Pol00025 一自営業者から見た消費税

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 私は、数年前までサラリ−マンをしており、その後自営業者になった。このような
私から見た消費税等についての感想を述べたい。消費税ボ−ドにアップする予定だっ
たが、同ボ−ドの終了を知り、ここにアップすることにした。
(以下約100 行を関連発言1に)
                              朽蒜敦志

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 本題に入る前に、納税に関して、「サラリ−マンは損だ。自営業者は得だ。」と
一般に思われている根拠について考えたい。

 1)「サラリ−マンは収入がガラス張りだ。」

 通常、これは、ほとんど事実だ。

 2)「サラリ−マンは必要経費が認められていない。」

 これは、間違いだ。給与所得控除という形で認められている。年末に会社から渡
される源泉徴収票を見れば、実際の年収より、課税対称額のほうが少ない。一般に
そのなかの色々な控除の内の最大のものが、給与所得控除である。これが即ち収入
に応じて必要経費を一定の率で認めているものなのである。その率が、サラリ−マ
ン個人個人にとって適切であるかどうかは、また別の問題である。とりあえず制度
上は、必要経費を、税制上認めている。

 3)「自営業者の所得の捕捉率は低い。」

 これは、そのような業種があると認ざるを得ない。(ちなみに私の場合は得意先
の90%以上が法人で、なおかつ入金は全て銀行振り込みのため、否応なくガラス張
りである。)この捕捉率の問題から、税制の直間比率の見直しをするという点には
同意する。

 4)「自営業者は、みんな脱税している。」

 このような偏見が生れたのは、新聞・テレビ等のマスコミに責任がある。国税庁
の調べで脱税業者の摘発が行なわれた結果を報じる記事では、見出しだけを読むと
殆どの業者が脱税をしているような錯覚をする。しかし、記事をよく読むと国税庁
が "怪しい" と睨んで捜査した業者の多くが脱税していたという内容である。すな
わち、脱税業者のパ−セントが高いということは、国税庁の "カン" が鋭い、的中
した、ということで、決して、自営業者の多くが脱税しているという根拠には成り
えない。たとえば、「どうも前の車の運転がフラフラしている。停車させて調べた
ら、その殆どが飲酒運転だった。」というようなもので、その比率をもって「車を
運転している者の殆どが飲酒運転をしている」という結論は、どう間違っても出て
こないはずだ。こんな偏見が出るのも記事を書く人々が報道機関に勤めるサラリ−
マンの為だという別の偏見を私は持ちたくなる。

 5)「みなし法人制度は、ずるい。」

 このことは、私も同感である。しかし、これによって恩恵を受けられる自営業者
は、始めからある程度恵まれた層である。それ以下の層には恩恵は殆ど無いと、私
は思っている。この制度は、どちらにしろ、そう遠くない将来廃止になるはずだ。

 6)「自営業者は、みんな自民党支持者だ。」

 このバカバカしい言い方は、サラリ−マンはみんな野党支持者か、という言葉で
お返ししたい。(この際、中道政党や連合のことなど語り出したくなるが、そうす
ると新しく基調発言したくなるのでこの際パスする。)

 さて、以上の、異常に長い前置きを踏まえ、私は現行の消費税には反対である。
その根拠を以下に述べる。

【根拠1】低所得者層に対して重税になる。これは、年金生活者の方々よりも、見
方によっては、零細自営業者のほうが深刻なこともある。一例として私の場合を述
べる。私の場合、仕入れ(消費税の算出の場合、単なる物品の仕入れだけでなく人
件費以外の諸経費を含めた数字の合計を言う。即ち事務所諸経費や交通費等もこの
中に入る)が、売り上げの約8割であり、なおかつ、売り上げに3%の上乗せが出
来ない。(年間売り上げ3000万円未満のため)税務署では、仕入れ上昇分だけ値上
げせよと指導している。だが、私の取引先数社のなかでそれに応じてくれたのは一
社のみである。したがって従来の年収がこのままで行けば10%強減少する。今こ
れを読んでいるサラリ−マンの方々、現在のあなたの年収の10%強を、突然カッ
トされることを想像していただきたい。それは、恐らく、一か月の生活費を上回る
はずだ。そして、所得税減税の恩恵は及ばない。(10%強の根拠は、次のような計
算による。従来100 円の売り上げに対し仕入れは80円、手取りは20円。4月からは
100 円の売り上げに対し仕入れは80円+2、4 円。従って、手取りは17、6円。手取り
の減少率は10%を越える。)

【根拠2】今まで問題にされてきていた得をしている自営業者、即ち、税金を少し
しか納めず、比較的高い生活水準を維持してきた層に対しては、今回の消費税の持
つ税の平等の目的には、無力である。それは、簡易課税制度が一つ。次に年間売り
上げ3000〜6000万円の層(および、5億円以下の層)に対する優遇措置。
 結局この二つをもって、恵まれた自営業者と圧倒的に多くの中小企業主が、実は
消費税施行によって逆に得をすることを、昨年、政府自民党から囁かれたようだ。
従って前回の大型間接税のような業者による大きな反対運動が起こらなかった。不
公平税制の是正のための消費税というのは、ウソである。今迄不公平で得をしてい
た層の特典を温存し、更に所得税減税のおまけまで付け、低所得者層に対して逆累
進性になる今回の消費税、悪税、悪法と呼ばれて当然である。
                                朽蒜敦志

ps.1 竹下政権が倒れてもこの法律は残る。1960年に岸政権が倒れても日米新安保
   条約が残ったように。

ps.2 伯仲が予想される次の衆参の国政選挙において、かつての新自由クラブのよ
   うな政党が自民党から出てくるかもしれない。新自由クラブのその後を見れ
   ば、基本的にはその様な政党の行く末は見えている。

ps.3 今回の消費税成立の過程において "活躍" した中道政党というタマムシ政党
   の役割について、今後も注視していきたい。

ps.4 念のためお断わりしておくが、私は特定の政党支持者ではない。ただし、少
   なくとも現時点では自民党を支持していない。