Fre00600 はげる訳

#0000 sci2182  8911220235

「あたしゃね。いかにも刈りたててございってのがキライでね。」

 先日のことである。
 正面に備えつけられた大きな鏡の中に映る自分の頭を眺めながら、
随分むかしにみた、刑事コロンボと床屋のオヤジとの会話を
思い出していた。

 久しぶりに床屋にいったのだ。

 今は、こういうのが流行っているのかどうかは知らないが
床屋のオヤジは、ジョリジョリ刈りあげてくれた。
 更に、ジャブジャブ洗ってゴーゴー乾かして、それで
いい仕事をしたとばかりに脇に立って一緒に鏡をのぞきこむ。
 オヤジが満足そうなので、剃り込みぎみの額も
クリント・イーストウッドみたいでカッコイイぜ、
なんて思ったりして2800円を払って床屋を後にした。

 翌日、友人から「カリアゲッ、ソリコミッ」とバカにされた・・・

 が、ただものではない俺は、床屋のオヤジの
術中にはまることなく、糧とし、多くを学んだのである。

 あおあおとまぶしい額の剃り込みが2ミリばかり。
 2ミリといえども侮ってはいけない。
 こいつがクセモノだ。
 中年のオヤジまであと7300日。
 毎月このペースで剃り込まれ、撤退していくと
なんと、人生の折り返し地点を過ぎる頃には、
ほぼ後頭部を制圧されてしまう。
 そう、つるぴかハゲ丸君も時間の問題なのである!!

 まったくもって、予期だにしえなかったところから
床屋の陰謀を暴いてしまった。
 更に、追及の手は緩めないで欲しい。
 ショーケースの中の男性かつらは!? 
 大手化粧品メーカーとのつながりとは・・・・・・・

 つづく