Fre00715 ヴァイオリンについて

#0000 sci5897  9007310126

ヴァイオリンについて

#0001 sci5897  9007310134

 私は現在、無量塔藏六・東京ヴァイオリン製作学校でヴァイオリンの製作
を勉強している佐々木朗という者です。
 ヴァイオリン等の弦楽器についての質問等ぜひして下さい。
 また以前は筑波大で物理を専攻していた関係もあり、ヴァイオリンの音響実験も
行っています。楽器に限らず、音声などの「音」に関する専門の方がいましたら、
意見の交換をお願いいたします。これまで意見を聞かせていただいた方は西巻正郎
先生(東工大名誉教授)、永井先生(筑波大物理工学系 ヴァイオリン研究)など
です。よろしくお願いします。

#0002 sci3962  9007311636

バイオリンは、古い方がいい音が出るのですか?
ストデバリウスはなぜ優れているのですか?

               一曲だけ弾ける もの影のバイオリン弾き

#0003 sci1250  9007311658

わたしは,全然分からない口ですが,

古いヴァイオリンの方がいいおとになるのですか,

よく,家屋とかの耐久実験で,人工的に年月を経過させるという過酷な環境
がありますが,ああいうところに新品のヴァイオリンを放置しておいたら
いいおとになるのでしょうか?

実験担当者がこっそりしのばしておいたりするとどうなるのであろうか?

keii-i

#0004 sci5574  9007312049

 私は、ヴァイオリンの事は分かりませんが、楽器は使い込めば次第に音がよくなる
のは確かのようです。

 これは、楽器の共振部が振動に慣れくるのが、原因と思います。
 (確かかどうか分からない。)

                                  ベネア

#0005 sci5897  9007312142

 「一曲だけ弾ける もの影のバイオリン弾き」さん、「keii-i」さん、「ベネア」
さん、さっそくの返答ありがとうございました。

 古い楽器の音が良いかどうかとの事ですが、「良い楽器が古くなった場合は確実に音が
良くなる」というのがヴァイオリン製作者の一致した考え方です。
 しかし全てのヴァイオリンについてこの事が当てはまるわけではありません。新品の状
態で音の良くない安物の楽器が古くなる事によって、素晴らしい音色になるという事はな
いというわけです。
 なぜならば、ヴァイオリンは「丁寧な扱い」と「丁寧な修理(お金がかかる)」によっ
て、その初期性能を維持できるばかりか、木材の経年変化によってさらに性能が上がるか
らです。しかし安物の楽器の場合、使用木材にいい加減な材料が用いられる場合がほとん
どで、修理が効かず、状態が悪くなる一方です。またそのような楽器の場合、維持費にお
金をかけるという事も聞いた事がありません。

 ヴァイオリンの経年変化による音色の向上の原因として、私個人の考えですが、次の2
つによるものが大きいと考えています。

1・乾燥により木材中の自由水が減り、それにともなって結合水も減り、結果としてセル
ロースの結晶化が進み、木材の剛性力が増す。この事により音が良くなる。100年以上
経っている楽器の重さは、新作よりも確実に軽いという事からも想像できます。
 強制乾燥はセルロースを傷めてしまうようです。

2・スピーカーの「エージング」と同じように、使い込む事によって楽器にかかっている
力が分散され、振動がしやすくなる。

 私はこの2つが主な原因と考えています。ストラディヴァリは当時から有名な製作者と
して知られ、もてはやされていた事はあまり知られていませんが、そのような製作者の楽
器が現在において良い音がするという事も当たり前なのかも知れません。

                  ヴァイオリン製作者 佐々木朗 

#0006 sci1250  9008011902

        乾燥だけでいいのなら,と思い.ヴァイオリンを巨大な電子レンジに
いれたりしてもダメなんですね.

エージングの方は,ロボットに演奏させればいいような気もする  keii-i

#0007 sci5897  9008012136

 「keii-i」さんのおっしゃる”電子レンジ”ですが、これが結構利用で
きそうなのです。
 私は電子レンジの活用について、1年ほど前からヴァイオリンにおける色々な
実験を行ってきました。その中では乾燥促進についてもためしてみましたが、か
なり具合がいいです。これまでの木材乾燥実験は、おもに木材表面から熱や煙を
利用して行うものがほとんどでした。従ってもし木材内部まで及ぶ効果を期待し
た操作をした場合、木材表面には大きな負担が掛かってしまい、結果として木材
がダメになってしまったのです。しかし電子レンジの場合その効果は知られるよ
うに、木材内部からある程度均一に起こるために効果に対する木材へのダメージ
が非常に小さいのです。
 また電子レンジは、木材を割れを起こさずに乾燥促進させるという事も好都合
です。実際に梨材を温風器(暖房)の前に置いておくと、わずか10分でかなり
のひび割れが入ってしまったのに対し、電子レンジによる処理では同じ量の水分
を飛ばしても全くひびが入りません。これは収縮の割合が均一だからでしょう。
 ただし注意すべき点は、電子レンジにかける時間です。これはあまり長すぎる
と熱処理をしたのと同じ事になってしまい、セルロースを壊してしまいます。

 次にエージングですが、これは機械ドライブによる数多くの実験が成されてき
ました。結果は確かし良くなるようです。しかしその装置の複雑さに対して、効
果が少ないのです。ヴァイオリンは使う人によって性格が変化するという微妙な
ものなので、正しい「音程」、「ビブラート」、「音の立ち上がり」の要素がな
い機械的エージングでは期待するほどの効果はでないのでしょう。

#0008 sci4920  9008012224

>佐々木さん,
 
もうだいぶ前ですが,新しいヴァイオリンを何かの液につけ込んで乾燥させると
ストラディヴァリウス的な音のヴァイオリンができるんだーみたいな記事を読ん
だおぼえがあります。
 
たしか,セルロースを変質させるだかセルロースの構造内に石灰分?を沈着させ
る云々と書いてあったと思うのですが,このような実験を御存知ないですか?
 
By Nori (時間がなくてちょっと御無沙汰でした)

#0009 sci5897  9008020056

 「Nori」さんの言われている ”石灰分”とは ”カリウムシリカ
ート”の事だと思います。
 カリウムシリカートは水ガラスの一種で、アメ状の粘性稠液です。その効果と
してはセメントみたいなものと考えてもいいと思います。
 このカリウムシリカートは、以外と古くからヴァイオリン木材処理に使われ、
ある研究論文によるとストラディヴァリもニスの下塗りとしてこれを使っている
と書いてあります。実際にストラディヴァリのニスの下には珪素やカリウム、そ
の他の化学物質が含まれているそうです。しかし私個人の考えとしては、ストラ
ディヴァリがカリウムシリカートを使用したといいきる事には反対です。なぜな
らば、当時は今ほど教育が行き渡ってなく、はたしてストラディヴァリがそれほ
どの「科学者」だったのか不確かだからです。確かに色々な物質を混ぜて、試行
錯誤はしているとは思います。
 ちなみにヴァイオリンにおけるカリウムシリカートの科学的論文は19世紀に
なってからSacconniによって書かれたのが最初だと思います。
 このカリウムシリカートは使用されはじめてからまだ100年くらいしか経っ
ていないので、木材における悪影響の有無がはっきりとしていないというのが実
状のため、現在世界中の多くのヴァイオリン製作者が使っていると思われます。
(ほとんどの手工芸製作者は化学処理を行っていないが。)
 これとは逆に、重クロム酸カリや過マンガン酸カリ等の木材処理は、約100
年以上前に流行しましたが、これによって多くのヴァイオリンが現在において傷
んでいます。ストラディヴァリ以後の製作者の楽器の評判が良くない理由として
、この様な小細工が悪影響をもたらしたという事も上げられます。
 最後にカリウムシリカートは、あの「御徒町陥没事件」の原因の ”土壌硬化
材”と同じものです。
                         佐々木朗

#0010 sci5746  9008020853

とろさんです。

そうですね。
金管楽器でも、新品の時には鳴りづらい音があって
「慣らし」をやらないと使えないといいます。
「音が抜けない」とかいうのですが。
しかも、最初はへたくそが吹くと「変な癖がつく」とかもいいます。
真偽のほどは、さだかではありません。

金管楽器は弦楽器と違って、そのあと数年とかで下降曲線に移行してしまい、
10数年とかでオシャカになってしまうようです。
楽器が機械的にだめになることもありますが、
(そういう意味の耐久性では金属は木材に劣ります。)
それよりも「鳴らなく」なったり、「倍音が狂」ったりするようです。
音痴になるんですね。
理屈はわかりませんし、「倍音が狂っていく」過程を
追跡したこともありませんが、学校の楽器庫にある古い楽器は
みんなそんな風になりはてていました。

金管楽器の音のでる仕組みを勉強してみたい
さんとろのとろさんでした。

#0011 kimot    9008021102

この基調、読ませていただき、勉強になります。

余談ですが、小生は中学時代金管をやっており
ました。中学だと、最大の問題は楽器の管理で
あったように思います。無論、中にはフルート
でバトントワラーをやって、落として壊す馬鹿
もいましたが、最大の問題は、ブラスバンドと
してパレードに駆り出されること。
たぶん、金属の疲労にひと役かうのではないか
と思います。

木元・拝

#0012 sci5897  9008021411

 「さんとろのとろさん」、「木元」さん、初めまして。お二人のおっし
ゃっている、金管楽器の寿命については私もよく聞きます。
 金管楽器に使用している金属と、弦楽器に使用している木材の最大の違いは、
金属は「金属疲労」する一方なのに対して、木材は300年ほどの間「性能が上
がり続ける」という事だと思います。もちろん両方の楽器がベストな状態を維持
した比較の場合ですけれど。
 従って金管楽器の「名器」は比較的安く手にはいるのに対し、弦楽器はストラ
ディヴァリやグァルネリのように億単位の楽器まで存在すると思います。私個人
の考えでは、ヴァイオリンの「名器」の楽器そのものの価値はせいぜい2〜3千
万円でその他は有名税みたいなものと思っています。
 最近日本人が無謀な値段で「名器」を買いあさるために、世界中における「名
器」の相場がうなぎぼのりして混乱状態になっているという事をよく聞きます。
絵画の世界よりはましかもしれませんが。
 最後に菅楽器(フルートなど)の素晴らしい研究をしていらっしゃる方では、
筑波大物理工学系の井戸川徹先生などがいらっしゃいます。

佐々木朗

#0013 sci5897  9008022121

 以前に書いたヴァイオリンレポートの中から面白い結果を掲げます。こ
れはヴァイオリン製作にいかに時間がかかるかという証明にもなるでしょう。

               ヴァイオリンの製作材料と完成楽器との質量比

                                        1990/2/8 佐々木朗
 手工芸品のヴァイオリンは、非常に大きな労力のもとに生まれる。それは製作
時間の上でもそうであるが、材料の面からみても、非常に大きな犠牲(無駄)を
払いながら生まれてくるのである。
 材料をたくさん犠牲にするということは、別な言い方をすれば、それだけの作
業時間が必要ということであり、今回の測定結果を見ればヴァイオリンの値段が
高いのもある程度理解できると思う。この様な非行率的な生産性に対して、これ
までに多くの試みがなされてきたが(プレス楽器など)、そのようなものからは
よい楽器が生まれないということは歴史が証明している。
 
                材料            完成後                           
    表板            625g            62.0〜79.0g(f孔あり)          
    裏板            1200g           120g                             
    ツァルゲン      58.4g                                            
  (横板)
    ライフェン      21.0g                                            
    ネック          762g            100g                             
    クロッツ        320g                                             
    (ブロック)
    バスバー        32.0g           2.3〜4.0g                        
  (力木)
    指板            80.0g                                            
    駒              11.0g           2.6g                             
    魂柱            5.0g            0.6g                             
    ザッテル        8.6g                                             
  「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「      
    合計            3123g           360〜400g(ペグ、あご当て無し)  

 これらの数値はいくつかのサンプルより測定したもので、特に完成後の質量に
関しては、この値が基準地ではないということに注意していただきたい。
  結論としては、材料の内、楽器本体になるのは全質量の約12%である。しか
しこれはヴァイオリン専用に製材した材料を測定したものであり、その製材時の
無駄も考慮に入れれば、ヴァイオリンは材料の90%以上の犠牲の上に存在する
ということがわかる。この様なぜいたくな無駄を行っても、その音色と引換にし
たら惜しいことは一つもない。しかし、それによって生まれたヴァイオリンがひ
どい音がしたら、自然保護団体から訴えられても何も言えないだろう。心して製
作しなければならない。

 実際に原木の状態から計算すれば、99%は捨てられているかもしれません。
逆にいえば、製作者が丹念に削り落としているという事も言え、ヴァイオリンの
値段が高価だという理由もわかっていただけると思います。
                            佐々木朗

#0014 sci4920  9008022224

>佐々木さん,

お答えありがとうございました。
木材の経年変化を促進してくれる装置があるといいですね(紙に対しては
光と熱でシミュレートできるようですが)。

ヴァイオリンの材料→完成品に至っては「ウウム,なるほど」の境地です。
ヴィオラ〜コントラバスについても多分同様なのでしょうね。その点から
すると,ギターの方が材料損失は少ないかな...

By ギター万年初級&合唱セミプロの Nori

#0015 sci5897  9008030055

 「Nori」さんの弾かれるギターとはクラシックギターでしょうか、
それともフォークギターでしょうか。もしクラシックギターを弾かれるのなら、
毎年11月頃に代々木?の野口英世会館で催される、「日本弦楽器製作者協会主
催展示会」に行くと面白いと思います。
 この展示会は日本のヴァイオリンとクラシックギターの手工芸製作者の作品展
示会で、実際に楽器を弾いてみる事もできます。(かしこばった展示会ではあり
ません。)
 なかなか手工芸製品、それも日本人製作による楽器を見る機会はないと思いま
すので、他の皆様もぜひ来て下さい。
                              佐々木朗

#0016 sci5897  9008032236

ヴァイオリンについてのクイズです。
 どなたか、大体の値でけっこうですので答えてみませんか?

@ヴァイオリンの表板の厚みは何mm位でしょうか。

Aヴァイオリンの駒に掛かる弦の張力(表板に垂直)は何kgでしょう。

B5弦コントラバスの駒に掛かる弦の張力は何kg?

Cヴァイオリンの重さはあご当て無しの状態で約400gですが、そのうちニス
の質量は何g位でしょうか。

答はそのうち発表します。                   佐々木朗

#0017 sci4920  9008041725

>佐々木さん,

日本人製作者の手工クラシックギターというやつを持っています。
ほとんど取り出す機会がないのが残念ですが。
あいつもケースの中で泣いていることであろう...

時間があったら代々木に行ってみます。

By Nori

#0018 sci2754  9008041734

  芸術に関してはまったく知識がありませんので、あてずっぽうで
いきます。

@ヴァイオリンの表板の厚みは何mm位でしょうか。  5mm

Aヴァイオリンの駒に掛かる弦の張力(表板に垂直)は何kgでし
ょう。
      駒が何かよく分からないのですが、多分、弦の一番隅に付い
ているものだと予想して、20kg

B5弦コントラバスの駒に掛かる弦の張力は何kg?
      これもよくわからんが、10kgぐらいかなあ

Cヴァイオリンの重さはあご当て無しの状態で約400gですが、
そのうちニス
の質量は何g位でしょうか。
  50gもあれば十分かな。でも、ニスってけっこう重いから10
0g

  まあ、当たっているとは思いませんが、もし、当たっていたら今
月の運は向いているかもしれない。

                                                美優

#0019 sci5897  9008042155

 日本弦楽器製作者協会の展示会についての話しですが、おもしろいもの
で私達ヴァイオリンを作っているものは、ヴァイオリンの製作技術の善し悪しは
5m離れて見てもわかるのですが、一方ギターを見てもみんな上手く見えてしま
うのです。
 それぞれ見るポイントがあるのかもしれません。ギター作りの人達は全く逆に
思っているのでしょうね。

ヴァイオリンクイズ、3人くらい集まりましたら答を発表しますので、よろしく
お願いします。
                            佐々木朗

#0020 sci5746  9008050238

とろさんです。バイオリン・クイズに応募します。

1)表板の厚みは、2.5mm。
                くらいに見える気がする。
2)駒にかかる張力は、10kg。
                あてずっぽう。
3)5弦ベースの場合は、60kg。
                人が踏んでも壊れない?
4)ニスは、10g。
                きっとうすくて軽いに違いない。

追伸:
「駒」というのは・・・
弦楽器の弦というのは、横から見ると「へ」の字に張ってありますよね。
その「へ」の字の山の部分を支えている部品が「駒」です。
と。いうことくらいは、知っていますが。
正解の発表のときにでも、「駒」の役割なんて教えていただけるとありがたいです。
よろしく。
                    さんとろ亭とろさんでした。

#0021 sci5465  9008051025

 ヴァイオリンクイズに応募します。

 ☆ヴァイオリンの表板の厚み

    たぶん厚くても3mm位だったとおもう。

 ☆ヴァイオリンの駒に掛かる弦の張力

    50kg位

 ☆5弦コントラバスの駒に掛かる弦の張力

    コンバスの演奏中に弦が切れて指が吹っ飛んだという話がある位だから
    相当あるはずですよね?
    思い切って1000kg(コンバスの弦なんてほとんど棒でしょう)

 ☆ ヴァイオリンのニスの質量

    200g(かなり厚塗りしてあったような気が..)

 蛇足
 昔「ヴァイオリンの中に虫がいる」と言われて信じていたら
 実は「魂柱」(こんちゅう)だった。

                    EPROM

#0022 sci2754  9008051859

  とろさん
  駒について説明をありがとうございます。
  そうするとかなりの力がかかっている感じがしますが、回答はあ
のままでいきます。
                                                美優

#0023 sci5897  9008052021

「美優」さん、「とろさん」、「EPROM」さん有り難うございました。答を
発表します。

@「表板の厚み」について
 EPROMさんが正解です。とろさんも正解といってもよいかもしれません。
表板の厚みは中心部分の最も厚い部分で約3mm、最も薄い部分で約2.5mm
です。製作者によって厚みの取り方にばらつきはありますが、それでも±0.5
mmが限界です。
 表板の材質は日本の木で言えば蝦夷松にあたり、かなり軽くて軟らかい木です
。それを3mmの薄さまで削るとまるで「羽」の様に軽くなります。(少し大げ
さかもしれませんが。)
 新作の厚みの取り方は先に述べたとおりですが、古い楽器は修理によりしかた
なく表板の厚みが減ってしまったものが多く、最大で2.5mm、最小で1mm
強などという楽器も見うけます。この厚みでよく弦の張力を支えるものです。

 見優さんの答えて下さった厚みは裏板の厚みに近いです。裏板は表板と異なり
、広葉樹の「楓」でできています。これは表板に比べると非常に堅く、そして重
い材料です。その上、厚みを最大で4.5mmに取るのでますます頑丈に感じま
す。

A「ヴァイオリンの駒に掛かる弦の張力」
 美優さんが一番近いのですが、正解者はいませんでした。しかし皆さんかなり
いいせんいっていました。
 答は約26〜29kgです。この重みが駒を通じて、先に述べた厚みの表板に
掛かっているのです。駒についてはさんとろさんに説明していただいた通りです。

B「5弦コントラバスの駒に掛かる弦の張力」
 これは皆さんはずれです。答は110kgです。いくら大きな楽器といえども
110kgの圧力に耐え続けているとはすごいと思いませんか?EPROMさん
の「1000kg」に比べれば大したことはないのですが・・・。

C「ニスの重さ」
 さんとろさん正解です。答は10g〜15gです。この問題に関しては、こち
らが予想していた答と皆さんの考え方と違っていたようでした。私はもっと軽い
方に答えるのではと思っていました。
 ニスはおよそ15〜20回塗っては乾かし、乾かしては磨き、塗っていきます
。そしてかなり厚く塗り重ねたと思ってもその厚みはせいぜい0.1mm位だと
思います。しかしその重さが10g以上ある事がわかったときには私は思った以
上の質量にびっくりしました。
 ある研究によるとニスを塗る事によって、木目と平行方向への曲げ剛性が10
倍近く増加すると書かれていましたが、わかるような気もします。またある研究
によるとニスは「必要悪」ということが書かれていますが、これもわかるような
気がします。というのも、もしヴァイオリンにニスを塗らなかったとすれば、1
0年で壊れてしまうのに、ニスによって数百年耐える事ができます。しかし15
gの樹脂が絡みついているとすれば、音が悪くなっているのかもしれません。
 ニスが音に対して「是」か「非」かは今のところ諸説ふんぷんでわかりません
が、その質量の大きさからもその影響力は十分予想できます。

最後に駒の効果ですが、図が描けないので上手く説明できないのが残念です。し
かし上手くできているものです。
 弦は弓によって表板面に対して平行に振動します。しかしそれでは表板に振動
を伝える事はできません。ここで「駒+魂柱」が弦の振動方向を90度変換し、
表板に振動を伝える事ができます。
 昔の人はただ経験だけでこれほど効率のよい仕組みを考えたとは、ほんとうに
恐れ入ってしまいます。

結局チャンピョンはさんとろさんでした。おめでとうございます。
                              佐々木朗

#0024 sci5897  9008052339

 関連23でヴァイオリンの駒の働きについて簡単に触れましたが、その
追加説明をします。
 例えばギターの場合はヴァイオリンのような複雑な駒は持っておらず、弦の端
に単純な駒(板)を立てているだけです。その理由はギターはヴァイオリンの様
に弦の振動の方向を変換しなくてもよいからです。すなわち弦の振動方向が板の
振動方向(表板の面に垂直方向)と同じなのです。
 ギターの弦は指ではじいて振動させるのですが、その振動方向は一見表板面に
平行にはじいているように思われるかもしれませんがそうではありません。実際
には斜め方向にはじいています。従って表板面に垂直方向の成分も多く含まれ、
この成分が表板を振動させるのです。
 もしギターを持っている方は、注意して意識的に弦を真横(表板面に平行)に
はじいてみて下さい。音がでない事に驚くと思います。

 このようにヴァイオリンの駒は複雑な働きをしているのです。(結局ヴァイオ
リンの駒の説明にはなっていませんが。)
                            佐々木朗

#0025 sci2754  9008070057

  正解を見ました。
  表板の厚さについてですが、2,3mmで数十kgの重みに耐え
るとはかなりなものですね。普通に考えたのではなかなか耐えられ
るものではないでしょうから、板の方向や構造や後で説明のあった
ニスにいろんな工夫があるのでしょうね。

  5弦コントラバスの駒に掛かる弦の張力ですが、110kg!!
ちょっと軽い大人二人分ですね。大人が二人乗っても大丈夫という
ことです。驚きました。

  ニスの重さですが、液体の時と乾いた後では、同じ量でも重量が
だいぶ変わるのでしょうか。私はあのどろどろしたニスを思い出し
ますので、10回以上も上塗りをしても10g程度ですむというほ
うが、かなりの驚きです。10gといえば、1円玉が10枚です。
これは持ってみると非常に軽いものです。

  それと、ギターやヴァイオリンの増音(共振)について私は大き
な勘違いをしていました。弦が震えそれがあの穴から音が入り共振
して音が大きく美しくなるものと思っていましたが、本当は弦の振
動を駒を通して板に伝え、その板の震えが中の空気を震わせて共振
を起こすのですね。勉強になりました。

  とろさん、チャンピオンおめでとうございます。ビールの掛け合
いでも。
                                                美優

#0026 sci5897  9008070232

 ヴァイオリンのニスの質量が10g〜15gというのは、乾燥後のもの
です。ヴァイオリンのニスは一般の塗料よりも水っぽく(アルコールっぽく)、
どろどろした感じはありません。従って塗った後、かなりのアルコールが蒸発し
、残った樹脂はとても薄い層になります。これが美優さんがニスが以外と軽いと
思われた理由と思います。
 例えば飛行機に塗る塗料は、乾燥前と乾燥後では3:1の比になるそうです。
(シンナーの蒸発によって。)ヴァイオリンの場合にもそれくらいか、もしかす
るとそれ以上に比になるのかもしれません。
                             佐々木朗

#0027 sci1509  9008070518

 ギターの話が出てきたので私も参加させてください.「駒」の働きがギター
とバイオリンで異なるということを初めて知りました.また、言われてみれば
その通りで、弦を表板に平行に弾くとたしかに音量が全然出ませんね.ところ
がエレクトリックギターだとこれがまたまるで役割が違ってきて、駒は振動を
減衰させる原因になる共振を極力抑えるように作られていますし、ピックアッ
プも表板に平行な動きを拾うように作られていて・・・

 あ、電気楽器なんて邪道ですか?

Taka

#0028 sci5746  9008070834

とろさんです。

チャンピョンをいただいてしまいました。
うれしい。
ニスの重さが勝利を決定したようですから、
「あてずっぽうの勝利」そのものだね。

これが、張力のところなんかで得点していれば、
「日常感覚の勝利」なんてエバるのだが。
コントラバスなら、人が乗っても大丈夫そうだし、
バヨリンは、踏みつぶせそうだもんね。

佐々木さま:
「駒」の説明、ありがとうございます。
振動方向の転換とは気が付きませんでした。
あの「ふんばったお相撲さんのかたち」がきっと有効に働いて居るんでしょうね。
(おっと。女性をかたどったといわれるバヨリンに「お相撲さん」はないよね。
        なにか、「駒」のかたちにも「いわれ」があるんでしょうか?)
おっしゃる通り、「え」で説明していただけたら、どんなにいいでしょうね。

美優さま:
ビールの掛け合いよりは、
お立ち台からシャンパン・シャワーといきませんか。
上位三人表彰ということで。

すぽんっ! しゅわわわぁーーーっ

やっぱりセナが好きのとろさんでした。

#0029 sci5897  9008071307

         Takaさん初めまして。エレキギターの駒の事、初めて知りました
。ヴァイオリンに限らず「なるほど」という事がありましたらもっと知らせて下
さい。
 私も高校生の時にエレキベースを少し弾いていた事があるのですが、弦のあの
小さな振動をよくピックアップがとらえきれるものですね。

 ヴァイオリンの特徴はあの曲面にあるのですが、弦楽器で表板が曲面を持って
いる楽器は他にないのではないでしょうか。ギターの場合は平面ですが(実際に
は微妙なアールがついています)、この違いは音の発音の仕方によります。ギタ
ーは弦をはじき、その余韻が音色であるのに対し、ヴァイオリンは弓によって強
制的に音を持続します。
 もしギターがヴァイオリンの様な形をしていたならば、弦の振動はすぐに止ま
ってしまうと思います。一方ヴァイオリンの表板が平面だったなら、その音は「
ボーボー」という感じの張りの無い音になってしまうでしょう。
 またこれに関連してお互いのニスの特徴も異なります。ヴァイオリンの場合に
は楽器の構造上、高い倍音成分が十分出るためにニスを硬くしてこれ以上音を甲
高くする必要はないのですが、一方ギターの場合には余韻を残すために表板を平
面構造にした関係から、音色が丸くなってしまうのです。従ってギターの場合ヴ
ァイオリンよりも硬いニスをつかって音色を引き締めているようです。
 ヴァイオリンの場合にはギターのような硬いニスは良くないとされています。
 さすがチャンピョンだけあって、とろさんはいいところに気がつきます。とろ
さんのおっしゃる通り、駒の「ふんばった足」がポイントです。その一方の下に
魂柱があり、これによって駒の魂柱側の足は上下運動できません。しかしもう一
方の足は自由です。そこで駒の弦の乗っている上部を表板面に水平に揺らしてみ
て下さい。自然と駒の足の片側(自由な方)は表板面に対して垂直運動をしてい
るはずです。すなわち弦の振動方向が90度変換されたわけです。
                ← →水平運動             
                        ョ「「「「「「「「「イ                         
                        、                  、                          
                        、       駒         、                          
                        、                  、                          
                        、  ョ「「「「「イ↑、                          
                        セホコ          カ「コ                          
                        、、              ↓ 垂直運動                   
                        、、                                            
                       魂柱                                             
                        、、                                            
                        カコ                                            

                              佐々木朗

#0030 sci2754  9008092320

  佐々木さん
  ニスについていろいろとありがとうございました。
  サラサラしているとのことで、10回以上も塗っても軽いわけで
すね。

  とろさん
  シャンパンシャワーといきましょうか。
  シュッポッーン。わーわー。
  セナ好きですか、どうぞF1クイズへいらっしゃいませんか。
  
                                                美優

#0031 sci5897  9008101254

今回はヴァイオリンの弦について述べたいと思います。

 初期の頃のヴァイオリン(正確に言えばヴァイオリン以前)は、現在イメージ
するような甲高い張りのある音はしていなかったと考えられます。また現在のヴ
ァイオリンの様に、幅広い音階も弾く事ができず、これがヴァイオリンなのかと
いうほど音色が違っています。
 これはヴァイオリンの弦が現在のそれよりも劣っているためで、逆に言えば弦
の発達とともにヴァイオリンのイメージ(キャラクター)も変わってきました。
従ってストラディヴァリの頃のヴァイオリンも今のヴァイオリンの音色とはかな
り違っていたはずです。しかし「大きく、素直に発音する楽器」という概念が良
いヴァイオリであるということは、現在も昔も変わっていないと思います。これ
によって当時の「良い楽器」は、すなわち現代の「良い楽器」として通用すると
思うのです。
 弦の要素を科学的に見ますと「剛性の無い重い線」が理想とされます。従って
弦の発達を時代をおってみますと、それは「重さ」とそれに反する「しなやかさ
」との引き合いといってもよいほどです。

弦の発達
第1段階 羊の腸(ガット)を伸ばしただけ。
 この弦は最も原始的ものです。欠点はその質量を大きくしようとすると、剛性
も大きくなりすぎ、弦としての役割を果たす事ができませんでした。従ってこの
時代の楽器は現代の楽器ほど低音も高音も出ず、また音色も張りの無い音だった
と考えられます。

第2段階 ガットをねじる。(ツイスト弦)
 最初のガットがただ伸ばしただけというのに対し、それをねじりながら(より
ながら)伸ばすと、より太く(重く)そしてその割りにはしなやかな弦が作れる
という事がわかってきました。この弦の改良方法によって、より太い弦が作られ
るようになり、そしてそれはすなわち楽器の低音域を広げました。

第3段階 ツイスト弦をさらに寄り合わせる。(ロープ状弦)
 この方法により、あまりしなやかさを失わせないまま弦を太く(重く)する事
が可能になり、弦の張力はますます上がります。すなわちより低い低音が可能に
なるばかりではなく、音の高倍音成分も出るようになり、音色が現代のヴァイオ
リンの様な張りのある音に近づきました。

第4段階 ガット弦に金属線を巻き付ける。(オープン巻線)
 ガットのみでその重さを重くするのには限界があります(太くなり過ぎ演奏不
可能になる)。このため弦に金属線を巻き付け、弦の質量を増やし、音に張りを
持たせようという試みが成されました。最初、金属巻線はガットの回りにぎっし
りと巻かれましたが、これではしなやかさが失われ失敗し、やむなく金属巻線を
隙間を開けて巻きました。

第5段階 ガット弦に金属線をぎっしり巻き付ける。(クローズ巻線)
 金属線の巻方の改良や、材料の改良、ガットと金属巻線の間に入れる摩擦防止
繊維の開発により、金属巻線をぎっしりと巻いてもしなやかな弦が作れるように
なりました。これによってヴァイオリンの音色は現代のそれのように、甲高い張
りのある音になりました。

第6段階 金属巻線の改良(リボンタイプ・クローズ巻線)
 第5段階までの金属巻線は、断面が丸い普通の線でした。しかしこれでは弦の
表面がぶつぶつになってしまい、弓との接触面積が減り、発音をし難くなってし
まいます。しかし技術の進歩によって平リボンタイプの金属線を巻く事ができる
ようになりました。

第7段階 高性能金属線の開発によりスチール弦の登場。
 それまでも弦自体を金属のみによって作ってしまうという考え方はあったので
すが、当時の金属線は力不足で弦の張力には耐えきれず、やはりガットが主流で
した。(弦の回りに巻く分には力はほとんど掛からないので金属も使えた。上述。)
 しかし産業革命により高性能金属線が開発され、これを弦に応用するようにな
りました。ピアノの弦に使われ、有名になり現在「ピアノ線」と呼ばれている金
属線です。これによって現代の弦の基礎技術はおおよそ揃いました。

 実際にはさらに細かい改良がありますが、おおよその流れはこの様な感じです
。この様な弦の発達とともに、ヴァイオリンの構造も少しずつ変わっています。
現在ヴァイオリンでは演奏者の好みによって、金属線と、クローズ巻ガット線を
使い分けています。
                             佐々木朗

美優さん、とろさん、私もセナびいきです。

#0032 sci1065  9008110832

電子レンジによる乾燥にては、既に楽器だけでなく木工部門全体で
使用しておりますね・・・・・
名称は「高周波乾燥機」という名前なのですが
勿論使用する周波数は「電子レンジ」とは全然違いますが動作は
同じと考えてよろしい・・・かと

 「高周波乾燥機」の電気的雑音に悩まされている

#0033 sci5897  9008111649

 sci1065さん初めまして。木工部門での「高周波乾燥機」についてですが、
木材へのダメージなどはどのように考えているのでしょうか。もしよろしけれ
ば色々と教えて下さい。
                             佐々木朗

#0034 sci2600  9008311754

私はヴァイオリンは弾きませんが
子どもにはチェロをやらせています。
先日、チェロの先生がたと少し喧嘩をしました。
私は昔の良いとされている楽器は単なる希少価値では
ないかと思っているからです。
何千万円も出して買った楽器だから良い音のはずだとか、
今は手に入らない楽器の音だから良い音だ
という評価をしているように思えるのです。
もう少し純粋な気持ちで良い音を探しても良いのではないでしょうか。
私はストバリよりもバロックヴァイオリンの音の方が
好きです。
それに、今の科学でクレモナ杉に匹敵するような楽器が
作れないはずが無いと思っていますが、いかがでしょうか。
本当にブラインドテストをして違いが分かるのでしょうか?

ちょっと取り留めもないままに書かせていただきました。

YUTA

#0035 sci6066  9009112352

ゲストでログインしていたときからみなさんの発言を読ませていただきました。

  私も「日本弦楽器製作者協会主催展示会」に行ったことがあり、
楽器によってこんなにも音が違うものかと感心させられました。
  その展示会では、古い有名な楽器、様々な新しい楽器を使って
プロの演奏家が舞台の上の白い幕の後ろで演奏し、聴衆がその楽器の評価をする
というブラインドテストの催しもありました。
  確かに”ストラディバリウス“といった古い時代に製作された楽器は
新しく製作された楽器よりも良い音がします。
  ただしこれらの古い楽器に劣らない良い音のする新しい楽器も
確かにありました。
  しかし何かもの足りないのです。
  文学的な、抽象的な表現で強いて言うなら、音の厚み、深み
と言ったらよいでしょうか。
 
  実際、アイザック・スターン、鄭京和、イツァーク・パールマンなど
すぐれたバイオリン演奏家は古い時代に製作された、しかも有名な楽器を使って
いると聞いています。
  演奏家と楽器との相性ももあるでしょうが、新しく製作された楽器というのは
プロの演奏家にとってどのような価値があるのでしょうか。
 
  音を、時間変化の(あるいは、時間変化に代わる別の)パラメータを含めて
定量的に評価できたら何かわかるでしょうか。
 
  私の友人で大学時代から バイオリン を習っている人がいて、
このネットの発言のことを含めてバイオリンのことを話したところ、
ぜひ聞いて欲しいことがあると言っていましたので一緒に書かせて下さい。

  (1)値段の安いバイオリン、高いバイオリン、又は良いバイオリン、
    悪いバイオリンを定量的に(測定器などで)比較することができるか
    (周波数スペクトル、及びその時間変化などを用いて)。
  (2)できるならば、それらのデータが載っている資料はあるか。
  (3)もし、良いバイオリンの音響特性がわかっているなら、
    良くないバイオリンの音を電気的に加工(イフェクターなどで)し、
    良いバイオリンの音にすることは可能だろうか。
  (4)楽器の善し悪しを表現するのに
    ・良く鳴る
    ・音がこもる
    ・耳もとでうるさいが、遠くでは聞こえない
    ・耳もとでは静かだが、遠くまで響く
    ・張のある音がする
    ・音に艶がある
    などの言葉を使うが、これらを定量的に測定できるだろうか。
 
  最近、鄭京和に凝っている HAYDN でした。
                                                   以上

#0036 sci2600  9009140024

HAYDNさん、私がかねがね気にしていたことを書いて頂きありがとうございました。
私もブラインドテストには非常に興味があります。
しかし、ひねくれ者の私ですのでそのまま鵜呑みには出来ません。

>  その展示会では、古い有名な楽器、様々な新しい楽器を使って
>プロの演奏家が舞台の上の白い幕の後ろで演奏し、聴衆がその楽器の評価をする
>というブラインドテストの催しもありました。
>  確かに”ストラディバリウス“といった古い時代に製作された楽器は
>新しく製作された楽器よりも良い音がします。

つまり、このテストの仕方が本当に公平であったかどうかの点です。
演奏家にも楽器が分からないようになっていたかどうか、という点は
大きな意味を持ちます。
また、新しく制作された楽器はどのような物だったのでしょうか?
そして、その演奏者はどんな楽器でも最高のレベルで演奏できたでしょうか?
例えば、ちょっと差がありすぎる比較ですが、金属弦を張ったストラディバリウスと
ガット弦を張ったバロックヴァイオリンとは弾き方が異なります。
それぞれに合った最高の演奏をしなければ本当の比較は出来ません。

>  ただしこれらの古い楽器に劣らない良い音のする新しい楽器も
>確かにありました。
>  しかし何かもの足りないのです。
>  文学的な、抽象的な表現で強いて言うなら、音の厚み、深み
>と言ったらよいでしょうか。

私が聞いた訳ではないのでなんとも言えませんが。

>  実際、アイザック・スターン、鄭京和、イツァーク・パールマンなど
>すぐれたバイオリン演奏家は古い時代に製作された、しかも有名な楽器を使って
>いると聞いています。
>  演奏家と楽器との相性ももあるでしょうが、新しく製作された楽器というのは
>プロの演奏家にとってどのような価値があるのでしょうか。

私に一つの説があります。
ヴァイオリンの良い音と言うのはもはや主観的ではなくなっているのではないかと言う
ことです。ヴァイオリンの言い音は古いクレモナ杉の音であるという定義が
あるのではないでしょうか。
これなら簡単です。古いクレモナ杉の音以外は良くない音なのです。
多分、音響分析により区別を付けることは出来るでしょう。それで
古いクレモナ杉の音だと分かればそれは良い音です。
また、クレモナ杉とラベルが貼ってあれば良い音です。はがれた瞬間に
悪い音になります。

>  音を、時間変化の(あるいは、時間変化に代わる別の)パラメータを含めて
>定量的に評価できたら何かわかるでしょうか。
> 
>  私の友人で大学時代から バイオリン を習っている人がいて、
>このネットの発言のことを含めてバイオリンのことを話したところ、
>ぜひ聞いて欲しいことがあると言っていましたので一緒に書かせて下さい。
>  
>  (1)値段の安いバイオリン、高いバイオリン、又は良いバイオリン、
>    悪いバイオリンを定量的に(測定器などで)比較することができるか
>    (周波数スペクトル、及びその時間変化などを用いて)。

ある程度は出来るでしょう。例えば、音の高さによらず一定の音量が
出せる楽器は良い楽器です。胴の共鳴がある程度フラットな方が極端に
片寄りがあるよりはいいはずです。

>  (2)できるならば、それらのデータが載っている資料はあるか。
>  (3)もし、良いバイオリンの音響特性がわかっているなら、
>    良くないバイオリンの音を電気的に加工(イフェクターなどで)し、
>    良いバイオリンの音にすることは可能だろうか。

ヴァイオリンの場合音程の悪い楽器があるかどうかは知りませんが、
音程は加工できないと思います。

>  (4)楽器の善し悪しを表現するのに
>    ・良く鳴る
>    ・音がこもる
>    ・耳もとでうるさいが、遠くでは聞こえない
>    ・耳もとでは静かだが、遠くまで響く
>    ・張のある音がする
>    ・音に艶がある
>    などの言葉を使うが、これらを定量的に測定できるだろうか。

きっとできると私は思っています。ヴァイオリン製作者の佐々木朗氏に
聴いてみたら分かるでしょう。

YUTA

#0037 sci6066  9009202320

YUTAさん、ご意見ありがとうございました。
 
        「ブラインドテストについてそのまま鵜呑みには出来ない」
とのことですが、この試みは確かに限界があります。
 それは承知で私も参加しました。
 
  もう少し詳しくお話しします。
 
  バイオリンの演奏者は、読売日本交響楽団のコンサートマスターを
しておられる方だったと思われます。
 そして、その古い有名な楽器というのは、その方が所有しておられる楽器で
“ストラディバリウス”と“ガダニーニ”でした。
 また、新しく製作された楽器というのは、いわゆる現代のバイオリン製作者
によって近年に製作された楽器です。
 
  確か、その方が一人で20種類の楽器を弾きこなされました。
古い有名な楽器2種類と、新しく製作された楽器18種類を
比較演奏したことになります。
 ひとつの楽器について曲のなかの聞かせどころを1曲ずつ合計2曲
演奏しました。
  つまり、合計40回演奏されたことになります。
  後半の演奏はかなり疲れた様子でした。
 
したがって、YUTAさんのご指摘、
        「このテストの仕方が本当に公平であったかどうかの点です。
       演奏家にも楽器が分からないようになっていたかどうか、という点は
       大きな意味を持ちます。」
        「そして、その演奏者はどんな楽器でも最高のレベルで
          演奏できたでしょうか?」
については、このブラインドテストではいたらない点でした。
  しかしこの試みは余興という性格をもっていたためこの点について議論
することは賢明ではないでしょう。
 ただこのような試みは古い有名な楽器と新しく製作された楽器になんらかの
評価を与えるために大きな示唆を与えてくれるよい機会だと思えます。
 そういう示唆を与えてくれたからこの議論を生んでいるのだと思います。
 
また、
        「例えば、ちょっと差がありすぎる比較ですが、金属弦を張った
   ストラディバリウスとガット弦を張ったバロックヴァイオリン
   とは弾き方が異なります。」
ということについては詳しく知りませんが、
ともかく、楽器を厳密に公平に評価、比較するためには、
まさに YUTAさん が言われるように
        「それぞれに合った最高の演奏をしなければ本当の比較は出来ません。」
そうだと思います。
 各楽器の個性を発揮できる時期、場所、そしてその楽器の性能を十分に
発揮できる特別の人を見つけるなど条件をととのえてやる必要があります。
 
 しかし、演奏会でも、楽器店でも接することができる、このように身近な
嗜好楽器に、ある基準を与えるという程度に明確な評価を与えることが
できれば良いのではないでしょうか。
  つまり、いわばカタログ的な評価でよいから、定量的な基準を与えることが
できれば良いのではないかと思われるのです。
  カタログ的な、定量的な基準といっても確かなものでなければならないのは
言うまでもありません。
  くどくなりますが、つまり思い込み、固定観念に左右されない、
誰もがある程度妥当と判断できる基準を与えることができれば、
客観的に評価できれば、良いのではないでしょうか。
 
  これが実現できれば、良いバイオリンにつてある尺度からみた基準ができます。
そしてその尺度を基準にした、良いバイオリンについてのデータができます。
  定量的なデータをどのように評価するか、つまり良い音という概念をデータで
評価するのは難しい問題ですが、クレモナ杉でできたバイオリンが良い音である
ということを、ひとつの基準に基づいてある程度証明できるでしょう。
 
  得られたデータは新たに良いバイオリンを作るためのデータとして
利用することもできます。
 
  ですから、音を、時間変化の(あるいは、時間変化に代わる別の)パラメータを
含めて定量的に評価できたらよいのではないかと考えています。
 
  しかし音といっても音程、音色、響き(音響)などいろんな評価項目が
ありますね。  
 
                                                    HAYDN より。

#0038 sci5897  9009220259

 YUTAさん、HAYDNさん初めまして。鋭い御意見ありがとうござい
ます。
 まず、古い楽器に対しての私の考えですが、科学的立場からみても音響的性
能は上がっていると思います。それは木材の質量が非常に小さくなっているこ
とからも推測できます。(おそらく乾燥によって)
 以前アマティのバラバラになった木片をさわった事がありましたが、非常に
乾燥が進んでいるために「軽く、しかし丈夫」である印象を受けました。この
ような木材はセルロースの結晶化が進み木材の強度が増した上に、質量が軽く
なったために、ヤング率が小さくなり発音特性が増すと思います。実際に古い
楽器を弾いた場合には「発音がよい」という印象を受けます。このようにして
考えると「名器」がよいという理由もわかります。
 しかし注意すべきことは、その様に都合のよい古い楽器は非常に少ないとい
う事です。楽器は古くなれば傷んできます。演奏者は経年変化による音質の向
上の事ばかりに目が行きがちですが、実際には経年変化による楽器の傷みも同
時に進んでいます。私達のように楽器を分解する機会が多い者には身にしみて
わかるのですが、古い楽器は度重なる修理のために板が強度的に限界なほど薄
くなっていたり、下手な修理者によって傷んでしまっていたりする事がほとん
どです。古ければふるいほどこのような症状は多いです。しかしストラディヴ
ァリ等の「名器中の名器」になると話しは少し違ってきます。なぜなら、それ
らは新しいうちから丁寧にもてはやされていたために、年代の割に傷みが少な
いのです。
 古い楽器がなぜこれほどもてはやされるのかという理由として次の事が考え
られます。
・実際に古い楽器は新しい楽器とは違った音色を持っている。(よりストラデ
ィヴァリなどの音に近い。)
・演奏者は楽器本体に関してはほとんど知識を持っていないので、やはり音中
心で楽器を選ぶ。
・楽器商は本当によい(良心的な)新作を売るよりも、古い楽器を仕入れて、
程々に修理して売った方がはるかに楽で、そして利益も大きい。

 以前あるプロオケの奏者が無量塔藏六のもとに自分の選んだ楽器を見せにき
ました。その楽器は確かに音はよかったのですが、楽器の傷み具合がひどく、
修理の手の施しようもないくらいだったので、無量塔藏六はそれを止めた方が
よいと忠告したところ、その演奏者は怒ってしまいました。それもその楽器の
値段が最初は1200万だったのが最終的には600万で買ったそうです。ど
この世界に600万も値段が下がる物があるでしょうか。その楽器商の良心を
疑ってしまいます。
 プロの演奏者がこの程度の考えで楽器を選ぶようでは、それを見本とするア
マチュアの人々が片寄った知識を持つのは当然です。
 現代の私達がよい新作ヴァイオリンを育てなければ、後生「よい古いヴァイ
オリン」がなくなってしまう事だけは確かです。
                            佐々木朗

#0039 sci5897  9009221949

HAYDNさんの疑問について、私なりの考えを述べたいと思います。

  (1)値段の安いバイオリン、高いバイオリン、又は良いバイオリン、
    悪いバイオリンを定量的に(測定器などで)比較することができるか
    (周波数スペクトル、及びその時間変化などを用いて)。
  (2)できるならば、それらのデータが載っている資料はあるか。
  (3)もし、良いバイオリンの音響特性がわかっているなら、
    良くないバイオリンの音を電気的に加工(イフェクターなどで)し、
    良いバイオリンの音にすることは可能だろうか。
  (4)楽器の善し悪しを表現するのに
    ・良く鳴る
    ・音がこもる
    ・耳もとでうるさいが、遠くでは聞こえない
    ・耳もとでは静かだが、遠くまで響く
    ・張のある音がする
    ・音に艶がある
    などの言葉を使うが、これらを定量的に測定できるだろうか。

(1)測定器でヴァイオリンを評価できるかという事ですが、大まかな意味で言
えばできます。実際に私もFFTによって多くの楽器の測定研究を行いました
。しかし難しいのは測定結果のどこにポイントを置くかです。単純に測定デー
タを比較するだけならば簡単なのですが、現実は様々な要因が絡んで来ます。
例えば、
・実際に弾いたときと、離れて聞いたときの違い。
・離れ具合によっても音の感じ方が違う。
・測定方法には様々な測定方法があり、それによっても測定結果は異なってく
る。例えばタップトーン法、ホワイト・ノイズによる発音、フラット・スピー
カーによる駒のドライブ、弓による実際の発音(開放弦)、指で押さえると?
、ビブラートの問題は?・・・・等。
 この様に、ヴァイオリンの音を評価するための定説は現在の所まだありませ
ん。

(3)に関連すると思いますが、ヴァイオリンの音を合成する事によって、逆に
ヴァイオリンの音色がどのようなものかをかんがえようという実験には非常に
興味を持っています。逆FFTによって可能なはずですが、私はまだ手を出し
てはいません。またヴァイオリンに関してその様な本格的実験も聞いた事があ
りません。
 以前はオーディオ用のグラフィック・イコライザーによって似たような試み
をした方は多いようですが、この方法では精度がなさ過ぎます。

(4)これも非常に難しいです。ヴァイオリンを演奏できない研究者(結構多い
)はこのようなニュアンスの影響力がどれほど大きいのかを知らないために、
データの表面だけをとらえた結論を出す事があります。しかしこのようなニュ
アンスの原因を測定データから探しだそうとすると、これまた難しくなってし
まいます。
 例えば私のある実験において、楽器の「箱鳴り」の違いをデータ的に示そう
としたのですが、ある程度までは示せてもそれ以上では行き詰まってしまいま
した。その時は楽器から50cm離れたところの音をマイクで拾ったのですが、
もっと楽器に密着したデータが必要なのかも知れません。

 これまでに世界で発表された論文や、私の測定結果からすると、ヴァイオリ
ンの主要な倍音成分のほとんどは7〜8kHz以下の周波数帯域にあるようで
す。ヴァイオリンの倍音は高域までも伸びている事で有名なので、20kHz
位は楽に伸びていると思っていたのですが、これには驚きました。
 実際に10kHz以上に強い倍音成分を持つ楽器は、弾いたときに耳障りな
音がする事が確認できました。
 ホールで聞いたときにはその様な高い周波数帯は聴衆に届かないにもかかわ
らず、ヴァイオリンの音色の違いがわかるという事からも想像はつきます。
 逆に言うと、ある論文によれば、ヴァイオリンの表板に使う松材は8kHz
付近以上の振動を吸収し易い材料だそうです。

 昨年のブラインド演奏に関してですが、私は「平等な試み」であったと思い
ます。普通あのような試みの対象楽器は「名器」で、しかも審査員は名のある
人です。その様な場合には様々な利害関係から平等な発言はできにくいもので
すが、あの試みではほとんどその様な事がありませんでした。また軽い余興感
覚がよかったのかも知れません。
 私は2階席で聞いていたのですが、私の選んだ楽器と評判のよかった楽器と
はほとんど一致していました。そしてその特徴は
・音量が大きい
・全音域においても平均して音が大きい
です。
 しかし実際に弾いている人にとっては、もっと違いは大きかったはずです。
これがヴァイオリンの難しいところだと思います。
                            佐々木朗

#0040 sci5897  9009251310

>私に一つの説があります。
ヴァイオリンの良い音と言うのはもはや主観的ではなくなっているのではない
かと言う
ことです。ヴァイオリンの言い音は古いクレモナ杉の音であるという定義が
あるのではないでしょうか。
これなら簡単です。古いクレモナ杉の音以外は良くない音なのです。
多分、音響分析により区別を付けることは出来るでしょう。それで
古いクレモナ杉の音だと分かればそれは良い音です。
また、クレモナ杉とラベルが貼ってあれば良い音です。はがれた瞬間に
悪い音になります。

 以上はYUTAさんのご意見ですが、私の考えでは半分くらいは的を得てい
ると思います。しかしいくつか反対したいところもあります。
 第一に「クレモナ杉」がストラディヴァリの秘密だという考え方は、楽器の
製作者や研究者の間ではほとんど重要視されていないという事です。この説は
「捨て台詞」のようなものです。なぜならば現在存在しないものにストラディ
ヴァリの秘密を当てはめるという考え方は、科学的考察法からはずれているか
らです。この説はある研究者が「一つの可能性」として出したものに過ぎなか
ったものが、マスコミなどに素人受けしたものです。
 もう一つは実際にストラディヴァリは素晴らしいものが多いという現実です
。私もこの仕事の勉強をはじめる前は、ストラディヴァリだけがなぜダントツ
にもてはやされているのかという疑問を持っていました。しかし外見(美しさ
、製作技術)からすると、当時の他の製作者特別がつくほどの素晴らしさです
。このような楽器は色々な要因が重なって、その損傷が小さく、現在において
素晴らしい音がするという事も理解できます。
 しかしすべてのストラディヴァリがダントツな音がしているとは思えません
。(平均すればやはり群を抜いているでしょうが。)しかしそれでもストラデ
ィヴァリの音が素晴らしいと言うのはYUTAさんがおっしゃるように固定観
念からくるのでしょう。
 半分笑ってしまうのは、演奏家が、自分の手にいれたストラディヴァリの音
があまりよくないような場合「自分の腕がまだ未熟なようだ」という話しをす
る事がよくあります。しかし、他の楽器ならばすぐに売り払ってしまうでしょ
う。
                           佐々木朗

#0041 sci6066  9009280006

佐々木さん、ご意見ありがとうございました。
 
 佐々木さんのご意見に関連する話を私も最近バイオリンを習っている
友人から聞きました。
  佐々木さんのご意見にそってお話しします。
 
         「単純に測定データを比較するだけならば簡単なのですが、
          現実は様々な要因が絡んで来ます。例えば、
          ・実際に弾いたときと、離れて聞いたときの違い。
          ・離れ具合によっても音の感じ方が違う。」
 
について、
 
 実際に弾いたとき、というのは耳元で音を聞いたとき、ということだと
思われますが、これに関連する出来事を友人から聞きました。
 先日その友人が600万もするバイオリンを弾かせてもらったそうで、
そのときの感想を聞くと、
 『実際に弾くと冷たい音がしたが、離れて聞くとやはりいい音がした』
とのことでした。
 『冷たい音』というのを詳しく聞くと、耳元では高音が強調された、
非常にバランスの悪い音であった、ということでした。
 高音は低音に比べて減衰特性が大きいから、近くで聞いたときは
高音が強調されたとしても、離れたところでは高音と低音がバランス良く
聞こえる、と言えるのでしょう。
 よい音をつくり出す条件のひとつとして、このようなからくりも関係ある
のだろうか、と友人と話をしました。
 
この話は、佐々木さんの
 
         「実際に10kHz以上に強い倍音成分を持つ楽器は、弾いたときに
          耳障りな音がする事が確認できました。
    ホールで聞いたときにはその様な高い周波数帯は聴衆に届かないにも
    かかわらず、ヴァイオリンの音色の違いがわかるという事からも
    想像はつきます。」
 
というご意見にそっています。
 
 ブラインドテストについて、
 
 佐々木さんが指摘された楽器の特徴、
 
        「・音量が大きい」
        「・全音域においても平均して音が大きい」
 
については、私も納得しました。
 
                                                    HAYDN より

#0042 sci2600  9009290053

久しぶりのフォローなので
ちょっと長くなりました。180行くらいあります。

HAYDNさん
> しかし、演奏会でも、楽器店でも接することができる、このように身近な
>嗜好楽器に、ある基準を与えるという程度に明確な評価を与えることが
>できれば良いのではないでしょうか。
>  つまり、いわばカタログ的な評価でよいから、定量的な基準を与えることが
>できれば良いのではないかと思われるのです。
>  カタログ的な、定量的な基準といっても確かなものでなければならないのは
>言うまでもありません。
>  くどくなりますが、つまり思い込み、固定観念に左右されない、
>誰もがある程度妥当と判断できる基準を与えることができれば、
>客観的に評価できれば、良いのではないでしょうか。

それはなんでしょうか?

HAYDNさん
>  これが実現できれば、良いバイオリンにつてある尺度からみた基準ができます。
>そしてその尺度を基準にした、良いバイオリンについてのデータができます。
>  定量的なデータをどのように評価するか、つまり良い音という概念をデータで
>評価するのは難しい問題ですが、クレモナ杉でできたバイオリンが良い音である
>ということを、ひとつの基準に基づいてある程度証明できるでしょう。

どうやって?

HAYDNさん
>  得られたデータは新たに良いバイオリンを作るためのデータとして
>利用することもできます。

データが得られたとすればそうです。しかし、今はそのデータが
何であるか分からないのでしょ?

HAYDNさん
>  ですから、音を、時間変化の(あるいは、時間変化に代わる別の)パラメータを
>含めて定量的に評価できたらよいのではないかと考えています。

私もそう思います。そして定量的な評価は可能だと思っています。

HAYDNさん
>  しかし音といっても音程、音色、響き(音響)などいろんな評価項目が
>ありますね。  

音程はこの際余り問題ではないでしょう。
音色と響きをどう区別されているのか良く分かりませんが、
音の立ち上がり、伸び、音量なども大きなfactorでしょう。
音色という言い方は広すぎて余りよくありませんね。
物理的な言い方をすれば倍音の割合ですね。ただこれは多分時間や音量や
弓の当て方やそのほか多くの要因がパラメータになっています。


佐々木さん
> 古い楽器がなぜこれほどもてはやされるのかという理由として次の事が考え
>られます。
>・実際に古い楽器は新しい楽器とは違った音色を持っている。(よりストラデ
>ィヴァリなどの音に近い。)

違った音色≠いい音

>・演奏者は楽器本体に関してはほとんど知識を持っていないので、やはり音中
>心で楽器を選ぶ。

この場合も必ずしも「いい音」を選んでいるとは限らない。

>・楽器商は本当によい(良心的な)新作を売るよりも、古い楽器を仕入れて、
>程々に修理して売った方がはるかに楽で、そして利益も大きい。

確かに。

> 現代の私達がよい新作ヴァイオリンを育てなければ、後生「よい古いヴァイ
>オリン」がなくなってしまう事だけは確かです。

そうです、私もこれを言いたいのです。
極端な言い方をすれば(今までも極端だったかな:-))ストラディヴァリなどの
音を追いかけるのではなく、真にいい音を追って欲しいのです。
そして、この「真にいい音」というのは恐らく決まった物ではなく、
音楽なり演奏家なりがそれぞれに求めている物です。

>。しかし難しいのは測定結果のどこにポイントを置くかです。単純に測定デー
>タを比較するだけならば簡単なのですが、現実は様々な要因が絡んで来ます。

フレーム問題ですね:-)

>例えば、
>・実際に弾いたときと、離れて聞いたときの違い。
>・離れ具合によっても音の感じ方が違う。

でも、現音が同じなら離れても同じ比較が出来るのではありませんか?

>・測定方法には様々な測定方法があり、それによっても測定結果は異なってく
>る。例えばタップトーン法、ホワイト・ノイズによる発音、フラット・スピー
>カーによる駒のドライブ、弓による実際の発音(開放弦)、指で押さえると?
>、ビブラートの問題は?・・・・等。
> この様に、ヴァイオリンの音を評価するための定説は現在の所まだありませ
>ん。

本当に出来ないのですか?

>(3)に関連すると思いますが、ヴァイオリンの音を合成する事によって、逆に
>ヴァイオリンの音色がどのようなものかをかんがえようという実験には非常に
>興味を持っています。逆FFTによって可能なはずですが、私はまだ手を出し
>てはいません。またヴァイオリンに関してその様な本格的実験も聞いた事があ
>りません。

興味深いですね。音声の認識でも同じ様な事をしています。

> 以前はオーディオ用のグラフィック・イコライザーによって似たような試み
>をした方は多いようですが、この方法では精度がなさ過ぎます。

これは確かに無理でしょう。
パルス波の合成の方がいいですね。

> 例えば私のある実験において、楽器の「箱鳴り」の違いをデータ的に示そう
>としたのですが、ある程度までは示せてもそれ以上では行き詰まってしまいま
>した。その時は楽器から50cm離れたところの音をマイクで拾ったのですが
>、もっと楽器に密着したデータが必要なのかも知れません。

つまり結局は現代の科学では解明できないという事ですか?
それはなんとも悲しい感じがしますね。

> 昨年のブラインド演奏に関してですが、私は「平等な試み」であったと思い
>ます。普通あのような試みの対象楽器は「名器」で、しかも審査員は名のある
>人です。その様な場合には様々な利害関係から平等な発言はできにくいもので
>すが、あの試みではほとんどその様な事がありませんでした。また軽い余興感
>覚がよかったのかも知れません。

余興だから平等と何故言えるのですか?HAYDNさんが言っておられるように
本人の「名器」と本人のではない(とは言ってなかったかも知れませんが)
新しい楽器を較べたのならむしろ平等ではないと考えますけど。

> 私は2階席で聞いていたのですが、私の選んだ楽器と評判のよかった楽器と
>はほとんど一致していました。そしてその特徴は
>・音量が大きい
>・全音域においても平均して音が大きい
>です。

結局音量のある楽器がいいという事になりますね。
音色は二の次ですか?

> しかし実際に弾いている人にとっては、もっと違いは大きかったはずです。
>これがヴァイオリンの難しいところだと思います。

ここで気がついたのですが、演奏者は会場の音とはかけ離れた音を
聴いているのでしょうか?
そうですよね、私も楽器を演奏するので分かりますが。
演奏者には違いが分かっても聴衆には分からないのかしら?

> 第一に「クレモナ杉」がストラディヴァリの秘密だという考え方は、楽器の
>製作者や研究者の間ではほとんど重要視されていないという事です。この説は
>「捨て台詞」のようなものです。なぜならば現在存在しないものにストラディ
>ヴァリの秘密を当てはめるという考え方は、科学的考察法からはずれているか
>らです。この説はある研究者が「一つの可能性」として出したものに過ぎなか
>ったものが、マスコミなどに素人受けしたものです。

でも私は実際に「クレモナ杉」と書いてある「名器」を持っている人を知ってます。
「クレモナ杉」ではないストラディヴァリの「名器」ってあるのでしょうか?

> 半分笑ってしまうのは、演奏家が、自分の手にいれたストラディヴァリの音
>があまりよくないような場合「自分の腕がまだ未熟なようだ」という話しをす
>る事がよくあります。しかし、他の楽器ならばすぐに売り払ってしまうでしょ
>う。

:-):-)


HAYDNさん
> ブラインドテストについて、
> 
> 佐々木さんが指摘された楽器の特徴、
> 
>        「・音量が大きい」
>        「・全音域においても平均して音が大きい」
> 
>については、私も納得しました。

音量はもちろん大事なfactorの一つだとは思います。しかし、
それだけでは決してありません。
もしそうなら現代の楽器製作者は苦労はしないでしょう。
前にも書いたと思いますが、オーケストラの規模が大きくなり
それに対抗するために音量の大きい楽器がもてはやされたという
意見はうなづけます。そしてそれにより大事な音色を捨ててしまったのでは
ないかという感じもします。
小室内楽や、音の小さい楽器との競演の場合でも音量の大きい
楽器がいいのでしょうか?しばしば私はもっとヴァイオリンの
音を小さくすればいいのにという演奏を聴きます。このような場合
このヴァイオリンは決して「名器」ではありません。
真の「名器」はその音楽をいい物(これも主観的ですが)に出来る物です。
従って、ある時はストラディヴァリは名器となり得ますが、全てに
対してではないはずです。何千万もするストラディヴァリを一丁だけ持って
全ての音楽を演奏しようとするから間違いが起きるのです。
ある時は佐々木さんの楽器が名器にもなるのです。
(あっ、佐々木さんの楽器が悪いといっているのではないですよ)

YUTA

#0043 sci5897  9009290318

 YUTAさんご意見ありがとうございました。ご指摘が多かったため
に、一度には私の考えを述べられないために、幾つかずつ言いたいと思います。

 まず現代の測定方法で本当にヴァイオリンを解明できないのかというご質問
に対してですが、これは先のMSGで言っている通り、あまりにも複雑な要因
が絡みすぎているという事につきます。
 例えば私はFFTによって、板単体(f孔を開ける前)、f孔を開けた後、
箱にした状態などいくつかの状態での測定を数多くやってきました。ただ単に
ある一定状態での測定(例えばf孔を開ける前の板)だけで考察するのでした
ら、データの比較は非常に細かくできます。しかしそれらのデータと前後のじ
ょうたいとの因果関係を調べ、しかも別のヴァイオリンとの関係を同時に考察
するという仕事は非常に困難です。
 前後の因果関係を調べるのは非常に難しく、私は今の所うまくいっていませ
ん。例えば簡単な例だけでも次のような要因があり、それらの要因が重なると、
データの特徴は大きく変わってきます。
・木材自体の音響的特徴。これはかなり大きいために、全く同じ状態での比較
 実験が行えない。(同じ木から取れた木材でも、性格が同じではない。)
・板の厚み。人間が削るので、どうしてもばらつきがでる。しかし思った以上
 にはこの要因は小さいようです。
・f孔をあける。
・裏板と組み合わせて箱の状態にする。裏板とのマッチングも複雑さを大きく
 します。
・魂柱を立てる。
・駒を立てる。
・弦をはる。
・弓で実際に弾く。弓によっても音の出方は全く違います。
 ここに上げた事柄は最低条件です。しかしこれらの間ではデータの因果関係
をそう簡単には出せないというのが現状です。特に最近の測定精度は高くなっ
ているために、精度が高くなればなるほどどこに注目すべきなのかわからなく
なるわけです。
 またこの他に測定方法による考察結果の違いもあります。例えばある研究者
は駒をフラットスピーカーでドライブして音を出して研究し、ある人は駒の上
をタッピングしてデータを取ります。またある人は機械によって実際に弦を振
動させて研究を行った場合、これら同士のデータは全く異なり、比較ができな
くなってしまうわけです。
 現在、音響研究者でヴァイオリンの研究をする人は非常に少ないです。これ
はこれまで述べたように、非常に要因が複雑すぎるために非常に成果が現れ難
いためです。研究者は成果が出ないと予算も出ないようです。従ってフルート
などの管楽器の方の研究が進んでいるのだと思います。
 またこれまでのことを全く逆にいえば、独りよがりできるのもまたヴァイオ
リン研究の特徴です。従ってヴァイオリンに関する研究論文などは常に全てに
目を置いておかないと、偏った知識になる可能性が大きいです。特にマスコミ
に発表されたものだけを聞いているとまずいと思います。マスコミでは素人受
けする研究結果しか取り上げない傾向にあるようなので。

 「クレモナ杉」についてですが、私の知っている限りでは、その様な確定さ
れた材料はないと思います。例えば、普通ストラディバリ等に使われている材
料でも、何という名前の材料を使ったのかを判別することはできません。そこ
で仮にその名前を「〜バルサム(たぶんYUTAさんがクレモナ杉と呼んでい
る物だと思います。また普通は表板には松の種類が使われます。)」とある研
究者が呼んだだけです。
 従ってYUTAさんのおっしゃる「クレモナ杉を使っていると書かれている
名器」というのも、私には理解できません。誰の作品なのでしょうか。もちろ
んその楽器自信の評価をしているのではありません。
 もう一つ付け加えると、ストラディヴァリの権威の「ヒル」や「ハート」に
おいてさえ、木材に関しての意見は異なっており、定説はないということです。

 次に音量と音色のことですが、もちろん音量がよければ音色はどうでもよい
といっているわけではありません。しかしモダン・ヴァイオリンにおいては音
量は不可欠です。例えば以前、東京カルテットの方が、ストラディヴァリとア
マティの音量の話しをしていましたが、やはり音量は重要であるといっていま
した。実際、音量の出る楽器は、演奏にも幅が出ることは確かです。もちろん
バロック演奏などの特殊なヴァイオリンについては別ですが、曲によってヴァ
イオリンのタイプを選べばよいという考えには疑問を感じます。ヴァイオリ
ンは値段が高いので、個人でせいぜい1〜2本しか所有できません。またヴァ
イオリンは各楽器によって演奏の仕方が異なってくるために(楽器の特徴から
)、演奏家が楽器を使い分けるというのは現実的でないと思います。そうする
とどの曲でも、大きなホールでも小さなホールでも使える楽器はやはり音量の
大きな楽器となるわけです。もちろん音量が大きいからといって、音が下品だ
ということではありません。
 音色に関してですが、ホールで聞いている人にはそれほどは大きな要素では
ないようです。もちろんあるレベル以上の楽器での話しですが。音色よりも、
音量とバランスの方がより影響力はあるようです。従ってホールで聞いた場合
には、新作と古い楽器との区別がつかなくなるわけです。しかし弾いている人
にとっては、音色は重要なことです。いくら聞いている人が満足していても、
本人が気分が乗らない音ならばその楽器は嫌われてしまいます。ここで新作は
どうしても古い楽器に負けてしまいがちです。
 実際に、聞いたときには似た音なのに、弾いているときには別物の音がする
楽器というのはあります。測定するときもこれらのどちらで測定したかによっ
て、楽器の評価が変わってくるわけです。理想では、考えられる全てのことを
測定すればよいのですが、これは当然不可能です。
                            佐々木朗

#0044 sci5897  9009291947

 ヴァイオリンの音響研究について、これまで悲観的なことばかりを上
げてきました。しかしそれは研究が「手も足もでない」といっているわけでは
ありません。世界中で着実にヴァイオリンの解明が進んでいることは確かです
。しかし、ある有名な科学者が「科学の進歩は1つの謎の解明によって、2つ
の疑問を生む。」と言ったのと同じように、より謎が増えてもいるわけです。
私はこの事を言いたかったのです。
 私の実験の中でも大きな成果がいくつかあります。例えば「ヴォルフ音」の
仕組みなどです。このヴォルフ音についての研究はこれまでにも何人かの論文
があり、私の行ったことが画期的というわけではありません。しかし当時の測
定に比べて精度が上がっているために、新しいことも見えてきました。
 ヴォルフ音はチェロやコントラバスの人が悩みます。ヴォルフ音はその位置
を僅かに動かすことはできても、消すことはできません。しかし演奏者はそれ
を消してくれと頼み、一方製作者(修理者)はできないと言い、お互いに納得
できない状態になります。この仕組みはヴァイオリン製作者でも詳しく知って
いる人はいないと思います。従って楽器の所有者に対して、曖昧な説明しかで
きませんでした。しかしその原理がわかると、実際に楽器の所有者をある程度
納得させることができるわけです。
 現在の私の研究では、ヴォルフ音を説明するのがやっとで、それを操作する
ことはできません。しかしこのような小さな研究の積み重ねが、やがてヴァイ
オリンの総合的解明、そして製作への応用とつながると思います。
                            佐々木朗

#0045 sci2600  9009292353

佐々木さん、丁寧な回答ありがとうございました。

測定法に付いてですが、佐々木さんは楽器製作者の立場でお考えになっている
ようで、もちろん当たり前の事とは思います。
ところで、FFTなりで解析した場合、同じ解析結果の物は同じ音色であると
断定できるのでしょうか?または、同じ音色の楽器(つまり同じ楽器という意味かな?)
の測定結果は同じになるのでしょうか?逆に音色が違えば測定結果も
異なるのでしょうか?

それからいろいろな要因で音色が変わるとおっしゃいますが、この場合の
ばらつきは良い楽器、悪い楽器のばらつきを包含しないのでしょうか。
それだけいろいろな要因があるにも拘らず良い楽器と言うのが
そう数がないという事は非常にせまい範囲しか良い楽器ではないといっているように
聞こえます。

> 現在、音響研究者でヴァイオリンの研究をする人は非常に少ないです。これ
>はこれまで述べたように、非常に要因が複雑すぎるために非常に成果が現れ難
>いためです。研究者は成果が出ないと予算も出ないようです。従ってフルート
>などの管楽器の方の研究が進んでいるのだと思います。

この辺りは口の悪い私に言わせればわざと神秘的にしているようにも
思えます(ご気分を害したらご免なさい)。
フルートの話が出ましたが、管楽器は絶対に古楽器が使えない(現在の
オーケストラでは)という点で弦楽器とは異なります。
新しい楽器を使わざるを得ないのです。従って現在のいい音を追求しています。
フルートはそのため全く古楽器とは音色の違った物になっています。

ところで、ストラディヴァリはバロック時代だと思うのですが、
バロックヴァイオリンとどこが違うのでしょうか?

>に発表されたものだけを聞いているとまずいと思います。マスコミでは素人受
>けする研究結果しか取り上げない傾向にあるようなので。

その素人受けが古楽器の値段を釣り上げているのかしら。

> 「クレモナ杉」についてですが、私の知っている限りでは、その様な確定さ
>れた材料はないと思います。例えば、普通ストラディバリ等に使われている材
>料でも、何という名前の材料を使ったのかを判別することはできません。そこ
>で仮にその名前を「〜バルサム(たぶんYUTAさんがクレモナ杉と呼んでい
>る物だと思います。また普通は表板には松の種類が使われます。)」とある研
>究者が呼んだだけです。

そうですか。私もそれほど確信を持っているわけではありません。
ただ、クレモナ杉は古楽器の時代に取り尽くしてしまい、現在は存在しない
植物であり、だから古楽器は希少価値があるのだと聴いたものですから。

> 従ってYUTAさんのおっしゃる「クレモナ杉を使っていると書かれている
>名器」というのも、私には理解できません。誰の作品なのでしょうか。もちろ
>んその楽器自信の評価をしているのではありません。

済みません、そこまでは知りません。ただ、その場では確かに「クレモナ」の
楽器は張りがあり際だった音色をしていました。

> もう一つ付け加えると、ストラディヴァリの権威の「ヒル」や「ハート」に
>おいてさえ、木材に関しての意見は異なっており、定説はないということです
>。

うーん、という事は材質の希少価値ではないという事ですかね。

> 次に音量と音色のことですが、もちろん音量がよければ音色はどうでもよい
>といっているわけではありません。しかしモダン・ヴァイオリンにおいては音
>量は不可欠です。例えば以前、東京カルテットの方が、ストラディヴァリとア
>マティの音量の話しをしていましたが、やはり音量は重要であるといっていま
>した。実際、音量の出る楽器は、演奏にも幅が出ることは確かです。

これはダイナミックレンジの事ですね。それは確かにそうです。しかし、
そんなに最大の音量が大事なのでしょうか。私には「音楽は音量である」
と言っているようで気になるのですが。
他の条件が同じで音量の大きい方を選択すると言うのなら分かりますが。

>もちろん
>バロック演奏などの特殊なヴァイオリンについては別ですが、曲によってヴァ
>イオリンのタイプを選べばよいという考えには疑問を感じます。ヴァイオリ
>ンは値段が高いので、個人でせいぜい1〜2本しか所有できません。

私は最初からこの点を問題にしているのです。なぜヴァイオリン属だけが
こんな法外(?)の値段が許されるのでしょうか?そして本当にそれだけの
価値があるのでしょうか?貧乏人の私には理解できないのです。

>またヴァ
>イオリンは各楽器によって演奏の仕方が異なってくるために(楽器の特徴から
>)、演奏家が楽器を使い分けるというのは現実的でないと思います。

これはどんな楽器でも同じではないでしょうか。例えばリコーダのブリュッヘンは
よく舞台の上に一抱えもの楽器を持ってきて曲毎に変えています。
あれだって楽器が変われば癖が違いますから演奏の仕方は異なっているはずです。

>そうする
>とどの曲でも、大きなホールでも小さなホールでも使える楽器はやはり音量の
>大きな楽器となるわけです。もちろん音量が大きいからといって、音が下品だ
>ということではありません。

所有楽器が少ないとすれば当然こうなるでしょう。

> 音色に関してですが、ホールで聞いている人にはそれほどは大きな要素では
>ないようです。もちろんあるレベル以上の楽器での話しですが。音色よりも、
>音量とバランスの方がより影響力はあるようです。従ってホールで聞いた場合
>には、新作と古い楽器との区別がつかなくなるわけです。しかし弾いている人
>にとっては、音色は重要なことです。いくら聞いている人が満足していても、
>本人が気分が乗らない音ならばその楽器は嫌われてしまいます。ここで新作は
>どうしても古い楽器に負けてしまいがちです。
> 実際に、聞いたときには似た音なのに、弾いているときには別物の音がする
>楽器というのはあります。測定するときもこれらのどちらで測定したかによっ
>て、楽器の評価が変わってくるわけです。理想では、考えられる全てのことを
>測定すればよいのですが、これは当然不可能です。

うん?ちょっと待ってください。演奏家は何のために演奏するのでしょうか。
聴衆を満足させるためですよね。聴衆に区別が付かないのであれば
良い楽器の意味がないのではないでしょうか。だから本人にとっていい音は
聴衆にとってもいい音で無ければなりません。

音量バランスが大きく影響するのは私にも分かります。
だからといって音が大きい方がいいと言うのは解せないのです。
例えば協奏曲はいろいろな楽器の物がありますね。それこそべらぼうに
大きな音の出るオルガンから小さい音のチェンバロやバスリコーダ
なんていうのもあります。これらはソロ楽器の音量に応じてバックの音量も
変えるから成り立っているわけです。だったら同じヴァイオリンでも
ソロ楽器の音量に応じてバックの音量を変えるのが当たり前です。
ソロ楽器が主人公なのですから。だから音量がそれほど無くても
他の音色がずば抜けて良ければ良いと思うのですが。

> ヴァイオリンの音響研究について、これまで悲観的なことばかりを上
>げてきました。しかしそれは研究が「手も足もでない」といっているわけでは
>ありません。世界中で着実にヴァイオリンの解明が進んでいることは確かです
>。しかし、ある有名な科学者が「科学の進歩は1つの謎の解明によって、2つ
>の疑問を生む。」と言ったのと同じように、より謎が増えてもいるわけです。
>私はこの事を言いたかったのです。

いや、それで逃げてはいけません。そんな事を言っていたら科学の進歩は
発散してしまいます。

> 私の実験の中でも大きな成果がいくつかあります。例えば「ヴォルフ音」の
>仕組みなどです。このヴォルフ音についての研究はこれまでにも何人かの論文
>があり、私の行ったことが画期的というわけではありません。しかし当時の測
>定に比べて精度が上がっているために、新しいことも見えてきました。

それこそ科学の進歩です。

> 現在の私の研究では、ヴォルフ音を説明するのがやっとで、それを操作する
>ことはできません。しかしこのような小さな研究の積み重ねが、やがてヴァイ
>オリンの総合的解明、そして製作への応用とつながると思います。

おおいに期待しています。
1つの謎の解明が2つの疑問にも応えてくれる場合もあります。

YUTA

#0046 sci5897  9010011251

 YUTAさんまたまた鋭いご意見ありがとうございました。私も根本
的にはYUTAさんのおっしゃる事と同じ事を言いたいという事をご理解くだ
さい。
 私は科学的考察を行う以上、同じ解析結果のものは同じ音色でなければなら
ないと思います。もちろんこれはある一つのデータにおいてではなく、最終的
結論においてですが。これは科学で一番重要な「再現性」につながる事だと思
います。
 科学的考察をする場合、常に実験と理論とは互いに進歩しなければなりませ
ん。フルートの場合には単純モデルが考え易く、また理論もある程度素直に空
気の流動モデルが当てはまります。ヴァイオリンの場合にも単純モデルによっ
て理論付けを行うのですが、いろいろな要素が多すぎてそれが次の段階でうま
く通用しなくなってしまう場合が多いのです。もちろん最終的詰めの段階では
、フルートでもヴァイオリンでも同じくらい奥が深いのは当然です。
 現在におけるヴァイオリン研究は、狭い範囲(例えば、駒の振動だけや、板
単体の振動)においてはこの様に着実に進歩しているのですが、それらの総合
、すなわち「ヴァイオリン」という楽器の本質にはなかなか結びついていない
のが現状です。これが当面の課題です。
 一方一般の人々は、ヴァイオリンを見るときには必ず「楽器としてのヴァイ
オリン」を見ます。従って「研究段階におけるヴァイオリン」とはかなりかけ
離れています。従って一般的感覚で「ヴァイオリンの研究」を考えると、非常
に危険な事になりかねないという事を言いたいのです。例えば以前「ストラデ
ィヴァリのコンピュータ解析ヴァイオリン」というのがとても流行った事があ
ります。この真相はただ単に、あるストラディヴァリの板の厚みの3Dデータ
を採ってNC加工しただけのものでした。これなどは実際に研究している者に
とっては「科学」という言葉で使用者をだましているとしか受け取れないです
。私はこのような勘違いをなくすために、正直にヴァイオリン研究の現状を言
っているだけで、ヴァイオリンを神秘的に持ち上げているわけではありません
。全くその逆に、真によい楽器を追求したいのです。これはYUTAさんのお
っしゃっている事と同じ事だと思います。ヴァイオリンを神秘的に持ち上げる
だけならば「口」だけで十分です。

 バルサム唐桧(YUTAさんがクレモナ杉と呼んでいるもの。ヴァイオリン
には杉は使わないので、「杉」と呼ぶのには抵抗がありますのでこう呼びます
。)についてですが。これはある人の考えでは北イタリア地方の松で、18世
紀中に絶滅したと考えられています。一方、当時のイタリアの製作者達は自分
の住んでいる近くから材木を採っていたのではないかという推測から、ストラ
ディヴァリもこの絶滅した材料を使っていたのではないかという考えです。し
かし当時はベネチアを中心に貿易が盛んで、ニスなどの材料は輸入品でした。
木材も他の地域から運んできたとも限りません。
 また実際にバルサム唐桧を表板に使っていたとしても、その他の材料につい
てはどうでしょう。絶滅したのでしょうか。
 この問題は「絶滅=二度と手に入らない」と「神秘主義」とを絡めて、それ
こそ値段を釣り上げている原因の一つでもあります。
 科学的に考えると、実際にバルサム唐桧が音響的重要な要素である可能性は
持っています。しかしその重要度(重さ)は、あくまでもその他の要因と同じ
くらいのものにしか過ぎません。

 私は「ヴァイオリン研究が難しい」といって、ヴァイオリンの価値を上げよ
うなどという事は、これっぽっちも思っていないと言う事だけはご了承くださ
い。
                           佐々木朗

 ストラディヴァリのモダンとバロックについては次で述べたいと思っていま
す。

#0047 sci2600  9010020009

> YUTAさんまたまた鋭いご意見ありがとうございました。私も根本
>的にはYUTAさんのおっしゃる事と同じ事を言いたいという事をご理解くだ
>さい。

私も理解した上での議論をしているつもりです :-)

> 私は科学的考察を行う以上、同じ解析結果のものは同じ音色でなければなら
>ないと思います。もちろんこれはある一つのデータにおいてではなく、最終的
>結論においてですが。これは科学で一番重要な「再現性」につながる事だと思
>います。

そうです。

> 科学的考察をする場合、常に実験と理論とは互いに進歩しなければなりませ
>ん。フルートの場合には単純モデルが考え易く、また理論もある程度素直に空
>気の流動モデルが当てはまります。ヴァイオリンの場合にも単純モデルによっ
>て理論付けを行うのですが、いろいろな要素が多すぎてそれが次の段階でうま
>く通用しなくなってしまう場合が多いのです。もちろん最終的詰めの段階では
>、フルートでもヴァイオリンでも同じくらい奥が深いのは当然です。

モダンフルートは円筒管にしてしまったので、比較的簡単なモデルになってし
まいました。しかし、トラヴェルソや他の管楽器はやはりモデルが複雑で、解
明されていない点も多いようです。

> 一方一般の人々は、ヴァイオリンを見るときには必ず「楽器としてのヴァイ
>オリン」を見ます。従って「研究段階におけるヴァイオリン」とはかなりかけ
>離れています。

それも当然でしょう。

>従って一般的感覚で「ヴァイオリンの研究」を考えると、非常
>に危険な事になりかねないという事を言いたいのです。例えば以前「ストラデ
>ィヴァリのコンピュータ解析ヴァイオリン」というのがとても流行った事があ
>ります。この真相はただ単に、あるストラディヴァリの板の厚みの3Dデータ
>を採ってNC加工しただけのものでした。これなどは実際に研究している者に
>とっては「科学」という言葉で使用者をだましているとしか受け取れないです
>。

木管楽器では似たような事をしていますね。しかし、木管楽器の場合は材質の
振動は非常に少なく管の内径と内面の性質に音質が依存するから出来るのです。
従って、プラスティックの笛もある程度可能になります。

>私はこのような勘違いをなくすために、正直にヴァイオリン研究の現状を言
>っているだけで、ヴァイオリンを神秘的に持ち上げているわけではありません
>。全くその逆に、真によい楽器を追求したいのです。これはYUTAさんのお
>っしゃっている事と同じ事だと思います。ヴァイオリンを神秘的に持ち上げる
>だけならば「口」だけで十分です。

その追求の的がストラディヴァリのみであることが気になるのです。また、多分
ストラディヴァリにある(と思っている)欠点をもまねしようとしていないかと
心配です。実はトラヴェルソの場合はそのような事が起こっています。ある古楽
器のコピーは傷やひび割れまでコピーするのだそうです。そして上手にコピーで
きた楽器は高く、それによる演奏までが高く評価されるのです。

>し
>かし当時はベネチアを中心に貿易が盛んで、ニスなどの材料は輸入品でした。
>木材も他の地域から運んできたとも限りません。
> また実際にバルサム唐桧を表板に使っていたとしても、その他の材料につい
>てはどうでしょう。絶滅したのでしょうか。
> この問題は「絶滅=二度と手に入らない」と「神秘主義」とを絡めて、それ
>こそ値段を釣り上げている原因の一つでもあります。
> 科学的に考えると、実際にバルサム唐桧が音響的重要な要素である可能性は
>持っています。しかしその重要度(重さ)は、あくまでもその他の要因と同じ
>くらいのものにしか過ぎません。

確かに材木やニスに関してはいろいろと神話がありそうです。私も神話は信用
しない質ですが、クレモナ地方のバルサム唐桧が絶滅したとしても良いと思っ
ています。要は良い音楽が聞ければいいのです。変な神話のために腕の良い演
奏家が高いいわゆる良い楽器が入手できないために浮かばれないのが残念なの
です。誰か権威のある人が神話を覆してくれないかと思っているわけです。


> 私は「ヴァイオリン研究が難しい」といって、ヴァイオリンの価値を上げよ
>うなどという事は、これっぽっちも思っていないと言う事だけはご了承くださ
>い。

恐らく佐々木さんもいろいろな矛盾に苦しまれているのではないかと思います。

> ストラディヴァリのモダンとバロックについては次で述べたいと思っていま
>す。

宜しくお願いいたします。

YUTA

#0048 sci5897  9010020321

 ストラディヴァリは製作当時は、現代におけるそれとは構造的に違っ
ている点もあります。いわゆる「バロック」というタイプです。しかし正確に
はその言い方は間違っています。なぜならば「バロック」という固定された範
囲はなく、大げさにいえば、現代以前の過渡期を「バロック」と言うからです。
 現代においては逆に「バロック・ヴァイオリン」の構造的定義(決まり、範
囲)がある程度固定させていますが、ストラディヴァリのオリジナルの楽器は
それとは当てはまりません。すなわち「バロック」でもあり「モダン」でもあ
るわけです。これは最近までの楽器においては多かれ少なかれ、どの楽器でも
持ち合わせている事柄です。
 ストラディヴァリのオリジナルの楽器も、年代によって構造的に微妙に変化
しているために、はっきりとは答えられないのですが、次の点が現代のヴァイ
オリンとは違っていたようです。
・指板の構造とそれによる指板の高さ、長さ。指板が現代のものよりも短く(
ハイポジションを使わなかったため)、角度も浅かったようです。
・またそれに伴って駒の高さも現代のものよりも低く、駒のデザインも現代で
言う「バロック・タイプ」であったと思われます。
・バスバーや魂柱の太さが細い。これは当時の弦の張力が弱かったために、こ
ちらの方がよかったのだと思います。
・顎当て、肩当てはなかったために、楽器に直接顎や肩を接して弾いた。この
ために当時の楽器はニスの剥げ方が特徴的です。
・もちろん弦は非常に弱く、音も張りのないものだったでしょう。
 現代で言う「バロック・ヴァイオリン」と決定的に違っているところもあり
ます。これは専門的な話しになりますが、ネックの付け根の構造です。現代で
言うバロック楽器は、たとえそれが新作であっても、ネックの構造を見ればす
ぐにわかります。しかしストラディヴァリは当時から現代のような構造のネッ
クを作っていました。これは非常に重要な事です。ヴァイオリンは弦の張力に
よってネックがどうしても下がる傾向にあります。そこでネックを外して調整
または取り替える作業はよくある事です。しかし、バロックタイプのネックは
その構造上から、楽器の胴体を開けなければ(表板を取らなければ)ネックを
外す事ができません。このためバロックタイプ・ヴァイオリンのネックの調整
をする場合、胴体によけいな傷みが加わる可能性が非常に大きいのです。しか
し現代のヴァイオリンの場合には胴体を傷めないままネックの調整ができます
。その上、現代の構造の方が単純なわりに強度的に優れています。
 ストラディヴァリは当時からこのような画期的方法でヴァイオリンを作って
いました。もしもストラディヴァリがヴァイオリンをバロックタイプのネック
の構造で作っていたならば、長い年月において楽器の損傷は大きく、現在にお
いて素晴らしい音色を保っていなかったかも知れません。ストラディヴァリが
この構造を発明したのかどうかはわかりませんが、彼がその構造を使いはじめ
た初期の人である事は間違いありません。

 よく、当時バロックとして作った楽器が、どうして現代の音調としても名器
になれるのかという疑問を聞きます。しかし当時の製作者の目指すものも、現
代の製作者が目指すものも、基本的には「素直な発音(音色のよさにつながる
)と、音量の大きさ」です。この様に考えると、当時のよい楽器が現代におい
て名器になれるのも理解できます。
                            佐々木朗

#0049 sci5897  9010020345

 YUTAさんもさかんに疑問に感じていらっしゃるようですが、なぜ
ストラディヴァリだけが特別視され、研究の対象になったり、音楽家が買い求
めたりするのか、私もヴァイオリン製作を勉強するまではそう疑問に(怪しく
)思っていました。しかし現在では、素直な気持ちでこれだけは言えます。
・ストラディヴァリの製作技術は他の製作者と比べると抜きでている。(これ
はストラディヴァリの製作技術が現代製作者のそれよりも優れていると言って
いるのではありません。優れた現代製作者の技術はストラディヴァリと比較し
てもけして引けを取りません。)
・当時からもてはやされていたために、現在において非常に状態がよい。
・よい楽器の割りに数が多い。

 私が「ストラディヴァリ」といっているときには、楽器商が商売的に言うよ
うな意味は持っていません。単に「(古い)極上楽器」といっているだけです
。従ってストラディヴァリ以外の製作者のよい状態の楽器も含まれています。
一般の人に一番知られているという事と、実際に優れた楽器が多いという事だ
けから「ストラディヴァリ」という名前を出しています。よろしくお願いいた
します。
                            佐々木朗

#0050 sci5897  9010022153

 HAYDNさんに質問があります。昨年の弦楽器協会主催の「弾き比
べイベント」でストラディヴァリもでてきましたが、その音色についてHAY
DNさんはどのように思われましたか。
 私はガダニーニは素晴らしい音色に感じたのですが、ストラディヴァリは音
が裏返っている感じがし、余りよい音とは思わなかったのですが・・。しかし
結果はストラディヴァリの評判もかなりよかったです。やはりあの音量でしょ
うか。HAYDNさんの感想を聞かせてください。
 またその他の新作楽器で印象のある楽器の名前を覚えていましたら教えてく
ださい。
                            佐々木朗

#0051 sci2600  9010030124

何だか佐々木さんと私ばかり書いているようですね。
他の方ももっとご意見をお寄せください。

> ストラディヴァリのオリジナルの楽器も、年代によって構造的に微妙に変化
>しているために、はっきりとは答えられないのですが、次の点が現代のヴァイ
>オリンとは違っていたようです。
>・指板の構造とそれによる指板の高さ、長さ。指板が現代のものよりも短く(
>ハイポジションを使わなかったため)、角度も浅かったようです。
>・またそれに伴って駒の高さも現代のものよりも低く、駒のデザインも現代で
>言う「バロック・タイプ」であったと思われます。
>・バスバーや魂柱の太さが細い。これは当時の弦の張力が弱かったために、こ
>ちらの方がよかったのだと思います。
>・顎当て、肩当てはなかったために、楽器に直接顎や肩を接して弾いた。この
>ために当時の楽器はニスの剥げ方が特徴的です。
>・もちろん弦は非常に弱く、音も張りのないものだったでしょう。

ちょっと待ってください。ここの所は重要だと思います。
オリジナルのストラディヴァリは現在の物と違っていたという事ですね。
当然音色も違っていたはずですね。
では当時の製作者であるストラディヴァリはオリジナルの音がいいと思っていた
とは考えられないでしょうか。
今ストラディヴァリが生きていたとしたら現在の音色を好んだでしょうか。

> よく、当時バロックとして作った楽器が、どうして現代の音調としても名器
>になれるのかという疑問を聞きます。しかし当時の製作者の目指すものも、現
>代の製作者が目指すものも、基本的には「素直な発音(音色のよさにつながる
>)と、音量の大きさ」です。この様に考えると、当時のよい楽器が現代におい
>て名器になれるのも理解できます。

賛成しかねます。素直な発音=音色の良さ は一見正しそうに見えますが
世の中の楽器全てがそうではありません。例えば笛の類は素直な発音は
正弦波に近く面白くない音色になります。如何にそこに倍音を含ませるかが
製作者の腕の見せどころになります。

>・ストラディヴァリの製作技術は他の製作者と比べると抜きでている。(これ
>はストラディヴァリの製作技術が現代製作者のそれよりも優れていると言って
>いるのではありません。優れた現代製作者の技術はストラディヴァリと比較し
>てもけして引けを取りません。)

では何故現代の楽器はブラインドテストで評価が悪くなるのでしょう。

>・当時からもてはやされていたために、現在において非常に状態がよい。
>・よい楽器の割りに数が多い。

長い間もてはやされてきたという事はどこかいいところがあるからだという事は
私も認めます。

> 私が「ストラディヴァリ」といっているときには、楽器商が商売的に言うよ
>うな意味は持っていません。単に「(古い)極上楽器」といっているだけです
>。従ってストラディヴァリ以外の製作者のよい状態の楽器も含まれています。
>一般の人に一番知られているという事と、実際に優れた楽器が多いという事だ
>けから「ストラディヴァリ」という名前を出しています。よろしくお願いいた
>します。

私はいわゆるクレモナ地方の古楽器の事を言っているつもりですが、
佐々木さんはもっと広い範囲をも含めているのでしょうか?

YUTA

#0052 sci5897  9010030311

 MSG51のYUTAさんへの返答です。
 YUTAさんのおっしゃる「オリジナルの求めていたもの」もわからないで
はないです。例えば「ベートーヴェンは現在のピッチでは作曲をしていないは
ずだ。」などという議論と同じだと思います。私はこのような考えの方を否定
する気はありませんが、余り興味は持っていません。私は「理論」で音楽を楽
しんでいるのではなく、素直に「現在において楽しめる音楽」を楽しんでいま
す。これは楽器においてもそうです。ストラディヴァリが当時、現代と異なっ
た音を目指してヴァイオリンを作っていた事は、おおよそ想像はつきます。し
かし現在、大多数の音楽愛好者達が楽しんでいるのは「現代の音」であり、そ
してストラディヴァリのヴァイオリンも都合よく応用が効いています。それな
のにどうして眉をしかめる必要があるでしょうか。もちろんその様な考え方が
許せない音楽愛好家もいる事は知っています。しかしそれはそれでお互いいい
と思っています。
 YUTAさんは「ストラディヴァリが現在生きていたら現代の音色を好んだ
でしょうか。」とおっしゃっていますが。ストラディヴァリにとって現代の音
楽は関係ありません。一方、逆に我々にとって当時の音楽は大きく関係があり
ますが。
 このような議論は各人の音楽に対する根本的考え方の違いを含んでいるため
とても難しく、これ以上議論するつもりにはなれません。すみません。

 次に「楽器の発音の素直さ=音色のよさ」につながるかということですが、
これもとても難しい問題であり、口先だけでいいきれるものではありません。
先で述べたのは、私がそう感じているという事です。
 高倍音の事、YUTAさんのおっしゃるように管楽器だけではなくヴァイオ
リンでもそうです。。事実、ヴァイオリンでも高倍音を出すためにバスバーを
付けています。私が言っているのはそれとは少し異なっています。ヴァイオリ
ンの場合には弓で摩擦する原理から、発音が鈍いと弦と弓との摩擦がとれてし
まい、音が裏がえってしまいます。このような楽器は自然と弓を押しつけて弾
くようになるので音色が悪くなりがちで、その上演奏がとても疲れます。また
ヴァイオリンの場合非常に早い音使いをするために、一音一音の頭が出し易い
ということはかなり助けになります。

 次に「ブラインドテストでなぜ新作が負けるのか。」とYUTAさんはおっ
しゃっていますが、私はこのような事は言っていません。逆にブラインドテス
トにおいては新作とストラディヴァリ等とは区別しにくいと言っているつもり
です。従って聴衆が目を閉じて聞いたならば、現代の新作楽器(優秀な)はス
トラディヴァリなどの古い楽器には負けない実力を持っていると思っています
。しかし実際に弾いている人(至近距離の人)には、現代の楽器は雑音成分が
多く耳障りに聞こえるようです。これは木材の種類や製作法等による違いでは
なく、経年変化による相違だと考えています。またそのために若干発音もよく
なる傾向にあります。
 私は新作楽器を作るので、どちらかといえば現代ヴァイオリンの味方ですが
、このような相違が存在する事は事実です。しかし私達が経年変化による、そ
の様な古い楽器の音色を求めて(まねして)いない事だけはご理解ください。
 最後の「ストラディヴァリという例えは、古いクレモナの楽器だけなのか、
それともそれ以外も指すのか。」という質問に対してですが、私の場合、その
場その場でどちらの場合もあります。本当はこのような込み入った話題の場合
、具体的な地名や楽器の名前を上げるのが正しいのでしょうが、私だけが納得
していても意味がないので「ストラディヴァリ」という言葉を使いました。
 例えばYUTAさんはさかんに「クレモナ」という言葉を使いますが。それ
以外の国の優れた楽器のことや、同じイタリアでもクレモナから村一つ離れて
いるような所にやはりヴァイオリンの盛んな土地がいくつかあったということ
をご存知でしょうか。単にマスコミでとりあげられる「クレモナ」と「ストラ
ディヴァリ」だけに目をとらわれると、ヴァイオリンにたいして非常な誤解と
疑いの目を持ちがちです。普通の方ならばそれで十分なのですが、YUTAさ
んのような鋭い考えの持ち主の場合、危険だと思います。これまでのYUTA
さんのご意見や質問を見ているとそう思えてなりません。(とても失礼な事だ
とは思いますが、あえて。)
 「ストラディヴァリのバロックとモダン」においても、とても興味深い事を
書いたつもりだったのですが、その事には興味を持ってもらえず「言葉の解釈
」に話題が行きがちだというのは少し残念です。もちろんそれはそれで非常に
大切な事柄なのですが。
                             佐々木朗

 話しは全く変わるのですが、「製作ほう(製作方法)」は「製作法」が正し
いのでしょうか。それとも「製作方」でしょうか。疑問になってきました。

#0053 sci2600  9010040058

> このような議論は各人の音楽に対する根本的考え方の違いを含んでいるため
>とても難しく、これ以上議論するつもりにはなれません。すみません。

いや、多分これに尽きると思います。私も音楽に対する考え方はもっと各人各
様で良いのではないかと思っているのです。だから多くの人が一つの物を良い
と言うのはおかしいと思っているのです。楽器の好き好きだって弦楽器が好き
な人、管楽器が好きな人、古楽器が好きな人、現代の楽器が好きな人、ストラ
ディヴァリが好きな人、無量塔が好きな人、佐々木が好きな人、いろいろ居て
良いのです。何もみんなが一つの物を好きになる必要もないし押しつける必要
もないのです。それが事ヴァイオリンに関しては全員がとは言いませんが相当
多くの人が一つの方向を向いています。勿論それだって好き好きだから勝手か
も知れませんが本当に好きなのでしょうか?

「クレモナ」に関しては確かに私は余り知識を持っていません。
しかしマスコミの言っている事をどれだけの人が反論できるでしょうか。
そしてほとんどの音楽愛好家が自分の意見を持たずに一方向へ引かれてしまい
今のような気違い沙汰になったのではないかと思っているのです。

> 「ストラディヴァリのバロックとモダン」においても、とても興味深い事を
>書いたつもりだったのですが、その事には興味を持ってもらえず「言葉の解釈
>」に話題が行きがちだというのは少し残念です。もちろんそれはそれで非常に
>大切な事柄なのですが。

いや、反論していないところは納得しているからです。

> 話しは全く変わるのですが、「製作ほう(製作方法)」は「製作法」が正し
>いのでしょうか。それとも「製作方」でしょうか。疑問になってきました。

私が変な書き方をしたかしら?多分「法」が正しいと思います。

少し議論の内容がそれつつあるように思います。私はどうしても感情的になっ
てしまいます。ここらで少し頭を冷やす意味でもう一度今までの記事を読み返
すと同時に暫くROMになります。
佐々木さん、私の議論に親切に応えて頂きありがとうございました。私にとっ
てはたいへん勉強になり、感謝しています。また冷静になったら出てきます。

YUTA

#0054 sci5897  9010040307

 YUTAさんがおっしゃっているように、一般の音楽愛好者や音楽関
係者がヴァイオリンに関して偏った思い込みをしている事は私も非常に危険に
思っています。
 ストラディヴァリを始めとする「名器」は、日本人のバカげた?買いあさり
行動によって、世界中で値段がうなぎのぼりになってしまったようです。スト
ラディヴァリの中にも超一級品から一部分のみストラディヴァリのオリジナル
木材(部品)を使っているもの、そして偽物ではないかと思われるものまで数
多くあります。これまでは、名演奏家の手を渡り歩いてきた、正真正銘な優れ
た楽器のみが非常に高い値段であって、その他は現在に比べればびっくりする
ほど安いものでした。しかし日本人の理性を失った投資?によって楽器の本質
が見失われてきているように思えます。YUTAさんもこの事をおっしゃって
いるのだと思います。

 以前別のBBSで「よくCD評論に『いかにもストラディヴァリらしい甘い
音色』や『一聴してわかる』などという言葉が見受けられるのですが、専門的
な知識のある人ならばCDを聞いただけで楽器の判別がつくのでしょうか。」
という質問をもらった事があります。わたしは条件付きで、その様な事ができ
れば「神業」だと答えたのですが、このような言葉を平気で持ち出す評論家大
先生に大きな責任があるように思えてなりません。
 私はこれまでも、楽器も弾けない人がよくもまあ「音楽評論家」といって通
用するものだと不思議に思っていたのですが、このような人の言っている事を
全てまに受けていたら、私達の音楽はどんどん外れて行くような気がしてなり
ません。実際に本で論評を見てからCDを買う人は多いですから。
 
 ヴァイオリンの話題から少しずれてしまいますが、YUTAさんを始め(R
OMするなどと言わないで)その他の方は、「評論家」についてどのように思
っていらっしゃりますか。
 私は「口だけ評論家大先生」よりも「素直に音楽を楽しんでいるアマチュア
演奏者」の方が、本当の「音楽家」だと思っています。

 今回の「評論家」については、少し感情的になってしまいました。
                              佐々木朗

#0055 sci5465  9010042247

 ずっとROMしてたのですが、ここらでストラディバリ
 に関するタト話を1つ。
 (噂話なので真偽の程は責任持ちません)

 その昔、ヨーロッパでヴァイオリン市場が冷えきってし
 まった時期があったそうな。
 困りはてたヴァイオリン販売業者組合は、結託して一計
 を案じた。
 当時、新進気鋭のヴァイオリン製造業者であったストラ
 ディバリの作品を異口同音に褒め称え、一大ブームを巻
 き起こそうというのである。
 かくして、この目論見は見事に当たり、ヴァイオリン販
 売業者達の懐はみるみる潤ったのであった。
 その後、ヴァイオリンの名器というのは、ストラディバ
 リのヴァイオリンとよく似た音のヴァイオリンというこ
 とになったそうな。めでたし、めでたし。

              EPROM

P.S.
 評論家もこの話と似たようなものだと思います。

#0056 sci5897  9010050242

 EPROMさんお久しぶりでございます。
 私がこれまでいくつかの本を読んだり、話しを聞いたりしたストラディヴァ
リについてを書きます。

 ストラディヴァリは17世紀中ごろに生まれました。彼は小さい頃からヴァ
イオリン製作の仕事につき、その中でも当時の超一流のヴァイオリン製作者と
して知られるニコロ・アマティのもとで勉強しました。このニコロ・アマティ
の元からは、その他にも何人もの優秀な製作者が育っています。
 当時はヴァイオリンの需要がとても多く、クレモナを始めとするヴァイオリ
ン製作地では優秀なヴァイオリン(もちろん手工芸)が数多く作られ、外国に
も輸出されていました。その中でもストラディヴァリのヴァイオリンは製作技
術が優れており、また音もよかったので非常に人気がありました。そして非常
に高値で売られていたようです。貴族等の注文も多く受け、装飾楽器などを収
めていました。
 この様にストラディヴァリは富と名声を欲しいままにし、彼の息子(あまり
優秀でない)とともに、高年齢までヴァイオリンを作り続けました。当時のク
レモナではストラディヴァリの富を妬んで、「ストラディヴァリのような金持
ち」という例え言葉さえあったようです。
 
 余談・・ストラディヴァリの年老いた後も、北イタリア地方では優秀なヴァ
イオリン製作者が数多く育ちました。これは私の考えでは優秀な製作者の元で
勉強できるという好条件と、当時のヴァイオリン好景気によるものだと思いま
す。

 ストラディヴァリの死後、ヨーロッパ中はヴァイオリン需要が満たされ(イ
タリアの他、ドイツやフランスでもヴァイオリン製作が盛んだったため。)ヴ
ァイオリン製作者の生活は苦しくなってきました。
 クレモナではストラディヴァリが死ぬと、生前の彼の富への嫉妬と、もしか
すると宗教上の問題から、ストラディヴァリ一家への反感が増し、ストラディ
ヴァリの家系はクレモナ市から抹殺される形になりました。現在ストラディヴ
ァリの謎が多いのは、ストラディヴァリの家系が一旦途絶えているからです。
 ヴァイオリン需要が落ち込むと、それまで優秀なヴァイオリンを製作し続け
てきた北イタリア地方のヴァイオリン製作は途絶えてしまいました。一方ドイ
ツやフランスでは大量生産化への道を進み、生き残りをかけていたようです。
現在において古いドイツ製やフランス製のヴァイオリンの評価が低いのは、こ
の当時の大量生産品が数多く出回っているためであり、それらの地域のヴァイ
オリンでも、優秀な製作者の手工芸品は素晴らしいものがあります。クレモナ
を始めとするイタリアのヴァイオリンが現在において優秀なイメージがあるの
は、皮肉にもヴァイオリン製作が途絶えていたためです。(ナポリなどでは、
やはり大量生産とまではいかなくとも量産的製作が行われ、ヴァイオリン製作
は生き残りました。)

 18世紀になるとヨーロッパ中にヴァイオリンは蔓延し、優秀な新作ヴァイ
オリンを売買する時代から、以前の古いヴァイオリンを売買する形に完全に移
行しました。ストラディヴァリのように有名な製作者の楽器は「神話化」され
て値段が釣り上げられました。
 このような状況下では優秀なヴァイオリン製作者も育ち難かったわけです。
また優秀な手工芸製作者でも、ストラディヴァリの模倣、研究(科学処理等を
含む)が流行ったために、現在においてこの時代の手工芸品は傷んでしまって
いるものが多いです。

 20世紀の前半頃には、クレモナのヴァイオリン製作は完全に忘れ去られ、
当時クレモナ市でストラディヴァリの名前を知っている人がほとんどいなかっ
たというくらいでした。
 現在ではクレモナも再びヴァイオリン製作地としての再建を考え、ヴァイオ
リン製作学校を作ったり、ヴァイオリン製作コンペティションを行ったりして
います。
 ストラディヴァリがクレモナ市において名誉回復をしたのは、つい数年前の
事です。

 余談(愚痴)・・現代において、このような歴史を知らない演奏者は「やは
りクレモナの新作楽器はよい。」といって、クレモナ(イタリア)から新作楽
器を輸入しています。日本のディーラーがイタリアのヴァイオリン製作学生の
楽器を安く買い漁る事は、現地では悪名高いそうです。
 私の考えでは、現代においては世界各国での優劣はないと思っています。こ
れは現在において情報のやりとりが盛んなため、ヴァイオリンの製作技術や研
究が世界中に広がるためです。従って国による優劣よりも、純粋に製作者によ
る優劣の方がはるかに大きいと思っています。

 この様にストラディヴァリの家系が途絶えてしまった関係から、彼の話しを
する場合には常に推測がついて回ります。ストラディヴァリの最初の歴史研究
で有名なのは、楽器商として権威のある「ヒル」の本だと思います。

 ここまでの話から、なぜストラディヴァリ当時のヴァイオリンが優秀で、そ
の後に優れたヴァイオリンが少ないのかがある程度理解できると思います。
                            佐々木朗

#0057 sci5465  9010052332

 やっぱり噂話はガセですか。
 さっき封を開けたばかりの音響学会誌の小特集が「ヴァイオリン」
 なので(タイミングが良すぎて怖い)少し勉強して出直します。
 千住真理子さんの論文もあるみたいだし...

           EPROM

#0058 sci5897  9010060106

 EPROMさん、その音響学会誌のヴァイオリン特集というのをぜひ
見せてもらえないでしょうか。とても興味があります。
 もしもよろしければコピーを送ってもらえないでしょうか。よろしければ次
のMSGで返事をください。
                             佐々木朗

#0059 sci5465  9010061232

 お安い御用で! と言いたいのですが
 コピーそのものをお送りするのは何かと
 問題があるので、学会誌をお貸ししまし
 ょう。
 送り先を教えてください。
 (私が読みたい部分は当方でコピーを
  とっておきますのでご心配なく。
  これなら問題ないでしょう)

        EPROM

#0060 sci5897  9010062137

 EPROMさんどうもありがとうございます。目を通しましたら、す
ぐにお返しいたしますのでよろしくお願いいたします。
 私の住所は
   〒141
   品川区東五反田1−2−46 千登里荘6
   佐々木朗

です。
 何か面白い事が載っていたでしょうか。まあ、後のお楽しみですね。

 話は全く変わるのですが、現在私の修理中のヴァイオリンは、お客さんが外
国でそこの演奏家から直接買ったものだそうです(おそらく300万ほどらし
いです。)。このような方は自分が安く買えたと思い込んでいる場合がほとん
どのようですが、現在、日本人に対しては値段をふっかけて売るのが普通らし
いです。
 その楽器も構造上の欠点(かなり深刻)から具合があまりよくなく、修理に
きました。皆さんも楽器を買うときには「外国で直接楽器を買っても、リスク
を含むと安いことはない。」という事に注意をしてください。外国の信用ある
楽器店か、日本の信用ある楽器店で買うのがやはりよいと思います。
                              佐々木朗

#0061 sci5465  9010071301

 >佐々木さん
  先程、投函してきましたので1〜2日で届くと思います。

               EPROM

#0062 sci5897  9010080252

 EPROMさんありがとうございます。

 ところで「ニス」という言葉は何語なんでしょうか? 日本語ですか? 英
語では「Spirit or Oil Vernish」ですよね。
 また「ワニス」の「ワ」とは何なんでしょうか。ご存知の方がいましたら教
えてください。
                           佐々木朗

#0063 sci5897  9010110009

 EPROMさん、学会誌受け取りました。
 現在読んでいる最中なのでなんともいえませんが、面白そうな事がたくさん
書いているみたいですね。
                            佐々木朗

#0064 sci5897  9010112352

 よく私が尋ねられる事の一つに、日本の気候と弦楽器との関係につい
てがあります。「日本の気候(特に湿度)は楽器に対して厳しいのに、その様
な中で楽器を製作して、ヨーロッパの楽器に対してハンデにならないのか。」
というものです。
 たしかに日本の湿度は弦楽器に対して厳しいです。それは梅雨時だけではな
く、冬の乾燥もひどく、中には乾燥が進みすぎて割れてしまう板もあります。
また音に対しても梅雨時は音が出難くなり、一方冬は音がヒステリックになり
がちです。実際に、ヨーロッパ遠征した日本のオーケストラの人が、「ヨーロ
ッパに着いたら楽器が鳴るようになった。」と書いてある雑誌を読んだ事もあ
ります。
 しかし製作に関してはほとんど問題はないです。ニス塗りなど、湿度に作業
効率が影響されるものもありますが、ほとんどの作業はあまり気候には影響さ
れないです。逆に、日本で使う楽器の場合には、日本で作った楽器の方が始め
から日本の気候に順応しているという点で、よいのかもしれません。
 ヨーロッパではなんらトラブルもなかった古い楽器が、日本に持ってきたら
ネックが下がってしまったり、板が割れたり、音色が悪くなってしまったなど
という話もときどき聞くので、外国で楽器を買う場合には注意も必要です。但
し、新作楽器の場合にはその様なトラブルはまず無いでしょう。

 実際に木材がどれほど湿度の影響を受けるかについて私の行った実験では、
表板(約62g)の場合毎日の湿度の変化(晴れたり、雨が降ったり)によっ
て質量で約0.2〜0.4g位は質量が変化しています。板のモードでも、お
およそ2〜20%(モードによっても異なる)の周波数の変化がみられます。
これらは白木の板なので、実際にはもう少し影響は少ないとは思います。
 ある論文ではヴァイオリン(完成品)が湿度の影響を受けるには約1週間の
期間が必要で、逆に水分を吐き出すには、おおよそ1日で十分であるというこ
とが書いてありました。この事が本当だとすると、雨が降ってきたからといっ
てヴァイオリン本体には対して影響は及んでいないという事になります。しか
し雨が降ってくると音に変化がみられる事も確かです。この事についての私の
考えは、楽器本体には影響はほとんど無いが、弦(ガット)と弓に付ける松や
にが大きな影響を受けるからであろうと考えています。
 しかし梅雨時など長期間において湿度が高い場合などは、楽器本体まで水分
を吸収し、ひどい場合にはにかわが剥がれてしまう場合もあります。

 面白いのは、雨の降り始めには楽器の音が良くなると主張する演奏者がいる
事です(私もその一人です)。これは湿度が上がる事によって松やにに粘りけ
がでて、弦から出る雑音成分が少なくなるからなのではないでしょうか。
                           佐々木朗

#0065 sci6066  9010130241

  しばらくアクセスしなかったのでみなさんのたくさんのご意見に
少々驚きました。
 
  御無沙汰しています。
 
 前回から、半角の”HAYDN”を全角の”HAYDN”に改めました。
 初めてパソコン通信なるものに書き込みを終えたとき、全角文字の中に埋もれて
しまいそうな半角大文字のネームをみて、失敗したと思いました。しかし一度
書いてしまったのだから、しばらくはこれで通すしかないと思い、半角のネームを
続けていましたが、やはり貧弱なので全角にしました。
 半角を全角にすることは、プログラマにとっては面倒くさいことでも読む方に
とってはあまり支障をきたさないでしょう。これで不都合な方がおられましたら
ご指摘下さい。全角でも半角でもこちらはかまいませんので宜しくお願いします。

  さて、私には得るところが多く、勉強になります。

  現在の対話の流れの中で少々唐突な書き込みになってしまいますが、
佐々木さんのご質問について、

>>       HAYDNさんに質問があります。昨年の弦楽器協会主催の「弾き比
        べイベント」でストラディヴァリもでてきましたが、その音色について
        HAYDNさんはどのように思われましたか。
         私はガダニーニは素晴らしい音色に感じたのですが、ストラディヴァリ
        は音が裏返っている感じがし、余りよい音とは思わなかったのですが・・。
        しかし結果はストラディヴァリの評判もかなりよかったです。やはり
        あの音量でしょうか。HAYDNさんの感想を聞かせてください。
       またその他の新作楽器で印象のある楽器の名前を覚えていましたら教えてく
        ださい。

  「弾き比べイベント」では1階ステージに向かって右側寄り、後ろ寄りの席で
聞いていました。
  実は私もガダニーニはいい音がしていたと思いましたが、友人はそれほどでは
なかったと当時話したことを記憶しています。
  そして、ストラディバリに対する私の評価はそれほど高くはありませんでした。
 結果を聞いて、あの、キンキン、音が大きく響いていた楽器がストラディバリか、
と複雑な心境であったことを覚えています。
 他の楽器の名前はまったく覚えていません。
  ストラディバリといってもたくさん種類があってすべてが名器ではないのでしょう?
 
  次に、しばらくぶりで解答するタイミングがずれてしまいましたが、
YUTAさんのご指摘に回答させていただきます。
 
>>  HAYDNさん> しかし、演奏会でも、楽器店でも接することができる、
       このように身近な
  HAYDNさん>嗜好楽器に、ある基準を与えるという程度に明確な評価を与えることが
  HAYDNさん>できれば良いのではないでしょうか。
  HAYDNさん>  つまり、いわばカタログ的な評価でよいから、定量的な基準を
       与えることが
  HAYDNさん>できれば良いのではないかと思われるのです。
  HAYDNさん>  カタログ的な、定量的な基準といっても確かなものでなければ
       ならないのは
  HAYDNさん>言うまでもありません。
  HAYDNさん>  くどくなりますが、つまり思い込み、固定観念に左右されない、
  HAYDNさん>誰もがある程度妥当と判断できる基準を与えることができれば、
  HAYDNさん>客観的に評価できれば、良いのではないでしょうか。
 
   「それはなんでしょうか?」
 
  HAYDNさん>  これが実現できれば、良いバイオリンにつてある尺度からみた
       基準ができます。
  HAYDNさん>そしてその尺度を基準にした、良いバイオリンについてのデータが
       できます。
  HAYDNさん>  定量的なデータをどのように評価するか、つまり良い音という
       概念をデータで
  HAYDNさん>評価するのは難しい問題ですが、クレモナ杉でできたバイオリンが
       良い音である
  HAYDNさん>ということを、ひとつの基準に基づいてある程度証明できるでしょう。
 
    「どうやって?」
 
  HAYDNさん>  得られたデータは新たに良いバイオリンを作るためのデータとして
  HAYDNさん>利用することもできます。
 
    「データが得られたとすればそうです。しかし、今はそのデータが」
     であるか分からないのでしょ?」
 
について、
 
 素人が楽器を購入する場合、楽器の優劣をつけ難い場合、どのような基準で判断を
すれば良いのでしょう。
 最近臭いを測るセンサーが開発されて臭いも数字で判断できる基準ができたことを
知り、かえって数字に支配されてしまうのではないかという一抹の不安を覚えました。
 しかし、考え方を変えて、このような便利な情報をうまく使いこなせば役に立つ
のではないかとも考えられます。
 つまりこれと同じことで、楽器にあえて数字のラベルをつけて、利用しようという
ことなのです。 憤慨される方もいらっしゃるかも知れませんが、これをどう活用
するかは本人次第でしょう?
 また、上記のことを実現するためには、定量データを定性データ(知識)
におきかえる、というところがいちばん難しいでしょう。
 よい楽器という基準を決めるときはみんなでよってたかって楽器の音を聞いて、
楽器の優劣を多数決で決めて、それにあてはまる数値をその楽器の基準とする、
ということになってしまうでしょうか。もっともらしく言うと、統計的判断で
基準を設定する、ということになるのでしょうか。
 
>>  HAYDNさん>  ですから、音を、時間変化の(あるいは、時間変化に代わる別の)
       パラメータを
  HAYDNさん>含めて定量的に評価できたらよいのではないかと考えています。
 
    「私もそう思います。そして定量的な評価は可能だと思っています。」
 
  HAYDNさん>  しかし音といっても音程、音色、響き(音響)などいろんな
       評価項目が
  HAYDNさん>ありますね。
 
    「音程はこの際余り問題ではないでしょう。」
     「音色と響きをどう区別されているのか良く分かりませんが、
     音の立ち上がり、伸び、音量なども大きなfactorでしょう。
     音色という言い方は広すぎて余りよくありませんね。
     物理的な言い方をすれば倍音の割合ですね。ただこれは多分時間や音量や
     弓の当て方やそのほか多くの要因がパラメータになっています。」
 
について、
 
 「ブラインドテスト」のところで述べているように、音量は重要なfactor
でしょうし、音の立ち上がり、伸び、音量なども大きなfactorでしょう。
 音の立ち上がりはその曲、演奏者の考え方を決定づけるという意味で、
音楽にとってとても重要なfactorです。
 これが楽器によって伝えられるのだから楽器の性能の善し悪しのひとつである、
つまり楽器の奏でる音の立ち上がりは非常に重要です。
 
>>  HAYDNさん> ブラインドテストについて、
    HAYDNさん> 
    HAYDNさん> 佐々木さんが指摘された楽器の特徴、
    HAYDNさん> 
    HAYDNさん>        「・音量が大きい」
    HAYDNさん>        「・全音域においても平均して音が大きい」
    HAYDNさん> 
    HAYDNさん>については、私も納得しました。
 
  私も言葉たらずだったでしょうか。
  確かに楽器の特長は音量だけでは決してありません。
しかし、今回のテストで全音域で平均しているということが、私にとって非常に
特長的な、目立った点であったということです。これがすべてではありませんし
私の気がつかない点でもっと評価すべき特長はあったのではないかと思います。
  極端なこと言うと、小さなホールで演奏すると楽器のよさ(特性)が最大限に
引き出せるのに、大きなホールではその楽器のよさが全然生かされない
ということもあるのではないでしょうか。
  このことについては機会を見つけて足しげく演奏会に通って確かめたいところです。
 
  こちらの事情で書き込みのタイミングがずれてしまいましたが、このへんで。
 
  私は管楽器が専門です。弦楽器のことについては素人ですが、同じ”音“につて
求めるところは同じかと思います。
  
  最近「音楽の科学」ジョン・R・ピアーズ著、村上陽一郎訳(日経サイエンス社)
という本を読み始めたので、知識を整理してきます。
 
  では、
                                                   HAYDNより

#0066 sci5897  9010130723

 HAYDNさんの「弾き比べ」の返答、興味深く読まさせていただき
ました。やはり音色の感じ方は、大まかには共通したものがあるのですね。少
し安心しました。
 楽器の評価という話になると、各人の好みなどの要素が入ってくるのでしょ
うけれど...。

 私はチューニングの時点で半分ほどのイメージ(点数)が浮かび、曲を弾い
た場合でも、大体はそのイメージを外れる事はありませんでした。

 ところでHAYDNさんは何の管楽器を演奏されるのでしょうか。
                             佐々木朗

#0067 sci6066  9010131422

  ご無沙汰しています。

  以前にまして、バイオリンのよさを認識するようになりました。

  ところで、私はトロンボーンという金管楽器が本来の専門です。
その他、学生時代にはユーフォニアムというワーグナーホルンに似た楽器も
受け持っていました。

  結論を出すにははやすぎるかもしれませんが、
音そのものを言葉で論じるのは限界があるように思えます。

                                                    HAYDNより

#0068 sci5465  9010140018

 「ワニス」というのは英語のVarnish(ヴァーニッシュ)からきているようですね。
 「ニス」というのはその短縮形でどうも和製のようです。

 HAYDNさん、私も中学のころブラスバンドでユーフォニュウムをやっ
 てました。普段はあまり目立たない楽器ですけど、結構おいしいフレーズ
 がやれるんですよね。
                   EPROM

#0069 sci5897  9010142148

 「ワニス」と「ヴァーニッシュ」ですか。なるほどいわれてみるとそ
の通りですね。これまで「ニス」の意味ばかり考えていたので、全く考えても
みませんでした。「ワニス」とは「和ニス」かな?とも思っていました。
 これまで、もやもやしていたものが一つ吹き飛びました。どうもありがとう
ございました。

 お二人とも金管を吹かれるのですね。私は管のことはほとんどわからないの
で、何か面白い話題がありましたらぜひ教えてください。
 ところでいつも思うのですが、金管の発音効率の高さには驚いてしまいます
。唇の振動と、少量の空気の流れで、どうしてあそこまで大きな音が出せるの
でしょうか。
 逆にいえば、ほとんど摩擦熱になっていないという事ですね。という事は楽
器の中で一番「冷たい」楽器という事になるのですね。
                           佐々木朗

#0070 sci6066  9010150053

 EPROM さん
 はじめまして.

 私は中学,高校と吹奏楽部に籍を置いており,高校時代に,主に編曲もの,
オリジナル曲でユーフォニアムのパートを受け持っていました.
 あまり知られていないこの楽器の話題ができるとはうれしいです.

 吹奏楽では,よく管弦楽の曲を編曲して演奏しますが,このユーフォニアム
という楽器は弦楽器で言うと(厳密ではありませんが)チェロのパート,音域
に相当します.

 佐々木さんのご質問,「金管の発音効率の高さ」についてですが,

 単純に考えると,弦楽器の場合,弦の振動は,弦の各部分が直角方向の力を
受けるものであるから横の振動ですが(このように言ってよいのでしょうか),
管楽器の場合は楽器中の空気の分子が管の中を,楽器の先の”あさがお”の
方向に平行運動する,という縦の振動です.つまり楽器にエネルギーを与えた時,
楽器が励起する振動のモードが弦楽器と管楽器では異なります.
 また,弦楽器は弦の振動により楽器が共鳴するのに対して,管楽器は直接に
楽器中の空気を振動させて,楽器の空洞共振をするので発音効率が高いのでは
ないでしょうか.
 
 「摩擦熱」は管楽器の場合,唇と楽器の接点でいちばん大きく発生すると
思われます.
                        HAYDNより

#0071 sci5897  9010152049

 つまらない質問ですが、お願いします。
 「金管楽器を演奏するのはには、どのくらいのパワーが必要ですか?」(な
んてとりとめもない質問でしょう。自分であきれてしまいます。)例えば30
分吹き続けた場合、頭がくらくらするくらい疲れるのでしょうか。それとも平
常呼吸のまま続けることができるのでしょうか。(ある程度上手な人の場合。)

 ところで金管楽器を作る過程の写真などをよく目にしますが、あの叩き出し
のゴツゴツした管が、どうしてあそこまで美しくピカピカになるのでしょうか。
                            佐々木朗

#0072 sci5897  9010202254

 今回はヴァイオリン(ヴィオラ)の肩当てについて書きます。もしヴ
ァイオリンを演奏される方がいらっしゃいましたら参考にしてください。

 ヴァイオリンの横板は厚み約1.0〜1.3mmで非常に薄いのですが、補
強材やその他の構造的要素が重なって、とても頑丈な構造となっています。従
って表板が振動するときに、横板との接着面は振動しないで「節」になりそう
ですが、実際にはやはり微小な振動をします。
 表板の振動(モード5)において、周辺部(横板との接着面)の振動を抑え
込むと、表板の振動の「節」はより周辺へと移動します。するとモード5の周
波数は低い方へとずれます。すなわち共鳴周波数が下がるわけです。
 私は周辺部に特殊なクランプを付けて周辺部に負荷を与え、楽器を弾いてみ
ましたが、仮説通り低音が鳴るようになりました。音量は極端に小さくなるで
あろうと予想していたのですが、以外と思ったほどの音量変化はありませんで
した。一方、低音が増えたのに反して、高音の明るさは落ちました。

 この実験は実際のヴァイオリン(ヴィオラ)演奏に応用することができます
。肩当てには大きく分類すると2種類あるのですが、それを使い分ければよい
わけです。
 1つめのタイプは楽器の周辺部に肩当てを固定するタイプです。このタイプ
は通常よく見られるタイプです。この方法は結果的に、楽器の周辺に負荷を加
えたのと同じ事になるので、楽器の低音はよく出る反面、高域の明るさは少し
減ります。また肩当てが裏板から離れているために、裏板の振動を妨げること
なく、音量は大きく出ます。
 2つめのタイプは「座布団型」もしくは「肩当て無し」です。これは裏板に
座布団のようなゴムや布をはさんだり、また裏板を直接肩の上に乗せるという
ものです。このタイプの音色は、周辺部がフリーのためにとても明るい音色に
なります。しかし低音はあまり鳴りません。また裏板を押さえているので、先
のタイプよりも少し音量が小さいです。

 ヴァイオリンやヴィオラを弾いていらっしゃる方は、それぞれの方法で一度
弾かれる事をお進めします。一般の方がこれほど簡単に、自分の楽器の音色を
変化させる方法は、他には弦の種類を変えるくらいです。
                             佐々木朗

#0073 sci1509  9010292215

 高校時代に短期間トランペットを吹いたことがあるのですが、すぐリタイア
してしまいました.とにかく疲れたという記憶があります.ピアノやギターと
は比べ物にならないほど.

 HAYDNさんのおっしゃる通り、空気を直接振動させる管楽器はエネルギ
ーを音に変える効率は高いようですが、奏者が管楽器用のエネルギーを発生さ
せる効率は、弦楽器や鍵盤楽器のためのエネルギーを発生させる効率より低い
のではないかと思いますが、いかがでしょうか.

Taka

#0074 sci5897  9010311843

 ピアノなどは特に、筋肉による運動エネルギーを直接鍵盤に伝える事
ができますが、管楽器は肺の周りの筋肉の運動を空気に伝え、それを唇の振動
に伝える複雑なエネルギー伝達を行っているために、効率が落ちてしまうので
しょうね。その上、楽器を吹いているときには呼吸をしていないわけですから
、ますますたちが悪いのではないでしょうか。(私は管楽器は吹いた事がない
ので、いまいちピンときませんが。)
                           佐々木朗

#0075 sci5897  9011092133

 今年の「弦楽器製作者協会主催展示会」は11月24・25(土・日)
に野口英世記念会館で行われます。
 以前に17・18日と書いてしまいましたが、間違っていました。

場所:野口英世会館(千駄ヶ谷駅 新宿御苑側)

 私は今回初めての参加ですが、日本で数本しかないと思われる「バリトン」
というバロック楽器を出品する予定です。皆さん是非来てください。私も楽器
の近くにいると思いますので、もしいらっしゃったら声をかけてください。
                            佐々木朗

#0076 sci1082  9011141647

はじめまして、このコーナーはいつもROMですが、Notusと
いいます。

 Natureの11月1日号にGood vibrations from a violinと
いう題で、バイオリンの表面板の振動をレーザー干渉計で写真にと
ったというのが出ていました。Nils-Erik Molin他のJ. acoust. Soc. 
Am. (米国音響学会)88巻、2479-2481頁(1990)にその論文が載って
いるそうです。ご参考になるかどいうかわかりませんが、おせっか
い御注進まで。

Notus

#0077 sci5897  9011151205

 Notusさん初めまして。Natureの11月1日号ですか。さ
っそく買いに行こうと思います。
 私もヴァイオリンに関する記事は注意して捜しているつもりですが、このよ
うな情報はとてもありがたいです。最近、EPROMさんにもお世話になった
ばかりです。
 これからもよろしくお願いいたします。
                            佐々木朗

 弦楽器協会展示会の「ヴァイオリン弾き比べ」は11月24日(土)です。

#0078 sci6066  9011231426

  ご無沙汰しています。
  HAYDNです。
 
  11月24・25(土・日)に野口英世記念会館で行われる
「弦楽器製作者協会主催展示会」には行けそうにないので
行かれる方がありましたらご感想を聞かせてください。
 
  佐々木さんが出品する「バリトン」というバロック楽器の音が聞けないのも
残念です。体よく断っているのではないですよ。
  いずれそのバロック楽器をご披露する機会がありましたらお知らせください。
 
                                                        HAYDNより

#0079 sci5465  9011232204

 私は行くつもりですのでヨロシク!

          EPROM

#0080 sci5465  9011242129

 佐々木さん、今日は、大変珍しい楽器を見せて頂いた上に、わざわざ
説明して回って下さってどうもありがとうございました。
 YUTAさんにもお会いできたし、無量塔先生もお見掛けできたし、
時間の都合で6時からのヴァイオリン弾き競べが聴けなかったことと、
試奏している人達がみんな上手くて私の鋸弾きでは恥ずかしくてとても
弾けなかったことだけが残念です。

 会場には思ったより人が多く(失礼 ^^;)、佐々木氏作の噂の「バリ
トン」はいつも誰かが繁々と眺めているという人気作でしたよ>ALL

 さて、問題は「バリトン」の見学報告ですが...もうちょっと待って
下さいネ。絵を使わずに文章だけで上手く説明できるほどの文才がないも
ので。(YUTAさ〜〜ん、手伝って下さいね)

 とり急ぎ佐々木さんへのお礼と第一報を  EPROM

#0081 sci2600  9011242223

佐々木さん、私もお礼を申し上げます。
私も古楽器は好きなのですが、かといってそうそう手に入れられる訳でもないし、
ほとんどの物は見た事もない物ばかりです。バリトンもそのひとつでした。

私と一緒にいた頭のちょっと白いおじさんは私の学生時代の先輩で
今回も古いタイプのギターを出品していた人です。バリトンも作りたいらしく
佐々木さんにだいぶ根掘り葉掘り聞いていたようですね。

それにしてもバリトンの音が聞けなかったのとHAYDNさんに
お会いできなかったのが残念でした。

ヴァイオリンの弾き較べに関してはきっと佐々木さんが報告してくれると
思いますが、今日配られた資料によると前回の弾き較べでも結構現代の
楽器や日本の楽器に投票した人が多かったようで安心しています。
でも得点の高い人の楽器はきっと高価なのでしょうね。

> さて、問題は「バリトン」の見学報告ですが...もうちょっと待って
>下さいネ。絵を使わずに文章だけで上手く説明できるほどの文才がないも
>ので。(YUTAさ〜〜ん、手伝って下さいね)

うーん、楽器そのものの解説は佐々木さんにして頂いた方が良いと思いますが、
プロとは言えどうしてあんな物が手作りできるのか不思議です。私は弦楽器に関しては
素人ですので魔法に思えます。
先ほど聞き忘れましたが佐々木さんはあれをどれくらいの期間でお作りになった
のですか?

#結局EPROMさんの手伝いにはなっていない。
                        YUTA

#0082 sci2600  9011242226

ご免なさい、さっきの文の「白いおじさん」は「頭の白いおじさん」の
誤りです。
                        YUTA

#0083 sci5465  9011251300

 あはは、YUTAさんやっぱりそうですよね(^^;) 
 あの楽器の説明をいろいろと考えてみたのですが、ちょっと私に
は無理みたいです。チェロのをネックを太くしてボディを一回り小
さくしたような形で、普通のチェロみたいに張った6本のガット弦
と、その下にネックの裏を通るように張った9本のスティール弦(
ネックを持つ左手の親指で弾くそうです)がある楽器...なんて
読んでる人には何が何だか分からないでしょうね。
これはもう作った佐々木さんに下駄を預けるしかないな(無責任で
ごめんなさい)。
 演奏出来る人がだれもいないというのが本当に残念です。

                EPROM

#0084 sci5897  9011252237

 EPROMさん、YUTAさん本当に来ていただいてありがとうござ
いました。もっと丁寧に説明したかったのですが、ちょうどあの時間にお客さ
んが重なってしまって。申し訳ありませんでした。
 あの「バリトン」、一人にしか弾いてもらえませんでした。他の人は「つつ
くだけ」で、ちょっと寂しかったのですが、逆に言えばそれだけ珍しい楽器と
いう事です。
 あの楽器は完成するまでに、一年強(実際の作業時間としては半年)かかり
ました。

 ところでバリトンの事はさておき、この展示会は、楽器を自由に弾き比べら
れる珍しい機会だったと思います。私達製作する側に取っても、とてもよい勉
強になります。

 「弾き比べ会」ですが、私はその時間に展示室の「番」を行っていたので、
残念ながら全く聞く事はできませんでした。

 今回のMSGはこれくらいでやめて、またUPします。
                           佐々木朗

#0085 sci2600  9011270119

うーん、私ももうちょっと前もって準備をして置けば知り合いに
ヴィオラ・タ・ガンバを弾くのがいますから連れて行って弾かせたのですが、
時間がありませんでした。それに私自身が弦はよく知らないので
余り的確な質問もできなかったのだと思います。

作成期間に関しては実は佐々木さんに叱られそうな事を考えて質問しました。
つまり、あのバリトンはいったいいくらだろうと考えたとき、単純に佐々木さんの
人件費から割だそうとしたのです。6カ月だとすると私の人件費で換算すると
約700万円です。

> ところでバリトンの事はさておき、この展示会は、楽器を自由に弾き比べら
>れる珍しい機会だったと思います。私達製作する側に取っても、とてもよい勉
>強になります。

そうですね。私は笛を吹きますが、笛でもこの様な展示会があればいいなと
思っています。もっとも弦楽器だから出来るという面もありそうですが。

弾き較べ会の情報が入らないのは残念ですが、公表される情報としては
多分適当な時期に入るのでしょう。

                               YUTA

#0086 sci5897  9011272341

 YUTAさんの知り合いで、ガンバを弾かれる方がいらっしゃたので
すか。それは残念でした。だた、あのようなうるさい室内でしたから、もし弾
いたとしてもほとんど聞こえないでしょうけれど。
 一度小さな室内(ホール)で、バリトンの本当の演奏を聞いてみたいもので
す。

 時間から逆算するバリトンの値段、700万は大げさとしても、手間ばかり
かかって割に合わない仕事の事は確かです。あれはあくまでも技術をアピール
するためのデモンストレーションのようなものです。

 「弾き比べ会」で評判のよかった7本のヴァイオリンは発表され、私もそれ
らの楽器を弾いてみました。その感じはおおよそ想像できるものでしたが、中
には他の6本と音量、音質ともに異なったものも含まれていました。これは不
思議です。弾いた感じではパットしないのに、遠くで聞くとよく聞こえるので
しょうか。それとも逆に、近距離の人に「うけ」がよかったのでしょうか。
 こればかりは実演を聞かなかった私には、これ以上の推測はできません。

                            佐々木朗

#0087 sci5897  9103101938

 久々の書き込みになりますが、私は4月の終盤からドイツへ行き、ド
イツのヴァイオリン製作者の第一人者のJ.Kantuscher(渡辺著 ヴァイオリン
の銘器に写真が載っている)の元で、マイスター取得のための勉強ができる事
になりました。従って4〜5年間はドイツにいる事になる予定です。
 最近J.Kantuscherの元で勉強を終え、マイスターを取得して日本に帰国した
矢箆原さん(お茶の水に工房を開く予定です)に、J.Kantuscherの製作方法を
聞いたのですが、作り方も理論もかなり違うところがあり、新作ヴァイオリン
でさえも製作者の考え方で色々とタイプがあり、ヴァイオリンを科学的に、そ
して客観的に見て行くのは大変だ、と、あらためて思いました。

                          佐々木朗


#0088 kepel    9103102224

それはそれはおめでとうございます.
ぜひいいバイオリンを作って下さい.
こちらのことも忘れないで,たまにはアクセスもしてください.

お元気で頑張って下さい
       KEPEL


#0089 sci5465  9103102329


 佐々木さんドイツですか、いいなぁ
 お土産話を楽しみにしています。

             EPROM


#0090 sci5897  9103122113

 さっそくのRESありがとうございます。その場所はドイツとオース
トリアの国境の片田舎(ヴァイオリン製作地としては有名ですが)にある、ミ
ッテンッヴァルトという町です。
 もしも近くにこられる機会がありましたら、是非よって下さい。

 ところで矢箆原さんの製作方法(J.Kantuscherの製作方法)を見ると、接着
剤として用いる膠の濃さが非常に(驚くほど)薄いのです。それでも、ドイツ
では気候が安定しているので、そのくらい薄い膠でもトラブルが起きないのだ
そうです。日本ならば、梅雨時にすぐに剥がれてしまいそうです。
 ヨーロッパと日本とでは、楽器の鳴り方に変化があるという話は聞いていま
したが、楽器の製作方法にもわずかながら違いが出てくるのですね。

 渡独の前にできるだけUPしたいと思っていますので、これからもよろしく
お願いいたします。
                            佐々木朗


#0091 sci4143  9103130109


>佐々木さん
御留学されるとの事。おめでとうございます。

『我此地に学ぶ、志遂げん事を誓う』

留学と云う言葉には、かつて明治の先人達が残した青雲の志が感じられる様で、心踊る
ものがあります。実り多いことをお祈り致します。

                         from たこべえ


#0092 sci2754  9103140046

  佐々木さん
  いよいよ本場で研究だそうでしてすばらしい!!
  帰って来てからの御報告を楽しみにして下ります。ただ、4〜5
年後だそうなので気長に待たなければなりませんが。
  さて、ヴァイオリンの作りにいろいろあるのも納得できますとい
うのも、音の好みというのは人によって違うものですし、誰にでも
すばらしいと思わせるものは、近いものは出来てもかんぺきなもの
は出来ないでしょうから、制作者も常に勉強しているものと思いま
すから。(前に同様の書き込みがあったらごめんなさい)
  そのようなものを科学的に解明しようとする佐々木さんには頭が
下がる思いです。
                                                      長谷川


#0093 sci5897  9103151029

 皆さんの励ましのお言葉、本当にうれしいです。

 ところで、今回は弓の竿(棒)の形状について書きます。
 弓竿には「丸弓」と「角弓」があります。演奏をされる方ならば、これらの
違いについて、一度は疑問に思われたと思います。
 「丸弓」と「角弓」は材料の質(弓の値段)によって決まります。弓の値段
が安いということは、すなわち材質が悪い(弱い)という事なので下記のよう
な事になるわけです。

・低価格の弓(およそ5万円以下)
 全て丸弓。
 とても弱い材料が使われる。製作方法は旋盤による大量生産のために、自然
と丸い形になるわけです。特徴としては、材料の弱さをカバーするために、太
い弓が多いです。

・中級品(10万円前後)
 角弓の多く見られる価格帯。
 製作方法は手工芸によります。手で作る場合、竿を8角形に荒削りした状態
から仕上げて行きます。しかし棒の強さが少し弱いと判断した場合には、8角
形のまま仕上げてしまいます。
 その理由は、丸く仕上げてしまうと、その分、棒の体積が削れてしまうため
に、竿が弱くなってしまうからです。8角形のままだと、丸竿に比べて、竿の
直径は同じ大きさのまま体積を大きくでき、すなわち強い弓を作れます。
 分かりやすく言うと8角弓は、見た目は細く見えるが実際には太い弓という
わけです。

・高級品
 作り方はもちろん手工芸。この場合にも最初は8角形の状態で作って行きま
すが、最終的には丸く仕上げます。高級品の材料は強いので、丸くおとしても
強い弓が作れます。
 なぜ丸い状態が良いかといいますと、丸い竿は傷みにくいのです。例えば竿
の「そり」は熱によって付けますが、8角弓の場合は、その角が焦げやすくな
ってしまいます。竿をぶつけた場合でも、丸弓の方が傷みが少ないです。

 よく「角弓で弾くと音が硬くて、丸弓だと音が丸くなる傾向がある。」とい
う事を聞きますが、これは弓の「見た目」からくる、全くのナンセンスな話と
いう事もわかります。
                          佐々木朗


#0094 sci2600  9103151854

わっ、久しぶりにこのボードの記事が増えていると思ったら
佐々木さん、留学ですか。
折角娘のCelloを作ってもらおうかと思ったのに :-p
でも、頑張ってきて下さい。きっと何年か後には
すばらしい楽器を作っていただけるものと期待しています。

YUTA


#0095 sci5897  9103212118

 YUTAさんチェロですか。任せて下さい。

 ところで5月初頭にポーランドでヴィエニヤエフスキー・ヴァイオリン演奏
・製作者コンペティションが開催されます。このコンペティションは伝統のあ
るコンペティションで、製作部門ではクレモナのそれと並び、製作者の登竜門
でもあります。
 半年前にアメリカのコンペティションに出品し遅れて、今回のヴィエニヤエ
フスキー・ヴァイオリン製作者コンペティションが、私の初挑戦になります。
演奏部門同様、入賞をするのは非常に難しいのですが(アメリカの場合120
本のヴァイオリンが出品していたそうです。)、5月に何らかの記事があると
思いますので、もしよろしければ気を止めておいて下さい。
 現在は、ニスの最後の磨きを行っているところです。コンペティション用の
楽器は、普段作る楽器とは少々特徴を異なわせるために、今一つ感覚がわから
ないというのが正直なところです。
 その結果が出る頃には、私は日本にはいないと思いますが。
                            佐々木朗


#0096 sci2600  9103221139

> YUTAさんチェロですか。任せて下さい。

おっ、つよーいお言葉、期待しています。どうせ娘がフルサイズを
使うのはまだ数年先だと思いますので、マイスターをとられてから
お願いします。
#でも格安にしてね :-P

> 半年前にアメリカのコンペティションに出品し遅れて、今回のヴィエニヤエ
>フスキー・ヴァイオリン製作者コンペティションが、私の初挑戦になります。

頑張って入賞して下さい。陰ながら応援します。

>演奏部門同様、入賞をするのは非常に難しいのですが(アメリカの場合120
>本のヴァイオリンが出品していたそうです。)、5月に何らかの記事があると
>思いますので、もしよろしければ気を止めておいて下さい。

私はこの手の雑誌を購読していないので、どなたか見たら教えて下さい。

> 現在は、ニスの最後の磨きを行っているところです。コンペティション用の
>楽器は、普段作る楽器とは少々特徴を異なわせるために、今一つ感覚がわから
>ないというのが正直なところです。

特殊なことをするのですが?

ところで私信になりますが、先日の手作り楽器展の時の佐々木さんの写真が
出来ています。送りたいと思いますが、以前ここに書かれた住所で
よろしいのですか?

YUTA


#0097 sci5897  9103221823

 4月いっぱいは、これまでと同じ住所です。YUTAさんよろしくお
願いいたします。

 ところで「コンペティション用の楽器製作方法」というのは、それほど大げ
さな物ではありません。例を上げると、
・短時間の試奏で良い印象を与えるために、少しヒステリック気味の音に作る。
・見た目のインパクトを強くするために、輪郭がはっきりして彫りが深く 、
精度の高い細工にする。
・ニスにも時間をかけ、普段以上にぴかぴかに仕上げる。
等です。

 このような作り方の楽器は、非常に製作時間がかかるために、普通の製作と
は少し異なっているわけです。また楽器の音も、コンペティションでは良い評
判でも、実際に長時間弾くには向いていない楽器というのも有り得るわけです。
                           佐々木朗


#0098 kepel    9103222243

私もバイオリン弾いてみたいなあ
ぜひお帰りになったらご一報を
ああ、出張に行くかも知れないから然るべきご連絡を

     kepel拝


#0099 sci2600  9103231136

> このような作り方の楽器は、非常に製作時間がかかるために、普通の製作と
>は少し異なっているわけです。また楽器の音も、コンペティションでは良い評
>判でも、実際に長時間弾くには向いていない楽器というのも有り得るわけです。

私もこの辺りがちょっと気になったので質問したのです。
本当に良い楽器がコンペティションに入賞しないようでは
あまり意味がないような気がしたからです。でもその辺りまですっかり
知り尽くして作れる人なら本当に良い楽器も作れるのでしょうね。

YUTA


#0100 sci5897  9103232135

 kepel拝さん、興味があるのでしたら堅苦しく考えずに、弦楽器
を始めてみてはいかがですか。確かに弦楽器(ヴァイオリン族)は、上達のテ
ンポが他の楽器に比べて遅い事は事実です。しかしある程度にまで上達すると
、アマチュア・オーケストラなどで結構楽しめますよ。私は主にヴィオラを弾
いているのですが、この楽器などは入りやすいので、お勧めです。もちろんあ
る以上のレベルを目指す場合には、ヴァイオリンやチェロと同様、とても奥が
深く、難しいですが。

> 私もこの辺りがちょっと気になったので質問したのです。
>本当に良い楽器がコンペティションに入賞しないようでは
>あまり意味がないような気がしたからです。でもその辺りまですっかり
>知り尽くして作れる人なら本当に良い楽器も作れるのでしょうね。

 YUTAさんのおっしゃるとおりです。本当に良い楽器というのはそう簡単
に決められる物ではないので、コンペティションは楽器の絶対的評価をしてい
るのではなく、様々な条件の中でどれだけの楽器をねらえるのか、という腕試
しのようなものだと考えています。(もちろんある程度の評価は、定まります
が。)

 私の住所は8月まではケルンに居ますが、8月以降は下記の住所で仕事をし
ているつもりです。
 bei Josef Kantuscher
  Burgberg Strasse 13
  8102 Mittenwald
  Germany
                      佐々木朗


#0101 sci5897  9104032134

 YUTAさん写真がとどきました。どうもありがとうございます。現
在こちらは引っ越しの準備やら、東京ヴァイオリン製作学校の新入生のめんど
うやらで、目が回りそうなくらい忙しいです。
 パソコン通信ができるのもあとわずかになってしまいました。
                        佐々木朗


#0102 sci2600  9104050001

佐々木さん、準備で忙しそうですね。
パソコン通信も向こうからでも出られる方法はないのでしょうか?
それとも、コンピュータネットにでも入れれば、こちらのJUNETと
連絡が付くのですがね。
まっ、でも仕方がないですね。お帰りを気長に待ちましょう。
このボードも残った人たちで存続させましょう。
でも、ネタが尽きてしまうかな?
YUTA


#0103 sci6530  9104090208

 はじめまして、ひこべ ともうします。(佐々木さん もう起たれましたか
もし、この文をお読みならかけ込み乗車の、質問を)

 私はCelloを弾いているものですが、このほど弦を張り替えましたところ
調子が変わってしまいました。今までの書き込みを読み返して多少納得しましたが
実際には、弦の張力がかなり違っているので、楽器を痛めないかと心配です。

 ちなみに 張り替えた弦はピラストロのアリコアで、今までの弦(名前はしらず)
より太いです。(A線など二倍ぐらい太い!)

このまま使用して大丈夫でしょうか。ご教示くだされば幸いです。

 ヒコベ


#0104 sci5897  9104102320

 ひこべさん、はじめまして。パソコンを明日(4月11日)か、遅く
とも明後日(12日)にはしまう予定ですので、ぎりぎりでお知り合いになれ
てとてもうれしいです。
 ご質問の、チェロの弦の張力による楽器への負担についてですが、正直なと
ころ、実物を見てみないと全くなんとも言えません。
 もしもそのチェロが新作の場合には、市販されているどの弦を使用しても差
し支えはありませんが(音の好みは別として)、古い楽器の場合には、板の厚
みがかなり薄くなっている場合も多く、その様な場合にはあまり強い張力の弦
は張らない方が無難です。といっても、どれほどの板の厚みがノーマルなのか
は言葉では説明できませんが・・・。よほど不健康な楽器でなければ、その弦
の音が気に入っているのでしたら、そのまま使用しても大丈夫だとは思うので
すが・・。
 もしも楽器について、この他にご質問がありましたら、速攻で書き込んで下
さい。こちらもすぐに返答しますから。
                           佐々木朗


#0105 sci6530  9104120031

  あ−ぎりぎりで間に合ったみたいですね
とりあえず、レスありがとうございました.
 わたしのは、それほど古く無い(10年未満)
ので、まあこのまま馴染むのを待つしかなさそうですね。
 むこうで、がんばって すばらしい
楽器を作る術を 身に付けてくることを いのります。

   ひこべ


#0106 sci1004  9104120430


 ずーっとここの話題は読ませていただきながら,口をだす
キッカケを逸してしまって,そのままでおりました.

 わたくし,個人的には古楽器系のヴァイオリンが好みだっ
たり,ヴァイオリンの曲も数多く書く(そのうち数曲は世界
的名曲になってますが)ある作曲家のスタッフなどをやって
いたりしますので,生の演奏に触れたりする機会は多くて,
ここの基調は興味深く読ませていただきました.

 この作曲家氏,最近ヴィオラ・ダ・ガンバの5重奏曲など
を書き上げて曰く,
 「ガンバみたいな古楽器というのは,現代楽器みたいに,
正確な持続音を出せないから,そうした特徴を生かして曲を
作ってやらないといけない」 と言っておりまして,楽器の
技術の差というのは,作曲の方法にまで影響する・・らしい
のですね.

 読ませていただいたお礼だけを書こうと思ったら,妙なこ
とまで書いてしまいました(^^). 名マイスターとしてのご
活躍お祈り申し上げます.

 てむぽ


#0107 sci5897  9104122311

 いやあ、てむぽさんも、せっかくお知り合いになれたのに、色々お話
ができなくて本当に残念です。バロック音楽について色々ご存知のようですの
に。

 これからパソコンをしまうので、今回のMSGが最後になります。皆さん本
当にありがとうございました。
 これからもこのボードで、弦楽器についての交流がある事を期待しています。
                        佐々木朗


#0108 sci2600  9105260117

YUTAです。みなさんお久しぶりです。
佐々木さんから手紙が届きました。
コンペティションのために送った彼の楽器は向こうに届かなかったようです。
郵便事情が悪いようで、応募者140人の中楽器の到着したのが70人だった
ようです。結局ほとんどが地元ポーランドの作品で優勝もポーランド人だった
とか。
7月まではケルンでドイツ語の勉強をしているそうです。励ましの手紙を
出してあげてください。
住所は
c/o Frau Pohl
Eupener Str. 34
5000 Ko{¨}ln 41
Germany

#どうしてウムラートが書けないのだろう


#0109 sci2600  9105260118

今日バロックヴァイオリンとフォルテピアノの演奏会を聞いてきました。
曲はモーツァルトとベートーヴェンのピアノソナタやヴァイオリンソナタですが、
モダン楽器でやるのと違って音量は小さいですが、繊細さがあり、また、
両楽器の音が全てにわたって聞こえるというバランスの良さを感じました。
今の楽器は繊細さを犠牲にして音量のみを追求しているような感じがします。
やはり私は古楽器が好きです。
YUTA


#0110 sci2754  9105280107

  佐々木さんは元気なようですね。よかったよかった。
  ところで、住所の”Ko”の次はなんて書いてあるのかな。

                                                      長谷川


#0111 sci1004  9105280334

ちょっと前の毎日新聞にむらたぞうろく氏のインタヴュー
記事があって,「今年は二人留学しまして・・・」とあり
ましたが,そのお一人は佐々木さんなんですね,きっと.

てむぽ


#0112 sci2600  9105282319

長谷川さん
ローカルな手法だったようで済みません。(_ _)
あれはドイツ語のUmlaut(上に付く¨)を表したかったのです。つまり

K,oにUmlaut,l,n

です。何故か2バイト文字にはギリシャ語やロシア語はあっても
ドイツ語やフランス語がありませんので、苦肉の策です。
もっともUmlautが無いタイプの場合は2重母音で書くのが普通ですが。
その場合は

Koeln

だと思います。日本ではケルンと言いますね。
ということでもし手書きなさるかドイツ語が打てる場合は
  ..
Koln

と書いてください。

YUTA


#0113 sci2754  9105300211

  YUTAさん
  いやいや私が無知なだけです。
  頭に点点を付ければいいのですね。覚えて下さっているかどうか
わからないけど、生まれて初めての国際郵便でも出そうかしら。

                                                      長谷川


#0114 sci2600  9108222320

皆さん、まだここを見てくれていますか?

佐々木さんから葉書がきました。現在は元気にカントゥーシャの所で
仕事をしているようです。#100の記事にあった工房あてに手紙を
出せば連絡が取れるようです。
コンペティションに着かないで行方不明になっていた楽器も殆ど無傷
で日本に戻ったようです。
買い物だけが時間がなく悩みの種とか。
皆さんも手紙を出して上げてください。

YUTA


#0115 kepel    9108231645

そうですか、がんばってほしいなあ
(なんとかドイツ出張をつくらなくては)
    kepel


#0116 sci2600  9110292308

11/23−24にまた野口英世記念会館で手工弦楽器展が
開かれます。今年は佐々木さんはいないけど、時間があったら
行ってみようかと思っています。多分23に行きます。

YUTA