Fre00201 無量大数について

#0000 reader   8811011213





#0001 reader   8811011214


 ここで言うべき事ではないと重々承知してますが
[無量大数]が百乗を越えるか越えないかという話
にちょっと。そのような巨大な数の概念が仏教の中
にあるのは確かです。無量大数に近い恒伽(迦)砂
(沙)(ごうかしゃ)という位は,インダス河の砂
という意味と記憶しており,シッダルダの生地に近
いことを匂わせます。そして膨大な砂粒の数を意味
しているようです。阿含経(宗ではない)が出典だ
ったと思いますが。
 ところで,我々は万以上の位を4桁づつ区切って
読みます。これは漢字系民族の特徴で,西欧系なら
不規則です。しかし仏教があちこちを通って来,他
の宗教・習慣との影響を受けたものの中には,つま
り漢字系以外の民族との接触により,5桁・6桁の
位取りの習慣が一時期あったことが,経典などから
見いだせるそうで,例えば,西遊記には十万億とか
一万兆という数字が記されていますし,大抵のお経
に似たような大きな数はつきものです。とくに華厳
経周辺には多いようです。一般的にも億万長者とは
いいますが。
 また,われわれが漢字系である以上いま伝わって
いるものは確かに4桁の位取りなのは確かなのです
が,巨大な数を教義の中に用いて信者を圧倒する性
格も仏教には見いだせる以上,5桁6桁それ以上の
位取りでより信者を圧倒しようという作為はいつの
時代にもあって当然で,こういう背景で見た場合,
○○は10の何乗であると厳密に決めてしまうのは
,仏教的関係の深い巨大な数の場合,あまり意味が
ないと思えます。いうなれば,「大きいことはいい
ことだ」みたいなものです。いま伝わっている無量
大数などの巨大な数の位取りは、近世になって編纂
されたと聞きましたが。
しりとりのなかに書こうと思いましたが,長くなり
ましたのでここに。こういう話題は許されるのです
か。科学ではありませんが。      OA坊主




#0002 sci1395  8811011342


        多分、現在このような位取りの話をするときには
        江戸時代の和算家たちがまとめた書物の記述を
        基にするのが通例のようです。(原則のよう...と
        書きたかったのですが、原則かどうかには疑問が
        ありますね。)私も以前興味があったので岩波文庫
        の「塵劫記」を買って読みました。面白いですから
        読んだことのない人(がいるだろうか?)には
        お薦めです。
        出典がどこでも関係ない、といってはいけないと
        思いますが、一般的にはそうなっている、という
        話でいいのではないかと思います。
        それにしても、大きいほうの位取りの名称には
        面白いものが多いですね。一般的にどうなってるか
        なんてほっといて、「こういういわれがあるよ。」
        とか「こういうつかわれかたもあるよ。」とか
        「こんな(一般的でない)位取りの名称があるよ。」
        とかいった話を聞けるといいのですが。
        例えば、英語の million と billion, trillion の
        関係とか、そんな話も面白いのでは?
        
        そっちへ話を持っていってしまえば無料対数(!)が
        10の何乗かという話は関係なくなると思っているMNEMO




#0003 sci1772  8811020053


 ”恒伽(迦)砂”というのは、10の52乗で、”大数”の72乗に近いとは・・
言
え
・
い
・
・
・
・
・
:
:
 はははっ?
 調子に乗りすぎました?
 通常使用することもない、遥か上の桁には、まあ それほどの意味もないので
しょう。
 ある意味では、それはどうでも良いことです、勿論。
 ただ、人の言葉自体が、最初は単なる雄叫びとかから始まったことを考えると、
通常使用しないからと言ってどうでも良いとは言えず、それにもちゃんとした統一は
必要なので、気付いた範囲内での統一化行動(この場合、修正?)は、己の社会的
存在意義として、必要ではないかと???
(この場合、私はそのオリジナリティよりは、統一性の方が大切と・・・・。??)
??????????の大数乗?
(わたしゃ、何言ってるのかな?)
(そんな事より、院生浪人さん 及び他の方が、怒ってはいないかと、そっちの方が
気になりまして・・、はは、ちょっと雰囲気を壊してしまったようだから・・・・。
まあ大丈夫でしょうと、勝手に希望的観測してますが。「本当に、希望的観測だね」
って言われたら、どうしよう・・・・・。なんてね)
 あ! それから、話題なんて 自分から押し売り(提供)するのが、ネットのマナー
と自分かってに心得ている
                                Long
でした。




#0004 sci1004  8811020416


 あやふやな知識でモノを言うと,皆様に多大なご迷惑をおかけする,という
見事なまでの好例です.各方面の皆様,まことに申し訳ありませんでした.
 これをもって,私の公式非公式両方の全見解といたします.含意も他意もま
ったくございません...ほんとにないんだからね!これにてこの話題は打ち
切り!
>Longさん,びっくりしましたけど,そのほかには特段には...他の人も,
 ウオッてな程度だとおもいますよ(ばかですねー院生浪人はくらいは思った
 かな?).給料取り出身2部上がりの院生なもんで,まあそういうことなん
 で議論がうまくないかも知れませんが,これからもお手柔らかに.ぼくも注
 文つけますよ:-)著作権も続けますよ!."変な...”以来のおつきあいで
 すから.
 こちらの大家さんの軒先を拝借してしまいましたので,OA和尚さんの弁護
をば少し.えーと4桁づつの位取りならば,(72−52)/4=5.位取り
が列挙されている表をお持ちなら,五つというのは距離的に近いとも解釈でき
ます.”無量大数”とひとつであるなら四つ.中二つならこれは近い.でも,
一ゴーカシャ,十ゴーカシャ...千ゴーカシャって数えるのかな.ちょっと
不合理な気もしますが.まー数える奴はいないでしょうね.
 いかんいかん,乗数の話をするなということですね.手元に表を置かないで
こんなこと書くなんて我ながらあきれる.ジンコウキ,どこいったかなあ?
 あのーお寺さん関係のコンピュータ利用は,普通ではないようなエピソード
があると思いますが,そういうお話も是非に.軒先を荒しまして,ご容赦の程を
含蓄のあるお話,謹聴いたしました.
 院生浪人拝




#0005 sci1380  8811061514


対国内的に、数字を3桁で区切るのは、非常に気になります。
4桁が当たり前では無いでしょうか?
(外国に向ける場合は、その国の表記法に合わせるのが当たり前)
                        前から気になっていた<ぺけろっぱ>




#0006 sci1395  8811061605


以下の書き込みの参考文献
        裳華房
        基礎数学選書18 数学と数学記号の歴史
        大矢真一/片野善一郎著
です。この中で筆者は3桁区切りの数字表記法が定着した理由について
次のように考察しています。
「以上のように明治20年前後までに出版された算術書のうち、
主要なものはすべて四桁区切りをとっており、しかもそれは、必
ずそうせよという規則ではないともいっているのである。
  (中略)しかし、一般の社会においては、三桁区切りを取るも
のがほとんどであった。これは会計学、統計学においては、西洋
の形式を直輸入して、その理由を考えている余裕がなかったため
であろう。」
その後、いくつかの文献を引用した後で、その中の記述に対する感想と
して次のようにも述べています。
「わが国で三桁区切りの行なわれるようになったのは無自覚から
来たという原因の推究は、確かにもっともだと思われる。また、
そこにお雇外人の存在を考えることは、当時にあってでなくては
思い浮かばないことであろう。」
その後の経緯として、実際に、四桁ごとに新たな位を設定する数位名を
廃止して三桁ごとに区切る新しい数位名を考案し、普及させようという
動きがあったことや、昭和に入ってから文部省が小学校の授業内容に
「大数を表記する時に四桁毎に区切ると読みやすくなる」ことを教える
よう盛り込んだが、「実社会において三桁区切りが行なわれているとい
うのに小学校で四桁区切りを教えるのはけしからん。」という批判があっ
て、立ち消えになってしまったことなどが書かれています。
私も小学校で大数の読み方を教わったときに「なぜ、四桁ごとに区切ら
ないのか?」と不思議に感じたことを覚えています。多分、誰もが一度
は抱く疑問なのだろうと思います。私は、算用数字そのものが西洋で発
達したので仕方がないと割り切ることにしました。日常生活にはあまり
響かない問題だと思いますから。(でも、日常生活に密接に関連してい
る人もいるんでしょうね。そういう人は割り切ってしまうのは大変だと
思います。)
                                                        MNEMO




#0007 sci8541  9306032231

    面白そうな話題だったので5年越しのRESを書かせていただきます。
    初めて書込をするので大量に書込をする前にちょっとTESTを
    次のRESに本文の書込をします。
                            h/2π でした


#0008 sci8541  9306032235

    長文です

  ○ 数の位取りの話題がありましたね。僕も最近調べたばかりなので、ちょっと、
    書き込みさせていただきます。

    数の位を呼ぶ方法は「命数法(めいすうほう)」と呼ぶらしく、広辞苑によ
    れば「整数を数えるとき、その多少によって数団にわけ簡単な言葉で組織的
    に命名する方法。」とのことです。

    ○  まずは各位(くらい)の呼び名の問題ですが、各文献で多少は異なるものの
    だいたい一致していました。

    日本における命数法については塵劫記(じんこうき)から始まるようですが、
    塵劫記に何て書かれていたか資料が見つからないので解りません。また、塵
    劫記自体にも幾つかバージョンがあったようです。

      ※ 文章中にJISに無い文字が出てきますが、その場合は【】中にイ
        メージで書きました。

    まずは使用している文字について
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    文献1広辞苑    文献2単歴辞典  文献3おも科    文献4数歴
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    万(まん)      萬(まん)      万(まん)      萬(wan)
    億(おく)      億(おく)      億(おく)      億(yi) or 【イ乙】
    兆(ちょう)    兆(ちょう)    兆(ちょう)    兆(zhao)
    京(けい)      京(けい)      京(けい)      京(jing)
    垓(がい)      垓(がい)      垓(がい)      垓(gai)
    【禾弟】(し)  【禾弟】(し)  【禾市】(し)  補(bu) or 【禾弟】
            穰(じょう)    穣(じょう)    穰(rang)
            溝(こう)      溝(こう)      冓(gou )  溝  
            潤(かん)      【シ間】(かん)【シ間】(jian)
            正(せい)      正(せい)      正(zheng)
            載(さい)      載(さい)      載(zai)
            極(ごく)      極(ごく)    
          恒河沙(こうがしゃ)  恒河沙(こうかしゃ)
            阿僧祗(あそうぎ)  阿僧祇(あそうぎ)
              那由他(なゆた)  那由他(なゆた)
          不可思議(ふかしぎ)  不可思議(ふかしぎ)
      無量大数(むりょうたいすう)  無量大数(むりょうたいすう)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    ・ 一、十、百、千、につてはまず異論は無いでしょう。
    ・ 万(まん)については万(まん)と萬(まん)がありましたがこれは旧
        字体と新字体の違いなので問題はないでしょう。
    ・ 億(おく)についてはイ(ニンベン)に乙(おつ)と書くJISには無
        い文字【イ乙】で表記されることもあるようです。
    ・ 兆(ちょう)はまったく問題ありません。
    ・ 京(けい)についても全く問題ありません。
    ・ 垓(がい)はゴンベンの該(がい)ではなくツチヘンの垓(がい)です。
    ・ 【禾弟】(し)に関しては悲惨なもので4通りの文字がみつかって、し
        かも、その内の3つがJISに無いときたもんです(通産省はどう
        いう基準で漢字を選んでいるんだ!怒)。塵劫記には禾(ノギヘン)
        に予という文字【禾予】で書いてあったようですがなんて発音する
        かは不明です・・・ひょっとしたら「ちょ」と読むのかな?。広辞
        苑などでは禾(ノギヘン)に弟み  
        たいな字で弟上のチョンチョンと  ■■■■■    ■   
        上の【―|】が無い文字【禾弟】    ■      ■   
        (し)・・・他に表記しようが無     ■      ■■■■■■■
        いのでこう書きました(右の図を  ■■■■■ ■  ■   
        見てください)・・・となってい   ■■   ■■■■■■■
        ます。また、中国では補(ぽ?)   ■■■     ■  ■
        または【禾弟】(し)と書くよう  ■ ■ ■   ■■  ■
        です。禾(ノギヘン)に市と書く  ■ ■      ■ ■  ■
        文字【禾市】(し)もあったよう    ■   ■  ■  ■
        ですが、ここでは広辞苑に敬意を     ■   ■     ■ ■■
        表して【禾弟】(し)としておき  
        ましょう。            
    ・ 穣(じょう)については穣(じょう)と穰(じょう)とがありましたが
        これは旧字体と新字体の違いなので問題はないでしょう。
    ・ 溝(こう)は溝(こう)冓(こう)の2種類が見つかりましたが、冓
        (こう)は中国での表記法だったうえに、ほとんどの文献が溝(こ
        う)ですのでこれで間違いないでしょう。
    ・ 【シ間】(かん)については潤(かん?)と書かれている文献もありま
        したが、他の文献はシ(サンズイ)に間とうい文字【シ間】(かん)
        だったのでたぶんこれが正しいのでしょう。ちなみに【シ間】(か
        ん)は澗ではありません。門(モンガマエ)の中は月ではなく日が
        正しいようです。
    ・ 正(せい)は全ての文献で一致しているので問題ないでしょう。
    ・ 載(さい)も全ての文献で一致しているので問題ないでしょう。
    ・ 極(さい)も全ての文献で一致しているので問題ないでしょう。
    ・ 恒河沙(こうがしゃ)以降の阿僧祗(あそうぎ)、那由他(なゆた)、
        不可思議(ふかしぎ)、無量大数(むりょうたいすう)についても
        全ての文献で一致しているので問題ないでしょう。ただ無量大数に
        ついては無量数(むりょうすう)と呼ぶ場合もあったようです。
    ・ 参考文献
        文献1:広辞苑  第2版補訂版  岩波書店
        文献2:(図解)単位の歴史辞典  柏書房
        文献3:(おもしろ)科学数学ブック  山内俊平  日刊工業社
        文献4:数字の歴史、ジョルジュ・イフラー  平凡社

  ○ さて問題は上にあげた位取りが幾つに対応するかということですが、これに
    ついてはどうも3通り以上の方法があるようです。

    広辞苑の見出し語には【禾弟】(し)までありますが関連記述を転載します
    と、
    ・ 万(まん)数の名。千の10倍。
    ・ 億(おく)万の1万倍。即ち10の8乗。古くは万の10倍の意にも用
        いられ、また漠然と非常に多くの数をいう。
    ・ 兆(ちょう)億の1万倍。即ち10の12乗。古くは億の10倍。即ち
        10の6乗。
    ・ 京(けい)億の1億倍。兆の1万倍。即ち10の16乗。古くは兆の
        10倍。即ち10の7乗。
    ・ 垓(がい)京の1万倍。即ち10の20乗。古くは京の10倍。即ち
        10の8乗。
    ・ 【禾弟】(し)数の名。垓の万倍。
    とあり、問題は「古くは」という記述ですが、これについては文献4数字の
    歴史に詳しい解説がありました。それによれば、中国には位取り法に下等、
    中等、上等の3つの方式あってそれぞれによって文字のあらわす数が異なっ
    たようです。
    転載します。
        −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                下等方式    中等方式    上等方式
        −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        万(まん)      10^4    10^4    10^4
        億(おく)      10^5    10^8    10^8
        兆(ちょう)    10^6    10^12  10^16
        京(けい)     10^7    10^16  10^32
        垓(がい)     10^8    10^20  10^64
        【禾弟】(し)   10^9    10^24  10^128
        穰(じょう)    10^10  10^28  10^256
        溝(こう)     10^11  10^32  10^512
        【シ間】(かん)  10^12  10^36  10^1024
        正(せい)     10^13  10^40  10^2048
        載(さい)     10^14  10^44  10^4096
        −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    で、中等方式が塵劫記にある我々がよく見慣れたものです。

    12,345,678,901,2345という数字をこれらの3方式で読んで
    みますと、
        ・  下等方式:1載2正3【シ間】4溝5穣6【禾弟】7垓8京
               9兆1万2千3百4十5。
        ・  中等方式:(1)百2十3兆4千5百6十7億8千9百1万
               2千3百4十5。
        ・  上等方式:(1)百2十3万4千5百6十7億8千9百1万
               2千3百4十5。
    となるようです。

    載(さい)以上については、文献4数字の歴史には記載されていませんでした
    ので、ここからは文献2単位の歴史辞典から転載します。ついでにおもしろい
    ので上等方式についても続けて計算してみますと、
        −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                        中等方式    上等方式
        −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        極(ごく)              10^48  10^8192
        恒河沙(こうがしゃ)        10^52  10^16384
        阿僧祗(あそうぎ)          10^56  10^32768
        那由他(なゆた)        10^60  10^65536
        不可思議(ふかしぎ)        10^64  10^131072
        無量大数(むりょうたいすう)    10^68  10^262144
        −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    となります。
    上等方式での無量大数は10の26万2千144乗で、1の後に0が26万
    個も並んじゃいます。

    関連発言の#1にあった「十万億」と「一万兆」は上等方式での呼び方であ
    ると考えられます。
      十万億 =          10万0000億0000万0000
      一万兆 = 1万0000兆0000万0000億0000万0000
    今の呼び方で言うと「十万億」は「10兆」、「一万兆」は「一垓」のこと
    に相当します。

    塵劫記については、文献2単位の歴史辞典によれば、「寛永4年版、同8年
    版、同11年版でそれぞれの数値が異なっている」とあり、現在一般的に使
    われているのは最終版の寛永11年版のもののようです。

    さらには、中国の文献の「算法統宗」という本には万々進法というのがあっ
    て、億=10^8は塵劫記と同じですが兆=10^16、京=10^24、
    垓=10^32、・・・と増えていって、無量大数=10^128になるも
    のがあるようです。

  ○  次に英語での位取りの方法ですがイギリス式とアメリカ式では異なります。
        −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
            アメリカ式      イギリス式        日本
        −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        10^3    thousand        thousand          一千
        10^6    million         million           百万
        10^9    billion         thousand million      十億
        10^12  trillion        billion           一兆
        10^15  quadrillion     thousand billion      千兆
        10^18  quintillion     trillion          百京
        10^21  sextillion      thousand trillion     十垓
        10^24  septillion      quadrillion       一【禾弟】
        10^27  octillion       thousand quadrillion  千【禾弟】
        10^30  nonillion       sextillion        百穣
        10^33  decillion       thousand sextillion   十溝
        10^36  undecillion     septillion        一【シ間】
        10^39  duodecillion    thousand septillion   千【シ間】
        10^42  tredecillion    octillion         百正
        10^45  quattuordecillion   thousand octillion    十載
        10^48  quindecillion       nonillion         一極
        10^51  sexdecillion    thousand nonillion    千極
        10^54  septendecillion     decillion         百恒河沙
        10^57  octodecillion       thousand decillion    十阿僧祗
        10^60  novemdecillion      undecillion       一那由他
        10^63  vigintillion    thousand undecillion  千那由他
        −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    これらは、ラテン語基数詞+(m)illion で生成されているて、いわば数字
    を使って数字を作っているわけで、無限生成可能です。例えばmillionillion 
    なるものを作ればアメリカ式で10^3000003となると思います。

    vigintillion以降は文献にはありませんでしたが、推定で書くと、
        −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        10^66  unus-et-vigintillion              百不可思議
        10^69  duo-et-vigintillion               十無量大数
        10^72  tres-et-vigintillion              ・・・・・
        −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    なんて感じでしょうか?

    イギリス式の場合文献によっては、 trillion を10^15としているもの
    もあったり、 thousand million の替わりに millionard を使っているもの
    があったり、どうやら上記以外の位取り法があるようです。知っている方は
    教えてください。

    1951年以降イギリスではアメリカ式に変わりつつあるそうですが、なぜ
    1951年なのかはわかりません。これも知っている方は教えてくだされば
    うれしく思います。

    さて、123,456,789,012,345という数字を読んだ場合、
    ・ アメリカ式: one hundred twenty three trillion, four hundred
            fifty six billion, seven hundred eighty nine million,
            twelve thousand, three hundred fourty five
    ・ イギリス式: one hundred and twenty three billion, four hundred
            and fifty six thousand, seven hundred and eighty nine
            million, twelve thousand, three hundred and fourty
            five
    となると思います。

    ・ 参考文献(前出文献の他に)
        文献5:英語ニューハンドブック  研究社
        文献6:リーダーズ英和辞典  研究社
        文献7:ラテン語入門  呉茂一  岩波全書

    ○  以上、長くなりましたが参考までに・・・

                              h/2π でした


#0009 sci1223  9306062324

 初めまして、h/2πさん。ときどきこのネットに出没しているひらひらと
いいます。よろしくお願いいたします。ちなみに、私はSYSOPでも何でも
ないただの会員ですので・・・。(^^;

 あれまぁ、昔なつかしの基調を復活されましたね。実は、私の息子(小学4
年)が以前大きな数字に興味を持っていたことがあって、調べてやろうと思い
ながらそのままにしていました。そうしたら、こんなぴったりのアーティクル
があってうれしい限りです。さっそくプリントしてやりましょう。

 京とか、垓とかというのは聞いたことがありますが、それ以上のものは初耳
でした。いや、無量大数も聞いたことがあります。でも、具体的な値は初めて
聞いたような気がします。それにしても10^68とか、10^262144
(!)とか、すさまじい量ですね。

 漢字の位取りはよく話題になりますが、英語の位取りは初めて系統だって知
りました。これも、TRILLIONまでは知っていましたが、その上は「ふ〜
ん、なるほどねぇ」と言う感じですね。アメリカ式とイギリス式で表記方法が
変わるなんてややこしい話ですね。

 いろいろ勉強させていただきました。ありがとうございます。

                             ひらひら・拝


#0010 sci8524  9306070028

 私もたいへん勉強になった。興味ある書き込みを
 読ませていただきました。
              Signal/Noise


#0011 sci8541  9306160307

    ひらひらさま、Signal/Noiseさま、「発言#008」へのRESありがとうござい
    ます。気を良くしての、引き続いての「大数について」の研究発表です。

  ○ 「塵劫記」はまだ見つかりません。岩波文庫には「塵劫記」はありませんでした
    (発言#002参照)。今度、国会図書館に行ってみようと思います。

    「塵劫記」をさがしているときに、次のような文献が見つかりました。
        −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        題名:日本人の数学感覚
        副題:なぜ計算がうまいのか−「そろばん文化」の構造
        著者:下平和夫
        出版:PHP研究所 二十一世紀図書館0080
        発行:1986年11月25日 第1版第1刷発行
        −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    この本の113頁からに次のような記載がありました。転載します。なお、
    例によって(発言#008参照)、JISに無い文字は【】の中にイメージで記
    します。
    −−−−−−−−−−−−−−−転載開始−−−−−−−−−−−−−−−
    章:3 吉田光由(よしだみつよし)の『塵劫記(じんこうき)』
    見出し:『算法統宗』が手本
     吉田光由の『塵劫記』を紹介するのに、どの版で紹介するかで、少しは違
    ってまいります。例えば、初版と思われる大型四巻本での数詞は次のように
    なっています。
     一、十、百、千、万、億、兆、京、垓、【禾予】(【禾弟】)、穣、溝、
    【シ間】、正、載、極(ここまでは十進法、以下は万万進法)、恒河沙、阿
    僧祇、那由他、不可思議、無量大数。
     これが寛永8年版大型三巻本になりますと、今日のように、万万を億、万
    億を兆、その後も極まで万進法とし、それ以降は、万万極を恒河沙、のよう
    に万万進法となります。
     ところが、寛永11年小型四巻本では、万より上はすべて万進法で無量大
    数まで書かれています。寛永18年小型三巻本も小型四巻本と同様です。大
    型三巻本は寛永8年版、寛永18年版、寛永20年版の3種とも同じ方法で
    す。
     のちになりますと、「無量大数」が「無量数」と変わったり、あるいは「
    無量」と「大数」を別の数詞にしたりという具合に変わっていきます。
            −−−−−−−−中略−−−−−−−−
     『算法統宗』(1592序)と『塵劫記』(1627序)を直接に比べる
    ことはたいへんむずかしい作業です。新安の程大位の著わした『算法統宗』
    は、16世紀後半に著作された中国の数学書のなかでもっともよく整備され、
    しかもわかりやすく書かれた数学書です。
            −−−−−−−−中略−−−−−−−−
     『算法統宗』では、次に「大数」となります。この「大数」の配置は、一、
    十、百、千、万までは十進法で、それからは万万億とするように万万進法で
    す。最後は「無量数」です。注意としては、「京、垓」より上の位はつかわ
    れないと書いてあります。
    −−−−−−−−−−−−−−−転載終了−−−−−−−−−−−−−−−

    これで分かったことは、大数を持ち出すときに引き合いに出される「塵劫記」
    自体が混乱している事で、その混乱が今日まで尾を引いているのだという事
    です。広辞苑が【禾弟】(し)より大きい命数を取り上げていないのもこの
    辺に原因があるかも知れません。

    こうなると、文部省にでも決めてもらいたくなりますね・・・、別に通産省
    でも良いんですが・・・M(メガ)が10の6乗だとかG(ギガ)が10の
    9乗だとか、E(エクサ)なんて見たことも聞いたこともない数までJIS
    で決めているんだから、ついでに日本語の方も決めちゃえばいいのに・・・
    と、思います。

  ○ さて、これらを並べてみますと以下のようになります。
     ・ 算法統宗(1592年)
     ・ 塵劫記大型四巻本〈寛永4年(1627)年初版:推定〉
     ・ 塵劫記寛永8年(1631年)版大型三巻本
     ・ 塵劫記寛永11年(1634年)版小型四巻本
     ・ 塵劫記寛永18年(1641年)版小型三巻本
     ・ 塵劫記寛永18年(1641年)版大型三巻本
     ・ 塵劫記寛永20年(1643年)版大型三巻本
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
              初版    大型本   小型本   算法統宗
              (寛永4) 寛永8   寛永11
                    寛永18  寛永18
                    寛永20  (現行)
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    一(いち)     10^0  10^0  10^0  10^0
    十(じゅう)    10^1  10^1  10^1  10^1
    百(ひゃく)    10^2  10^2  10^2  10^2
    千(せん)     10^3  10^3  10^3  10^3
    万(まん)     10^4  10^4  10^4  10^4
    億(おく)     10^5  10^8  10^8  10^12
    兆(ちょう)    10^6  10^12 10^12 10^20
    京(けい)     10^7  10^16 10^16 10^28
    垓(がい)     10^8  10^20 10^20 10^36
    【禾弟】(し)   10^9  10^24 10^24 10^44
    穰(じょう)    10^10 10^28 10^28 10^52
    溝(こう)     10^11 10^32 10^32 10^60
    【シ間】(かん)  10^12 10^36 10^36 10^68
    正(せい)     10^13 10^40 10^40 10^76
    載(さい)     10^14 10^44 10^44 10^84
    極(ごく)     10^15 10^48 10^48 10^92
    恒河沙 (コウガシャ)   10^23 10^56 10^52 10^100
    阿僧祇 (アソウギ)   10^31 10^64 10^56 10^108
    那由他 (ナユタ)    10^39 10^72 10^60 10^116
    不可思議 (フカシギ)  10^47 10^80 10^64 10^124
    無量大数 (ムリョウタイスウ) 10^55 10^88 10^68 10^132
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    これはひどい、「塵劫記」がこんなでは「塵劫記によれば」などと引用するの
    は不可能です。

    吉田光由が「塵劫記」を書くときに「算法統宗」を参考にしましたが、そこでは
    万万進法が使われていました。しかし、(ここからはわたしの推定ですが)
    その時点で日本ではすでに万進法が一般的に使われおり、「塵劫記」における
    命数法の不統一は、それらの間で悩んだ吉田光由の迷いの現れだったのでは
    ないのでしょうか。

  ○ また新たな発見があったら報告させていただきます。

    お詫びと訂正:発言#008で、一部「極」のふりがなが「さい」となっていたとこ
    ろがありましたが、これは文章をコピーして書いていたときに直し忘れたも
    のです。詫びして訂正いたします。

    お詫びと訂正:発言#008で、「あそうぎ」を「阿僧祗」と記していましたが「祗」
    は「祇」が正しいようですので「阿僧祇」と、詫びして訂正いたします。

                                  h/2π


#0012 sci8524  9306252318

 国会図書館の結果、心からお待ちしています(他力本願...)

                     Signal/Noise

深く数の世界が広がり申した。感謝。