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大急ぎで宿題を済ませましょう
                      from 団藤

 月末まで、あとわずかです。狩野さん、隆さん、狂屈さん、スターデルタさ
んへの関連です。

 興銀のリポートはすぐ手に入りませんが、内容は周知のことです。燃料電池
などの実用化が迫っています。こうした小規模の発電設備がビルや工場で採用
される意義は、これまで発電で捨てていた廃熱をも利用して、トータルのエネ
ルギー効率をあげることです。例えば、原発では、電気になるのは半分であと
半分は海水に放出します。燃料電池などのコジェネは、廃熱を冷暖房などに利
用してしまいます。発電設備と利用地点が接近していればこそ可能な芸当です。

 こうした動きが広がれば、原発を中心にした巨大な電力ネットワークが無意
味になる恐れが強いのです。以下に、この問題を扱った記事を参考にあげます。
また、寒冷地のスウェーデン、ソ連などは、原発を都市近郊につくり、熱その
ものを都市に送る試みをしました。

 最近、大阪ビジネスパークの松下興産が経営するビル内のテナントに電気を
供給する申請を出し、来月にも認められそうです。こうして、コジェネを活か
したミニ電力会社が各地に続きそうです。

 200V化の件、日本の消費者が飛びつくでしょうか。電力自体がその難し
さを承知していると思います。

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* 崩れる経済優位(原発と人間・第5部 未来を考える:中) *
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          86.12.25  朝刊 4頁 解説 写図有 (全2021字)

  円高で原価が逆転 自家発電進み大口も離れる

 新しい発電所がいま完成したら、発電の費用は送電費を除きいくらになるか。
これを「初年度送電端原価」という。その数字比べで、原発はこれまでずっと、
最も安いと強調されてきた。

 今年はついに、原発と石炭火力が逆転した。円高で輸入炭が大幅に安くなっ
たからだ。去年まで原発は1キロワット時13円程度、石炭火力は14円程度。
エネルギー経済研究所の鈴木岑二2理事の試算では、今年は原子力12円78
銭、石炭火力は12円15銭と出た。

 例年だと遅くても11月末までには、電源別に発電原価の試算を発表する資
源エネルギー庁もことしはなぜかまだ発表していない。「石油価格の見通しが
立たないから発表を控えているだけ」というが、原子力の優位性をPRする資
料が、いまや逆宣伝になりかねない。

 「初年度発電原価はいわば瞬間風速。耐用年数を通して見たら、原子力の優
位は不変です」と同庁開発課は強調している。果たしてそうだろうか。

 ○廃炉費など含めず

 日本では電気をつくっても勝手に小売りできない。発電できる会社は、電力
会社に卸売りする。そんな会社の電源別販売単価を比較してみよう。

 海外炭で発電し、卸売りしている電源開発松島火力の今年度売電価格は1キ
ロワット時10円87銭。これに対し、日本原子力発電敦賀原発の価格は13
円70銭。敦賀原発は、5年前に放射性廃液漏れ事故を起こすなど、故障や事
故が相次いだ。修理費が高く、稼働率も悪く割高になっている。

 「しかし、うちの東海発電所(1、2号込み)の価格10円30銭は、まだ
石炭には負けていませんよ」と強調した。

 放射性廃棄物の処分費、耐用年数を過ぎた廃炉に必要な費用などは現在、原
価に含めていない。含めれば原価は今後さらに上昇する。原子力の経済的優位
性は、崩れようとしている。電力会社は原発のコスト切り詰めに必死にならざ
るを得ない。全原価の7割を占める建設費を減らすため、機器の標準化、レイ
アウトの合理化、ユニット工法の採用、果ては新型軽水炉の開発などの努力を
重ねている。

 だが、原子力のライバルは石炭だけではない。産業界が持つ自家発電設備も
強敵だ。

紙パルプ業界のある発電担当部長はこういう。
 「差益還元で電力会社から返してもらえるカネなんて微々たるものです。自
家発電で購入電力代を節約する方がはるかに大きいですよ」。最近、自家発電
設備をフル運転、電力代を節約する大口需要家がどんどん増えている。原油の
値下がりと円高が二重に効いてきたからだ。

 ことし上半期(4月―9月)、9電力の販売電力量のうち産業用大口電力は
軒並み減った。四国電力は19.5%も前年より落ち込んだ。円高不況で産業
界の生産が低水準だったことも響いているが、最大の理由は自家発電を一斉に
始めたからだ。

 電力の競争相手はほかにも次々と登場している。「コジェネ」と呼ばれる、
ガス会社の熱電併給システムだ。2年前に完成した東京・浜松町の東京ガス本
社ビルは、これで電力会社から買う分を半減させている。コジェネに投資した
カネは5年以内で回収できる計算だ、という。

 ○競争ないから高値

 将来、溶融還元法という新しい製鉄技術が導入されれば、鉄鋼業界は所内エ
ネルギーを充足してもなお、エネルギーが余る。周辺に供給できるようになる、
といわれる。

 現在、日本の電気料金は先進国の中で一番高い。国際エネルギー機関の試算
によると、日本の電気代は米国の1.78倍、フランスの2.34倍になる。
「日本が高いのは、電力会社が地域独占に守られ、競争がないこと。それに建
設費の高い原発が料金水準を押し上げているからです」。原発批判グループの
1人で『原子力の経済学』という著書がある一橋大学経済学部の室田武・助教
授はいう。

 積み上げた原価と適正報酬の和を、予定販売電力量で割って決まる現行の電
気料金制度では、建設費の高い原発を多く建設すればそれだけ料金を高くでき
る仕組みになっている、という室田さんの理論に、電力業界は「議論に値しな
い」と反発する。しかし、「地域独占の弊害」については、他にもいろんな人
から指摘されている。その事実は、電力会社もある程度は認めざるを得ない。

 米国では、地域の電力会社のほかに安い料金の電力会社があれば、消費者は
送電線だけを借りて電力を買えるところもある。日本では選択の自由はない。

 「行財政改革をはじめ、NTT、国鉄の民営化、これまでは聖域とされてい
た農業にまで改革の波が押し寄せている。もはや聖域というものはない」

 先月17日、全社の責任者を集めて、東京電力の平岩外四会長はそう訓示し
た。電力の地域独占にメスが入るのは時間の問題だ、と警鐘を鳴らした。この
ままでは、ずうたいの大きい原発を抱え込んだ電力が第2の国鉄になるかもし
れないことを一番よく知っているのは、電力会社自身なのだ、といわんばかり
であった。                                        (原発問題取材班)