7)式との両方に質量が現れますが、これらは概念としては
全く別の質量です。前者は『慣性質量』と呼ばれ、後者は『重力質量』と呼
ばれます。しかし、精密な実験によってこれらは高精度で等しいことが確か
められており、一般相対論で言うところの「等価原理」とはこれらの2種類
の質量の等価性のことであると言うこともできます。これら2つの質量が等
しいと、ガリレイのピサの斜塔の実験で有名なように、重力場においては総
ての物体が質量の如何に拘らず同じ軌道を描いて運動します。そのことは、
(5)式における慣性力も(7)式における重力も運動する物質の質量に比
例することから説明できます。

§3.一般相対論における力学の方程式

         …………………………………………

以下次のテキストに続く。

    ●SMASHクン
\ /
  V
東京都渋谷区 山田 卓杜
(LAOX NET:LAOX1352, JUPITER-NET:JUP10364, スマッシュ君3:SMASHクン)



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 133       Text Title  : 一般相対論と等価原理【2】           S  
Author   : reader    Text Length : 7353 Byte    Date : Sat Jun 18 19:21:42 1988

§3.一般相対論における力学の方程式

3.1 力学法則を表す方程式

上述の2つの法則(5)式と(6)式に対応する一般相対論の方程式はそれ
ぞれ次のようになります。

      2  a                b      e
    d x        a    dx   dx
  -------- + Γ    ------ ------- = 0                 (8)
       2        be  dτ   dτ
   dτ

      ab          2  ab
  G    =  −κ T                                        (9)

τは運動する質点に乗った時計の刻む『固有時』です。(8)式は『測地線
の方程式』、(9)は『アインシュタインの重力場の方程式』といいます。
これらの方程式が上述の2つの原理を満たしていることをこれから説明しま
す。
 まず(8)式。これはテンソル式であり一般相対性原理を満たします。ま

                                                         a
た、座標変換によって局所ローレンツ系(慣性系)に直すと Γ    は0に
                                                          be

なるので、左辺第2項は消えます。そうするとこれは加速度が0であること
を表しているので、ローレンツ系における慣性の法則を表しますから等価原
理も満たします(因みに、左辺第2項を落したものはローレンツ系において
のみ成立する方程式であり、ローレンツ変換に対して共変です)。
 次に(9)式にいきます。これも2階のテンソル式ですから、一般相対性
原理は満たします。ところが、座標変換によって局所ローレンツ系に移行し
ても、無重力になっているかどうかを判断することが簡単には示せません。
久保田さんもおっしゃっていましたが、一瞥しただけではどうも等価原理は
使われていないように見えます。しかし、実はしっかりと使われています。
久保田さんは「重力場の方程式は、右辺にある運動量・エネルギー(テンソ
ル)が保存されるため、左辺も同じ保存の恒等式を満たさねばならないと言
う単純な条件だけから導かれてしまい、‥‥‥」とおっしゃっていましたが、
この保存則が等価原理からの要請なのです。

3.2 保存則と等価原理

せっかくだから、この保存則について簡単に説明します。ローレンツ系にお
いては特殊相対論が成り立つために、

        ab
  @ T    =  0                                           (10)
     a

という保存則が成立します。これはエネルギーと質量が等価であると考えた
ときのエネルギー保存則です。また、この(10)式はローレンツ系において
はテンソルとして振る舞う為に、ローレンツ変換に対して共変です。これを
一般座標変換に対しても共変となるようにするためには、(10)式の左辺を
一般座標変換におけるテンソルで書かなければなりません。それには

            d             e
  ▽ A   =  @ A  − Γ   A                             (11)
      a  b       a  b       ab  e

で定義される共変微分を使って(上式において A  は任意のテンソルです)、
                                             b
         ab
  ▽ T    =  0                                          (12)
      a

とすれば良いのです。(12)式は一般相対論におけるエネルギー保存則を表
しており、座標変換によって局所ローレンツ系に移行させると、そこでは 
  e
Γ   =0 ですから(10)式に帰着します。即ち、(12)式は一般相対性原
   ab
理と等価原理の両方からの要請で与えられた、一般相対論における方程式な
のです。
 さて、(6)式からの類推で一般相対論における重力場の方程式を導くに
は、久保田さんがおっしゃったように、「(12)式の保存則が満たされるよ
うなテンソル式でなければならない」という条件が課せられ、それによって
殆ど一意的にアインシュタイン方程式(9)が導出されました。このように
(9)式を導出する過程でちゃんと等価原理が使われていたのです。

3.3 方程式の妥当性

(8)式が慣性の法則になっていることはすでに示しました。さらに、第2
法則にもなっていることを示します。(8)式に質量 m を掛けて

          2  a                      b      e
        d x              a    dx   dx
   m --------  =  −mΓ    ------ -------               (13)
          2               be  dτ   dτ
      dτ

と変形します。左辺は 質量×加速度 ですから、慣性力を表します。また、
ローレンツ系からそれ程離れていない系では(前回の重力波の話をしたとき

にやった近似{参考文献1})右辺は −m@ Φ に一致することが示せます
                                        a

(詳細は省略)。即ち、これは重力の強さを表します。これらのことより、
(13)式は慣性力と重力との釣り合いの方程式になっていることが判ります。
言葉を代えますと、重力のみが働くときのニュートンの第2法則を表してい
ます。そして、左辺の慣性力の項に含まれる質量 m と右辺の重力の項に含
まれる質量 m が等しい(等価原理)として m を消去すると測地線の方程
式(8)に帰着するわけです。
 (9)式については、測地線の方程式(8)のときと違って複雑すぎて、
本当にこれが物理法則を表しているかどうか判りにくいのですが、工夫する
と(6)式と同じであることが示せます。まず平坦なローレンツ系(局所的
ではなく全空間で)においては両辺ともに0になってしまい、無意味な方程
式になってしまいます。これは、至るところ無重力であるということの現れ
でしょう。次に少し条件を緩めて、完全なローレンツ系ではないけれど重力
が充分に弱く静的であるとして、(9)式を変形してみます。そうすると旨
           2            4
い具合に κ =8πG/c とおけば(6)式に一致することが分るのです
(詳細は省略)。こういうふうに、この方程式が重力場の方程式として妥当
であることが示されるわけです。

3.4 方程式の一意性

さて、(8)式や(9)式とは違った他の形では、一般相対論と矛盾しない
ような方程式は作れないのか?という疑問は残ります。即ち、(8)式と
(9)式は十分条件ではありますが、必要条件かどうかはまだ説明していま
せんでした。これに関しては実はこうです。慣性の法則を一般相対論で表す
と(8)式以外には成り得ないことは簡単に示せます(詳細は省略)。とこ
ろが、(9)式に関しては少しバリエーションがあるのです。つまり、一般
相対論の要請からだけでは重力場の方程式は完全には一意的には決りません。
幾つかの候補を挙げておいて、後は実験で検証するしか方法がありません。
結果的に、アインシュタイン方程式が正しいらしいということが光の湾曲の
観測や水星の近日点移動の観測、etc. により確認されているようです。

§4.重力と慣性力の判別について

最後に、久保田さんの「(計量テンソルの)二次微分まで検出するような実
験系を組み立てれば、その場が重力場か、単なる加速度かわかるのではない
かと思います。」という談話についてコメントします。はっきり言ってその
通りです。
 等価原理は重力と慣性力が判別できないことを主張していますから、言葉
通りに受け止めるとあたかも「自分の居る世界に在るのが重力なのか慣性力
なのかが全く区別できない」というふうに解釈してしまいますが、そういう
意味ではありません。具体的には、局所無重力系に放り込まれても、リーマ
ン・テンソルの成分を調べることによって、そこが見掛けの無重力なのか、
本当の無重力なのかが判ります。つまり、リーマン・テンソルは重力の微分
を含むのです。
 座標変換によって局所無重力系が実現できるという等価原理の要請は、観
測者がその狭い場所(局所)から離れないという“極限”状況のもとでのみ
重力と慣性力の2つの力が区別できないことを表しています。微分を計算す
るということは暗に観測者がその場所を離れたときの場の変化を測定してい
るわけですから局所的という条件が崩れてしまうのです。

          ・     ・     ・

参考文献

1)朝日新聞科学部運営のサイエンスネット上の次の掲載
>Board  : 科学記事ウォッチ              
>Text   : 128      Text Title  : 一般相対論から光速度の重力波を導く。 S  
>Author : reader   Text Length : 10968 Byte    Date : Wed Jun 15 12:11:33 1988
2)藤井保憲:時空と重力(産業図書、1979)
3)ランダウ、リフシッツ:場の古典論(東京図書、1964)
4)内山龍雄:一般ゲージ場論序説(岩波書店、1987)
         …………………………………………

    ●SMASHクン
\ /
  V
東京都渋谷区 山田 卓杜
(LAOX NET:LAOX1352, JUPITER-NET:JUP10364, スマッシュ君3:SMASHクン)



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 134       Text Title  : Re>一般相対論                           
Author   : host      Text Length : 3180 Byte    Date : Sun Jun 19 02:30:14 1988

一般相対論について
まあ、なんという難しい議論がなされていることでしょう。みんなあきれかえっち
まって、アクセスもしてくれなくなるのではと心配しているケペル内村です。
 そこでちょっと解説してみましょう。
大体、物理学なんていいかげんなものです。(というとスマッシュ君は怒るかな)
だってやっている人間がいいかげんなのですから。
物理学上の基本方程式を導くとき、以下のようなトリックが入っているのが普通で
す。(トリックというか、理論をたてるコツみたいなものです。)
【1】厳密な数学的条件に合うものしか探さない。(保存則とか対称性なんかこれ
です)
【2】経験的な状況に極限を持って行った場合に正しい。(量子力学でも、相対論
的力学でも、極限においてニュートン力学・・・高校でやるやつ・・・に合うよう
に作られています)
【3】最後にその方程式から導かれることが、これまでになく珍しいことである。
(実験とか観測で「その通り!」なんていわれれば「やったね!」ということにな
ります。)
理論屋はまず【1】の条件で相手にするものをしぼります。次に【2】となるよう
なものを探すわけですが、ここで、経験的な状況に持って行った場合、消えてしま
うものがいくつかありうるわけで、どれにしようかな、というわけになります。
そこでたいていは一番簡単な場合、というのでがまんします。これがたとえば「1
次の項まで残すと・・・」「比例するとすれば・・・」というような条件になるわ
けです。
そのうえで一般相対論の基本方程式では、
〈1〉すべてを変換で式の形が変わらないテンソル式で書こう。
〈2〉重力(質量)があれば時空が曲がる。
という二つの要請を満たさなければいけない、となるのです。
〈1〉から目をつけられるのが曲率テンソル、エネルギーテンソルという二つの量
です。前者は時空の曲がり方を代表し、後者は質量を含みます。ついでに【1】の
条件についてもどちらの量にも同じ保存則が成り立つことから満たされます。
そこで【2】を満たすようにしながら二つを結びつけることのできる一番簡単な式
を探し、「一次の項で比例させちまえ」という飛躍をして、アインシュタイン方程
式が得られるのです。(ここが一番いいかげんで、一番偉いところ)
というわけで、決して一歩一歩確実に論理を追っているわけではありません。数学
の定理みたいに物理の原理、基礎方程式は「導けるもの」ではありません。この最
後の曲芸みたいな乱暴な飛躍が、実は自然を説明しようとするチャレンジに大切な
のです。
そういう意味では、等価原理は〈2〉という意味しかなく、あくまでも「二つを結
びつけよう」というお題目、スローガンなのです。数学で定理を導くための公理な
どとはちょっと違ったものであることがおわかりになるでしょうか。(ウルトラ久
保田さんのいう「導くのに使っていない」というのは厳密には当たっていませんし、
スマッシュ君のいう保存則と等価原理の関係もちょっと勘違いではないでしょう
か)
ところでこういうふうに作った方程式が正しいかどうか、これはそれからいろいろ
予言してもらって、実験と合うかどうかという【3】という作業を経ないと駄目で
すね。
あたらしい理論というのは滅多に当たらんものです。超伝導についても、高温化す
るいろいろな理論がたてられましたが、一つも当たったものはなく、一発の実験で
物事が進んだのは皆さんもよくご存じでしょう。アインシュタインというのは偉い
もんだ。
なんかゼミの授業みたいになってしまいました。これにこりずに皆さんどうぞ。
アインシュタインについては、「神は老獪にして-アインシュタインの人と学問」
(アブラハム・パイス、産業図書)という本がメチャ面白いです。私も全部読んだ
わけではありませんが。           大阪科学部    ケペル内村



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 135       Text Title  : Re: 一般相対論                       S  
Author   : reader    Text Length : 1870 Byte    Date : Sun Jun 19 19:01:40 1988

ケペル内村さん、フォローありがとうございます。ただ、ちょっと気になっ
たのは、私の書いたような難しそうな奴は書くなという雰囲気が感じられた
ところです。現状のサイエンスネットでは、テキストを選択して読むことが
事実上困難であり、途中で中断することもできないということに関係してい
るのでしょうか。でも、ついでですから、読者をあきれかえらせない為には
「どう書けばよかったか?」ということも書いて戴けませんか? 一所懸命
書いたテキストを「呆れかえった」と言われてしまった物理学生の心境を察
して下さい。「アクセスもしなくなる」とはちょっとヒドイ言い方だとは思
いませんか? たまに変ったテキストが載ったからといって、言い過ぎじゃ
ありません? 色々な方向に展開する可能性を試してみることも、たまには
いいと思うのですが。何だか残念な気持ちです。
 でも、基本的には色々な書き込みがあって良いと思うし、私だって一方的
に難しそうな話を載せて読者を煙に巻いて自己満足に浸っているだけではあ
りません。その内容に関して疑問を持っている人が居るということを想定し
て書いています。自分でも疑問だったことが解ったようなので、報告してみ
ようと思って書いたりしています。ただ、書き方が下手で、良い印象を持た
れなかったとしたら、「こういうふうに説明したほうが良いのでは?」など
と優しく諭してくれる SIG.Op のような方が居て欲しいなと思います。今回
は試みとして、式の定義をはっきりさせてみたのですが、冗長になるような
ので、今後は止めようと思います。

         …………………………………………

それから、内容についてですが、内村さんの解説はほぼ理解できますし、何
をおっしゃりたいかは分ります。そして、私のテキストに欠けていたところ
を旨くフォローして下さったと思います。が、その中で唐突に、私が書いた
「保存則と等価原理との関係」が勘違いだと言われたところが、まだ全然解
らないのです。せっかくだから、どこが勘違いなのか教えて下さいませんか?
聞くは一時の恥、是非教えて下さい。

    ●SMASHクン
\ /
  V
東京都渋谷区 山田 卓杜
(LAOX NET:LAOX1352, JUPITER-NET:JUP10364, スマッシュ君3:SMASHクン)



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 136       Text Title  : 物理学はイイカゲンか?               S  
Author   : reader    Text Length : 4737 Byte    Date : Sun Jun 19 19:04:22 1988

「物理学がいい加減なものだ」ということですが、私もケペルさんも物理出
身なので、そういう間柄で交す言葉としては納得できますが、一般の人が読
むとちょっと誤解を招きそうで怖いです。十把一からげにいい加減だと言っ
てしまうことは簡単ですが、ある理論のどの部分が厳密で、どの部分がいい
加減かということを見極めようとする態度が大事だと思います。物理屋の間
では、特定の理論や実験結果が提案されたときに、その正当性があらゆる面
から評価されますが、往々にして、権威ある研究者の理論が、その妥当性に
疑問を持たれながらも、はやしたてられたりします。新聞記者はその宿命と
して、流行の理論や実験結果をレポートすることが多いでしょうし、そのと
きの取材を通して、その理論がいい加減なものであることや、実験の信憑性
に疑いが持たれていることを知ることもあるでしょう。しかし、決して物理
学がいい加減なのではないと思います。普通の物理屋はそれらを素早く正確
に判断しています。しかし、その判断はなかなか表面には出てきません。こ
れは物理屋の社会的責任だと思います。物理屋の大部分は内心おかしいと思
いつつ、ノルマとしての仕事をこなすために流行を追うことをせざるを得な
いこともあります。
 物理の研究の場に漬かっている私や私の研究室の人達から見ると、「正当
性に疑問が持たれても、一般受けしやすい話題ばかりがマスコミに取り上げ
られて、これはちょっと困りもんだ。」とか「新聞にあの話がもう出ていた。
きっと間違いに違いないのに‥‥‥。」ということが多いです。具体的には、
例えば以前に陽子崩壊が神岡で発見されたというニュースが飛びかったとき
も(あれはどうやら違ったらしい)、私がその実験をした研究室の友人に聞
いてみたところ、「あの結果を信じているのは教授だけだ。あとは誰も信じ
ていない。あれは、バックグラウンドじゃないかな。」ということでした。
しかし、マスコミではあたかも本当に発見されたということだけ(それとそ
の教授の談話)が出てしまいました。そして、他の殆どの物理屋は疑問視し
ている。特に同じ研究室で一緒に実験している人達があまり信じていないの
だが、先生の言うことに面と向かって反論したり、実験結果を否定するよう
な談話をマスコミに伝えたりすることをはばかっている、という事実は埋も
れてしまいました(これは全般的なことです。もし、朝日はそうでなかった
としたら、御免なさい)。
 これと同様なことは超伝導騒ぎにも言えることです。室温超伝導のニュー
スは殆どの物理屋が眉に唾付けて受け止めていましたが、マスコミでは普通
の物理学上の発見と同じようなニュアンスで報道されていました。Tc が窒
素温度を越えたときも、「BCSの壁を越えた」というふうに話題を巻きま
したが、BCS理論の転移温度の壁というのは、実はそれまでの実験結果か
ら Tc が30Kを越えていないという事実に合せたイイカゲンなものでし
た(私も実は超伝導騒ぎの後でこれを知りました)。今ではBCS理論の枠
内で高温超伝導を説明する試みもなされているのです。即ち、これに関して
言えば、超伝導が専門でない物理屋は(専門なら初めから知っていたはず)、
てっきりBCSの壁というものが、正当な理論から導かれた信憑性に足る結
論であるというふうに間違った認識を持っていたということになり、イイカ
ゲンだったということになります。しかし、このことは物理学はイイカゲン
だということでは無いと思うのです。
 私が思うに、物理屋は決してイイカゲンな理論を作って厳密であると主張
するのではなく、一所懸命に判断力を働かせている(人も居る)のだと思い
ます。説明が下手なのだと思います。ただ、社会的状況が旨く作用していな
いということが、問題だと思うのです。物理学が元来イイカゲンなのではな
く、その物理学を解釈する側がそれを台無しにしてしまうのだと思います。
私は本来の物理学は完全に正しいと思っています。それは、近似が無いとい
うことではなく、近似があったら誤魔化さずに「ここでこういう近似が入る」
ということを明言しているという正しさのことです。理論がどういう意味を
持っているかを吟味し、都合のいいことを言っている部分は「ここはちょっ
と調子良すぎるな」と我々が判断することを怠らなければ、自信を持って物
理学は正しいと言えると思います。イイカゲンな部分をイイカゲンだと言う
ことは必要ですし、私も気が付く度にネット上で「〜〜はイイカゲンだ!!」
と明言しています。しかし、物理学を指してイイカゲンだという態度には賛
成できません。
 きっと内村さんのおっしゃる物理学とは現在進行している人間臭い現場の
仕事を指し、私が言う物理学とは何か理想化された概念を指しているのです
ね。私としては、「あまり良くないことが分っているけど、それしか手が無
い」という現場を分って欲しい。その中で「良くないことが分っている」と
いう正しい認識が物理学の精神だと思うのですが、「それしか手が無い」と
いう部分だけを見られると、「随分イイカゲンな物理学」ということになっ
てしまうと思います。
 最後に、私の書いたテキストが困りものだったとしたら、若気のあやまち
としてお見逃し下さいませ。やはり、難しくて長すぎたのがまずかったので
すね。それから、感情的に「SMASHくんの書く文章は気に食わないから、
物理学も信用せん!!」と思われていたとしたら、まずいですね。文体を研
究したほうがいいのかな? 書けば書く程に反感をかうという悪循環は避け
たいです。

    ●SMASHクン
\ /
  V
東京都渋谷区 山田 卓杜
(LAOX NET:LAOX1352, JUPITER-NET:JUP10364, スマッシュ君3:SMASHクン)



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 137       Text Title  : 一般相対論だもんねー                    
Author   : host      Text Length : 1845 Byte    Date : Mon Jun 20 13:51:26 1988

私、ウルトラ久保田が始めた論争をケペル内村氏に取られた形に
なってしまいましたが、私信までいただいている以上、ウルトラ久
保田も「お答えします!!!」

 スマシュ君のコメントを見て、一日考えてしまいました。言われ
れば、そんな気もするが、なんかおかしな気もする・・・。

 大ざっぱに言うと、

(1)一般相対性原理とは、数式的には普通の時空間の偏微分D(
面倒なのでこう書きます)を、共変微分▽に置き換えること

(2) 等価原理は、共偏微分▽A=DA−ΓAで、Γ=0と置け
るローレンツ系が常にある

とでも、なるのではないでしょうか。

 スマッシュ君は「座標変換で局所ローレンツ系に移行させると、
そこではΓ=0ですから」運動量エネルギーテンソルの保存則▽T
は、DTにもどる、だから(2)も使っている、というご意見と思
います。

しかし、私には、Dを▽にするだけで、つまり、(1)のみでΓ=
0と取れる局所座標系があろうが、なかろうが重力場の方程式が出
せていると思えてしかたないのですが・・・。確かに、Γ=0とす
れば、元に戻りますが、方程式の導出過程にそのことを使っている
のでしょうか。

そして、蛇足ですが、Γ=0となる座標系はどんな時でも必ず取れ
るのでしょうか。ある重力場の方程式を解いたら、その解のgは、
どうやってもΓ=0とならなかった、なんて事はないのでしょうか。

抽象論だけでは、なんですから具体例を出しますと、重力場中の電
磁場の方程式は

           □A+RA=−μj

となります。これは、方程式中にモロに、リッチ・テンソルが出て
いるので、例えΓ=0としても、左辺第二項は0にならず、等価原
理は成立していません。これは、内山龍雄氏が岩波全書の「相対性
理論」で「等価原理は一般相対性理論を導くのには、有力な方法だ
が、できあがった理論にはこの原理に背くものがある」と述べてい
ます。

等価原理を満たすように作った、はずの一般相対性理論が、どこで
等価原理を満たさなくなったのか?ケペル内村氏の「物理いい加減
論」にどこかつながるところが、ある気がします。

おお、今日は物理してしまったと感激のウルトラ久保田であった



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 138       Text Title  : どんどん難しいことも易しく書こう        
Author   : host      Text Length : 1607 Byte    Date : Mon Jun 20 14:54:40 1988

 それから、「このネットに難しいこと書くな」論ですが、議論の
言い出しっぺの責任をとって、私の思うところを書きます。
 
確かに、いわゆる普通の話をやってる所に、急に数式展開が始まる
と、飛ばして読めないこのネットの性格上(情けない!)確かに「
一般人」にはハタ迷惑でしょう(でも、こんな議論を見て、世の中
には、本当にわけのわからん事があると喜ぶ人もいるかも知れませ
んが)。

ですから、本当はネット内に「本格物理コーナー」でも作れば問題
無いのですが、こんなの作ってもつぶれるのは、目に見えています。
(なんと言っても、書き込みの絶対数が、「天下」の某朝日新聞社
がやってるとは、思えんほど少なく、本当の草の根ネット以下だから)

いままで、本格物理の書き込みなんて、数えるほどしかないもんね。
このまま、適当なコーナーに居候していくしかないでしょうねえ。

そんで、折衷案ですが、できるだけ数式を減らし、普通の言葉で書
けることは書き込むと言うのはいかがでしょうか。(実は新聞の科
学記事は全部これ。科学欄で数式見たことほとんどないでしょ!)

例えば、上に書き込んだ私の「一般相対論だもんねえ」は、いい加
減な数式を少しだけ書いてますが、あれで分かる人には分かるし、
あれで「ヒエー!」という人はどう式を書いても、ヒエーだと思い
ます。

特殊文字を使うには、不便なパソコンを使ってスマッシュ君は、よ
くあれだけ上付き、下付きなんてもんを書いたと、感心してしまい
ます。

ただ、普通の教科書に載っているような式の導出までネットに書く
必要はないのでは、と思います。というのは、数学的に話について
行こう、という人は、常識として知っている共通理解上のことです
し、「共変微分なんて生まれて始めて見た」なんて人は、あれだけ
では、どうせチンプンカンプンでしょうから・・・・。

おお、偉そうに説教垂れるウルトラ久保田であった



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 139       Text Title  : 物理大好き!   U                    
Author   : host      Text Length : 2266 Byte    Date : Tue Jun 21 02:26:14 1988

ご苦労さまでした、スマッシュ君
いや確かにスマッシュ君のいうとおりです。ここには何を書いてもいいんです。
デスクの「こんな難しい原稿だれも読まんで」といつも文句をつける根性がつい、
私にも染み着いてしまったのでしょう。反省してます。スマッシュ君もこれにめげ
ずに物理して面白い書き込みをください、物理はロマンの宝庫なのですから。

独白・・・(昔懐かしき物理、それも相対論が出てきたので、つい私も入れ込んで
しまいます。私は一般相対論は今は亡き重力は検出の大家、平川浩正先生に習いま
した。いまだに物理が好きッ!といってしまおう)

やさしい科学記事の書き方というのは私たちも苦労しているところです。科学者た
ちは専門用語(数式を含む)でしゃべったほうがないようが効率的に正確に伝わり
ます。ところがそれでは、普通の人たちはちんぷんかんぷん。そこで、ブルーバッ
クスを参考にしたりして、高校生でもわかるようにします。それでも難しいと思う
読者はたぶん多いことでしょう。

でもいろんな人にインタビューしていると、よく分かっている人ほど、こちらを分
かった気にさせるのはうまいものです。やっぱりこちらが本当によく理解するのが
一番だなあ、と思っています。

もしこの記事よく分からんと思われるのがある人はどうぞ遠慮なくこの欄にアップ
してください。できる限りお答えするのは私たちの義務ですし、こう書いたほうが
といわれれば、それは私たちのとても大きな勉強になります。(私たちも好きなこ
といいますけどね)

さて、スマッシュ君の書き込みの内容についてですが、エネルギー・運動量テンソ
ルの保存則は等価原理から導かれるのではないと思います。ランダウリフシッツ風
にいえば、系の対称性から、数学の言葉でいえばガウスの定理を使って(部分積分
といっても同じこと)、数学的に証明できるのではありませんか。大体これは連続
方程式ですからね。(ここは同好の士しか分からんだろうね)

     相対論教科書の数なら負けない 大阪科学部 ケペル内村

追伸1 いいかげん論にはいろんなニュアンスがあります。ちゃんと書きたいと思
いますので、しばらく時間を下さい。なお新聞の犯すいろいろな判断ミスや誤報に
ついては討論室の原発コーナー102「原子力と科学部の役割」の第三パラグラフ
の一部が(広瀬氏の仕事の評価以外の部分)参考になると思います。
追伸2 「読むことができません」メッセージはなんで出るのかよく分かりません。
私のマックではあまり無いのですが、スマッシュ君はどんなハード、ソフトをお
使いですか。要望コーナーにレポートしていただくと参考になるのですが。(私は
回線のご機嫌ではないかと思っているのですが。)



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 140       Text Title  : またまた等価原理                        
Author   : host      Text Length : 1250 Byte    Date : Tue Jun 21 13:31:41 1988

 なぜ、一般相対論に等価原理はいるか、などという話を元々始め
たのか、少し説明しておきたい、と思います。

一般相対論は確かに認められている理論ですが、一部で疑問を持ち
続けている科学者もいます。(ごく、一部でしょうが)。

誰でも手に取れる批判の本に、例によってブルーバックスの「相対
性理論の再検討」があります。これは、物性論を学んだ人にはお馴
染みのブリュアン・ゾーンのブリュアンが書いている本です。

それから、量子力学の教科書で有名なシッフも、一般相対論批判と
とれる論文を書いています。普通、一般相対論が実験的に正しいと
認められたのは、

(1)重力による赤方変異(2)重力による時間の遅れ(3)水星
近日点の移動

が代表的なものですが、シッフによると、(1)、(2)はいずれ
も特殊相対性理論だけで説明できてしまうそうです。

では、(3)も説明できれば、一般相対論はいらなくなるんじゃな
いか、と昔私も頑張って見たことがあります。しかし、だめでした。
近日点は、確かに特殊相対論だけでも、移動します。

でも、移動方向が一般相対論の予言と逆で、回転角が確か4分の1
だけでした。後日、友人から、パウリの本に同じことが載ってると
いわれ、計算は間違っていなかった、と喜んだ覚えがあります。

これは、失敗しましたが、本当に一般相対論は、正しくかつ必要な
理論なのでしょうか。

まだ、疑問はありますが、この次にします。

最近、まじめなウルトラ久保田。



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 141       Text Title  : 米国のサイエンスネットワーク            
Author   : reader    Text Length : 1208 Byte    Date : Wed Jun 22 09:04:13 1988

米国のサイエンスネットワーク
PHYSICS TODAY にAMERICAN INSTITUTE OF PHYSICS のネットワークの広告がのって
いたので紹介します.名前はPI-NET (PHYSICS INFORMATION NETWORK)で現在データ
ベースへのアクセスは無料となっています.
==========================================================================
PI-NET 電子情報サービス.
■研究情報…最新のアブストラクト,雑誌記事のタイトル
■科学/政府情報…FEDERAL AWARENESS SERVICE
■就職情報
■アナウンスメント…米国物理学会のWHAT'S NEW
■会合予定
■ONLINE 注文
PI-MAIL 電子郵便サービス
■登録は無料
■接続時間と利用で料金
ONLINEでもっと情報があるよ.
アクセス方法は
■TELENETに接続■を2回押す■TERMINAL=に対し,■@プロンプトに
対し,TELEMAIL■Username?に対し,AIP.ONLINE■Password?に対し,
NEWUSER■PI-NETの詳細についてはここで表示される.ONLINE 登録法も示さ
れる.
==========================================================================
TELENETにはKDDのVENUS-Pからアクセスできるようです.もちろん無料とはいっても,
KDD(それにNTT)には料金を払わなくてはいけないでしょうが.今のところ小生は
これを試してみる条件に無いので,どなたかつないでみて体験談など教えて頂いた
らと思います.
              高知大理物理助手 菊地時夫 PC-VAN JGC14005



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 142       Text Title  : ウィルスについて試してみました          
Author   : reader    Text Length : 993 Byte    Date : Wed Jun 22 13:16:12 1988

 ウィルスの事が少し前に書かれていたので、調べてみました。
どうも元祖はMacみたいですね。
UNIXでは、PDSの配布の大半がソースコードで行なわれる事と
機種ごとにOSのバイナリコードが違うためにウィルスを忍び込ませる事が
出来ません。 またこれにより伝染もさせられません。
MS−DOSもIBM−PC等にある事はありますが、使用されているMS−DOSの
バージョンが多種あるために、やはりウィルスを潜ませる事に無理があります。
その点MacやAMIGA等のOSは種類が少なくウィルスを潜ませるのには
好都合でしょう。
用は、プログラムを実行するとOS部分をひそかに変更して、次に実行する
プログラムには、今度はOSから逆にプログラムにウィルスを仕込ます。
そのプログラムが正常なOSに悪さをする・・・と言う風になります。
(これは最も悪質です。 本家ではありますが)
普通はOSからプログラムに対しての変更は行なわれず、何度か(何日か)その
ウィルスに侵されたOSを使っていくと、時限装置が働いてシステムやファイルを
破壊し始めるわげです。
                                                   高野



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 143       Text Title  : ウイルス欲しいよ                        
Author   : host      Text Length : 329 Byte    Date : Wed Jun 22 20:28:16 1988

突然出ました。大阪科学部の小森です。
今、コンピューターウイルスの事を調べてます。
ワクチンは結構あるんですが、ウイルスはなかなか見付かりません。
NO.142の高野さん持ってるんですか。?
どなたかウイルスを培養している方、ぜひお知らせください。
実物が見たいヨーー。

                              小森   NIFTY:PBB01265



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 144       Text Title  : ソスウノシキニツイテ                              
Author   : reader    Text Length : 309 Byte    Date : Sat Jun 25 12:48:01 1988

大したことはない素数の方程式(305について)

この式の1番目は、素数が「6の倍数ではなく、
6xN+2(つまり2の倍数)では割れず、
6xN+3(つまり3の倍数)では割れず、
6xN+4(つまり2の倍数)では割れぬ)」
と言うことを言い直しただけのこと。大発見でもなんでもない。

初めてUPする・・・三好 彰



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 145       Text Title  : 素数の式REのRE                      
Author   : host      Text Length : 898 Byte    Date : Sat Jun 25 23:48:47 1988

フリートークコーナー「素数の方程式」の答えの答え
  三好彰さん、はっきり言って「当り」です。

この素数の方程式(?)は、一番簡単に言うと「2と3で割れる数は、素数でない」
という当り前の事を、なんとなく分かりにくく述べているに過ぎません。
 こんな問題は、難しく考えすぎる大学生レベルの人より、中学生く
らいの人の方が、早く答えを見つけられたかも知れません。
 私はというと、情けないことにこの手紙をもらったとき、しばらく
考え込んでしまいました。
 いままで、誰も見つけられなかった素数の簡単な判別式が、こんな
簡単な式で出るわけが無いという思い込みがあって、間違っている
ことを証明しようと思ったのが、こちらの間違いの始まりでした。
 それから、(2)の方は、どうでしょうか。文意が分かりにくいか
も知れませんが誰か簡単に説明してくれませんか。

(おまけですが、フリートークコーナーの返信はフリートークに書
き込んでね、何がなんだかわかんなくなるから)

と、お願いするウルトラ久保田であった。



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 146       Text Title  : 二重反転スクリュー                      
Author   : reader    Text Length : 3241 Byte    Date : Wed Jun 29 13:40:29 1988

<<<二重反転スクリュー>>>

昨年初冬、『変わるメディア』が連載されているころは何回か投稿しましたが、
「サイエンス・ネット」になってからご無沙汰しています。
 たまたま、6月27日夕刊の標記記事と、同ページの『続SDIの現場』を拝
読し、45年前に学んだ「魚雷」を思いだしました。私は海軍兵学校の75期で
「江田島」で終戦を迎え、実戦の経験はなく、魚雷は実物を見たことはあります
が、発射テストをしたことはありません。当時、「水雷」(魚雷、機雷、爆雷の
総称)の教官から習った記憶をたどると魚雷の機能は次のとうりです。

 @先ず、推進機は『二重反転スクリュー』を使用していました。ガソリンエン
ジンの回転を、自動車のディファレンシャルギヤーのような構造の歯車で、同軸
のシャフトの内外の回転を反転してスクリューに伝えます。理由は、本体に比べ
スクリューが大きいので(直径比で50%?)スクリューの反作用で本体が回転
すると姿勢制御ができなくなり命中率が極端に低下するのを防止するためです。

 A余談になりますが、進行方向は、発射時の方向で決まります。(ERIS)
のように追尾機能はありません。従って、標的の未来位置を予測し、海流の影響
等を補正して発射時の方位角を決めます。

 B姿勢制御は水圧を検知するセンサーで行います。反転スクリューと安定板の
効果で魚雷は回転しません。魚雷本体の左右の対称の位置に窓があり、ゴム幕が
張ってあります。魚雷が曲がれば対称のゴム幕に掛かる水圧差を生じ、その信号
を機械的に左右の方向舵に伝え、進行方向を修正します。もう一つ、水深を検知
する同じ構造のセンサーがあり、発射時の設定値からずれると上下の方向舵を修
正します。コンピューターもサーボモーターも無い時代、すべて機械的に処理し
ていました。

 C燃料はガソリン、酸化材は第一空気(普通の圧縮空気)と第二空気(圧縮酸
素)。酸素でガソリンを燃焼すれば、燃えかすは水と炭酸ガス、どちらも水にと
けるので航跡が出ないため発見されません。誰でも考え付くことですが、いきな
り酸素で点火すると爆発するので、発射時は先ず、普通の空気で点火してから酸
素に切り替えるところがミソだったようです。

 D発射時の初期設定をもう一度整理すると、方向、水深(浅すぎると海上に浮き、
深すぎると標的の下を通過する)、速度(最高80ノット=150Km/h)航続
距離(10マイル=18.5Km以上、速度により最高航続距離は異なる。)浮上
または沈下の選択(設定航続距離を走航後、標的に命中しない場合は、ダミー弾頭
でテスト発射の際は浮上するように設定し、実戦の場合は海底に沈め敵に回収され
るのを防止する)

 E値段は当時の金で3万円、葉書の値段で換算すると時価8000万円、兵学校
生徒一人の養成費と同額で貴様らは魚雷一発と同じだといわれたのを記憶していま
す。(ERIS)が1台100万ドル、125円で換算した1.25億、と比較し
ても高価なものです。従って、少しでも命中精度を上げるため、ダミー弾頭に発見
し易いように照明電球をつけ、標的艦の深度より水深を深く設定して発射テストを
繰り返し、癖を記入した経歴書をつけ発射時に癖を補正した設定をします。

 くだらんことを長々と書きましたが、『二重反転スクリュー』は半世紀以上前か
ら魚雷に利用されていたことをお知らせします。

昭和63年6月29日 朝日新聞・27日夕刊
『世界最初の二重反転スクリューを開発』担当記者殿
                                              〒630-02
                                              生駒市辻町399-36・17-101
                                              電話 07437-4-3744
                                              会社員(技術系)61才
                                                               小林宏連



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 147       Text Title  : 怒りのウルトラ久保田 NO1            
Author   : host      Text Length : 1022 Byte    Date : Thu Jun 30 19:31:47 1988

 この次の書き込みNO・148は、6月22日付夕刊科学欄に書いた
「脳死・疑問続出の厚生省基準」の全文です。

そして、次の次の書き込みのNO・149は、この記事に付いて、あ
る医者からもらった批判の手紙について(私が頭にきて)書いた返
信の全文です。

医者からの手紙の内容は、NO・149を読んでいただけば、だいた
い感じでお分かりになると思いますが、要旨だけ書くと

「脳死になれば、人は絶対生き返らない。判定基準が確実でなけれ
ば、生き返る人がいるはずなのに、そのような例は世界で一例もな
い。私は、脳幹死論者だが、脳死しても、視床下部からホルモンが
出ることもあるだろう。でも、どうせは死ぬのだ。これを書いた記
者は、謝って脳死と判定された例があるかどうか、全く調べていな
いがおかしいし、これら記事に出た脳死患者がいつ死んだのか書い
てないのは、アンフェアだ。先進国で解決済みの脳死、移植で日本
が世界に立ち後れるのは、ジャーナリズムに責任の一端がある。」

と、いったところです。

この問題に興味のある方は、どうぞ続いてお読み下さい。しかし、
どちらもやたら長いのでそのつもりで、頑張って下さい。

怒りのウルトラ久保田であった。



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 148       Text Title  : まだまだ怒りのウルトラ久保田 NO2    
Author   : host      Text Length : 4527 Byte    Date : Thu Jun 30 19:40:58 1988

年月日−− 880622
見出し−− 脳死、厚生省基準に疑問続々
本文−−−                   880622(水),夕刊
    脳死患者の瞳孔(どうこう)が変化した、脳がホルモンを出した、呼吸
    を始めた−−。日本医師会の生命倫理懇談会は今年1月「脳死を人の死と
    認める」との最終報告署を出したが、脳死についての研究が進むにつれ、
    脳死患者が、いろいろな「活動」をしていることが分ってきた。

    脳死かどうかを判定するには、これらの事実が分る前に厚生省の「脳死
    に関する研究班」(班長・竹内一夫杏林大学長)が定めた脳死判定基準が
    もっとも広く使われているが、この基準から外れる例が数多く見つかって
    きたことから、厚生省基準への疑問は高まる一方だ。

    【その1】 拡大縮小する瞳孔径

    厚生省基準では、脳死患者の瞳孔は動かないものとされている。自治医
    科大精神科の石黒健夫教授らのグループは、脳死患者の瞳孔を測ってみた。
    13歳の男の子の例では、脳死判定後心臓死するまでの9日間に、瞳孔
    径が5ミリから7.5ミリの間を数回揺れ動いた。
    岩手医科大脳神経外科の黒田清司助手も、過去5年間に脳幹死と判定さ
    れた患者を調べたところ、17例中14例の瞳孔が変化していたことが分
    かった。自分で呼吸できるかどうかのテストが行われていないため、厚生
    省基準による脳死とはいえないが、最初は瞳孔径が4ミリを超えていたの
    に、途中で4ミリ以下に落ち込んだ例が2例あった。

    大阪府立病院の桂田菊嗣救急診療科部長は「脳死患者でも瞳孔径がゆっ
    くり変わることはありうると思う。問題は、脳死でないのに厚生省基準で
    脳死と判定されてしまう場合があるかどうかだ」と話している。

    【その2】 脳からホルモン分泌

    厚生省基準では、脳死は脳のすべての機能が止まる「全脳死」と定義し
    ている。だが、脳死患者が脳からホルモンを分泌している、という報告が
    これまでもあった。観察されたホルモンのほとんどは、脳下垂体前葉が分
    泌しているものだった。このため「脳下垂体前葉は、発生学的には脳とは
    いえない」として、厚生省基準との矛盾を避けていた。

     ところが、日本医科大の救急医学と脳神経外科のグループは、脳下垂体
    の上に位置する視床下部からも、3種類のホルモンが分泌されていること
    を見つけた。いずれのホルモンも普通の人並みの量が記録され、脳死判定
    後27日たっても分泌していた脳死患者もいた。

     広島大医学部の魚住徹教授らも、4人の脳死患者の視床下部からホルモ
    ンが出ていることを確認、5月末に医学誌に発表した。魚住教授は「視床
    下部の一部が生きている可能性が高いのに、厚生省基準では、脳死を全脳
    死と断定的に定義している」と話している。

     【その3】 自力で呼吸も始まる

     患者が自分で呼吸ができるかどうかは、脳死判定の大事な項目だ。具体
    的には、脳死患者の人工呼吸器を10分間外し、その間に自力で呼吸を始
    めるかどうかをみる「無呼吸テスト」で判定する。患者の脳幹が生きてい
    れば、人工呼吸器を外すことで血液中の炭酸ガス濃度が上昇、脳幹にある
    呼吸中枢を刺激し、自然に自発呼吸が始まるはずだ。

     京大付属病院の救急部、集中治療部、麻酔科のグループは厚生省の脳死
    判定基準で脳死と判定された患者について、無呼吸テストを10分以上に
    延長してみた。テスト開始25分後に脳死患者の腹部が規則的に上下し始
    め、1分間に数回のペースの自発呼吸が10分間続いた。厚生省基準では
    脳死とされてしまった例といえる。

     同病院救急部の新宮興・助教授は「あれは確かに自発呼吸。このような
    患者は臓器摘出の対象から外さなくてはならない。移植となると、基準に
    加えて、患者の脳血流が止まっていることくらいは確認する必要があるの
    では」と話す。

     作成学者「見直す必要ない」

     現場の医師たちから続々と寄せられるこれらの批判や疑問に対し、厚生
    省基準の作成に参加した山口大医学部の武下浩教授は「脳死患者が呼吸を
    したというが、せき髄反射で1、2度腹筋が動いただけだ。瞳孔が変化し
    たのも、脳幹以外の反射が考えられる。視床下部ホルモンなどについては、
    発表を聞いていないので何ともいえないが、確認した範囲では厚生省基
    準から外れる脳死は一例もないと思っており、基準を見直す必要はない」
    と話している。

     <脳死判定基準> 厚生省の「脳死に関する研究班」(班長・竹内一夫
    杏林大学学長)が、60年に定めた脳死判定基準では、脳死というには(
    1)深いこん睡(2)自発呼吸の消失(3)瞳孔(どうこう)径が4ミリ
    以上で固定(4)脳幹反射の消失(5)脳波が平たん(6)以上の条件が
    満たされた後、6時間経過を見ても変化がない――の6条件をすべて満た
    すことが必要とされている。

        まだまだ、怒りのウルトラ久保田であった



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 149       Text Title  : 怒り怒りのウルトラ久保田 NO3        
Author   : host      Text Length : 5325 Byte    Date : Thu Jun 30 19:49:55 1988

 前略

 6月22日付夕刊の脳死判定の記事に関する★★さんのご意見拝見させ
て戴きました。ご質問に順番にお答えしたいと思います。

 まず、記事中にある脳死患者が何日後に心臓死したのか書いてないのが
アンフェアである、とのことですが、この記事は今まで出した脳死判定基
準に関する記事のサマリーに過ぎません。

 [その1]にある自治医科大による脳死判定後の瞳孔径変化は、6月1
1日朝刊に、[その2]の視床下部ホルモンは6月19日朝刊に、[その
3]の自力呼吸は6月10日朝刊にそれぞれ第一報が載っています。

 一報段階で、[その1]は、脳死判定後9日、[その3]は3日後に心
臓死したとちゃんと書いてあります。[その2]のホルモンについては、
調査対象17例総てに認められていることで、脳死患者に対する普遍的事
実と考え、各々の心臓死までの期間は不必要と思い省きました。

 ですから、科学面での心臓死までの期間の省略は、前の記事と重複をで
きるだけ避けた単なる結果です。お手紙の文面から推察すると、これらの
記事はご覧になっていなかったと思われますが、いかがでしょうか。

 茨城県にお住まいのようですから、東京版が使わなかった(各本社間で
各記事の掲載にばらつきがあったのが、このサマリーを作った一つの理由
です)[その1]の記事についてご存じないのは仕方ないにしても、もし、
本当に脳死に興味がおありで、記事を批判なさるときは、せめてその前
後にある同じ新聞の脳死関係の記事は読んでおいて下さい。

 私が★★さんのお手紙で、最も理解できなかったことは、「脳死患者が
生き返ってくることが・・・今まで世界で一例もないのです」と断定的に
書かれていることです。「今まで世界で一例もない」となぜ断定的に言え
るのか、その根拠となったデータをお示し戴きたいと思います。

 失礼ですが、私には★★さんが全世界の脳死判定のデータを、お持ちの
上でされた断定とは思えません。脳死問題は、このような完全な裏付けの
ない不用意な「断定」が医者から行われ、それが単なる思い込みだったと、
ばれるごとに一般市民の疑惑が高まり、かえって脳死が受けいられなく
なって行く、というのがパターンであり、今回の「脳死判定に疑問」とい
う記事を、生んだ一つの理由でもあるのです。

 日本精神神経学会が、脳死に反対表明をしたのも「脳死判定は誤り得る」
というのが、理由のひとつでしたし、脳死者からの心、肝、腎の移植を
始めようとしている大阪大学の倫理委員会でも「脳死判定は誤り得る」と
家族に説明してから、臓器摘出をすべきだという論議の流れになってきて
います。臨床の場面で、自らの誤診を色々経験されて来ているであろう皆
さんが「脳死判定だけは、100%確実」と自信を持って言われる理由が
私には、理解出来ません。

 それに、脳死判定後生き返ったという「報告例」は、あります。日本看
護協会出版会から出ている「生きるってすばらしいね」と言う本には、交
通事故で脳死と判定されたものの、一人で歩けるまで回復した望月名子さ
んの例が紹介されています。また、脳死の宣言後、患者が意識を取り戻し
てしまい、医者が脳死の取り消しを家族に申し込んだ、ということが読者
の欄で紹介されたこともありますし、外電でも、脳死判定後、自発呼吸を
始めたという例は、時々見られます。(最もパノラマ事件の例もあります
が)

 これらの例に対する医者からの答えは決まっています。「生き返ったと
いうなら、それは誤診だ」。この論理は、無敵の論理です。「脳死の定義
に生き返らないとあるから、生き返ったのは脳死でない。よって定義や判
定法に誤りはありえない」というのと、同じことです。また、例え本当に
誤診であったとしても、脳死の判定法のあやふやさを示す実例にしかなら
ないと思います。

 それからお手紙には、あの記事は「誤って脳死と判定された例があるか
どうかについて全く調べていない」と、ありますが、[その3]は明らか
に「誤って脳死と判定された例」です。★★さんは、パリスばりの脳幹死
論者のようですが、脳幹死なら、自発呼吸があってもいいのでしょうか。
「息が有っても、結果的に死ねば脳幹死」とはあのパリスも言わないでしょう。

 この件が発表された日本麻酔学会に、竹内基準作りに参加された山口大
の武下教授が出席されていたので、コメントを御願いし紙面に紹介しました。

 武下教授は「脊髄反射に間違いない」と述べられていました。私が「十
分間、呼吸が続いたと聞いていますが」というと、「マスコミは、そうい
う聞き間違いをするから困る。私は、発表を聞いたから分かる」と言われ
、
数回反射で腹が動いただけ、と解釈されていたようです。

 しかし、私は、発表の前日に2回、発表後の1回の計3回に渡って直接、
この患者を診た医者に話を聞いています。脳死患者の呼吸用運動は、10
分間周期的に続いていた、と一貫しています。武下教授の「聞き間違い」
と言わざるを得ません。

 ★★さんが、見抜かれたように、あの記事は、脳死に対する疑問を書い
た記事ではなく、脳死判定、正しくは竹内基準に対する疑問の記事です。
判定基準という以上内部矛盾は持ってはならないと考えますが、あのよう
に少なくても3点で定義や判定法が矛盾を起こしています。それをどうに
かして欲しい、と述べているのに過ぎません。

 私は、脳死問題は、移植と切り放しては論じられないと考えます。移植
さえなければ脳死などというマイナーな問題がこれほどの社会問題になる
必要はないのですから。

  外科医からは「移植は純粋な医学上の問題。医学知識のない市民から口
出しをされる問題ではない」という「本音」を時々聞きます。もし移植が
本当に「医学上だけの問題」であり、医者だけでできるものなら、ぜひ市
民の合意もなく、ドナーもなしで移植をやってみて戴きたいものと思います。

 とにかく私が一番言いたいのは、移植や脳死について市民のコンセンサ
スを得ようと思うなら、もっと医者側が正直に、誇張なく市民に語りかけ、
間違ってしまったらすぐ詫びて、軌道修正していくといった、柔軟な姿
勢で話を進めていかないと絶対進まないだろうと、言うことです。

                         草々
怒り怒りのウルトラ久保田であった



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 150       Text Title  : 怒ると論議が出来ないのでは?            
Author   : reader    Text Length : 2811 Byte    Date : Thu Jun 30 23:21:45 1988

なぜ久保田某氏が怒るか解らないリーダーより。

  あまりに長い3通の怒りのメッセージを、読んでみました。
  ただ、熟読とはいえず、目を通しただけなのです。

  内容は脳死の問題らしいことが解りました。
  また、脳死に対し、厚生省から提示されている判定基準にたいし、疑問を
  抱くべき事実があるとの記事に対し、★★さんとかいう方が、怒りの久保田
  氏に、若干、科学的根拠が不十分と思われる手紙を書かれたことに対し、
  久保田氏は怒ってなんと長い長いメッセージを登録したということでしょうか
  脳死あるいは死そして臓器移植の問題は、今後、私たちの社会に大きな論争を
  巻き起こす概念であることは、多分、間違いがないでしょう。
  従って、このような論争は、互いに事実をもとに、冷静に論議して行きたいも
    のだと私は思います。
  久保田氏は、そのような視点で、話題を提供したのだと思います。
  (まさか、御自分で脳死基準を作成するつもりではありますまい。)
  それに対し、私の理解するところでは、★★氏から、朝日新聞にのった記事を
  見ないで、かなり断定的な批判は許さないといったイメージの反論があった
  ようです。

  そこで、何故、久保田氏が怒るか、私には理解が出来ないのです。
  もし、★★氏が、感情的であればあるほど、すくなくとも「科学」サロンなの
  ですから、怒らないで、冷静にデータの不足、考え方の論理上の矛盾などを
  じっくりと、この場で討議願えればいいのではないかと考えます。
  たとへ、一方が感情的であっても、(私が理解するところでは久保田氏は、こ
  の科学サロン?のホスト側にたって、いろいろと議論を盛り上げて行くべき立
    場の方に見受けられます。)冷静にみのりある議論にして行きたいものです。
  死の判定は、これはたいへんむずかしいのでしょう。
  人間の死と人間の脳の死と臓器の死は、これは別個であります。
  脳死と臓器移植は別物に考えるべきだという人がおりますが、臓器移植がなか
    ったら、脳死判定の課題は出てこなかったのではないでしょうか?
  死んだ臓器は移植できないのではないでしょうか?
  現在、脳の死を、人間の死であると定義しようとしているのは、(臓器は生き
  ているのです。)生きた臓器を脳が死んだ人から取り出そうとしている背景が
  もっとも大きな動機になっているのではないでしようか? 

  脳死は、私にはあまり解らない部分ですが、別の課題を解いてみてください。

  汚い話ですが、ウンコは、いつからウンコなのでしょうか?
  体の外に出たときにウンコになるのでしょうか?
  直腸に入ったら、ウンコというのでしょうか?
  それとも、大腸や小腸あるいは胃袋あたりからウンコと定義するのでしょうか
  また、ウンコは、人体の一部なのでしょうか?

  髪の毛については、生きているのでしょうか?死んでいるのでしょうか?

  私は、これもよく解りません。   
  初めてアクセスし、最近のメッセージを読んだ感想を述べました。
  背景が判らず、誤解しているところがありましたら、新入READERのせ
    いであるとお思いになって、あまり怒らないでください。

                 大変失礼致しました。 寺田公彦



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 151       Text Title  : ウルトラ久保田は、何故怒る?              
Author   : host      Text Length : 1193 Byte    Date : Fri Jul  1 12:21:53 1988

 何故ウルトラ久保田は、怒るのか!!。答えは、簡単。私が、短気
だから。(堪え性がなくてゴメンネエーー)。大体怒りパワーがない
と、不精ものの私にはあんな長い手紙は書けません。

 もう少し、怒りの意味を説明すると、あの手紙の中身は別に特異な
例でなく、臨床医の皆様によくある意見でして、かつ、私は絶対承服
できないと思う意見だからです。

 あのかたの言うように「ちっとくらい脳死の基準がおかしいと言っ
たって、どうせ、生き返らんのだからいいじゃないか」といったアバ
ウトな意見(私は、こういうように解釈しました)は、脳死のついて
は、認めるわけにはいきません。

 脳死後に臓器を摘出しようというのは、すでに確実に「死んでいる」
から許されるのであって、「生き返らないから」ではないのです。
だったら、もう絶対助けられないと思う重体の患者から「どうせ、だ
めなんだから臓器をもらうか」と「生きている」のにもかかわらず、
臓器が取れるのでしょうか。

 私は、あの判定基準で確実に「死んでいる」と言えるかどうかを、
疑問としているのです。

 ところで、途中まで、やにシビヤな話と思いつつ読んでいると、突然
「ウンコ」の話になってしまう当たり、あなたの性格は、ウオッチよ
り、フリートーク向きのパーソナリティーではと、勝手に判断しまし
た。有力な新人として、ぜひ遊びに来て下さい。

短気なウルトラ久保田であった。



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 152       Text Title  : 久保田さん、頑張って!!                
Author   : reader    Text Length : 3387 Byte    Date : Sat Jul  2 02:49:49 1988

久保田氏の一部の意見を引用し、議論を進めることをお許しください。

久保田氏のメッセージのごく一部
***
   あの判定基準で確実に「死んでいる」と言えるかどうかを、
疑問としているのです。
                             ***

私の素直な反応は、「死んでいる」と言えないと思います。
別なことを言えば、どのような判定基準であっても、「死んでいる」とは、
言えないのではないでしょうか?

「死んでいる」という概念には、いろいろな意味が含まれているのは、
久保田氏も御存知のとおりです。
ここでは、「生物」としての「個体死」がテーマになっていると思います。

「死」そのものをまず定義しなくてはならないでしょう。
(個体死は、死の下位の概念ですから)

この定義は、非常にむずかしいものです。
しかし、「死」の反対語として「生」という言葉があります。
これは「生死をかける」などという言葉で、表現されております。
このようなことを考えますと、「死」とは、(生物の)ある状態を表現している
と考えられます。

これだけでは不足です。
私たちは、一般的に何を以て「死」としているのでしょうか?
いろいろな事例が欲しいものです。
一部、事例を出してみますが、皆様も出してください。
特に、「死」と「生」の区別がつくような事例がよいと思います。

ミイラは死んでいます。
生きている人は、動きます。
死んだ人は、子供をつくれません。
怒りの久保田さんも、私もまだ生きています。
このメッセージが読める人は、生きています。
死んだ人は、切っても痛がりません。
・・・・・・・・・

このような、素人ぽい定義で、わたしたちは生と死を区別しています。

しかし、いつ死んだかは、自分の親父でも、我々素人は定義出来ないのです。
しょうがないので、医者に何月何日何時何分、誰それは死因☆☆で死亡した。
という証明書を書いて貰います。
この証明書がないと、火葬も出来ません。
また、いろいろな社会的な手続きも出来ません。

これが、実際の社会なのです。
わたしたちが「個体の死」を定義していても、実際は「社会的な死」しか、
あるいは「法律的な死」しか定義されないのが現状です。

わたしたちは、この法律的、社会的死と、生物的死をなるべく近く、あるいは
感情的に容認出来る範囲にもって行かなくてはならないと思います。

昔は、心臓の自発的鼓動がある継続した時間停止している場合を、「死」といっ
たのではないでしょうか?
それが、生物の死であり、人間社会での死でもありました。

社会の要請(臓器移植、むりやり生かして貰わない権利など)で、死の判定を
昔のそれと別のものを用意せざるを得なくなったのです。

この社会の要請は、久保田氏もみとめているように思えます。

今回の厚生省の脳死の判定基準設定も、その一つだと思います。
そして、「脳死」=「生物の個体死」という状態が、今後形成されて行くでしょ
う。死んでしまった生物は利用しなくてはならないという概念が受け入れられれ
ば、死体からの臓器移植は、すぐ目の前です。
このように、死をベースに、その後を考えれば、単に死の定義の問題ですが、
死体の利用から死を定義するのであれば、「生」に限りなく近い「死」が定義
される可能性は大いにあり得ます。

「脳死」の定義は、まさに「生」に近い「死」を定義しようとする方向だと
思います。

怒りの久保田氏に大いに頑張って欲しい処です。
ただし、「絶対に」とか「許せない」とかいう、対話、議論を拒否する言葉は
使っていただきたくないのです。
これは、正に「生」と「死」のせめぎあいなのです。

追伸:ウンコの話は、ただ単に線引が簡単でないとの例えでだしたつもりです。
   混乱させて、申し訳ございません。

追伸:原発についても、そのうち意見を述べさせていただきます。
   立場は、「人類の永遠のテーマは、生き延びること」であります。
   期待していただいて結構です。
                         READER 寺田公彦



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 153       Text Title  : 成田空港と鉄道                          
Author   : reader    Text Length : 2611 Byte    Date : Sun Jul  3 03:28:02 1988

成田空港と鉄道
 ようやく成田空港と鉄道が直結する運びになったそうです。
成田新幹線などというばかげた構想のために10年間もほったらかされていた空港
地下のプラットホームに、東日本鉄道(成田駅より新設)と京成電鉄(空港線のル
ート一部変更)が共に乗り入れるのだそうです。
 利用者に取ってはありがたい話なのですが、1つ気になることがあります。
 それは、両線の軌間つまりレールとレールの間隔の違いです。
 JR線は全線共通で軌間は1m6センチ7ミリであり、東日本鉄道も当然これと
同じなのに対して、京成電鉄の軌間は確か新幹線と同じ1m43センチ5ミリ。つ
まり36センチ8ミリの差があります。
 京王線と井の頭線の場合と同じように、互いに相手の路線に乗り入れることはで
きないのです。
 対策は4通り考えられます。

1)東日本線または京成線の軌間を変更する。
2)どちらかの線の直通列車に車軸長自動変更装置を取り付ける。
3)レールを3本敷く。1本は共通に利用し、あとの2本は一方だけが利用する。
4)どちらかが乗入れを諦める。

  1)は、新設区間だけの変更では、乗り換えが必要となり、直通利用の便が図れ
ません。荷物の多い国際旅行客相手では、これは大きなマイナスです。
 大規模な軌間変更の例は、国内では過去に2例あります。
1つは、近鉄が大阪・名古屋間の直通特急を運行するために名古屋線の軌間を変更
したもので、これは、伊勢湾台風により名古屋線が壊滅的打撃を受けたのがきっか
けでした。
もう1つは、京成電鉄が都営浅草線に乗り入れるにあたって、やはり同線に乗り入
れている京浜急行に合わせて、全線を現在の軌間に直したものです。

  2)これは、スペインとヨーロッパ各地を結ぶ国際列車が採用しているものです。
フランスとの国境にある特別のレールを敷いた区間を、最徐行で進んでいる間に、
車軸の長さつまり車輪と車輪の間隔がひとりでに変わるというシステムです。
 当然、車両にもそれなりの設備が必要です。

 3)これは、小田急(軌間1m6センチ7ミリ)の車両が箱根登山鉄道(軌間1
m43センチ5ミリ)の箱根湯本まで乗り入れるために採用しているシステムです。
      】           【  【          】  】              【
    東日←  1067mm  →東日                東日←        →東日
    京成←    1435mm    →京成        京成←            →京成
というわけです。
青函トンネルや瀬戸大橋の鉄道では、新幹線の乗入れに備えて、このシステムが採
用できるように、上りと下りの線路の間隔が離れているそうです。
 ポイントなど、線路の設備が複雑になります。

 4)これは、説明の必要はないですね。

 さていったいどれに落ち着くのでしょう?
 いずれにしても京成のスカイライナーと東日本鉄道のエアポート・エクスプレス
が空港の地下ホームに顔を並べる日が一日も早く来てほしいものです。
  といっても、さしあたって海外に行く予定もないのですが。
M. Ito
                                            NATUME-NET NAT21263
                                            MIX MARTHA.I



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 154       Text Title  : 献血をしましょう                        
Author   : reader    Text Length : 1016 Byte    Date : Mon Jul  4 00:32:23 1988

*** 皆さん献血をしましょう ***

最近あの「エイズ」とやらのせいで献血をする人が減っているそうです
血友病やその他輸血を受けた人の中からエイズ患者が発生したための様です
年に2〜3回献血に行っている私から見ると、理解に苦しみます
何故、献血するとエイズになると考えるのか?

心配している人の為に実際の献血の手順を書きます

        1.先ず、各種検査用に少量の血液をとります
            これには、使い捨ての専用の器具を使います
            丁度 、注射針にチューブを付けたものです
            (目の前でゴミ箱へ捨てています)

        2.次に、医者による、血圧、問診が行われます

        3.医者のOKが出ると、いよいよ献血です
            これに使う道具も、全て使い捨てです

以上の通り、エイズがうつる可能性は全くありません
夏場は、献血者が少なくなる時期です、皆さんも是非どうぞ

追伸 :献血後2週間位で、血液検査の結果が郵送されてきます
       自分の健康管理になります

       もし、不幸にしてあなたがエイズだったら、秘密厳守で
       教えてくれるそうです(私しはまだ有りませんが)

以上   奥沢の伸さんでした



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 155       Text Title  : 簡単なウィルスの作り方                  
Author   : reader    Text Length : 752 Byte    Date : Tue Jul  5 03:50:35 1988

簡単なUNIXでのウィルスの作り方を紹介しましょう。

以下の手順でウィルスはできあがります。

    1. 誰もが、常時使いたくなるようなツールを作る。
    2. スーパーユーザが使うと何かするような部分を入れる。

これで、ウィルスのできあがりです。
たとえば、2の部分に以下のようなプログラムを入れれば
このツールをスーパーユーザが使うと、たちまち、
パスワードファイルがだれでも変更可能になってしまいます。
つまり、誰でもシステム管理者になれます。

    if (getuid() == 0) chmod( "/etc/passwd", 0666);

他にも、こういうのが入っていたりしたら大変なことになります。

    if (getuid() == 0) system( "rm -r /");

ウィルスとしてはかわいいものです。
やはり、ウィルスは自分を増殖させてネットワークワイドに
システムの効率を落とさなくてはいけません。
----------
青山 千秋



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 156       Text Title  : 少しだけ脳死                            
Author   : reader    Text Length : 3989 Byte    Date : Tue Jul  5 04:12:51 1988

私はファジー集合の愛好者です。
ファジー集合的見方をすれば、生と死、ウンコの問題は
メンバーシップ関数の値がいくつになるかという問題になります。

メンバーシップ関数とは、あるものが、
ある集合にどれだけ属するかの値を返す関数です。
従来の集合では0か1かという値でしかない、
つまり、属するか、属さないか明確に判定できるものしか取り扱いませんでした。

寺田氏のメールより。

>  汚い話ですが、ウンコは、いつからウンコなのでしょうか?
>  体の外に出たときにウンコになるのでしょうか?
>  直腸に入ったら、ウンコというのでしょうか?
>  それとも、大腸や小腸あるいは胃袋あたりからウンコと定義するのでしょうか
>  また、ウンコは、人体の一部なのでしょうか?

口から入ったばかりは、0%のウンコで、腔門から出てきたら100%の
ウンコと定義するのは妥当ではないでしょうか。
そして、途中はそれなりの値に定義します。
それなりの値とは主観に依存するわけですが、
けっこうそれでも工学的には実用になるので、
近頃はファジーコンピュータなるものが流行っているのです。
(原子力発電の安全問題も、たしかに、
「絶対」という言葉を使うからめんどうになるのだと思います。)

>  髪の毛については、生きているのでしょうか?死んでいるのでしょうか?

髪の毛が生きているのかという問題は
細胞の一部を取り出して生きているのか死んでいるのか
という問題ではないでしょうか。
原子を取り出して生きているのか、死んでいるのか議論しても無意味でしょう。
同様に体の一部の機関を取り出して生きているのか、死んでいるのか
という議論も無意味ではないでしょうか。
(髪の毛だけを細かく見れば成長する部分と、
成長しない部分に分かれているわけで、
成長しないところは死んでいると言えないこともないでしょうが、
ここではこのような解答を期待されているのではないでしょう。)

>ミイラは死んでいます。
>生きている人は、動きます。
>死んだ人は、子供をつくれません。
>怒りの久保田さんも、私もまだ生きています。
>このメッセージが読める人は、生きています。
>死んだ人は、切っても痛がりません。

これらの例ははっきりしているわけですが、
脳死の判定という問題は、
メンバーシップ関数の値が中途半端な場合に、
どの値まできたら臓器移植をしても良いと判定するかの問題だと思います。
従来の死の判定でも、もしかして、
将来、何か科学の発達によって、生き返らせるようになったら、
心臓死ではまだ死んだと判定しないでしょう。
実際、もう心臓が死んでも脳が生きていれば
死んだとは判定しなくなってきているわけです。

では、脳がどれだけ死んだら、死と判定するのでしょうか。
私の父は脳梗塞になりました。
あきらかに父の脳細胞のいくつかは死滅したのですが、
人格は前と変わらないようです。
植物人間は人格を示す部分の脳細胞が死滅してしまっているのでしょうが、
これは死んでいるとは判定しないわけです。
これは、本当に人格が消滅しているのかの判定ができないからです。

私の勝手な考えは、
脳死の判定は人格が消滅しているかどうかがポイントであると思います。
(では、人格とは何かが問題になります。赤ん坊に人格はあるのか?
私の答えは「すこし有る」です。)
瞳孔が拡大縮小したとか、
脳からホルモンが分泌されたとか、
自発呼吸の有無だけでは人格が消滅しているかどうかはわからないでしょう。
厚生省の6つの基準の問題は
人格をつかさどる部分が死滅しているかの
判断ができないところにあるのではないでしょうか。

>    1)深いこん睡(2)自発呼吸の消失(3)瞳孔(どうこう)径が4ミリ
>    以上で固定(4)脳幹反射の消失(5)脳波が平たん(6)以上の条件が
>    満たされた後、6時間経過を見ても変化がない――の6条件をすべて満た

脳では前頭葉という額のあたりの脳細胞が
人間が人間であるための重要な働きをしていると考えられているわけで、
厚生省の判定基準では前頭葉が死滅していることにはならないからです。
(まちがっていたら、ご指摘ください。)
脳というのは一部が死んだからと言って死んだとは言えません。
脳全体が物理的に死んでしまっているのであれば、
脳死と判定するのは良いでしょう。
たとえば、交通事故で脳味噌が道路に飛び散ってしまっているような状況です。
ですから、脳幹が死のうが、私は脳が死んだとは言いたくありません。
だからと言って脳死を否定しているのでは無くて、
もっと、心臓が止まったように、
誰が見ても明白に死んでしまっていると判断できる基準がほしいだけです。
専門家だけにしかわからない技術は危険です。
(だから、原子力発電や軍事問題は困ったものだとおもうのです。)
----------
青山 千秋



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 157       Text Title  : もうちょっと脳死                        
Author   : host      Text Length : 2208 Byte    Date : Tue Jul  5 20:42:39 1988

 青山さんの「少しだけ脳死」読ませていただきました。「脳死の判定は人
格の消失で」という、意見には、私も大きく賛同するところです。

 我々が死ぬのが怖いと思うのは、自我が無に帰してしまうのが怖いのであ
って、生命現象が消えるのが怖いのではないと思うのです。この前、幽体離
脱の話を書きましたが、あれは半分本気でして、もし、例えば我々が死んで
も、自我は死なず、もし必ず幽体離脱すると言うことが言える(あくまで、
もし、ですよ)とすれば、人々の死の恐怖はかなり和らぐものと思います。

 ところが、厚生省基準で「自我」の判定に触れているのは、「脳波」の項
が少しかすっているだけにすぎません。人間の理性や人格が入っていると思
われる大脳について判定しているのは、なんと、この脳波だけ。

 定義では、「全脳死」なんていってますが、良く判定条件を見て下さい、
皆さん。ほとんどが脳幹の反射を見ているのにすぎないのです。特に、小脳
なんて、何も判定してないのです(なんとなく、語り口が広瀬隆風になって
きたなあ)。ですから、大阪大の倫理委員会では、脳死の定義から小脳を外
そう、なんて素直なことも検討されています。

 極端な話、イギリスなんか脳幹死説ですから、万が一脳波が出てても、脳
幹反射がなければ、脳死です。(脳幹死後の脳波は無意味、という話しも聞
きますが、人間でどこまで証明されているのでしょうか)

 人間を生物とみる医者と、どちらかというと実存と考える私と、どうして
もギャップを感じてしまいます。私がもし、総ての思考、人格が止まり、た
た生物として生きているだけの大脳死(生命の元の脳幹は生きている)に
なったら、もう自分がいないのだから、死んでることにされていいと思いま
すが(かつ、不可逆が証明されればです)、逆に、総ての脳幹反射が止まっ
てはいるものの、人格としては、ほそぼそ生きている可能性のある脳幹死で
は、そのまま移植に臓器を持っていかれたいとは思いません。

 人の死は、単純に生物としての死だけで捕えるべきものとは、どうも思え
ないのですが。

 それから、皆さんのご意見を伺いたい問題をひとつ、ある臓器移植推進の
ための会で、ある高名な医学者がこう言ってました。

 「脳死した遺族に臓器の摘出をお願いすると、これ以上この子を痛い目に
合わせたくない、といって反対されるんですよね。でも、翌日は、この人は
葬儀場で焼いてすごく熱い目に会わせるのですよ。矛盾してますね」

 この意見どう思われますか。つい納得しそうですが、私はおかしいと思い
ます。私の意見を述べる前にどなたかご意見をお寄せ下さい。

ウルトラ久保田



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 158       Text Title  : 国家プロジェクト成果発表会              
Author   : reader    Text Length : 1013 Byte    Date : Fri Jul  8 08:38:14 1988

国家プロジェクト成果発表会

国家プロジェクト関係のシンポジュームや成果発表会ほど面白くないものはない。
本音の話は出来ないから、建前論ばかりとなる。つまり、予定通りに研究が進んで
いるという玉虫色の話ばかりとなるからだ。世界をリードするような研究が予定通
り出来てしまうというのがそもそもおかしいのだが。ということの分かっている記
者の方々がそのような報告会に出ないで済ませているのは理解でき無くもない。
 しかし、たとえばICOTのシンポジューム(5/31−6/1)のパネル討議
に於ける石塚助教授(東大)の発言ややスーパーコン大プロ(科学技術用高速計算
システム)成果発表会(6/17)に於ける金出教授(カーネギー・メロン大)の
質問のような真面目な本音論をひねりつぶしてしまう体質が国家プロジェクトには
ある。ともかくこのような本音論がたまに聞けるパネル討議や質疑応答は記者の方
は取材すべきである。
 脳死論などでは怒り狂ったかのような論理を展開するのだから、国民の税金で行
なわれている国家プロジェクトにも熱い目で見たペンの力を発揮して貰いたい。
                                        寝起きの悪いおじさん



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 159       Text Title  : 頑張れ、寝起きおじさん                  
Author   : host      Text Length : 605 Byte    Date : Fri Jul  8 21:12:23 1988

 おお、「寝起きの悪いおじさん」は、怒ってますねえ。でも、なん
で怒ってるのかよく分かりませんねえ。
 私、自分で怒るのは得意ですが、人の怒ってるのを理解するのは、へ
たくそなようですねえ。
 ICOTで、何があったのでしょうかねえ。
 これは、もうこのネット上で、「石塚助教授」や「金出教授」の「本
音論がたまに聞けるパネル討議や質疑応答」を再現して見せ、「真面
目な議論を記事に出来ないのを理解に苦しむ」記者の怠慢を、白日の
元にさらして見せるしかないのでは、ないでしょうか?

自分の担当でないので、のんきなことを言ってる、「脳死論などでは
怒り狂ったかのような論理を展開」しているウルトラ久保田であった。



Board    : 科学記事ウォッチ              
Text No. : 160       Text Title  : ウルトラ久保やんへ                      
Author   : reader    Text Length : 279 Byte    Date : Mon Jul 11 17:29:06 1988

ウルトラ久保やんへ

ICOTで何か合ったんかと勘ぐるようでは、あんたは記者失格や。国家プロジェ
クトでは何にもおこらへんのが問題なんや。それを納税者としては怒りたいんや。
言うてること分かる?

一太郎は関西(徳島)生まれのくせに関西弁が分からへんらしいと
怒るおじさんより。