Gen00521 脱原発法ネットワ-ク号外より

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脱原発法全国ネットワ−クの号外を全文転載します。

当ネットワ−クのエネルギ−プロジェクトが近く脱原発のエネルギ−政策を発表
しますがこれはその要旨です。 パンフレットにまとめて近く発行される予定で
す。 発行が5月中と言っているのでもう発行されているかも知れません。パン
フレットの入手方法については脱原発法全国ネットワ−クの事務局に直接聞いて
ください。

今全国的に脱原発法制定のための1000万人請願署名が当ネットワ−クを中心
にして進められていますが、脱原発をどう進めていくのか、エネルギ−に関する
考え方がある程度わかると思いますので興味のある人は関連発言1にアップして
ありますので覗いてください。 なお全文は長文で約140行です。
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脱原発法全国ネットワ−ク号外より

たたき台をもとに議論をおこそう!! エネルギ−プロジェクトから

長い間「エネルギ−問題」と言えば エネルギ−不足を意味し、より多くの燃料
を確保し、より多くのエネルギ−を生産することが、その解決であると考えられ
てきました。そして常に過剰な需要計画がたてられ、それに向かって生産を増大
することが追及されてきたのです。

しかし、気づいたときには私達を真に悩ませ、苦しませているのは、エネルギ−
の不足ではなく、エネルギ−産業の生みだす災害と破壊、つまり原発の大事故で
あり、全地球的な環境破壊であり、気象異常だったのです。こんなことになった
のは、政府や産業界の推進してきたエネルギ−政策がもっぱらエネルギ−を生産
し売る側の立場からのものだったからです。そこには基本的に、いかにしてより
多くを作り売るかの発想しかないのです。

今こそ、この発想を転換させひとりひとりの市民が実際に生き、生活し、エネル
ギ−を使う、その現場の視点から、安心して確かな生活を営むためのエネルギ−
政策が議論されるべき時です。脱原発法制定の運動はそのような視点から脱原発
を訴えるものですが、この運動のエネルギ−プロジェクトでは、生活者の立場か
ら、脱原発のエネルギ−政策について話し合ってきました。そしてその基本的な
考えをパンフレットにまとめて提起できる段階となりました。

このパンフレットはあくまで、広範な人々の間に望ましいエネルギ−政策につい
て活発な議論を巻き起こすための素材、いわば「たたき台」です。私たち一人一
人が自分にとって望ましいエネルギ−のあり方を考え、議論しあうことこそが前
述の転換を可能にする出発点と考えるからです。その「たたき台」としてのパン
フレットは近く発行されますが、それに先だってその要旨ををここに紹介しこの
問題への皆さんの関心を促したいと思います。

チェルノブイリ原発事故以降、日を経るにつれ脱原発を望む声はますます大きく
なっています。その一方で「原発を止めたら電気に困るのではないか」という声
がよく聞かれます。しかし原発はとめられるしそのことに困難はないのです。た
だちに原発を止めても夏の電力需要のピ−ク時でも現在の日本の電力供給に困難
は生じません。また他の電源設備を計画的に配備し、活用すれば今後とも原発が
なくても十分にやって行けます。仮に「原発がなければ電力が足りない」状態が
出現するとすればそれは安易に原発依存型のエネルギ−政策をとり続けてきた政
府電力会社の怠慢の証以外の何ものでもないでしょう。

原発は止められるし、生活者の立場からは止めるほうがよいに決まっています。
そう決意し、それに向けて政策を方向づけることを私達は提案します。しかし実
は肝心なのはここから先です。脱原発はエネルギ−問題の解決ではなく、出発点
なのです。問題は、一部の国によるエネルギ−資源の大量消費と危機に頻した地
球の環境にあります。資源を浪費し、その結果出てくる廃棄物や廃熱を環境に放
出した結果生態系は破壊され気象にも異常が頻発するようになりました。その原
因は石油の大量消費によって成り立つこの社会の仕組みにあります。原発もその
ような石油文明の延長上に咲いたアダ花といえます。

だから、原発をなくせばそれでよいというわではないのです。原発を止めた分だ
け石油を多く消費することが起こるとすれば−−言われるほどにその効果は石油
消費全体の中で大きくないにせよ−−命を大事にし、環境を大切にしたいからこ
そ脱原発を望むという私たちの気持ちに反するものです。そうです。今求められ
るのは脱原発を出発点として、さらに脱石油へと進む道です。この道は容易とは
言えませんがその必要性を皆が認識し、着実に歩み始めればそれは十分に可能で
あると考えます。長い目で見ればそうする以外にこの地球を資源枯渇と環境破壊
の危機から救う道はないでしょう。

それではどうするか、基本的には省エネルギ−と資源リサイクルによって無駄な
消費を抑えその抑制された消費を可能なかぎり環境的に健全な自然エネルギ−に
置き換えて行くことです。ここで省エネルギ−とは浪費を避けると同時にエネル
ギ−を効率よく使っていくということです。ここでとくに強調しておきたいこと
は社会や家庭生活上のちょっとした努力が非常に大きな効果をあげるという点です。
まず、できることから始めよう、と私たちは「たたき台」の中でいくつかの
具体的な提案もしています。

さて「たたき台」は5つの章からなりその具体的な内容はおよそ以下のとおりです。

第一章  原発止めても電気は足りる
ここでは原発をただちに止めても電力の供給に問題が生じないことを明らかにし
ます。

第二章  エネルギ−と環境
エネルギ−問題を考えるにあたって環境の問題を考えることが如何に重要かを指
摘し、またその視点からのエネルギ−問題の基本的視点を示します。今問題とな
っている炭酸ガスについては、炭酸ガスの問題を理由にして原発を推進すること
の誤りを指摘します。

第三章  エネルギ−過剰消費を見直す
この章では具体的に省エネとエネルギ−効率をあげるためのいくつかの提案がな
されています。
(1)電気器具のなどのエネルギ−効率を増すことによって大きな省エネルギ−
が期待されます。
(2)テレビの視聴時間を1時間短縮する、ル−ムエアコンの使用時間を短縮す
る、洗濯機を使用するとき濯ぎの前に脱水する、などいくつかの節電を全国の家
庭で実施しただけで330万世帯で年間に使用する電力を節約することができま
す。
(3)自家発電をしながらその廃熱で冷暖房などの熱利用も出来るコジェネレ−
ション・システムの普及を促進することも提案されています。エネルギ−効率が
火力発電の倍程度ありますので、エネルギ−の節約になります。また、夏の電力
需要のピ−クを下げることも期待されます。電気事業法の規制を緩和して電力の
売買を自由化すれば公共施設や団地、地域などで電力と熱を自給することも可能
になります。このようなわずかな努力を重ねることで電力の消費を下げることが
出来るにもかかわらず、電力消費をあおっていることが問題です。(4)石油消
費量を減らし、環境への影響を少なくするためには車社会を見直す
ことも必要です。自家用車を鉄道の消費するエネルギ−を比較すると、鉄道は自
家用車の6分の1のエネルギ−で人を運ぶことが出来ます。またトラックによる
貨物輸送を鉄道輸送に置き換えると4分の1のエネルギ−で運ぶことが出来ます。

第四章  省エネでどこまでエネルギ−を節減できるか
この章は前章で検討したいくつかの省エネを実施した場合にどこまでエネルギ−
を節約できるかの簡単なシミュレ−ションの結果が示されています。現実的に可
能な程度のケ−スとして、節電により電力消費を20%程度節約しコジェネレ−
ション・システムを電力総需要の20%程度まで普及させ、さらに輸送によるエ
ネルギ−消費を30%節減した場合についてエネルギ−総需要の変化とエネルギ
−消費に伴う炭酸ガス発生量の変化のようすを調べてみました。その結果上記の
ような省エネを実施すればエネルギ−消費量を20%程度、また炭酸ガス発生量
を10%程度下げられることがわかりました。

第五章  電源の多様化と分散化へ向けて
自然エネルギ−は空間的に分散しており大量に集中して使うことはできませんが
分散化した状態で使うことは出来ます。太陽光発電は急速な技術の進歩によりエ
ネルギ−変換効率も向上し量産によるコスト低減も期待できる有望な電源です。
一般家庭で消費する程度の電力を得るためには30〜50平方メ−トル(10〜
13坪)程度のパネルを屋根に設置することで得られます。風車による発電も欧
米では盛んに行われており、季節風がよく吹く地域では有望な電源になる可能性
があります。もちろん、どのような技術にもそれぞれに特有の限界と問題点があ
ります。新しい技術を導入する場合には資源的な制約条件や環境に対する影響、
人体や社会に対する影響などを出来るだけ評価、検討してから取り入れる必要が
あります。

不安定な自然エネルギ−を有効に使用するためには、電気事業法を改正し余った
電力は電気会社にいつでも売ることができ、不足したときには買うことが出来る
ようになることが望まれます。これは電力会社にとっても電力消費が減るため設
備投資が少なくてすむ、冷暖房による需要が低減し四季を通じて需要が安定する
ので、経済効果が高くなるなどの利点があるはずです。

最後にこのパンフレットは豊かな自然環境を保全しそれぞれの地域の自然資源を
活用して暮らすことが大切ではないかと、問いかけています。

このパンフレットは1冊500円前後で発行されます。ご希望の方はご連絡くだ
さい。
連絡先 脱原発法全国ネットワ−ク
    東京都千代田区西神田2−7−14 西神田ビル4F
    TEL 03−238−9120