Pol00091 反戦自衛官裁判

#0000 sci1004  8909272005

自衛官って基本的人権が制限されるのって,知らなかったなあ.
というお話.

#0001 sci1004  8909272007

たぶん,基本的人権は制限されてよい,とされる最初の判例なのでは
ないかしら.どなたか,御教示を!!

社務猫

#0002 sci1786  8909272032

 ううっ、ちょっと待っててね、調べてみるから。
                   ゆで卵

#0003 sci1786  8909272237

 調べるといっちゃったけど、そもそも「反戦自衛官の判決」を知
らないのであった。もう少し詳しくおせーて。
 とはいえ、基本的人権が制約される場合を次に記しておきます。
一般的な場合ですから、この問題の答えになるかどうかは不明です
が。
 加えて、ちょっと長い(40行くらい)ので、関心のない方は飛ばし
て下さい。
                          ゆで卵

#0004 sci1786  8909272239

基本的人権の制約
 基本的人権は何らの制約をもたない絶対的な権利ではない、ことは通説・判例の認め
るところだが、その制約の根拠は一般に次の二つに分類され得る。
 第1は、憲法の一般的留保であり、第2は、特別の法律の留保である。前者には、憲
法13条に規定されている「公共の福祉」が相当し、後者には、憲法第22条[職業選択の自
由]や29条[財産権]が指摘できる。
 しかし、いずれの場合も、基本的人権の本質的内容を侵害するような制約は禁止され
なければならないことは言うまでもない。
 このような理解からは、基本的人権が不当に制約されることは、本来想定できないの
だが、実は「特別権力関係」と呼ばれる、公法上の特別関係における基本的人権の制約
が存在するのである。
 個人と国家権力との関係には次の二つの態様が存在する。まず、総ての国民と国家と
の一般的な統治関係である「一般権力関係」がである。もう一つは、特定個人が特別の
法律関係において国家に従属する関係で「特別権力関係」と呼ばれるものである。
 特別権力関係の例を挙げるとすれば、受刑者の拘禁、伝染病罹患者の強制入院などの
強制的な従属関係や、公務員として任意に従属関係に入った場合などである。
 まず、在監者の場合から考えてみよう。例えば、在監者には居住・移転の自由はない
。したがって、明らかに基本的人権の制約である。しかし、在監者は強制的に拘禁され
ることは明白であり、刑罰の本質からみて当然のことと理解される。
 具体的な判例として、ひとつ紹介しておこう。死刑囚が信書発受信制限・図書閲読禁
止処分を憲法違反として拘置所長を訴えた事件の第一審判決である。「拘置監という営
造物の管理運営を司る拘置所長たる被告と、その収容者たる原告との間には、拘禁とい
う特定の設定目的に必要な範囲と限度において、被告が原告を包括的に支配し、原告は
被告に包括的に服従すべきことを内容とする関係、いわゆる公法上の特別権力関係が成
立していたことは疑いがない。……拘禁の目的を達する必要上、必然的に制限せざるを
得ない限度において、基本的人権が、拘禁に伴って制約を受けることはやむえないとこ
ろと解すべく、また、それとともに、法律によるその制限も、設定目的に照らして必要
最小限度の合理的制限のほかは認められるべきでない」(大阪地判昭33年8月20日)。
 次に公務員の場合だが、現行法は国家公務員法もしくは地方公務員法によって、政治
行為を禁止しているのみならず、労働基本権を制限している。これらの禁止・制限に問
題が存在することは事実だが、ここでは判例を指摘するに止めておきたい。
 「……国家公務員法の適用を受ける一般職に属する公務員は、国の行政の運営を担任
することを職務とする公務員であるから、その職務の遂行にあたっては厳に政治的に中
正の立場を堅持し、いやしくも一部の階級若しくは一派の政党又は政治団体に偏するこ
とを許されないものであ」る。「……この点において、一般国民と差別して処遇される
からといって、もとより合理的根拠にもとづくものであり、公共の福祉の要請に適合す
るものであ」る(最大昭33年3月12日)。

 以上 ゆで卵 でした。

#0005 sci1004  8909272325

なんか外したみたい.なんたって,憲法判断を避けたということだから,
基本的人権への言及はなかったようです.どうやら自衛隊法のみからの
判決だったようで.

しかし,自衛隊の役割を考えたときに,その行動には一糸乱れぬものが
要求されるのであるから,一定の制限は是認される,と解説したニュース
を見たものですから.明日の朝刊でじっくり確認します.

社務猫

#0006 sci1786  8909281729

 朝刊で確認したところ、判決文の詳細が不明なのでよくわかりま
せんが、「自衛官の権利や自由の保障は一般市民と同等とは限らな
ない。志願して自衛官になったのだから、任務を遂行するのに必要
な範囲でその権利や自由が制限されても憲法違反にならない」と判
断した、と記事にあるところをみると、言葉として特別権力関係論
は用いられていないものの、まさしくその論理による判決だと言っ
ていいと思います。
 ただ、記事中にも「初の司法判断を示して自衛隊側の処分を適法
と認め」、などと書いてあるので、自衛隊→憲法判断→合憲のノリ
で受け取られがちになるのではないでしょうか。報道側は、特別権
力関係論そのものの問題点を解説しなくちゃね。その点については
記事中(朝日)の奥平教授のコメントが参考になりそうです。

#0007 sci1004  8909281831

あっとどうもすみません.ポイントをお示しいただきまして.
恥ずかしながら経済法の単位を落としながらも,論文を書く
この図太さ. 社務猫