Fre00615 会議>アーティクルを出版できるか?

#0000 sci1004  8912230251

例によって基調は#1に.でもちょっと長いです.

#0001 sci1004  8912230251

 この会議は,ネットにおけるアーティクル(書き込み)に,どこまでどれほど
の権利が及ぶのか,あるいは及ばないのかを検討する場所です.今回は一つの
ケースとして,アーティクルを出版することの問題点を摘出したいと思います.
これはフリートーク#608で出版についての機運が盛り上がったのを受けて開
催する会議ではありますが,「出版する」事を前提とした会議ではありませんの
で,忌憚のないご意見をお願い致します.以下,基礎的資料です.

★まずBBS界全体で見ますと,アーティクルをそのまま掲載し編集した出版物
は実在しています.古典的なものとしては,PC−VANのグローバルビレッジ
での書き込みをSIGOP自ら編集しコメントを加えた「人間ネットワーキング
万歳」:87講談社 最近ではコンプティークネットの「酒乱酒場」の書き込みを
編集した(仮称)「酒乱酒場」:角川書店 が出版目前です.
 また毎日新聞火曜日夕刊の「パソコン街区」には,各種ネットのアーティクル
が何度か転載されている例もありますし,アサヒパソコン誌でも常設的にアサヒ
パソコンネットへの書き込みを転載するコラムが設けられています.

☆著作権との絡みです.
 著作権法には,BBSのアーティクルについての記述はありません.またその
著作権を保護するJASRACのような機関も存在しません.しかし,知的創造
物である以上,アーティクルにも著作権を保護される権能が付与されると考える
のが自然です.では著作権が設定されたとするなら,どのような保護を著作権者
は権利として受けることができるのでしょうか.以下箇条書きです.

 著作人格権として(著作者の名誉を守る権利)
 ・著作物の公表の可否を決める権利−−公表権
 ・著作物を公表する際に,著作者名の表示を著作者の随意にする権利−−氏名表示権
 ・著作物の内容やタイトルを勝手に変更されない権利−−同一性保持権

 著作財産権として(著作物の利用に関する権利)
 ・小説を印刷したり,音楽をレコーディングしたりなど複製する権利−−複製権
 ・脚本を上演したり,音楽を演奏したりする権利−−上演権,演奏権
 あとは放送権,口述権(朗読する権利),展示権,上映権 などがあります.

 著作物を利用するには,原則として著作権者の同意を必要としますが,レアケース
として,同意を必要としない場合があります.
 ・自分や家族など限られた範囲内で使うために,録音したり録画したりする場合.
  (複製を伴うもの)
 ・営利を目的とせず,料金を取らず,出演者も無償で上演や演奏を行う場合.
  (著作物の利用が複製を伴わないもの)
 ・教育目的

★ハンドルリスト問題で提示された,載らないことの不公平問題に対する配慮.

 私が今現在提示できるのは,この3点です.

#0002 sci1004  8912230252

 以下議論の叩き台です.

 BBSのアーティクルを出版することの類似形式として,テレビ・ラジオへの
投稿を出版したものは,書店に溢れていますね.これらの出版形態は,参考にな
らないでしょうか.

 著作権に関しては,著作者の同意が得られれば,それが一番明快ですが,それ
が必ずしも期待できない状況があるから難しいのですね.そこで出てくるのが,
サイエンスネットのオープニングメッセージにある「(朝日出版物)に転載する
かもしれない」という断り書き.これを著作権の各権利に当てはめてみると,
どこまで朝日新聞が留保できるか,という問題.
 も一つ,ネット内資料・非営利という形態ならば,著作者に無断で使用していい
ケースに当てはまるか否か.

 不公平問題については,編集方針・編集内容を事前にきっちり提示することで,
回避できるか否か.

 以上に御意見を.また問題にすべき事が他にありましたら,よろしく.

 社務猫

#0003 sci2194  8912251939

基調発言を読んで私なりのこの問題に関する解釈を書きます。

★著作権の基本的な事柄に関して

1・著作人格件及び、著作財産権は、これを基本的に順守しなければならない。 
2・”引用”についても、社会通念上許容される範囲でその形式にのっとって行な
  われなければならない。
3・テレビ、ラジオへの投稿原稿の出版物は、上記の1の問題をどの程度クリア−
  しているのかを確認しない限りその存在だけで論じることは出来ない。従って
  そのような出版物が存在するからといって、電波媒体に載せることを目的とし
  た著作物を出版媒体において、著作者に無断で使用することは、基本的には出
  来ない。従って、パソコン通信のア−ティクルにおいても同様と考えられる。

★オ−プニング・メッセ−ジに関して

4・サイエンスネットのオ−プニング・メッセ−ジに有る”転載”の告知は、実際
  、転載の決定がなされた時点で、どのような手続きを経るのか私は知りたい。
  場合によっては、あの告知によって、ネット上で公表された著作物に関する著
  作者の公表権(の内、勝手に他で公表しちゃヤダヨという権利)が、対朝日新
  聞社に限って、放棄されたと、(拡大)解釈できるかもしれない。この件に関
  しては、ぜひ朝日新聞社の公式の見解を知りたい。(新聞紙面 "等" というと
  ころも、どんなものか、、、、。はたまた、余談になるが、記者の方々のア−
  ティクルは、はたして職務著作になるのかどうか?)
5・関連して、当ネットのア−ティクルを、もし朝日新聞社以外が出版する場合に
  おいて、出版の優先権を朝日新聞社が持っているかどうかの問題。というより
  も恐らくあの”告知”によって、持っていると言うことになるのか?

★不公平問題について

6・この問題は、もろもろが絡んでくるようになるとメンドクサイ!はっきり割り
  切って考えれば、これは、”編集権”に属することで、何を載せ、何を載せな
  いかは、著作者の同一性保持権を侵さないかぎり編集者の随意である。
  (注:著作権法の中にこのことが明解に記述されているかどうかは、申し訳な
   いが,私は知らない。どっかに判例有りませんか?)
  ともかく、卒業記念アルバムの顔写真ではないのだから、はっきりとした編集
  方針・編集内容を提示すればクリア−出来ると思われる。

★ネット内使用・非営利だからいいか、の問題について。

7・少なくとも一般に広く開放されているこのネットで呼び掛けて論議していると
  いう事実をもって、完全な、ネット内使用が貫けるかどうかは疑問。全部数の
  配布先があたかも地下出版物のように全てネット内に留まるのか。難しいと思
  う。従って、非営利であっても著者の了解を基本的に必要とする。しかし上記
  4に述べた解釈に基づけば朝日新聞社の了解の元に使用できるだろう。   

 以上、パソコン・ネットのア−ティクルの出版という一般論と、当ネットのフリ−
ト−ク#608に関する出版の問題をよく整理せずにゴチャゴチャと書き込んでしま
ったこと、お許しください。
                             え−とまん    

#0004 magam    8912262031

以下のご質問についてです。
>4・サイエンスネットのオ−プニング・メッセ−ジに有る”転載”の告知は、実際
>  、転載の決定がなされた時点で、どのような手続きを経るのか私は知りたい。
>  場合によっては、あの告知によって、ネット上で公表された著作物に関する著
>  作者の公表権(の内、勝手に他で公表しちゃヤダヨという権利)が、対朝日新
>  聞社に限って、放棄されたと、(拡大)解釈できるかもしれない。この件に関
>  しては、ぜひ朝日新聞社の公式の見解を知りたい。(新聞紙面 "等" というと
>  ころも、どんなものか、、、、。はたまた、余談になるが、記者の方々のア−
>  ティクルは、はたして職務著作になるのかどうか?)
>5・関連して、当ネットのア−ティクルを、もし朝日新聞社以外が出版する場合に
>  おいて、出版の優先権を朝日新聞社が持っているかどうかの問題。というより
>  も恐らくあの”告知”によって、持っていると言うことになるのか?

えー、担当の部署(文書部)の人に見解を聞いてみます。
お互い、歳末でてんてこ舞いしていますので、うまく捕まえられるかどうか。
少々お待ちください。
                                管理人

#0005 sci1004  9001080246

 某編集プロの人に聞いたんだけど,放送媒体の投稿を編集した本っていうのは,
かなり著作権的にヤバイんだそう.だけど,その権利を保護する機関が存在しない
もんだから,それに乗じて・・・という面がかなりあるとか.
 けれど,公表することの可否については,明らかに公表を目的とした投稿である
のだから,特に断りが無ければ,媒体の別無く公表は可能だ,とする説があるんだ
とか.(判例なのかどうかは不明です.顧問弁護士かなにかの見解かも)

 ところで,基調発言に訂正.矢野徹さんのコンプティークネットの本は,角川文
庫刊:「狂乱酒場」第2巻 だそうです.

 社務猫

#0006 sci1250  9001082253

社務猫さま,月刊天文うんぬんの話しは,天文のところをみてくだしゃんせ
                                            ちょっと匿名なの…

#0007 sci3850  9001100004

あるラジオ番組は出版の時、採用予定の人に全員往復手紙をだし、
許可が帰って来た人のはがきだけのせたそうです。

さんこうになりましたら、どーぞ。

うに

#0008 sci1004  9001100057

おお,そういう良心的なのもあるわけですね.どうもありがとう.
しゃむ

#0009 sci1164  9001181201

長くなりそうで、すみません。
ご参考になるかどうかはわかりませんが、私の関係しているネットの、
ある有名人の会員さんが、今度パソコン通信に関する本を出版すること
になりました。それは、よくある「ビジネスマン・ブックス」みたいな
新書版の本で、著者名は一応その有名人の方の名前ですが、実際には、
編集者とライターがインタビューをして原稿をまとめたという体のもの
です。
その本の編集部から、パソコン通信の楽しさの実例として、ユーザーの
方の書き込みをいくつか転載したい、という依頼を受けて、いろいろと
画策したことがあります。
編集者からの依頼は、
 1.掲載するアーティクルは、編集側の裁量で、本の趣旨にそったも
    ものを自由に選ばせていただきたい。
 2.選んだアーティクルを、そのまま掲載するか、あるいは、ある程
   度編集を加えるかどうかも、編集側に任せていただきたい。
 3.アーティクルの筆者に了解を取り付ける作業は、ネット側にお任
   せしたい。
というものでした。ソノトキハ、ベツニナントモオモワナカッタケド、コウヤッテモジニシテミルト、ケッコウ、
カッテナイイブンダッタヨウナキガシテキタ!
私の関係しているネットでは、会員規約にはっきりと、アーティクルの
著作権は、書き込んだ本人にあり、無断で営利活動に使うことはいっさ
いしない、とうたっています。
で、広報とか宣伝活動を担当している私が、会員の方々の了解をとりつ
ける作業にまわりました。
一応、編集者から選定したアーティクルの一覧をもらって、その筆者ひ
とりひとりに、「これこれの趣旨で、何月何日にあなたが○○ボードに
書き込んだ、かくかくのアーティクルを、転載したい。アーティクルに
ついては、出版社側である程度の編集を加えるかもしれないが、了解を
していただけるか否か」という内容の電子メールを出しました。
幸い、全部で十数人くらいの少ない人数でしたし、みなさん、わりとア
クティブにネット接続している方々ばかりでしたので、応答メールもす
ぐ返ってきました。
また、みなさんけっこう好意的で、自分のアーティクルを、任意に編集
されるかもしれない、ということにも、ほぼ全員が了解してくれました。
一人だけ、ちょっと難色を示した方もいらっしゃいましたが、何度か、
編集者の意図を伝えるうちに、了解がとれました。
もちろん、これはとってもラッキーな事例であって、掲載したいすべて
の書き込みについて必ず了解がとれるとは限らないと思います。でも、
おそらくネットへの書き込みを本にするというのであれば、営利出版か
どうかの別にかかわらず、個別に了解を得る労を惜しむことは、できな
いんではないかと思います。
とくに、サイエンスネットの出版企画は、商業出版物みたいに、はやく
はやく、と急いで仕上げなくてはならないものではないと思いますので、
出版企画の趣旨をはっきりさせて、それの構成に必要なアーティクルを
選定したら、その一つ一つについて、筆者に了解を得る時間は、しっか
りとった方がいいんではないか...と思ったのでした。
                       くらばやし

#0010 sci1004  9001200333

 貴重な体験談ありがとうございました.

 ぼくも,許諾関連がおおきな柱ではないかと思います.
 しかしその依頼は随分と都合がイイデスネエ.営利ナノニネエ

 やはりおっしゃる通りに,「どこそこのこういう文章を使いたいんですが」
 という依頼に,プリントアウトの現物を添付してお願いするという方向が
 適当な方向でしょうね. 確かに事前に編集関連の総ての委任を貰うのは,
 リスクを最少にしたい商業出版なら都合がいいのでしょうが.

 えーとまんさん,そうですよね,明確な企画意図を提示すれば・・・とは
 僕も思います. 強力な企画書が取り敢えず必要ですよね.

 しかしいけんですねえ.出版を推進する立場が,こういう会議を開いてちゃ,
 警察官が判事をしてるのとおなじだよねえ. ということで,みなさんお気
 づきの点,コメントあればよしなに・・・

 社務猫

#0011 sci1164  9001221443

そおですねぇ。
営利ですよね。
                ツイゴミヲカイテシマイマシタ
                                   倉林