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370 or 50 or・・・<放射能汚染と生協>
                         by 団藤

 今日、8/12の朝日新聞朝刊家庭面に、ちょっとショックを受けました。
ただし、これは大阪本社版の家庭面です。

 「食品を放射能汚染から守ろう−−灘神戸・かながわ両生協が計画」との見
出しで、両生協が一台1500万円の放射能測定器を自ら購入して、食品のチ
ェックに乗り出す、と報じています。

 特に、かながわ生協は「国のセシウム暫定限度、370ベクレルというのは、
基準値が高すぎるといわれている。当方では、50ベクレル以下まで下げてよ
り厳しく検査する」とのコメントを寄せています。

 生協の全国組織、日生協が一足早く、測定器を買ってチェックを始めている
ことは、ご存じだと思います。しかし、それは国の「370」の範囲を越える
ものではありませんでした。「50」が登場するのなら、この記事は家庭面で
はなく、堂々の社会面、または、一面ものでした。大阪学芸部の出稿です。判
断ミスではないか、と思います。ちょっと残念。

 生協がそこまで動くと、かなり、情勢が変わる気がします。生協はいまや、
経済的に相当な「権力」ですから、厚生省のこれまでの対応の仕方が、経済界
のベースで突き崩される可能性があります。

 参考に、以下に、生協内の動きを紹介した科学面の記事を載せます。

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* 放射能に安全値はない 輸入食品の汚染値表示を求めて署名 *
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          88.05.18  夕刊 5頁 水曜科学 写図無 (全946字)

  ソ連チェルノブイリ原発事故によって生じた食品の放射能汚染問題で、日本
生活協同組合連合会に、輸入食品ごとにその放射能汚染値を表示することなど
を求めた10項目の公開質問状への署名運動が全国で広がっている。年齢が低
い子供は汚染食品による影響が大人よりも大きいことを心配した「全国生協組
合員ノーモアチェルノブイリの会」(世話人・橋本杉子さんら10人)が呼び
掛けた。

 厚生省は輸入汚染食品の暫定基準として370ベクレルを採用、これ以上の
汚染が見つかった食品の輸入を禁止している。加入世帯数1000万を数える
日生協は、国とは別に輸入食品の検査をしている。当初は外部の検査機関に頼
んでいたが、昨年10月からは自ら測定機器を購入して検査している。

 6日までのまとめによると、食品1キロ当たりの最高値で、チョコレート・
ナッツ類から345ベクレル、スパゲティと原料麦から149ベクレル、香辛
料から126ベクレル、チーズ・スキムミルクから15ベクレルなどの放射性
セシウムが検出された。しかし、これらの汚染値を個々の商品に表示すること
まではしていない。

 厚生省の暫定基準は1986年11月、輸入食品全体による放射線被ばくが、
一般の人の被ばく線量限度(現行年間500ミリレム)の3分の1を超えない
ように決められた。しかし、一般の人の被ばく線量限度を5分の1の100ミ
リレムに切り下げる法令改正が進行中で、暫定基準がこれに耐えられるか疑問
が出されていた。これに対して厚生省食品保健課は暫定基準を見直した結果「
汚染されている欧州からの輸入食品は、全体の5%しかないなどの要素を盛り
込むと、被ばくは年間で最大5ミリレム程度にしかならない」と問題ないとし
ている。

 これに対して、公開質問状は放射能に安全な値はないとの考え方に立ってい
る。国際放射線防護委員会は、被ばく線量の合計が1万レムに達するごとに、
その人たちの中から1人のがん死者が出るとしている。しかし、低年齢の子供
への危険度は大きいことが知られており、米国のJ・W・ゴフマン博士が原爆
や医療被ばくのデータをもとに計算した結果によると、零歳児では66レム、
5歳児では75レムで1人の死者になる。

 署名集めは23日まで続けられ、安全性を自分で判断する運動が広がりそうだ。