Fre00169 きのこの話2

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きのこの話2  クサウラベニタケ
                      by 根田

 #136でツキヨタケという毒きのこについて書きましたので,
同様に中毒例の多いクサウラベニタケについて書きます.

 石川五右衛門は「石川や、浜の真砂は尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ!」
とか死ぬ間際に詠んだそうですが、この科学が進歩し、情報の氾濫し過ぎている
くらいの日本に、未だにきのこ中毒が絶えないのには驚かされます。
(あまり五衛門とは関係ありませんけど)

 日本に毒きのこと呼ばれるのは、数十種ありますが、共通の特徴が無いので、
ひとつひとつ、覚える必要があります。

 しかし、これがまた、似ている食用きのこと、実にまぎらわしいのです。
ですから、よく知っているきのこ以外は、不用意に食べない方が良いですね。

 毒きのこの中でも中毒例の多いのは、
ツキヨタケ、 クサウラベニタケ(およびイッポンシメジ)、 ニガクリタケ、
ドクツルタケ(およびタマゴテングタケ、シロタマゴテングタケなど)
などです。

 これらのきのこだけは最低覚える必要があるでしょう。 

 クサウラベニタケは、シメジ類やウラベニホテイシメジという食用きのこに
とても良く似た毒きのこです。(ここでシメジ類というのは、狭い意味です)

 クサウラベニタケはイッポンシメジ科に属するきのこです。
このイッポンシメジ科というのは、割合に見分けるのが易しいグループです。
というのは、傘の裏のヒダが、ピンク色ないし肉色をしているからです。
ヒダの表面には胞子という、高等植物で言うと花粉のようなものを作って、
子孫を増やします。この胞子が未熟の時は、ヒダは白い色をしているので
注意が必要です。(未熟のきのこでも立派に中毒します)

 とにかく、ヒダがピンク色をしていたら、要注意です。

 同じイッポンシメジ科でも食用のきのこに、ウラベニホテイシメジ、シメジモドキ
があります。特に前者は、地方によっては「きのこ狩り」のメインになるほどの
有名なきのこです。しかし、形が良く似ていて、発生する時期や場所まで
ほぼ同じなため、クサウラベニタケと間違えてしまう例が後をたちません。

 よく都会のハイカーが「山の人が採っているきのこと同じきのこを採ったはずなのに」
とか、「教えて貰ったきのこを採ったのに」で、中毒するのは、このクサウラベニタケ
のことが多いようです。
 
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     クサウラベニタケ      ウラベニホテイシメジ
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傘    小(〜10cm)      大(10cm〜)
                   わずかにかすり状の模様がある

柄    細い(〜2cm)      太い(2cm〜)
     もろくて中空        しっかりしていて中実

ヒダ   ピンク色          ピンク色
     柄には上部にわずかにつく  柄には湾曲してつく

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